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パワーMOSFETの概要、用途、原理などをご説明します。また、パワーMOSFETのメーカー14社一覧や企業ランキングも掲載しております。パワーMOSFET関連企業の2025年3月注目ランキングは1位:株式会社タイワン・セミコンダクター、2位:富士電機株式会社、3位:サンケン電気株式会社となっています。
パワーMOSFETは、大出力用途に対応したMOSFETデバイスの総称です。MOSFETはゲート端子に電圧を印加しドレインとソースをONさせ、増幅出力を得ることが出来る電界効果トランジスタ(FET)であり、MOSは「Metal Oxide Silicon」の頭文字をとっています。
昔は、スイッチング素子といえば、ベースとコレクタとエミッタ端子を備えたバイポーラトランジスタが主力でしたが、それに比較して、MOSFETはスイッチング速度が速く、低圧でオン抵抗が小さいので低損失な動作が可能です。
パワーMOSFETの使用用途としては、従来、パワートランジスタにバイポーラを使用している回路において、その代替えとして使用することが可能です。特に、パワーMOSFETは、バイポーラ型のパワートランジスタに比べて、スイッチング損失が低減できます。
それまでMOSFETの課題であったオン抵抗の高さや耐圧の低さと大電力への応用困難と言う問題に関して、昨今のプレーナゲート型の二重拡散構造やトレンチゲート構造、更にはスーパージャンクション構造と言った技術革新により、全て課題はクリアされて、現在ではパワートランジスタの世界において、MOSFETが主力になっています。
パワーMOSFETは、その原理上、多数キヤリア(n型では電子、p型では正孔)のみで動作します。よって、従来パワートランジスタとして主力であったバイポーラ型の様な少数キヤリアの影響はなく、根本的には、接合型FET以上の高い入力インピーダンスを持っているので、最近のMOSFETは、従来に比べて壊れにくくなっています。
また、パワーMOSFETは、ゲート構造とドリフト層の構造によって大別することが可能で、近年主流の3大構造を以下に説明します。
これは二重拡散によるチャネル形成で高耐圧を得る構造で、高集積化と低オン抵抗と低損失の高性能パワーMOSFETを実現しました。具体的にはNチャネルMOSFETの場合、N基板エピタキシャル層上に低濃度p型層と高濃度n型層を二重拡散で形成しています。PチャネルMOSFETもありますが、正孔の移動度が電子に比べて小さいために、オン抵抗は大きく特性は劣化方向です。
これはゲートをU溝にして、チャネルを縦方向に形成することで高集積化を実現し、更なる低オン抵抗を図りました。ただし、この構造は低耐圧パワーMOSFETとしての使用となります。単位セル面積をゲートのU溝化で縮小するのが特徴です。
現在は基板材料の変更を除くと、これが最も優秀なパワーMOSFETです。ドリフト層にスーパージャンクションと呼ばれる周期的な縦型構造のp/n構造を形成させて、従来のパワーMOSFETのシリコン限界を下回る超低オン抵抗を実現しています。
パワーMOSFETは低コストかつ高信頼性のシリコン基板で比較的安価に大パワー電源用途に用いられていますが、数KVAを扱う大電力電源用途になると、オン抵抗が数オームに増加するために、損失が著しく増加し使える領域からは外れていきます。
この領域で現在主に用いられている半導体デバイスは、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)もしくはSiCパワーMOSFETです。IGBTはMOSFETの大電流領域のオン抵抗の増加分を抑制するため、バイポーラトランジスタと組み合わせたデバイス構造の工夫が施されています。
SiCパワーMOSFETは基板材料にSiC化合物半導体というワイドバンドギャップの結晶を用い、耐圧を飛躍的に改善させている点に大きな特徴があるデバイスです。IGBTは数10Kから数100KVAという大電力で数10KHzの比較的低周波の電源用途に、SiCパワーMOSFETは大電力かつ数100KHzという高速スイッチング電源用途に使われています。
IGBTはデバイス構造上高速スイッチング電源には不向きであり、SiCパワーMOSFETはSiC基板コストが(ウエハサイズの制約などもあり)比較的高いため、このようなすみ分けがなされているのです。とはいえ、比較的安価で使いやすいシリコン基板でのパワーMOSFETは、置き換えるメリットのある新規デバイスが出現しない限りは、今後も中低パワー領域では特性やコスト面の改善を図りつつ、使われ続けるでしょう。
参考文献
https://ednjapan.com/edn/articles/1003/03/news115.html
https://www.fujielectric.co.jp/products/semiconductor/model/powermosfets/
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
順位 | 会社名 | クリックシェア |
---|---|---|
1 | 株式会社タイワン・セミコンダクター |
27.0%
|
2 | 富士電機株式会社 |
10.8%
|
3 | サンケン電気株式会社 |
10.8%
|
4 | 豊前東芝エレクトロニクス株式会社 |
10.8%
|
5 | 東芝デバイス&ストレージ株式会社 |
8.1%
|
6 | ルネサスエンジニアリングサービス株式会社 |
5.4%
|
7 | マリックス株式会社 |
5.4%
|
8 | STマイクロエレクトロニクス株式会社 |
5.4%
|
9 | 新電元工業株式会社 |
5.4%
|
10 | インフィニオンテクノロジーズジャパン株式会社 |
2.7%
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