リミットスイッチについての概要、用途、原理などをご説明します。また、リミットスイッチのメーカー26社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。リミットスイッチ関連企業の2023年11月注目ランキングは1位:株式会社坂本電機製作所、2位:日本ハネウェル株式会社、3位:富士電機機器制御株式会社となっています。
1985年-2014年: アルストム株式会社、ABB 株式会社 およびガデリウス株式会社にて、ユングストローム空気予熱器の設計、 ダイアモンドスートブロワの機械設計に従事。(ABB株式会社: https://new.abb.com/jp)
2014年-2021年: アルヴォス株式会社にてエンジニアリング及びプロジェクトマネージャー業務に従事。
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廣木洋一のプロフィール
リミットスイッチとは、機械部品の動きや物体の存在によって作動するスイッチです。
制御システムの一部として、安全インターロックや特定位置を通過する物体を検出して、自動起動・停止や機械の可動域の制限、位置検出などの制御をするために使用します。
リミットスイッチは、使用環境における外力、水、油、ガス、粉塵などから保護するために、金属や樹脂製ケースにマイクロスイッチを封入ケースに組み込んだもので、アクチュエータ(機械的検出部)が動くことで接点がオン、オフします。
アクチュエータは、プランジャ式(直動式)、回転レバー、フォークロックレバー、フレキシブルロッドなどがあり、用途や使用環境に応じてさまざまな形状をしたものがあります。
図1. アクチュエータの種類
リミットスイッチの使用用途は、物体の位置を検出した結果で電気回路をオン、オフすることです。
工場の生産ラインなどの自動制御を行うオートメーションシステムでは、リミットスイッチで機械の動作や位置を検出します。例としては、リミットスイッチを検出位置に取り付け、異常動作位置でオンになり警報を発報し機械の操作を停止します。
また身近な例では、エレベーターのカゴ(人や荷物を載せ昇降する搬器)が、停止階の所定の位置に来た特に、リミットスイッチが作動しモータを停止させカゴが停止します。
このように、リミットスイッチは自動的制御システム内では、さまざまな用途で使用されています。
基本的なリミットスイッチは、本体、ヘッド、マイクロスイッチ、プランジャ、回転軸(回転レバー、フォークロックバーのみ)、アクチュエータで構成されています。
リミットスイッチの原理を以下に、回転レバー式アクチュエータの場合で説明します。
図2. リミットスイッチの動作
図3. リミットスイッチの接点
リミットスイッチには多くの種類や仕様があり、基本的な選び方としてポイントを以下に説明します。
使用用途に適したアクチュエータの種類を選定します。下記は代表的な例で、その他にも数種類のアクチュエータがあります。
動作までの動き(PT)
ここでの「動作」は、接点がオン、オフするまでの角度や距離を示します。回転レバー、フォークロックレバーの場合は、被検出物体がアクチュエータを回転させる角度は、動作までの動き(角度)より大きくなるように、リミットスイッチの取り付け位置とアクチュエータの角度を設定する必要があります。
プランジャ式とフレキシブルロッドの場合は、被検出物体がアクチュエータを押す距離は、動作までの動き(距離)より大きくなるように、リミットスイッチの取り付け位置とアクチュエータの位置を設定する必要があります。
※ なお、被検出物体の動きは、アクチュエータの動作限界位置(TTP)以内に抑える必要があります。
定格
リミットスイッチには、それぞれの型式ごとに定格が規定されており、カタログや取扱説明書に記載されています。電気回路の使用電源に適合した定格のリミットスイッチを選定する必要があります。
リミットスイッチの故障の原因は、機械寿命や摩耗による経年劣化の場合もありますが、大半は使い方に原因があるといわれています。ドッグやアクチュエータの位置調整不良、シール不良などがそれに当たります。
たとえば、リミットスイッチの取り付け不良も故障の原因の一つです。機械の可動域の制限用に取り付けたスイッチが複数回作動すると位置が徐々にずれていき、押し込み量が足りずにスイッチが作動しなくなることがあります。対策として、スイッチ本体に設定位置表示機構が付属されたものもあります。あらかじめ設定した位置までスイッチを押し込むようプログラムしておけば、スイッチの位置が多少ずれたとしても正常な動作をするようになります。
リミットスイッチの作動に使用する被検出物体の設計にも注意しなくてはなりません。被検出物体のカット角度は45度以下が適当とされています。45度を超えると、被検出物体の移動速度によってはレバーシャフトに加わる力が過大になるため、故障の原因になります。移動速度が速い場合は、レバーを被検出物体のカット面と平行にするのも効果的です。
また、ドッグに急な段差があると、スイッチが基準位置に回帰した際に強い衝撃が加わる可能性もあります。スイッチのON/OFFの切り替わりはなるべく滑らかになるように設計しましょう。
プランジャ式は、プランジャ部分をOリングやゴムダイヤフラムでシールするものと、ゴムキャップで覆うものの2種類があります。
前者はシールゴムが外部に露出していないので、工作機械の切屑などの熱を持った異物に対して強い反面、砂、切粉などの細かい粒子や塵埃などがプランジャ摺動面にかみ込むという弱点があります。
後者は砂、切粉など粒子や塵埃のかみ込みはなくシール性能が優れていますが、工作機械の切屑などの熱を持った異物はゴムキャップが溶ける、破れるなどの恐れがあるため、コストや用途、使用場所によって使い分けが必要になります。
リミットスイッチは動作時に、プランジャのピストン運動による空気の圧縮・吸引が行われます。このため、長時間プランジャを押し込んだままにしておくと、リミットスイッチ内の内圧が大気圧と同じになり、プランジャの復帰時に大気圧が抵抗となりプランジャがゆっくり復帰することがあります。
また、プランジャや回転軸のシール部分に油や埃が溜まることで動作が阻害され、リミットスイッチの動きが悪くなることもあります。
参考文献
https://www.fa.omron.co.jp/data_pdf/commentary/limitswitch_apparatus_tg_j_3_2.pdf
https://www.fa.omron.co.jp/guide/faq/detail/faq02986.html
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2022年4月14日
ヘビーデューティースイッチは、最も過酷な工業用途に耐えられるように設計されたリミットスイッチです。
本体は、堅牢なダイキャスト構造となっており、さらにエポキシ樹脂によってコーティングされています。
低温や高温に耐性の高いタイプや工場でシールを施したタイプも入手可能となっており、さまざまなアクチュエータ形状、動作ヘッド、電気回路が選定できます。
食品・飲料機械装置や船上、腐食性の廃棄物処理、発電プラント、自動車関連機械ツールなどのアプリケーションがあります。
ワイヤレスリミットスイッチは、ワイヤレスによって動作信号を受信器に送信できるリミットスイッチです。
設備・機械装置等での配線作業は必要ありません。
アクチュエータの操作力によって発電し、電気を発生させます。
そのため、動作信号を出力するためのバッテリーや電源は不要です。
離れた位置にある受信器に、無線コード化された信号が送信される原理となっています。
送信器となるリミットスイッチと受信器の距離が、障害物のない場合は100mまで到達します。
受信器が、金属製のボックスに入っている場合は、25mとなっています。
また、中継用アンテナを設置することで、到達距離を延ばすことも可能です。
DLミニリミットスイッチ(AZD1)は、耐環境性に優れた、小型のリミットスイッチです。
防浸型であり、さまざまな使用環境に対応できます。
また、-30℃から+80℃の広範囲な温度での使用が可能です。
蝶番式カバーになっており、結線が容易になります。
回路構成は、2回路双断型となっており、最大開閉頻度は、120回/分となっています。
食品加工をはじめ、包装機械や一般工場設備における組み立てラインなどで使用されます。
アクチュエータ形状には、ローラ・レバーやプッシュ・プランジャなど8種類のラインナップがあります。
汎用タテ型は、配線取り出し口を下向きにした場合、アクチュエータが上向きになる基本構造となっています。
さまざまなアクチュエータのタイプがあり、ワークの形状や検出する向きなどにより選定します。
屋外で使用する耐侯タイプや薬品・油類の雰囲気において使用可能な耐食タイプ、クーラント液のかかる耐クーラントタイプ、耐寒・耐熱タイプなどがあります。
さまざまな使用環境に対応できるタイプがあります。
スパッタ対策形は、溶接時のスパッタ環境に適応した構造になっています。
その他、長寿命形は、高い耐久性を持った構造となっています。
2回路双断回路となっており、確実に回路を遮断することができます。
LSシリーズは、さまざまなバリエーションがあり、使用範囲の広く汎用性の高いリミットスイッチです。
動作タイプには、ローラーレバーやプランジャ、フォークレバーロックなど6種類のタイプがあり、用途に応じて選定できます。
汎用タイプに加えて、超長寿命、耐スパッタ、屋外仕様タイプがあります。
堅牢なアルミダイカストケースとなっており、すべてのタイプにおいて、耐油・耐水・防塵性に優れています。
2回路双断形基本形スイッチを内蔵しています。
その他、使用環境に応じて、二重シール形、耐食形、耐熱形、耐寒形などを選定します。