赤外分光光度計についての概要、用途、原理などをご説明します。また、赤外分光光度計のメーカー15社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。赤外分光光度計関連企業の2022年4月注目ランキングは1位:日本分光株式会社、2位:株式会社島津製作所、3位:アジレント・テクノロジー株式会社となっています。
赤外分光光度計(英語: Infrared Spectrophotometer、略称: IR)は、試料に赤外線を照射し、透過、反射した赤外線を検出することができる分析装置です。装置は主に光源、分光部、試料部、検出器などから構成されています。分散型と干渉型(フーリエ変換赤外分光光度計 FT-IR)があり、近年では干渉型が広く使われています。
赤外線の吸収は試料中の分子の振動や回転と関係しており、スペクトルを解析することで、分子構造に関する情報を得ることができます。特に分子構造を特定する目的で使用されたり、試料の定性分析や定量分析に使用されます。非破壊で簡便に測定を行うことができ、粉末試料や薄膜など様々な材料に対応することができます。
赤外線の吸収は分子の部分構造と関係していて、測定時に得られるスペクトルを解析することで、分子の官能基などの部分構造に関する情報を得ることができます。
赤外分光光度計により得られるスペクトルは物質に含まれる分子構造や濃度により形状が変わることから、物質の定性分析や定量分析に利用されています。局所的に赤外線を照射できる顕微赤外分光光度計では、微量試料の測定や材料中の異物分析の特定を行うことができます。
赤外分光法は可視光よりも長い波長を有する赤外線(2500~25000nm)を物質に照射して行う化学分析法の1つです。試料に赤外線を照射すると、分子の振動や回転などのエネルギー準位間の遷移に基づいた吸収が起こります。試料に吸収(もしくは反射された)分の赤外線は検出器まで到達しませんので、その分検出器で検出する赤外線量は減少します。この現象から試料ごとのスペクトルを得ることができます。これらのスペクトルには分子の持つ官能基が影響しており、吸収された赤外線の波数を調べることで、官能基の種類を判別することができます。
赤外分光光度計には、分散型と干渉型(フーリエ変換赤外分光光度計 FT-IR)があります。分散型では、分光器に回折格子を用いることで波数の異なる赤外線を生成します。干渉型では、干渉計を用いて干渉波を作り、これを試料に照射します。一度にすべての波数で測定できるので、短時間で簡単に測定できて、感度や分解能にも優れているので、今では赤外分光法の主流となっています。
先述の通り干渉型(FTIR)が用いられることが一般的となっています。
分散型と比較してFTIRのメリットとして以下4点が挙げられます。
多波長同時検出
FTIRでは移動鏡を動かすことでIRスペクトルを得ます。分散型のように回折格子を動かして多波長をスキャンする必要がなく、高速測定が可能です。測定対象の数が多い場合や、積算をおおくかけてノイズを低減させたい場合にFTIRを使う方が時間効率が圧倒的に良くなります。加えて多波長を同時に測定できるため、時間的な変動が少ないとうメリットがあります。(測定装置の温度ドリフトの低減)
SNRの向上
分散型ではスリットを用いますが、FTIRではスリットを用いず、ディテクタに到達するエネルギーが大きくなるため、SNRが向上します。
波数分解能が高い
FTIRでは移動鏡の移動距離を伸ばすことで波数分解能を簡単に上げることが可能です。当初はコンピュータ価格が高くあまり流行っていませんでしたが、近年のコンピュータ価格低下に伴って安価に構成可能です。
測定波数域の拡張が可能
光源、ビームスプリッター、ディテクタ、窓板の交換により、遠赤外から可視域まで波数域を拡張可能です。
赤外分光光度計、特にFTIRを用いて試料の分析を行う前には前処理が必要となります。
化合物同定を行う場合、ほとんどが透過法で分析します。
特に透過スペクトルを用いて分析する際には注意が必要です。透過法の場合は試料をKBrプレートに挟み込むか、粉末化してKBr錠剤にセットしてから透過した赤外光を分析します。測定試料が吸湿性を有する場合は、粉末化した試料と流動パラフィンを練り合わせ、ペースト上にしたものを窓いたに塗布して測定します。高分子化合物など薄膜上の試料は、赤外光が試料を透過するため、直接赤外光を照射し、測定することが可能です。
試料に応じた前処理が必要となる点に注意が必要です。
参考文献
https://www.kobelcokaken.co.jp/tech_library/pdf/no06/b.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shikizai1937/78/10/78_480/_pdf
http://www.jsir.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/1995.12VOL.5NO.2_4.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu/90/12/90_571/_pdf/-char/ja
https://www.jasco.co.jp/jpn/technique/internet-seminar/ftir/ftir2.html
https://co-labo-maker.com/equipment/733
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
企業の並び替え
2022年4月の注目ランキングベスト10
順位 | 会社名 | クリックシェア |
---|---|---|
1 | 日本分光株式会社 | 17.9% |
2 | 株式会社島津製作所 | 14.3% |
3 | アジレント・テクノロジー株式会社 | 11.4% |
4 | サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社 | 10.7% |
5 | 株式会社パーキンエルマージャパン | 8.6% |
6 | 株式会社池田理化 | 6.4% |
7 | 株式会社エス・テイ・ジャパン | 5.7% |
8 | 和研薬株式会社 | 5% |
9 | 株式会社システムズエンジニアリング | 4.3% |
10 | コーンズテクノロジー株式会社 | 3.6% |
注目ランキング導出方法について
注目ランキングは、2022年4月の赤外分光光度計ページ内でのクリックシェアを基に算出しています。クリックシェアは、対象期間内の全企業の総クリック数を各企業のクリック数で割った値を指します。社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
株式会社池田理科製のフーリエ変換赤外分光光度計 Frontierシリーズは、データベース技術によって窒素ガスや乾燥空気を使用せずに自動で大気補正できることが特徴です。
また、複数装置間での誤差を校正するため、絶対標準に高分解能メタンガスを設定し、この標準と比較すること波数ズレ誤差を絶対校正する機能を備えています。
プラグ&プレイアクセサリ方式なので、手間のかかる設定は不要で、アクセサリを装置本体に差し込むだけで、用途に合わせた最適な測定条件が設定される機能があります。
島津製作所製のフーリエ変換赤外分光光度計 IRAffinity-1Sは、汎用クラスでは最高レベルのS/N比 30,000 対 1以上と分解能を持つことが特徴です。
また、干渉計内に除湿機を内蔵した設計のため、定期的な除湿剤交換をせずとも、ビームスプリッタ(光学素子)が常に保護された状態を維持できます。
更に、分析ソフトウェア(LabSolutions IR)には、異物解析プログラム(登録済である500以上の代表的な異物データと照合可能)と確認試験プログラム(薬局法や各種公定法に基づき試料を判定する)が標準装備されています。
パーキンエレマー社製のフーリエ変換赤外分光光度計 Spectrum 3シリーズは、この1台で近赤外・中赤外・遠赤外の3つを領域の分析ができることが特徴です。
AVC技術(自動大気補正技術)により、レーザー光の光路状に存在する二酸化炭素や水蒸気が、試料の赤外スペクトルに与える影響を自動で補正する技術を搭載しています。
更に、AVI技術(絶対校正技術)による補正を行うことで、複数のFTIR間での測定誤差を0.02 cm^-1に抑えることが可能となった1台です。
システムズエンジニアリング製の近赤外分光光度計 NIRSCAN-MKIIは、小型・軽量で持ち運び可能なことが特徴です(重量 1.2 kg)。
特別な前処理が不要な上、約1.5秒の測定が終了と同時に、登録された15種類プラスチックの波形と照合し、分析結果を表示します。
測定波長範囲は1.25 μ m〜2.5 μ mであり、プラスチック類のリサイクルや分別における迅速かつ簡易なスクリーニング分析に役立つ1台です。また、植物や食品の分析にも適応可能です。
日本分光製のフーリエ変換赤外分光光度計 FT/IR-4000, 6000シリーズは、移動鏡にコーナーキューブミラーを採用することで、マイケルソン干渉計で問題となる外乱による影響を低減していることが特徴です。
また、最新のDPS制御技術を用いることで、アナログ制御と比較して、低速移動性能の向上と精密な移動鏡制御を達成しています。
更にオプションとして、水蒸気が問題となるような分析に対しては全真空タイプが選択できるため、希薄溶液測定や薄膜測定でも優れた分解能を発揮します。