成型機

成型機とは

成型機

成型機としては金型を使ったプラスチックの成形機(射出成型機)が有名ですが、それ以外にも圧力をかけて形状をつくるプレス成型や空気圧で形状を作るブロー成型、簡易型を使った成型(ロストワックスなど)があります。

プラスチック以外にも金属を成型することも可能で、アルミニウムや亜鉛を成型するダイカスト成型では自動で成型できることもあり量産時にコストダウンできることが多いです。

成型機の使用用途

成型機は型にあわせて材料を成型するために使用されます。

年間生産量が多い、もしくはロットが大きい場合に成形機が活用されることが多いです。成形機を使うことで単価を下げることができるため、100円ショップで売られているプラスチック製品のほとんどは成形機を用いて製作されています。また、複雑な形状でも容易に製作できるので要求が厳しくなっている意匠部品にも使用されています。

金属のアルミニウムの成型であるアルミダイカスト部品は自動車のエンジン部や計測機器の内蔵物、トビラなどで多く使用されています。

成型機の原理

成型機の一つである量産用成型機は金型などを頑丈にするため数百万円~数千万円と大変高価です。そのため金型を償却するために十分な数量を生産する必要があります。また、形状変更で金型を変更する場合は金型を成型機から外して加工するための工数がかかるため最低でも数十万円は必要です。このような課題に対応するため、金型を分割しておいて必要な部位だけを取り出して修正する方法もあります。この手法では修正期間の短縮だけでなく、修正費用も抑えられます。

数量は多くないが形状が複雑で切削加工は難しいものを安く作りたい場合は簡易型成形機を使用します。この装置は数個から数十個しか生産ができませんが型を安価にできるメリットがあります。また、マスターを製作することで簡易型を複数個作ることも可能です。

最近では板金加工でプレス成型とよばれる圧力を用いた成型方法も増えています。形状に制限はありますが安価に量産ができるだけでなく、形状変更にも比較的柔軟に対応することができます。たとえば成型の一つである絞り加工などはこれまで溶接工程が必要とされ、高価だった部品のコストダウンと製品の形状安定性を向上させています。

成分分析装置

成分分析装置とは

成分分析装置とは材料や部品などに含まれている元素の種類、量を測定することができる装置です。

対象とする材料や部品、検出したい元素の種類に合わせた様々な分析方法があり、適切な方法を選択することで高精度、高感度な分析を行うことができます。分析対象は固体だけでなく、液体や気体にも適用することができる装置もあります。

主な分析対象としては医療・医薬品、金属材料や有機・高分子材料、食品や電子材料、各種環境規制物質などが挙げられます。

成分分析装置の使用用途

成分分析装置は新材料、新規医薬品などの開発において含有元素を調べるだけではなく、不純物や有害物質のコンタミネーションが起こっていないか確認するためにも用いられます。

また、品質、製造トラブルが発生した時に部品にどのような元素が付着しているか調べたり、製品の異物検査、さらにはにおい分析にも使用されています。

環境分析においても大気汚染の指標になる窒素酸化物(Nox)や二酸化炭素、その他にも最近規制が強くなってきたRoHS規制対応でも成分分析装置が使用されています。

成分分析装置の原理

成分分析装置を使って分析を行うには各専門領域の知識や経験が必要です。分析装置を購入して単に分析することも可能ですが、同じ物質を分析する際も様々な手法がありますし、分析で設定するパラメータも非常に複雑なため、一般的には分析を専門とする業者に委託することが多いです。

成分を分析する手法として、液体や汎用溶媒に溶解する固体ならば液体クロマトグラフィーによる純度、不純物分析を用いたり、固体物質ならばFT-IRによる化学構造の解析を行う方法があります。固体になると手法はかなり多く、ICPなどのスパーク発光分光分析装置や蛍光X線分析装置、吸光光度計、FTIRや質量分析計など測定対象の元素によって変わります。

業種によってはヨーロッパに輸出する際に必要な環境規制であるRoHS指令に対応することが求められますが、RoHSでは複数の元素が対象になるため1台の分析計で測定することはできません。そのため、実際はRoHS対応ができる業者に分析依頼を行うのが効率的です。

接着剤

接着剤とは

接着剤

接着剤とは、物質と物質を接合させるために使用される材料です。

接着剤にはさまざまな種類があり、接合対象の素材や使用温度、硬化までの時間が異なるため、用途にあわせて選定します。また、接着剤が硬化する条件もさまざまです。

例えば温度や湿度の違いにより、硬化時間が大きく変わるものもあります。一般的に知られている一液性だけでなく、主剤と硬化剤を混合して硬化する二液性接着剤もあります。

接着剤の使用用途

接着剤の主な用途は、対象物同士を接合することです。用途や対象物にあった適切な接着剤の選択により、金属、プラスチック、木材、ガラス、陶磁器、石材、紙、布、革、ゴム、フォームなど、さまざまな種類の素材を接着できます。

一般的な用途としては、機械や自動車の製造、建設、電子機器の製造、航空宇宙産業、そして医療機器の製造が挙げられます。また、家庭でのDIYや修理作業、そして工芸品の製造にも広く使用可能です。

接着剤の原理

接着剤の原理として、機械的な相互作用、化学的な相互作用、物理的な相互作用などが挙げられます。

  • 機械的な相互作用
    材料表面の孔や谷間に接着剤が入り込み、そこで硬化し生じます。
  • 化学的な相互作用
    接着剤と接着対象物が原子同士でお互いの電子を共有する、すなわち共有結合を形成する化学反応により接合します。
  • 物理的な相互作用
    分子間力やファンデルワールス力と呼ばれ、接着剤と対象物が原子レベルで近づいた時に発生する分子間の引力により接合します。

接着剤はこれら3つの相互作用のいずれかまたは、複数を組合わせて機能を発現しています。対象物の表面にある汚れや油分などの不純物が接着を妨げることがあるため、接着する前に表面のクリーニングが必要です。

接着剤の種類

接着剤は組成や形状、硬化原理、用途によって分類できます。下記は、硬化原理によって分類したケースです。

1. 乾燥固化型接着剤

固体の接着剤成分を溶剤に溶解させた接着剤です。接着剤から溶剤が蒸発すると、接着剤が固化し、対象物同士を接着します。一般的に、乾燥固化接着剤は比較的安価で、簡単に使用できますが、有機溶剤を使用している場合、溶剤臭が強い欠点があります。

木工用ボンドも乾燥固化型の接着剤の1種です。これは酢酸ビニル樹脂が水系エマルションになったもので、溶剤が水であるため硬化には時間がかかりますが、臭気はほとんどなく、環境にも優しい利点があります。 

2. 反応硬化型接着剤

接着剤の容器から出して対象物に塗布、貼り合わせた状態で化学反応が進行して、接着剤が固まり接着強度が発現する接着剤です。二液混合硬化型のエポキシ接着剤、一液硬化型エポキシ接着剤、瞬間接着剤として知られているシアノアクリレート系接着剤などが挙げられます。

二液硬化型接着剤は主剤と硬化剤との混合により硬化反応が開始するため、保存安定性に優れます。一方で、熱硬化型やシアノアクリレートなどの湿気硬化型の接着剤は、夏場の暑さや吸湿などにより容器内で硬化反応が起こる可能性があるため、保管環境には注意が必要です。

3. 光硬化型接着剤

光硬化型接着剤は、光によって硬化する接着剤です。紫外線などの光照射により、反応性のラジカルやイオンが発生し、モノマーの重合が開始し、接着剤が固まります。化学反応によって硬化する意味では、反応硬化型接着剤とも言えます。

紫外線硬化型接着剤は、電子機器や光学機器などの微小な部品を接着するために使用されます。光硬化型接着剤の反応のトリガーになる光は、紫外線の他にも、可視光、電子線などです。

4. ホットメルト接着剤

ホットメルト型接着剤は、加熱によって溶融し、対象物同士を接着させた後、冷却により固まり接着を行います。この方式は、接着剤を塗布する時間や硬化時間が短いため、生産性が高い利点があります。また、溶剤を含まないため、環境に優しいとされています。

ホットメルト型接着剤は、接着剤の形状によって、棒状のスティック状、粒状、フィルム状などがあります。棒状のスティック状のホットメルト型接着剤は、一般的に低価格で、手軽に使用できます。一方、粒状やフィルム状のホットメルト型接着剤は、専用の機器を使用する必要があり、比較的高価ですが、接着の精度が高いです。

絶縁材

絶縁材とは

絶縁材

絶縁材とは、電気を通しにくい材料や電気を通さない材料のことです。

代表例はプラスチックやゴムなどです。電気を通しやすい物質を導体と呼び、温度などの条件によって導体が絶縁体に変化する特徴を持った物質を半導体と呼びます。

物性の違いは物質内に自由に移動できる自由電子に由来しており、自由電子が存在する物質に電圧差が生まれると自由電子が移動して電流が流れます。絶縁材は自由電子の移動が少ないか移動がないため電流が流れません。

絶縁材の使用用途

絶縁材は電子部品を集積する基板やケーブルの被覆に使われます。電気を通す電線同士が接触すると故障の原因になるため、電線同士が電気的に接触しないように絶縁材で保護可能です。電源用のケーブル以外にもLANやUSBケーブルなどのほとんどのケーブル製品は絶縁材の被覆が使われています。絶縁材の素材はゴムやビニールなどを利用可能です。

基板の素子などが水で濡れないように素子表面にポッディング (コーティング) 処理を行うときに絶縁材が使用される場合もあります。

絶縁材の原理

絶縁材 (絶縁体) と導体の違いは自由電子の有無に由来し、自由電子の有無は伝導帯と価電子帯の間にあるエネルギーバンドギャップによって決まります。

物質を構成する共有結合で周囲の原子と共有されている価電子はエネルギー準位が低い価電子帯と呼ばれる領域に存在します。この準位にある価電子は電圧差を与えても動きません。その一方で物質には価電子帯よりも高いエネルギー領域である伝導帯と呼ばれる領域が存在し、伝導帯と価電子帯の間のエネルギー差をバンドギャップと呼びます。価電子帯に存在する電子が光、熱、電気的なエネルギーを受け取ってエネルギーバンドギャップを超えて伝導帯に到達すると自由電子として動いて電流が流れます。

導体はエネルギーバンドギャップがほとんどありません。多くの電子が簡単に伝導帯に遷移して自由電子が多くなり、電流が流れます。逆に絶縁材はエネルギーバンドギャップが大きく簡単には伝導帯に遷移しないため、自由電子が少なく電流が流れません。ただし雷のようなエネルギーバンドギャップを上回る大きなエネルギーを受け取ると絶縁体でも伝導帯に遷移して電流が流れる可能性があります。

絶縁材の種類

絶縁材には数多くの材質があり、特徴が異なります。

1. 気体絶縁材

空気、六フッ化硫黄 (SF6) 、炭酸ガスなどで、主に加圧して使用します。SF6は硫黄とフッ素ガスから合成され、絶縁耐力に優れるためガス絶縁遮断器やガス絶縁変圧器に利用されてきましたが、地球温暖化係数が高く、使用が抑制されています。

2. 液体絶縁材

具体例は植物性油、合成絶縁油、鉱油などです。植物性油は絶縁油の原料に用いられ、合成絶縁油や鉱油はケーブル、コンデンサー、変圧器のような油入電気機器の絶縁や冷却に利用されます。

3. 固体絶縁材

雲母、セラミックス、ガラスなどが使用されます。雲母は高い耐熱性や絶縁性を有する天然の結晶で、テープ、シート、板などに加工され、コイルの絶縁に幅広く使われています。鉱物質粉末を成形して高温で焼成されたセラミックスは半導体用パッケージや高周波用絶縁物に用いられます。ガラスは硬くて脆いですが、透明で耐熱性や絶縁性が良く、ブラウン管や電球に使用可能です。

4. 有機繊維質材料

具体例として、絹、綿糸、紙、ポリエステル、ナイロンなどが挙げられます。古くから紙は絶縁油に含浸させて、油入電気機器の絶縁に使われてきました。

5. 塗料系材料

合成樹脂や天然樹脂を溶剤に溶かして作ります。エナメルワニスやコイルワニスのような絶縁塗料は絶縁処理材に使用されます。

6. ゴム系材料

シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、天然ゴムなどが成形品や電線被覆に使われます。

7. 樹脂系材料

天然樹脂のロジンやセラックは絶縁塗料の原料に使用されています。合成樹脂には熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂があり、絶縁塗料、電線被覆材、積層品、成形品などに広く用いられます。

帯電防止シート

帯電防止シートとは

帯電防止シート

帯電防止シートは物質表面の静電気を防ぐシートです。プラスチック(フィルム)は静電気を蓄積(帯電)しやすいため、周辺に電子部品があると静電気障害を引き起こし故障する原因となり得ます。また、有機物の静電気着火を引き起こしたり、電荷を帯びたホコリなどの吸着を引き起こします。

帯電防止シートには表面に帯電防止剤が浮き出る界面活性剤添加タイプと素材自体が帯電効果を持った持続型帯電防止タイプ(非界面活性剤ポリマータイプ)があります。

帯電防止シートの使用用途

帯電防止シートは静電気に弱い電子部品や電子機器、基盤類の梱包材として使用されることが多いです。また、粉体の梱包やほこりを嫌う精密部品などの梱包材としても使用されています。

フィルム以外でも帯電防止プラスチックとして半導体や医療、食品製造などの高いクリーン度が要求される分野でのカバー類などにおいても、ホコリや製品の付着防止などの目的で使用されています。

その他、医療現場においても袖付エプロン型防護服として使用されています。

帯電防止シートの原理

帯電防止シートのうち界面活性剤添加タイプでは、水になじみやすい親水基と油になじみやすい疎水基の両方をもった物質である界面活性剤(帯電防止剤)が練りこまれています。ブリード現象により界面活性剤が表面に現れ、親水基が空気中の水分とくっつくことで表面に水の被膜を形成します。この水の被膜の中には自由電荷が含まれ、導電性を有します。この被膜内の自由電荷によって電荷を中和するため、静電気がなくなります。帯電防止効果は表面に形成できる水の被膜に基づくため、湿度の上下により効果が変わります。また、効果は経年的に薄まるので長期の使用には不向きです。

持続型帯電防止タイプは特殊な金属イオンが素材に添加されており、この金属イオンが導電物質としてプラスチック内で導電回路を形成し静電気の逃げ道を形成するため帯電防止効果を発現します。このタイプでは見た目が透明のブルーであるケースが多いです。帯電防止効果が半永久であること、周囲環境の影響を受けにくい特徴を持っていますが、界面活性剤添加タイプに比べて高価です。

天然ゴム

天然ゴムとは

天然ゴム

天然ゴムとは、JISにより「パラゴムノキから得られるシス-1,4-ポリプレン」として規格化されているゴムのことです。

そのため、天然ゴムの主な産地はパラゴムノキが植生する東南アジアやアフリカ、中南米の熱帯地域です。中でも東南アジアでの生産が生産量の約80%を占めています。

天然ゴムは、工業的には1800年代から利用されています。主に液状のゴムであるラテックス、シート状にして乾燥させたRSS、ゴムを細かく粉砕しプレス成型したTSRの3つの形態で取引されています。

RSSはTSRに比べると機械的強度が強いですが、価格も高めです。

天然ゴムの使用用途

天然ゴムの約70%は、航空機やトラック、バス、乗用車などのタイヤに使用されています。タイヤとしての耐久性を高めるために合成ゴムの一種であるSBR (スチレン・ブタジエンゴム) 、BR (ブタジエンゴム) などと混ぜて耐久性を向上させています。

このようなブレンドの効果もあり、天然ゴムは非常に高い機械的強度を示すため、大型タイヤに用いられることが多いです。タイヤ以外でもベルトやホース、防振用ゴム足などの工業製品から、糸ゴムやゴムバンド、スリッパのような履物などの民生品まで幅広く使用されています。

また、プラスチックへの添加剤として使われることもあります。

天然ゴムの特徴

天然ゴムは伸張性、反発弾性、引裂き強さ、圧縮永久歪み、耐摩耗性、耐屈曲亀裂性、粘着性などが優れており、内部発熱が低く、破壊強度が大きいという特徴を持っています。一般的な合成ゴムと同様に耐水性、耐アルコール性は高く、耐油性や耐酸性は低いです。また、耐候性、耐オゾン性も低いのが特徴です。

天然ゴムは天然素材由来であるために、合成ゴムと比べて物性のばらつきがあったり、不純物がふくまれていたりすることもあります。

天然ゴムの構造

天然ゴムは、ゴムの木に傷をつけると浸み出てくるラテックスと呼ばれる白い樹液に酸を加えて凝固させることで得られる成分であるポリイソプレン (イソプレン:CH2=C(CH3)-CH=CH2) が付加重合したポリマー) から作られます。

このイソプレン部分はcisの構造なので、分子鎖は不規則な形をとっており、結晶化はほとんど起こりません。

天然ゴムのその他情報

1. 加硫

加硫とは、硫黄を加えて加熱することです。天然ゴムを構成する分子の二重結合は時間とともに酸化反応を起こすため、経時的にゴムの弾性を失ってしまいます。

また、天然ゴムは耐熱や耐寒性などの耐久性に乏しく、そのまま用いることは困難です。そのため、天然ゴムに硫黄を5~8%加えて約140℃に加熱する処理を行うことで、二重結合部分と硫黄を反応させて分子同士を結合させ、化学的強度や機械的強度、弾性を大きくして使用しています。なお、日常的に使用している天然ゴムのほとんどは加硫ゴムです。

2. 合成ゴムとの違い

ゴムには天然ゴムのほかに、石油やナフサから生産される合成ゴムがあります。天然ゴムと合成ゴムを見た目で区別することは難しく、比重も同等のため、目視で天然ゴムか合成ゴムかを判断するのは困難です。

機械的特性においては天然ゴムが優れていますが、合成ゴムであるフッ素系ゴムやシリコン系ゴムは耐熱性や耐油性、耐候性などが高く、機械強度以外では合成ゴムの方が良い特性を示すことが多いです。

3. 資源としての天然ゴム

石油由来の合成ゴムに比べて、天然ゴムは自然由来であるため非常にグリーンな素材です。また、パラゴムノキは二酸化炭素を吸収することで天然ゴムを合成するため、間接的に地球上の二酸化炭素を利用していることになります。

パラゴムノキは植樹から約25年経つと、天然ゴムの収穫量がどんどん減少するため植え替えを行いますが、この時に伐採されたパラゴムノキは主に集成材に加工されます。

パラゴムノキの集成材は耐久性や着色性、塗装性に優れることもあり、家具やフローリングなどの用途に広く用いられています。天然ゴム自体だけでなく、天然ゴムを産むパラゴムノキも含めてグリーンな素材です。

参考文献
https://www.y-yokohama.com/csr/rubber/what/
http://cr-kobe.jp/history.html
http://www.tri210.co.jp/tokusei/nr.html

発泡樹脂

発泡樹脂とは

発泡樹脂

発泡樹脂とは、ガスを細かく混ぜ込み発泡状に成形した合成樹脂です。

基本的にいずれの合成樹脂でも発泡成形は可能ですが、価格などを考慮すると発泡成形に使われる合成樹脂は限られます。

発泡樹脂には気泡が連続している連続気泡と気泡が繋がっていない独立気泡があり、柔軟性や防音性が必要な場合には連続気泡が、断熱性能や剛性が必要な場合には独立気泡が一般的に使用されます。身近な例では梱包材などで使用される発泡スチロールも発泡樹脂の一つです。

発泡樹脂の使用用途

発泡樹脂は剛性が高くて肉厚にしてもヒケを生じにくく、デザイン性が高いため、自由曲面などが含まれた計測機器の筐体などで使用されています。

自動車では座席のクッション、ヘッドレスト、アームレスト、インパネハンドル、ドアトリムなどの幅広い内装部品に発泡樹脂が使われ、バンパー、エアスポイラー、バッテリーカバーなどの外装部品でも使用可能です。

そのほか電線を保護するためのハーネス被覆などにも用いられます。

発泡樹脂の原理

発泡樹脂は発泡セルが樹脂内部の残留応力を吸収してガス圧で樹脂を金型に押さえつけることで、スクリューから樹脂への圧力を下げるため反りや変形が低減可能です。成形品の内部に空気層を作り、材料の使用量を減らせてコストダウンにも貢献します。

発泡させる方法は化学的な発泡剤だけでなく、高圧下で液化ガスなどを溶解させて圧力を低下させたり加熱によって溶解度を低下させて気泡を生成する物理発泡などがあります。発泡処理を行う際に表面で発泡が起こると「スワール・マーク」と呼ばれる模様が発生しますが、射出前に金型内を加圧すると回避可能です。

一般的な射出成形に対して液体発泡剤を蓄えるタンクや発泡剤を注入するためのプランジャ、注入口ノズルなどが追加で必要です。

発泡樹脂の種類

1. 硬質ポリウレタンフォーム

硬質用ポリオールを使用したポリウレタンを独立気泡で発泡成形して得られます。圧縮強さが非常に大きく、変形させた際に応力を外してもほとんど戻りません。

2. 軟質ポリウレタンフォーム

ポリエステル系とポリエーテル系に分類されます。ポリエステル系は機械的性質や耐薬品性などに優れ、容易に気泡径を調整できますが、加水分解が起きやすいです。ポリエーテル系は加水分解性が低くて弾性に優れ、安価です。

3. ポリスチレンフォーム

汎用ポリスチレンを原料に用い、型内で水蒸気が予備発泡に使用されます。軽量で断熱性や緩衝性に優れています。

4. ポリエチレンフォーム

原料にリニアポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどが用いられます。吸水性が低くて低温で脆性破壊が起こらず、切削のような二次加工が容易です。可撓性を有し、圧縮強度に優れています。

5. ポリプロピレンフォーム

加熱による粘度低下が急なため、発泡壁形成が難しく、架橋剤や架橋方法の選択が重要です。耐熱性が比較的高いです。

6. フェノールフォーム

レゾール型とノボラック型が用いられます。ノボラック型には熱分解型の発泡剤が使用され、フェノール型には炭化水素類が使われます。

7. PET樹脂発泡体

PETはポリエチレンテレフタラート (英: polyethylene terephthalate) を表し、押出成形法や発泡フィルム製造法が工業化されています。押出成形法では分解型発泡剤にポリカーボネートや5-フェニルテトラゾーンを用い、発泡フィルム製造法では主原料に混ぜた無機微粉末や異種ポリマーが発泡を促進します。

8. EVA架橋発泡体

EVAはエチレン酢酸ビニル共重合体 (英: Ethylene vinyl acetate) のことで、柔軟性や弾力が高く、ゴム類などの多くの材料と混合可能です。

9. その他の発泡樹脂

ポリ塩化ビニルフォーム、ポリイミドフォーム、アクリルフォーム、シリコーンフォーム、ユリアフォームなども使用されています。

物体検出センサー

物体検出センサーとは

物体検出センサー

物体検出センサーは所定の位置に物体があることを確認するセンサーの総称です。

検出方法としては光学的、機械的に接触する方法や超音波を用いる手法などがあり、光学的な手法では光の透過だけでなく、反射を用いることで物体の有無を検出することも可能です。

物体検出センサーで最も汎用的に使われているのは光学的なセンサーで、光電センサやファイバセンサーがあります。光電センサの中にも透過光や回帰反射型、拡散反射型、狭視界反射型など様々な種類があり、用途にあわせて選びます。

物体検出センサーの使用用途

物体検出センサーは最近注目されているロボットを使ったFA(Factory Automation)機器などで使用されています。パーツフィーダと呼ばれるワークをセットする機械ではワークが所定の位置に準備されているか検出したり、パーツフィーダー内にワークがあるか否かを検出するために使用されています。

また、ワークの有無だけではなく、トビラの開閉の検出などにも機械的な接触や光学センサが使用されています。

物体検出センサーの原理

物体検出センサーは使用するワークによって使い分ける必要があります。物体検出センサーの一つである光電センサは光が透過しない物体を検出する際は透過型を使用し、ワーク表面からの反射がある場合は反射型を使うのが一般的です。ワークが透明な部品の場合は透過光の減衰が弱いため、ワークの検出が難しい場合があります。そのような場合は回帰反射型と呼ばれるセンサを用います。この装置ではワークを透過した後の光を反射板で反射させて再度ワークを透過させ、光を検出することで透過量を減らすことでワークの検出を可能とします。

ファイバセンサーは増幅器を別途用意する必要がありますが、狭い場所への設置に向いたセンサです。

レーザーセンサーは直線性があり、かつ可視光であるレーザーを使用しているため、検出位置の特定が容易で狭い隙間の検出にも向いています。その他、ワークの有無のみならず、特定のワークだけを検出したい場合に、色の識別が可能なカラーセンサを使うこともあります。

分析装置

分析装置とは

分析装置

分析装置メーカーが構成する団体の中で日本最大である日本分析機器工業会(JAIMA)では、分析装置とは「物質の組成、性質、構造、状態等を定性的・定量的に測定する機器・器具または装置」と定義しています。

分析を行う分野によって装置の区分も異なっており、実験や研究目的で用いられるラボラトリー用のほか、環境測定用、作業環境や保安用、身体の検査用(医用)、バイオ関連(DNA測定など)に分けられます。

装置の用途や種類に応じた展示会(分析展)も様々な地域で開催されています。

分析装置の使用用途

分析装置は様々な組織で使われています。例えば大学などの研究機関や材料、製薬メーカーなどの民間企業、その他ドラマの題材にもなった警察の科捜研(科学捜査研究所)などにも使われています。

例えば物質中に含まれる組成や不純物の量を調べる際は液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーが用いられます。また、液体中に含まれる成分の濃度を求める時は市街可視分光光度計が使用されたり、物質の化学構造を調べる際は赤外分光光度計を用います。

また、環境分析を行うための窒素酸化物分析計(Nox計)やオゾン分析計、水質汚濁を分析するTOC計などもあります。

分析装置の原理

分析装置の原理は機種によって全く異なります。今回は分析装置の中でも頻繁に使われる高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の分析原理を紹介します。HPLCは「分析対象の液体をカラムに注入することで成分ごとに分離する」装置です。

カラムには固定相が充填されており、成分によって固定相との相互作用、吸着力が異なるためカラムに保持される時間が変わります。保持される時間が異なるため、成分ごとに溶出までに要する時間が異なる、すなわち別ピークとして分離して検出することができます。

液体クロマトグラフィーを構成する装置としてはサンプルをカラムの中に流すための液体(移動相)、移動相を流すためのポンプ、サンプルを注入するためのオートサンプラ(もしくは手動で注入するインジェクター)、カラム温度を一定に保つオーブン、検出器が挙げられます。ポンプによって一定の流量でカラムの中に注入されたサンプルはカラム中の固定相を通過し、各成分ごとに分離、分離された成分を検出器で検出します。検出されたピークの面積値や大きさの比から各成分の量を求めることができます。

放熱シート

放熱シート とは

放熱シート

放熱シートは熱を伝えやすい(熱伝導が良い)シートで熱伝導シートと呼ばれることもあります。

シートにはシリコーンやポリオレフィンなどの樹脂素材が使われていることが多く、金属フィラーと呼ばれる細かい金属粉を含有させることで熱伝導性を高めたものもあります。最近ではカーボンを使った、俗に言う炭素繊維系の放熱シートも増えています。

熱伝導性を保ちながら電気的には絶縁させたい時にはセラミックスフィラーと呼ばれる細かいセラミックス粉を含有させて電気絶縁性を持たせることもできます。

放熱シート の使用用途

放熱シートはパソコンや家電製品だけでなく分析装置など幅広い製品で使用されています。CPUなど発熱が大きい電子部品のほか、柔らかい特徴を活かし凹凸がある物体の温度上昇にも放熱シートは使われます。

放熱したい物体に直接貼り付けて放熱シートを介して空気中に放熱するだけでなく、放熱したい物質とヒートシンクと呼ばれるアルミやなど熱伝導率が良い金属放熱フィンの間に貼り付けることで対象物を効率的に冷却するために使用されることもあります。

放熱シート の原理

放熱を目的としたデバイスとしては放熱シート以外にヒートシンクやヒートパイプ、放熱ブロックなどがあり、これらのデバイスは主に金属製で放熱シートを上回る熱伝導率を持っています。しかし金属製で固いため放熱したい物体との密着性が悪く、その間に入る空気によって熱伝導が悪くなってしまうことがあります。

放熱シートは放熱したい物体との密着性を高めることができるためシート単体だけでなく、金属製の放熱デバイスと放熱したい物質の間にいれることで排熱の効率を高められます。

放熱シート以外に密着性を高めるものとしては放熱グリースがあります。放熱グリースは表面の細かい凹凸に密着するため空気層が入らないため熱伝導性が高く、金属フィラーなどが含有されたグリースでは熱伝導が更に上がります。しかしグリースは塗布した厚みのばらつきが大きく、熱伝導率のばらつきも生じます。それに対して放熱シートは貼るだけなので厚みのばらつきも生じず、熱伝導性も安定するという特徴があります。