ピッキングシステムとは
ピッキングシステムとは、倉庫にある多種多様な商品の中から、指定されたものを探して持ってくるというピッキングの作業を効率的に行うためのシステムです。
ピッキングシステムを導入することで、誤ピッキングの防止や初心者でも短時間で必要な製品や商品を見つけ出せるようになります。ピッキングシステムには、表示器付きのカートやハンディターミナルなどの物理的なものから、手持ちのスマートフォンやタブレットにアプリを導入するだけで使えるようソフトウェアとして販売されているものまで、種類はさまざまです。
ピッキングシステムの使用用途
ピッキングシステムは、物流倉庫や工業製品の工場での製品出荷管理に用いられています。多種多様な在庫から、必要な製品を必要な数だけ素早く選び出すために、ピッキングシステムは欠かせません。
近年は、ECサイトの発展によってネット通販の需要が拡大しており、通販会社では物流倉庫内の商品をいかに素早く正確に出荷のプロセスまで到達できるかが課題です。ピッキングシステムは、こうした通販会社の物流倉庫などで、正確で迅速な仕分け作業を行うために導入されています。
また、調剤薬局では薬剤監査システムとして、ピッキングシステムが導入されています。薬剤監視システムとは、医療品の種類と数が正確であるかどうかを機械によって判別するためのシステムです。
薬剤師による管理に薬剤監査システムを加えることによって、薬剤を間違えてしまう調剤事故の発生を防いだり、薬剤師の業務を効率化し、薬を受け取る患者さんの待ち時間を減らしたりすることにもつながります。
ピッキングシステムの原理
ピッキングシステムは規模によらず原理として、3つの機能によって成り立っています。1つ目は作業者や搬送機械にピッキング指示を出す機能、2つ目は実績を記録する機能、3つ目は在庫管理システムなどと連携する機能です。
現在のピッキングシステムでは、これらの管理がパソコンやタブレットPC、スマートフォンで行えるようになっています。ピッキングシステムには、さまざまな種類があります。
小規模なシステムとして、デジタルピッキングシステム (DPS) が挙げられます。ハンディーターミナルなどの表示器によって、作業者の仕事を補助するものです。
一方で、大規模なピッキングシステムは、ピッキング作業全体を機械によって自動化したものです。大規模な倉庫や工場に導入されています。
ピッキングシステムの選び方
1. シングルピッキングとトータルピッキング
シングルピッキングは、オーダーごとに保管場所から商品を取り出す方法で、商品が少ない場合に適しています。トータルピッキングは、オーダーされた商品をまとめて保管場所から取り出し、後で仕分けを行う方法です。商品単位でまとめて作業するため、移動距離と時間を短縮することができます。
2. 無線式と有線式
無線式のピッキングシステムは配線工事がなく、比較的導入は簡単ですが、充電の手間がかかります。一方、有線式は充電の手間はかかりませんが、工事が必要で設置場所が変わると、その度に配線の見直しが必要となります。
3. クラウド型とオンプレミス型
クラウド型はサーバー管理が不要で、初期費用も抑えられますが、インターネットを介するためセキュリティ面では注意が必要です。オンプレミス型は初期費用はかかりますが、既存システムとの連携が容易な場合が多く、自社で既にサーバーなどの環境が整っていると、トータルコストを抑えることもできます。
ピッキングシステムのその他情報
薬局での導入事例
厚生労働省「調剤業務のあり方について (薬生総発0402第1号) 」が発出され、薬剤師免許を持たないものでもピッキングや薬剤の数量確認などの補助作業が可能となりました。ただし、本通知には医薬品のピッキングミスや入力ミスによって発生する調剤過誤を確実に防止するため、「判断を加える余地に乏しい機械的な作業であること」という条件が明記されています。
薬局で使用するピッキングシステムにおいては、この要件を満たす適切なシステムの導入が必要です。医薬品のピッキングシステムに使用される判別方法には、主に以下の2つのタイプがあります。
1. 機器内蔵のカメラで撮影し、画像認識により判別するピッキングシステム
機器内蔵のカメラで撮影し、画像認識により判別するタイプは、バーコードのついていない医薬品も判別することが可能で、自動で写真を残すこともできます。一方で、機器自体が大型になることが多く、他のタイプと比較すると高額になる場合があります。
2. 印字されたバーコードのスキャンにより判別するピッキングシステム
印字されたバーコードのスキャンにより判別するタイプは、比較的安価で小型の機種が多く、配線工事も不要な機器が多いため導入しやすいというメリットがあります。ただし、数量監査のできない機種が多く、目的にあった機器であるかの確認が必要です。
適切なピッキングの導入によって、誰でもミスのないピッキングが可能となり、薬剤師が本来の業務に集中できる環境が整います。さらに、数量監査を同時に行うことで、監査を担当する薬剤師の負担軽減や発注や棚卸の業務効率の向上にもつながります。
参考文献
https://www.upr-net.co.jp/info/pallet/digital_picking.html
https://www.daiwabutsuryu.co.jp/useful/words/dps
https://www.fujielectric.co.jp/products/logistics/future/picking-hikaku/
https://www.mhlw.go.jp/content/000498352.pdf
https://medicalfields.jp/