接着剤

接着剤とは

接着剤

接着剤とは、物質と物質を接合させるために使用される材料です。

接着剤にはさまざまな種類があり、接合対象の素材や使用温度、硬化までの時間が異なるため、用途にあわせて選定します。また、接着剤が硬化する条件もさまざまです。

例えば温度や湿度の違いにより、硬化時間が大きく変わるものもあります。一般的に知られている一液性だけでなく、主剤と硬化剤を混合して硬化する二液性接着剤もあります。

接着剤の使用用途

接着剤の主な用途は、対象物同士を接合することです。用途や対象物にあった適切な接着剤の選択により、金属、プラスチック、木材、ガラス、陶磁器、石材、紙、布、革、ゴム、フォームなど、さまざまな種類の素材を接着できます。

一般的な用途としては、機械や自動車の製造、建設、電子機器の製造、航空宇宙産業、そして医療機器の製造が挙げられます。また、家庭でのDIYや修理作業、そして工芸品の製造にも広く使用可能です。

接着剤の原理

接着剤の原理として、機械的な相互作用、化学的な相互作用、物理的な相互作用などが挙げられます。

  • 機械的な相互作用
    材料表面の孔や谷間に接着剤が入り込み、そこで硬化し生じます。
  • 化学的な相互作用
    接着剤と接着対象物が原子同士でお互いの電子を共有する、すなわち共有結合を形成する化学反応により接合します。
  • 物理的な相互作用
    分子間力やファンデルワールス力と呼ばれ、接着剤と対象物が原子レベルで近づいた時に発生する分子間の引力により接合します。

接着剤はこれら3つの相互作用のいずれかまたは、複数を組合わせて機能を発現しています。対象物の表面にある汚れや油分などの不純物が接着を妨げることがあるため、接着する前に表面のクリーニングが必要です。

接着剤の種類

接着剤は組成や形状、硬化原理、用途によって分類できます。下記は、硬化原理によって分類したケースです。

1. 乾燥固化型接着剤

固体の接着剤成分を溶剤に溶解させた接着剤です。接着剤から溶剤が蒸発すると、接着剤が固化し、対象物同士を接着します。一般的に、乾燥固化接着剤は比較的安価で、簡単に使用できますが、有機溶剤を使用している場合、溶剤臭が強い欠点があります。

木工用ボンドも乾燥固化型の接着剤の1種です。これは酢酸ビニル樹脂が水系エマルションになったもので、溶剤が水であるため硬化には時間がかかりますが、臭気はほとんどなく、環境にも優しい利点があります。 

2. 反応硬化型接着剤

接着剤の容器から出して対象物に塗布、貼り合わせた状態で化学反応が進行して、接着剤が固まり接着強度が発現する接着剤です。二液混合硬化型のエポキシ接着剤、一液硬化型エポキシ接着剤、瞬間接着剤として知られているシアノアクリレート系接着剤などが挙げられます。

二液硬化型接着剤は主剤と硬化剤との混合により硬化反応が開始するため、保存安定性に優れます。一方で、熱硬化型やシアノアクリレートなどの湿気硬化型の接着剤は、夏場の暑さや吸湿などにより容器内で硬化反応が起こる可能性があるため、保管環境には注意が必要です。

3. 光硬化型接着剤

光硬化型接着剤は、光によって硬化する接着剤です。紫外線などの光照射により、反応性のラジカルやイオンが発生し、モノマーの重合が開始し、接着剤が固まります。化学反応によって硬化する意味では、反応硬化型接着剤とも言えます。

紫外線硬化型接着剤は、電子機器や光学機器などの微小な部品を接着するために使用されます。光硬化型接着剤の反応のトリガーになる光は、紫外線の他にも、可視光、電子線などです。

4. ホットメルト接着剤

ホットメルト型接着剤は、加熱によって溶融し、対象物同士を接着させた後、冷却により固まり接着を行います。この方式は、接着剤を塗布する時間や硬化時間が短いため、生産性が高い利点があります。また、溶剤を含まないため、環境に優しいとされています。

ホットメルト型接着剤は、接着剤の形状によって、棒状のスティック状、粒状、フィルム状などがあります。棒状のスティック状のホットメルト型接着剤は、一般的に低価格で、手軽に使用できます。一方、粒状やフィルム状のホットメルト型接着剤は、専用の機器を使用する必要があり、比較的高価ですが、接着の精度が高いです。

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