ユニバーサルジョイント

ユニバーサルジョイントとは

ユニバーサルジョイント

ユニバーサルジョイント(英語:Universal joint)とは、2つの回転する軸や管などを接合する継手で、軸同士が同心(軸の長手方向の中心が同一であること)ではなく、角度があるような場合でも接合し自在に回転させることができる継手です。「自在継手」も同義語として用いられます。

ユニバーサルジョイントの規格は、JIS B1454 こま形自在軸継手 があります。

例えば、動力を伝達するドライブシャフトは、限定された設置スペースの中に設置されるため、軸同士が同芯に配置できない場合があります。ユニバーサルジョイントを使用することで、駆動軸と従動軸を連結することができます。

ユニバーサルジョイントの使用用途

ユニバーサルジョイントの使用用途は、構造や設置スペースの都合により、同心で2つの回転軸や管を接合できないような場面で使用されています。

使用例としては、自動車のプロペラシャフトとドライブシャフトや、ハンドルとステアリングシャフトとステアリングギアボックスなどに、ユニバーサルジョイントは使用されています。

また配管同士が同心ではなく、角度がある位置関係の場合は、ユニバーサルジョイント管継手を使用することがあります。

ユニバーサルジョイントの原理

ユニバーサルジョイントは、相互の軸中心が角度αで傾き、単一のユニバーサルジョイントで接合されて、軸1(駆動側)が一定角速度ω1で回転する場合は、軸2(従動側)は下記式で計算されるω2の角速度で回転します。(θ = 軸1の回転角度)

ω2=(COS α / (1-SIN2 θ x SIN2 α)) x ω1

単一のユニバーサルジョイントの軸1と軸2の間では、半回転ごとに増速と減速が繰り返され等速回転にはなりません。よって単一で使用する場合は、この不等速があまり重要でない用途のみに使用されています。

3つの軸の軸1・軸2・軸3を2つのユニバーサルジョイントで一列に同位相で配置すると、軸1と軸3の間でこの不等速が相殺され等速となります。

代表的なユニバーサルジョイントの種類としては下記があります。

1. カルダン型軸継手

2つの軸の片側端部を二股(U字型)にして,軸の二股部分に十字形にピンが配置された金具を入れた構造の継手です。

2. バーフィールド型軸継手

一つの軸に「アウターレース」、他方には「インナーレース」という部品が組み込まれ、両レースで接続さアウターレースの内側面およびインナーレースの外側面に、鋼球を配置するための溝が加工されています。

鋼球が移動することによって、相互の軸に角度があっても回転速度を伝達することができます。バーフィールド型軸継手は単一で使用した場合でも、軸1と軸2は等速で回転します。

ゆるみ止めナット

ゆるみ止めナットとは

ゆるみ止めナット

ゆるみ止めナット (英: Lock nut) とは、ゆるみを防ぐ機能や機構を備えたナットです。

一般的にロックナットとも呼ばれています。締め付けられたナットは、振動や衝撃・熱膨張などが原因で、ゆるみが発生することがあります。そのため、ねじのゆるみ防止方法は様々です。

例えば、ナットを2個重ねて使用するダブルナットや、ナットと被締め付け物の間にスプリングワッシャや歯付きワッシャを挟み込む方法、ねじ部に接着剤などを塗布する方法などなあります。これに対して、ゆるみ止めナットはナット1部品のみでゆるみを防止することが可能で、簡単に対策・施工ができる点がメリットです。

ゆるみ止めナットの使用用途

ゆるみ止めナット_図1

図1. ゆるみ止めナットの使用例

ゆるみ止めナットは、ボルト・ナットがゆるむことで損傷や事故を起こすような箇所で使用されています。具体的な例として、自動車や航空機、鉄道の車両・橋梁・建築物が挙げられます。ボルト・ナットのゆるみによる脱落で、損傷や事故が起こる可能性がある製品が大半です。

その他、公園の遊戯施設のブランコチェーン吊り軸部や、ジムのトレーニングマシンのフレーム固定部などにも使用されています。

ゆるみ止めナットの原理

ゆるみ止めナット_図2

図2. ねじによる締め付けとゆるみの原理

ボルト・ナットで被締め付け物を締め付けると、被締結物に圧縮力 (挟み込まれる力) 、ボルト軸部には被締結物から反発する引張力がかかります。この引張力によりボルト・ナットの座面 (被締め付けと接している面) と被締め付け物の間には摩擦力が発生し、ねじは固定されます。

この状態で下記の3つの摩擦力が働き相互に作用し合っています。

  • おねじとめねじ間の摩擦力
  • 被締結物間の摩擦力
  • ボルト・ナット座面と被締結物間の摩擦力

この摩擦力が何らかの原因で失われることを、「ねじがゆるむ」と言います。下記に例を示します。

  • ボルト・ナット座面、もしくは座面に接している被締結物表面の歪みや凹みにより摩擦力が低下
  • 振動で軸力が低下し、おねじとめねじの摩擦力が低下
  • おねじとめねじ間に油などの潤滑性物質が侵入し摩擦力が低下

ゆるみ止めナットの種類

ゆるみ止めナット_図3

図3. ゆるみ止めナットの種類

ゆるみ止めナットは、形状やゆるみ止め方法などにより、いくつか種類あります。それぞれに特徴と適した用途があるため、ゆるみの原因によって使い分けることが多説です。

ゆるみ止めナットの形状は、下記図4、5を参照してください。

ゆるみ止めナット_図4

図4. ゆるみ止めナットの種類と形状 (1)

ゆるみ止めナット_図5

図5. ゆるみ止めナットの種類と形状 (2)

ゆるみ止めナットのその他情報

1. くさびの原理の応用

ゆるみ止めナット_図6

図6.くさびの原理

前述したような「ねじのゆるみ」が発生しないように、ゆるみ止めナットはくさびの原理を応用しています。

2つのナット穴の中心軸を偏心させ、ナット同士は円錐状の凹凸はめ込み形状でナットを締め付けることにより、相互の円錐面にくさびの原理で大きな摩擦力を発生させ、ねじをゆるみにくくしています。製品例は「ハードロックナット」で、繰り返し使用することが可能です。

2. ねじ部との摩擦力の向上

ゆるみ止めナット_図7

図7. フリクションリングロックナットの原理

ナット上面に金属性のバネ効果のあるリングが取り付けられ、ボルトのオスねじ部に接触し摩擦力を高めることで、ゆるみ止め効果が発生します。一般的には、「フリクションリングロックナット」で、製品例は「Uナット」と呼ばれています。

フリクションリングロックナットは、耐熱・耐震性に優れています。また、ナット上面にナイロン製のリングが取り付けられ、締め付けることでナイロンリングとオスねじが接触し、その部分の摩擦力を高める、ゆるみ止め効果が発生します。

製品例として、「ナイロンインサートロックナット」があります。その他、座面の摩擦力を高めた緩み止めの「フランジナット」や、ナットとボルトを貫通するピンで固定し緩み止めの「溝付きナット」なども挙げられます。

参考文献
https://hardlock.co.jp/technical-info/why-hardlock/principle/
https://www.lockfastener.com/product/product_01/

回路設計ソフトウェア

回路設計ソフトウェアとは

回路設計ソフトウェア

回路設計ソフトウェアとは、集積回路、電子機器、電気回路などの設計作業を支援するソフトウェアです。

回路設計支援用のハードウェアと合わせて、EDA (Electronic Design Automation) とも呼ばれることもあります。従来は手作業で行われていた電子機器の設計を回路設計ソフトウェアを使ってある程度自動的に実施することで、開発のスピードを上げ、ミスのない安全な設計を実現します。

手動設計の時代には回路図を用いた設計が行われていましたが、回路設計ソフトウェアを用いた設計では、機能を設計専用の言語で記述してそれを回路に自動的に変換することで回路設計を行います。

回路設計ソフトウェアの使用用途

回路設計ソフトウェアは、電子・電気回路を設計・開発する分野では必ず使用されています。半導体メーカーでは、集積回路のパーツとなるデバイス設計、集積回路のシステム設計・アーキテクチャ設計、論理設計、回路設計、レイアウト設計および各段階におけるシミュレーションなど設計に関わる全ての段階で、回路設計ソフトウェアが使われます。

また、サーバ、IoT機器、医療機器、産業機器、通信機器などの分野でも、プリント基板の設計、基板上での電子部品配置・配線、機能テストなどで、回路設計ソフトウェアが有用です。

回路設計ソフトウェアの原理

回路設計ソフトウェアを用いた設計では、次のようなフローで回路設計を行います。

1. HDLを用いた設計

まず、必要とされる機能をVerilogなどのハードウェア記述言語 (HDL: Hardware Description Language) で表します。この部分は、通常、回路設計ソフトウェアではなく設計者の手作業で行われます。

HDLより上位のシステムレベルの設計言語から、自動的にHDLに変換してくれるシステムもありますが、その場合は、システムレベルの設計を手作業で行います。

2. 論理回路への変換

HDLによる設計が終わり、その設計が意図した通りの動作をすることをテストベンチで検証した後、回路設計ソフトウェアがHDLを論理合成して論理回路へと変換します。回路設計ソフトウェアは、既存デバイスの情報をライブラリとして持っていて、設計ルールに従ってライブラリの中から適切なデバイスを自動的に選択します。

3. シミュレーション

回路設計ソフトウェアは、論理合成してできた論理回路に対してシミュレーションを行い、HDL設計後のテストベンチ同様、要求される機能を満たしていることを検証します。この段階の検証では、ライブラリが持つデバイスのタイミング情報なども含んだ検証を行うため、信号の値が0か1かという単純な検証ではなく、信号の値が不定 (X) である状態も含めて機能検証が行われます。

4. レイアウト設計

論理回路が機能要求を満たすことを確認した後、決められたサイズのチップ上または基板上に効率よくデバイスを配置し、信号間を配線します。これ以降の段階は、回路設計ではなくレイアウト設計と呼ばれ、一般的には回路設計ソフトウェアに含まれません。

回路設計ソフトウェアのその他情報

ハードウェア記述言語の種類

回路設計に使用するハードウェア記述言語にはVerilogとVHDLの2種類があります。

1. Verilog
C言語やPascalと記法や構文が似ており、記述が他のHDLと比較して簡潔で初学者が学習しやすいと言われています。シミュレーション用の機能が豊富です。1995年にIEEE 1364として標準化されました。

2. VHDL
ALGOLやAdaと記法や構文が似ており、厳密なデータ型を用いるため初学者にとってとっつきにくい言語と言われています。機能が豊富で抽象度の高い記述が可能です。1987年にIEEE 1076として標準化されました。

HDLとソフトウェア用プログラミング言語とは、本質的な違いがあります。ソフトウェア用のプログラミングでは基本的には記載された順でシーケンシャルに処理が進みます。ソフトウェアでは単一のCPUで動作し、複数の処理を同時に並行して動作することを想定していないためです。

一方で、HDLで記述された回路は同時並行的に動作します。ハードウェアを構成する部品は入力信号を受け取ればいつでも動作可能のためです。

快削鋼

快削鋼とは

快削鋼とは、マシニングセンタ旋盤加工での切削加工において切削性を改善し、加工しやすくするため金属に硫黄や鉛、リン、マンガンなどを添加して作られた鋼材です。

切削性を良くすることにより、NC工作機械を用いての連続無人加工や高速加工に広く用いられ、部品制作の効率を上げるのに必要不可欠な材料となっています。

快削鋼はSUMと表記し、SUM21や22などの数字は、炭素の含有量を表しており、低炭素鋼か中炭素鋼によって数字が異なります。

快削鋼の使用用途

快削鋼は切削性が良く、連続的な高速加工が可能なため、大量に生産するボルトやナットの材料によく使われています。

自動車の分野においてはエンジンのクランクシャフトやコンロッド、油圧部品に使われており、プリンターのシャフト部分にも快削鋼が広く使われています。

また、身近なところではデジカメやDVDプレーヤー、テレビなどの家電製品の部品、空調機器やガス機器といった生活に欠かせない機器の部品にも、快削鋼が使われています。

快削鋼の原理

快削鋼には、炭素の含有量によって低炭素快削鋼から中炭素快削鋼に分けられ、特性が異なります。

低炭素快削鋼は、「SUM21〜SUM22」と表記され、炭素含有量が0.13%以下の快削鋼を表します。低炭素快削鋼は、強度よりも切削性に重点を置いているのが特徴で、強度をあまり必要としない部品に使われています。

中炭素快削鋼は、「SUM31〜SUM43」と表記され、低炭素快削鋼よりも強度が高く、鋼材の中でも広く使われている「S35C」や「SS400」「S45C」と同等の硬度があるのが特徴です。調質のために焼入れをしていて、添加されている硫黄が劣化を促進してしまうため、マンガンを多めに添加することで劣化を防止しています。

快削鋼に添加されている硫黄は、添加しすぎると人体に悪影響のため、0.16〜0.23%程度を少量加えており、硫黄の含有率が高くなると、靭性や圧延方向の延性が少し劣るといった特性があります。

高圧ホース

高圧ホースとは

高圧ホース

高圧ホース (英語:High pressure hose) とは、高圧力の液体や気体などの流体を送り流すためのホースのことです。

ホースとは、ゴム・ビニール・プラスチック・布などの柔らかい素材でできており、随時任意に曲げて利用する用途に使用される管を示します。高圧とは高圧力のことで、0.1MPa以上の圧力を「高圧」と定義され、高圧ガス保安法では0.2MPa以上が高圧と定義されています。

高圧ホースは、ホース内に流れる高い圧力の流体により、ホースの内側にかかる圧力でホースが破れ漏洩させないために有用です。

高圧ホースの使用用途

1. 高圧洗浄

高圧ホースは、建物や車両などの表面を効果的に洗浄するために使用されます。高圧の水流によって、汚れや塗装の剥離などを効率的に除去することができます。

2. 産業用機械

産業現場においては、高圧ホースを用いて機械や設備の清掃や保守作業が行われます。機械の内部や難しい箇所へのアクセスが必要な場合に活用されます。

3. 建設現場

建設現場においては、コンクリートの洗浄や道路の清掃などで高圧ホースが使用されます。硬化したコンクリートの除去や表面のクリーニングに有用です。

4. 農業

農業業界では、高圧ホースを用いて農機具や畜舎の清掃が行われます。衛生維持や農作業の効率化に寄与します。

5. 自動車整備

自動車修理業界では、エンジンや車体の洗浄、オイルやガソリンの供給に高圧ホースが利用されます。クリーニングやメンテナンス作業に不可欠です。

6. 石材加工

石材の切断や加工において、高圧ホースを用いて水を噴射することで摩擦熱を抑え、石材の劣化を防ぎながら加工が行われます。

7. 消防

一部の消防車両には高圧ホースが搭載され、火災の鎮火や散水作業に使用されます。高圧の水流による威力を利用して、火災の拡大を防ぎます。

高圧ホースの原理

1. 層状構造

高圧ホースは、内部の流体が漏れ出さないようにするために、複数の層からなる構造を持っています。内層は流体の伝達を担当し、その外側には強化層が配置され、これにより内圧に耐えホースが破裂することを防ぎます。

2. 補強材の配置

高圧ホースの強化層には、鋼線や繊維編み込みなどの補強材が使用されます。これらの補強材はホースの強度を高め、内圧に対する耐性を向上が可能です。補強材の配置パターンや密度によって、ホースの特性が調整されます。

3. 流体の伝達

高圧ホース内部では、液体や気体などの流体が高い圧力で送られます。ホースの内層は耐腐食性や耐摩耗性を持ち、流体の伝達をスムーズに行う役割を果たします。

高圧ホースの種類

1. ワイヤーブレードホース

このタイプの高圧ホースは、鋼線で強化された構造を持ち、極めて高い耐圧性を持っています。主に建設機械や油圧システムで使用され、重い荷物や高い油圧を扱う際に信頼性を提供します。

2. スパイラルホース

スパイラルホースは螺旋状に配置された補強材を持ち、内部の圧力に対して優れた耐久性を発揮します。農業機械や産業機械などで広く使用され、高い可動性と耐摩耗性が特徴です。

3. PTFEホース

ポリテトラフルオロエチレン (PTFE) 製の高圧ホースは、耐化学性や高温耐性に優れています。薬品や腐食性物質の転送に使用されることが多く、製薬や化学産業で重要な役割を果たしています。

4. エアレスペイントホース

塗料やコーティングの供給に使用される高圧ホースで、均一な塗布を実現します。内部の流体の密封性が重要であり、高粘度の材料を効果的に供給するための特別な構造を持っています。

5. 高温ホース

高温環境下での使用に適した高圧ホースは、高温耐性の素材を使用しています。蒸気や高温液体の伝達に用いられ、安全性と信頼性が求められます。

高圧ホースのその他情報

材料の選定

高圧ホースは、耐圧性が求められるため、強靭な材料で作られます。通常は合成ゴムや高強度の繊維素材が使用され、これによりホースが内部の高圧に対して耐久性を持つことができます。

高圧ホース継手

高圧ホース継手とは

高圧ホース継手

高圧ホース継手(英語:High pressure hose fitting)とは、高圧ホースを接続するためのホース端部の部品(口金具)を示します。

高圧ホース継手は、一般のホース継手と同様に用途に合わせて種類があります。

接続方法により、ねじ込み形・フランジ形・カプラー式・ワンタッチ式・溶接式などあり、ホースのサイズ(外径)や流体の圧力に対するシール性(漏洩性)により選定されます。特に高圧ホースの場合は、高圧力の流体が漏洩することは危険であり、シール性の高い接続方法を用いる必要があります。したがって、管用テーパーネジのねじ込み形や、さらに高圧力に対してはフランジ形などを使用します。

ねじ込み形のねじは、各種規格により規定されており代表的な例としては、JIS B0203 管用テーパねじ、ASME B1.20.1 Pipe Threads, General Purpose, Inchがあります。

またフランジ形も、各種規格があり代表的な例として、JIS B2220 鋼製管フランジ、ASME/ANSI B16.5 Pipe Flange and Flanged Fittings などがあります。

高圧ホース継手の使用用途

高圧ホース継手の使用用途は、ホース同士の接続やホースと配管や装置などとの接続に使用します。

高圧力流体用のため産業用用途が多く、高圧・高温や漏洩することで危険な流体(蒸気・薬品・ガスなど)に使用する高圧ホース継手の場合は、ねじ込み形やフランジ形が多く使用されています。

多少の漏洩は危険ではなく問題のない空気用に使用する場合は、カプラー式やワンタッチ式が使用されることがあり、接続・取り外しが容易で作業性が良くなります。

また、使用流体の種類や使用環境によって、最適な高圧ホース継手の材質を選定する必要があります。特に、耐圧・耐熱・耐腐食性を考慮して選定します。

高圧ホース継手の原理

高圧ホース継手の原理は、一般のホース継手と同じで、接続する継手同士を密着させることで密閉し接続しています。
ねじ込み形の場合は、テーパ状に加工されたオスねじとメスねじを密着させ密閉します。深くねじ込むことで徐々に密着が強まりより高い密閉性が得られます。

フランジ形の場合は、フランジの接合面同士を密着させ密閉させます。フランジ間にガスケットを挟み込みフランジより密着性を高めることが一般的な使用方法になります。フランジ同士はボルト・ナットで締め付け密着力を高め維持します。この場合に、ボルト・ナットは均等に締め付ける必要があり、締め付けが不均等の場合は、漏洩することがあります。

そのため、ボルト・ナットを並びの順番に締め付けるのではなく、対角に締め付けていく方法が一般的です。また、ガスケット材質やボルト・ナットの規定トルク値で締め付けることが重要で、必要な締め付けトルク値まで対角の順番に、徐々に締め付けトルクを強めて締め付けていきます。

また、高温流体用のねじ込み形・フランジ型の場合は、実際に高温流体を流した後に、熱膨張によりねじ部の締め付けが緩むことがあります。その場合は、ねじ込み形はねじ込み部、フランジ形はボルト・ナットを増し締めする必要があります。

耐熱鋼

耐熱鋼とは

耐熱鋼

耐熱鋼(SUH=Steel Use Heat)とは、高温にさらされている環境において耐酸化や腐食、強度を保つために使用される合金鋼の種類です。

クロムニッケルタングステン、或いはコバルトといった元素を含んでおり、組織の違いによって「オーステナイト系」「マルテンサイト系」「フェライト系」「析出硬化系」の4つに分けられます。

また、耐熱鋼には鋼材だけでなく、クロムを含有したステンレス鋼(SUS)も含まれています。

耐熱鋼の使用用途

耐熱鋼は、高温下においても強度を保つ特性があるため、主にエンジンのバルブやタービンのブレード、加熱炉、バーナーなど常に高温にさらされている環境にある部品に使用されています。

他、摩擦熱に耐えるため自動車やオートバイのディスクブレーキに使われたり、ローターシャフトやボルト、ベアリングといった自動車の製造に欠かせない構成部品において幅広く使用されています。

クロムやニッケルの含有量によって用途や特性は異なります。

耐熱鋼の特徴

耐熱鋼にはオーステナイト系、マルテンサイト系、フェライト系、析出硬化系の4種類で組織が構成されていて、それぞれ用途や特性が異なります。

オーステナイト系は、クロム鋼にニッケルを加えた組織で、温度が常温になっても組織の構造を維持し、耐食性に優れているのが特徴です。家庭用品から建築、LNGタンクや原子力設備等に使用されています。

マルテンサイト系は、オーステナイトを急激に冷やすことで得られる組織で、硬くて脆いのが特徴です。摩耗に強いため、ベアリングの軸受け部分や刃物に使われています。

フェライト系は、ニッケルを含まないため安価なのが特徴ですが、オーステナイト系と比べ耐食性や強度が劣るデメリットがあります。耐食性をさほど必要としない屋内の厨房機器などに使用されています。

析出硬化系は、強度を保ちながらも低温で熱処理するため歪みが少なく、熱処理後に起因する焼き割れといった経年劣化が起こりにくいのが特徴です。

搬送システム

搬送システムとは

搬送システム

搬送システムは、商品や部品などを自動で移送するシステムです。人の手で移動するのが難しい重量物の搬送、搬送物が大量にある現場や搬送導線が複雑な現場での搬送などで効果を発揮します。

搬送システムには、ベルト式やチェーン式の搬送コンベア、天井搬送システム、昇降装置など、さまざまな形態の機器があります。さらに、搬送ロボット無人搬送車(AGV)、ピッキング装置などを組み合わせることで搬送の自動化を進め、省力化・省人化によるコストダウンや搬送作業の効率化・品質向上を実現できます。

搬送システムの使用用途

搬送システムは、製造業や物流業界などで幅広く使われています。

物流業界では、倉庫に保管されている商品を出荷する現場で使われます。自動倉庫システム、仕分け装置、ピッキング装置などの周辺装置を組み合わせ、商品の特性や倉庫の環境などに合わせたシステムを実現しています。

製造業では、工場の工程間の部品、中間製品などの搬送、倉庫内での最終製品の物流などに使用されます。特に、自動車産業では、ボディやタイヤなどの大型パーツや製造中の中間製品の搬送に欠かせないシステムです。

搬送システムの特徴

搬送コンベアは、ベルトやチェーンがモーターによってゆっくり回転することでベルト上の荷物を搬送するタイプが主流です。

ベルトの材質は、ポリウレタンやテフロンなどの樹脂が使われることが多く、皮、織布、ゴム、スチールなども使われます。搬送ベルトには、搬送する荷物に応じて耐油性、耐熱性、帯電防止性などの性質が要求されます。

ベルトの形状は、搬送する荷物が砂、セメント、穀物、製造中の食品などバラで搬送する場合は平ベルトやメッシュベルトが使用され、箱や袋などパッケージされた状態で搬送する荷物の場合は、表面に凹凸のあるラフトップベルトやローラーベルトが使用されます。また、コンベアの傾斜角度がある場合は、搬送物が下方へ滑り落ちないよう、ヒレ付のベルトが使われます。

天井搬送システムは、天井に設置したレールを自動走行する搬送機器が、目標ポイントで上下に移動して荷物を搬送するシステムです。工場の空間を有効活用できるため、製造現場の部品・製品の搬送に使われます。

摩耗試験機

摩耗試験機とは

摩耗試験機

摩耗試験機とは、主に金属材料に対する試験機の一種です。

一定期間に試験片を相手材を押し付けながら相対運動を与え、その時の摩耗特性を測定します。なお、摩耗試験には金属以外にプラスチックや衣料品に使われる布地等の耐摩耗性を評価する場合もありますが、ここでは広く用いられる金属材料の摩耗試験機について説明します。

金属材料の試験の中でも引張試験や曲げ試験などは、付加する荷重の大きさによって物理的特性・機械的特性が決定するのに対し、摩耗試験では試験片に摩擦力を加えるための相手材の形状や荷重の与え方、試験環境によって異なる特性が出現することが大きな違いです。そのため、摩耗試験機には、相手材を直線上で往復運動させるものや回転させるものなど、さまざまな種類の装置があります。

また、ウェット・ドライ条件や温度など、実際の使用状態に近い環境を設定することができる装置もあります。摩擦試験はトライボロジー領域で扱われる試験です。トライボロジーとは、摩耗や摩擦、焼き付きなど相対運動しながら互いに影響を及ぼしあう2つの表面の間に起こる全ての現象を対象とする科学と技術のことを指します。

摩耗試験機の使用用途

摩耗試験機は産業機器、建設機器、医療機器、自動車、架線、レールなど摩耗を伴う製品の開発において使用されます。また、摩耗が関与した市場不具合の原因究明として、摩耗試験機による検証が行われることもあります。

工業製品の使用による摩耗現象は、非常に長期間によって生ずる場合がほとんどです。製品開発や市場不具合の検証の場合でも、製品が実際に使用される時間をかけて実験することは現実的ではありません。

そこで、荷重や摺動回数などを大きくして、実際よりも早期に摩耗を生じさせる加速試験として行われるケースが多いです。部品や製品が要求される耐摩耗性を満足することを評価するための試験だけでなく、部品、メッキ、潤滑材などの材料を選定するための試験など、摩耗試験機はさまざまな目的で使用されます。 

摩耗試験機の原理

摩耗試験機にはいくつかの種類がありますが、いずれも2つの部材を接触させて荷重を負荷し、相対運動を与えます。試験条件として潤滑油を塗布したり、温度環境を設定することも大切です。

摩耗試験機では一定時間の試験を行い、試験片の摩耗量や試験時の摩擦係数などが計測されます。

摩耗試験機の特徴

摩耗は、物体同士が擦れ合って生じる摩擦によって摩擦面の一部が劣化する現象です。摩耗試験機は、摩擦現象をそれぞれの状況に応じて再現して、摩耗のメカニズムや特性を明確にし、摩耗が発生した場合の影響などを把握します。

摩耗試験は試験方法に大きく依存することから、規格として統一された試験方法は、摩擦試験を必要とする分野の広さに比べ、多くありません。また、摩耗試験は通常、実際に使われる条件で実施するため、摩耗試験機は他の材料試験機より種類が多いという特徴があります。

摩擦試験機のその他情報

摩擦試験の種類

摩耗試験機で実施する摩耗試験の主な種類は、以下の通りです。評価する特性として、静止摩擦係数、動摩擦係数、摩擦係数の経時変化、摩耗量、材料を変えた時の耐摩耗性の比較などが挙げられます。

  • ピンオンディスク試験
    回転する平板試験片 (ディスク) の表面にピンを押し当てる摩耗試験です。
  • ボールオンディスク試験
    回転するディスク試験片の表面にボール試験片を接触させます。平面とボールが接触するため摩擦面積が小さく、安定した接触を保持できるという長所があります。
  • リングオンディスク試験
    リング状の試験片とディスク試験片の組合せによる摩耗試験です。
  • ピンオンプレート試験
    プレート試験片にピンを押し当て、プレートを水平方向に往復摺動させます。
  • ボールオンプレート試験
    プレート試験片にボール試験片を押し当て、プレートを水平方向に往復摺動させます。

材料試験機には、これらの試験のうち1種類のみ可能なものから複数の試験が実施できるものまで、さまざまな種類があります。

銘板

銘板とは

銘板

銘板(読み:めいばん、英語:Name plate)とは、会社名・製品名・製造番号などを金属板に彫り込み、凹凸処理などを施し、文字を記述した板を示します。装置の名称や仕様や管理番号などを記述し製品に貼り付け、製品の概要を目視で認識し管理するために使用します。一般的に「名板」「ネームプレート」も同義語として用いられます。

国内では、日本産業規格 「JIS Z 8304 銘板の設計基準」 にて、機械器具類に取り付ける銘板の設計基準が定められています。この規格では、銘板は「金属,プラスチックまたは紙を素材とし,必要な事項を容易に消えない方法で表示したもの」と定義されています。

また、日本電機工業会(JEMA)では、「JEM 1172 配電盤・制御盤取付用銘板」 として、配電盤制御盤の表面に取り付ける樹脂または金属製の名称銘板および用途銘板について規定されています。

銘板のサンプル

図1. 銘板のサンプル

銘板の使用用途

銘板の用途は、製品の製造メーカーが製品情報を製品に銘板として貼り付けることで、使用するユーザーにとっては設備管理における製品の識別認識票になります。したがって、あらゆる産業用、工業用や家電製品などのあらゆる製品に銘板は使用されています。

例えば、産業用の装置や機械には、製造会社名、装置機器名称、型式、製造番号、製造日などを彫り込み、彫り込んだ文字部分を黒色に染めた金属板の「エッチング銘板」などが貼り付けられています。ビルディングなどの建築構造物にはビルディングの名称、完成日を、また橋梁などの土木建築建造物・構造物には橋梁の名称、河川名、完成日などの文字を凹凸で表した金属板の 「鋳造銘板」 などが貼り付けられています。自動車のエンジンルームにも、車両型式、車体番号など記述された銘板が貼り付けられています。

また制御装置などには、アクリル板に装置名、操作名称などを彫り込んだ板の 「アクリル銘板」 などを貼り付けることも多くあります。

銘板の特徴

銘板は、板の材質や文字の表示や製作方法によりいくつかの種類があります。

板の素材としては、金属、樹脂、紙などの材質が使用されています。銘板の使用環境や製作方法などを考慮して、素材を選定します。例えば、屋外で風雨や直射日光にさらされ高温や低温の環境にあるような場合の多くは、金属板が使用されています。屋内や温度も一定で特に高温や低温ではない場合は、アクリル板などが使用されています。紙などに名称や番号を記したものを、制御装置の端子台などに挟み込んで使用する場合もあります。

文字の表示や製作方法は板の素材により変わってきます。
金属板の場合の代表的な例として 「エッチング銘板」 があり、ステンレス、アルミニウム、真鍮、などの金属板の表面を薬品処理することによって腐食(エッチング)させ、そこにできた凹部に塗料を入れて、文字や線、図柄を表現する方法で製作されます。

また他の例としては 「鋳造銘板」 があり、木型や砂型で文字を記した型を製作し、その中に高温で溶かした金属を流し込み、冷却して固めて作るものがあります。アクリル板(または各種樹脂など)に文字などを彫り込み凹凸で表現している「アクリル銘板」 などがあります。