インパクトレンチ

インパクトレンチとは

インパクトレンチ

画像出典元: Amazon

インパクトレンチとは、電気や圧縮空気によって六角ボルトを締めるレンチです。

インパクトレンチのインパクトとは、内部に備えられたハンマー機構が、衝撃 (インパクト) を加えるところからきています。ここでは電動のインパクトレンチについて紹介しています。

インパクトレンチの使用用途

インパクトレンチは、生産現場で使用されることが主流です。人力のレンチと違って高速で作業を進めることができるため、六角ボルトを多数用いる工場や建築現場やタイヤ交換など自動車整備工場で使用されることが多いです。

DIY人気に伴い、一般家庭でも使用され、ホームセンターや通販などでも手軽に手に入るようになっています。

インパクトレンチの原理

まず電気でモーターを回転させ、その力で内蔵されたハンマーを回転させ、回転方向に与えた衝撃 (インパクト) により、軸の先端に接続されたソケットなどが回転し、早く強くボルトやナットを締めたり緩めたりすることができます。インパクトレンチの主な部位は、動力部分と駆動部分、ソケット部分です。

1. 動力部分

動力部分は、インパクトレンチの原動力となる部分です。主にモーターが使用され、バッテリー駆動のレンチは直流モーター、コンセントタイプの場合は交流モーターが使用されます。

2. 駆動部分

駆動部分は、ばねや円筒状の溝を切った金属等でできていて、回転時に過大なトルクが掛かると溝が外れ、動力部分のみが空回りするような仕組みです。これにより、トルクを制限するとともに動力の過負荷を保護します。

3. ソケット部分

ソケット部分は着脱可能となっており、複数のボルトの大きさに対応できるようになっているのがインパクトレンチの特長です。製品によってはボルトのみでなく、ソケットを取り換えることでインパクトドライバー等として使用できる場合もあります。

インパクトレンチの種類

1. 電源の違い

インパクトレンチの電源の違いは、大きく分けて充電式とAC電源式の2種類です。

充電式インパクトレンチはバッテリーを使用するのでケーブルがなく、取り回しを重視する現場に向いています。バッテリーの分の重量は重めのものが多いですが、機動性の良さから多くの人に好まれているのがバッテリー式です。

バッテリーの電圧は、10.8V・14.4V・18V・36Vのものが主流で、10.8V・14.4Vといった電圧が低いものは軽量で、女性にもおすすめですが、相対的に締めつけたり緩めたりするパワーは弱くなります。18V・36Vといった電圧が高いものは、ボルトを締めつけたり緩めたりするパワーも強くなる反面、重量は重くなります。

AC電源式は、充電式に比べてバッテリーがない分、軽量です。また同じ性能の機種でもAC電源式の方が安価なものが多いです。ボルトを多く締め付ける状況などでは、バッテリー切れを気にすることもなく長い時間作業が継続できます。コンセントが近くにある場合や、あまり移動せずに作業する場合は、AC電源式の特性を活かせるといえます。

2. トルクの違い

トルクとはボルトやナットを締めつけたり緩めたりする時に回すパワーの事です。どれくらいまで締めつけできるかをトルクN・m (ニュートン・メートル) で表示しています。

作業する対象に対して、トルクが低いとモーターに負担がかかり、故障の原因になりかねません。一方でトルクが高すぎる状態で使用するとボルトやナットが破損してしまう可能性もあります。使用する状況を十分考慮して選ぶのが重要です。

3. 角ドライブのサイズの違い

インパクトレンチに取り付ける角ドライブには、メーカーごとに統一された規格があり、6.3sq、9.5sq、12.7sq、19.0sq、25.4sqの5種類です。互換性はなく、それぞれの角ドライブのサイズにあったソケットを揃える必要があります。

ちなみにソケットを取り付けるための角ドライブのサイズが大きくなるに伴い、大きなサイズのボルトを締めたり緩めたりできるようになります。

インパクトレンチのその他情報

エアインパクトレンチ

コンプレッサーから送られる圧縮空気で駆動するエアインパクトレンチもあります。充電式やAC電源式の電動インパクトレンチに比べて、パワーがあるのに小型なのが特徴ですが、エアコンプレッサーが必要になるため、工場など、あまり移動しない場所での使用が多いです。

参考文献
https://www.bildy.jp/mag/impactwrench-guide/
https://electrictoolboy.com/media/12908/

エアーポンプ

エアーポンプとは

エアーポンプとは、一方から空気を吸い込み、他方から空気を吐出する機器です。

エアーポンプにはモータ式やボイスコイルモータ (電磁) 式、圧電 (ピエゾ) 式などがあります。いずれも空気の吸入と吐出を切り分ける弁が用いられ、駆動限 (モータやピエゾ) でダイヤフラムと呼ばれる膜を往復運動させて空気の吸入と吐出が繰り返されます。

エアーポンプは作動音が大きいことがネックでした。しかし最近はサイレンサー機能によって作動音が気にならない製品も増えています。

エアーポンプの使用用途

エアーポンプは浄化槽のばっ気や医療機器、泡風呂や各種産業機器などの幅広い分野や製品で使用されています。

最も身近なエアーポンプは水槽の濾過装置に搭載されたタイプです。水槽内の水をエアーポンプで吸引し、濾過器内を循環させ、各種バクテリアやフィルターの力で汚れた水を清潔な状態へ精製します。精製された水はエアーポンプによって再び水槽内へと吐出され、これを繰り返すことで常に水槽の水を清潔な状態に保てます。

エアーポンプの原理

代表的なエアーポンプの動作原理を解説します。

1. モータ式ダイヤフラムエアーポンプ

エアーポンプ筐体内にはダイヤフラム、モータ、弁、空気が存在しています。モータの回転がダイヤフラムの運動に変わり、ダイヤフラムの上下運動で筐体内の水が膨張と収縮を繰り返します。

膨張する際には空気を吸引し、収縮する際に空気を吐出可能です。筐体内には弁があるため、空気は一方向にしか流れず、逆流を防ぎます。吸引・吐出される空気の量はモータの回転数やダイヤフラムの運動量によって決まります。

2. 圧電式 (ピエゾ式) ダイヤフラムエアーポンプ

エアーポンプ筐体内には圧電素子とダイヤフラム、空気と弁が存在しています。圧電素子の振動によってダイヤフラムが運動し、筐体内の容積変動を生み出して空気の吸入・吐出が起こります。通常、圧電素子の振動は微少であり、ダイヤフラムが大きな運動をできず、空気の流量は小さくなる場合が多いです。

3. 電磁式エアーポンプ

電磁式のエアーポンプには磁石やコイルが使用されています。アクアリウム業界では磁石やコイルを用いた電磁式のエアーポンプが多いです。

コイルに交流電流が流れると周囲の磁界が変わって高速で電磁石のNとSが入れ替わり、磁石が反発したり引き合ったりを繰り返します。高速で磁石が動く力を利用してポンプを動かし、空気を送り込んでいます。

エアーポンプの種類

エアーポンプには淡水用や海水用のほか、淡水・海水両用の3タイプがあります。最近のエアーポンプは両用タイプが主流で、製品説明欄に明記されていない場合には淡水と海水のどちらでも使用可能です。さらに水中型、陸上型、水陸両用型の3タイプがあります。水中型は水中に沈めて使い、陸上型は水槽の外に設置します。

エアーポンプの多くは屋内用です。屋内用は雨風や直射日光が当たらない場所を想定して製造されているため、屋内用を屋外で使うと雨や日光の影響だけでなく、チリやホコリを吸い込んで故障しやすいです。その一方で家の外に設置した水槽や庭の池で使える屋外用があり、繁殖池や浄化槽で使用可能なタイプもあります。

エアーポンプの選び方

エアーフィルターとの違いはろ過機能の有無です。エアーポンプは水槽に水流を作り、空気を行き渡らせて水の腐敗を抑制しますが、水中の糞やゴミは取り除けません。それに対してエアーフィルターは水中のゴミの除去が主な役割です。

エアーフィルターには水槽内に水流を起こして空気を送り込めるタイプもありますが、空気を送る能力はエアーポンプの方が一般的に優れています。水槽1つだけで魚を複数飼育するためには十分な酸素が必要です。クリーンな水質を保ちながら酸素を供給するためにエアーフィルターとエアーポンプの併用が最適です。

エアーポンプによって吐出量や耐久性、静音性などは違うため、用途や予算に合わせて選択する必要があります。

参考文献
https://www.murata.com/ja-jp/products/mechatronics/fluid/library/basics
https://www.fine-yasunaga.co.jp/y-ap/product/airpump/faq.html

エンプラ

エンプラとは

エンプラ

エンプラとはエンジニアリングプラスチックの略語であり、日用品などに使用されるプラスチックよりも高性能なプラスチックを示します。

プラスチックが開発された当初、産業装置や生産品部材、工具類などは一定の強度や耐熱が求められており、プラスチック類では難しく金属が使用されていました。

しかし高度経済成長期に入りますと、軽くて加工が容易な素材が求められるようになり、その中でさまざまな機能を持つエンプラが開発されていきました。

エンプラの使用用途

エンプラは各産業界での製品素材として現代でも大活躍しています。

自動車業界ではヘッドライトや内部のプラスチック部分、シリンダ、ギア、コネクタなど、一般機械ではファン、インペラ、油圧用チューブ、電機業界では各種ケーブル、被覆材、ソケット、ロータリースイッチ部品など、その応用範囲は多岐にわたります。

共通するのは消耗が激しい箇所に使用され、各種強度や耐熱性が普通のプラスチックよりも求められている点です。

エンプラの特徴

エンプラの特徴は一般的なプラスチックよりも高い強度と耐熱性が挙げられます。

どのような機能を発現すればエンプラになるかの定義は存在しませんが、40MPa以上の引張強度、100℃以上の熱に
耐えることができるという基準を一応は持っています。

エンプラにはポリカーボネート、ポリアミド、ポリアセタールポリブチレンテレフタレートなどがあります。

エンプラと比較し高強度、高耐熱になったスーパーエンジニアリングプラスチック、通称スーパーエンプラと呼ばれるプラスチックが
あります。

エンプラ同様に明確な定義は存在しませんが、かねがね耐熱温度が150℃以上のプラスチックを指します。

強度と耐熱が上がったため、より消耗の激しい箇所へ応用されており、外から目に見える部分よりも、装置内部など日々ダメージを
蓄積していく部品の素材として使用されることが多いです。

エンプラは種類も多く、どれにも一長一短があります。ただどれも高価であるという特徴がありますので、製品設計時にエンプラを
使用するほどの強度を必要とするのか、考える必要があります。”\

参考文献
https://www.nagaseplastics.co.jp/info/plastic/enpla
https://www.kda1969.com/study/study_pla_detail2.htm

ガラス

ガラスとは

ガラスとは、主成分がケイ素の酸化物からなる無色透明の固体の無機化合物です。

組成の大部分はケイ素 (Si) と酸素 (O) でできており、分子式はSiO2ですが、他の元素も多く含まれており、これによりさまざまな特徴のあるガラスが作られています。

ガラスの使用用途

ガラスは、その透明性や耐久性などの特性から、多様な用途に使用されています。

1. 建築分野

建築分野では、窓ガラスや壁面ガラス、外装ガラスなどに利用されます。高い透明性と耐久性を持つガラスは、外観の美しさや光の取り込みを実現するために欠かせない素材となっています。

2. 車両分野

車両分野では、車窓ガラスやヘッドライトのレンズ、ミラーガラス、計器盤カバーガラスなどに使用されます。自動車の安全性に欠かせない素材であり、特にフロントガラスは、高い強度や耐衝撃性が求められます。

3. 家庭用品・調理器具

家庭用品や調理器具などの分野でも、ガラスは重要な素材として使用されます。食器や飲料容器、テレビやスマートフォンのディスプレイ、電球など、日常生活に欠かせない製品に利用されます。

4. その他

その他にも、医療機器や科学実験器具、工業製品の部品など、多種多様な分野でガラスが利用されています。高い透明性や耐久性を持つガラスは、様々な製品や装置の素材として不可欠な存在となっています。

ガラスの性質

1. 透明性

透明度が高く、光を通しやすい ガラスは一般的に透明度が高く、光をよく通します。また、色や濁りを持たない透明なガラスを製造できます。この性質から、建築用途や食器、化粧品容器などに広く利用されています。

2. 熱膨張率

熱膨張率が大きく、急激な温度変化に弱い ガラスは熱膨張率が大きく、急激な温度変化に弱いため、急激な冷却や加熱によって破損しやすいです。加熱や冷却を行う際には、注意が必要です。

3. 機械的強度

強度は低く、衝撃に対しては弱い ガラスは比較的強度が低く、衝撃に対しては弱いです。このため、ガラス製品には割れたり破損したりする危険があります。また、ガラス製品を取り扱う際には、十分な注意が必要です。

4. 電気絶縁性

電気を通さない、絶縁体である ガラスは電気を通さないため、絶縁体として利用されます。例えば、ガラス繊維製品は、電気配線で絶縁材として利用されます。

5. 化学的安定性

耐食性が低く、化学薬品による変質があります。このため、化学実験などでは、適切なガラスの種類を選択する必要があります。

6. 加工性

比較的容易に成形可能で、さまざまな形状に加工できます。このため、建築用途や自動車、家電製品、医療機器、食器、照明器具など、幅広い分野で利用されています。

ガラスの種類

ガラスは、ケイ素と酸素以外のあらゆる微量成分を含有させることができます。微量成分によりガラスの性質を変えられるため、耐熱ガラスや強化ガラスなどを作り出すことも可能です。

1. 石英ガラス (SiO2)

高い耐熱性、化学的安定性、透明度が高いガラスです。光学、半導体、医療などに利用されます。

2. ソーダ石灰ガラス (Na2O-CaO-SiO2)

安価で一般的、融点が低く容易に成形できます。建築用途、瓶、容器、食器、自動車、電子部品などに利用されます。

3. ボロシリケートガラス (B2O3-SiO2)

耐熱性、耐衝撃性、化学的安定性に優れ、熱膨張率が低いガラスです。化学・生命科学分野、分析・検査用具、食器、化粧品容器、照明器具などに利用されています。

4. リン酸ガラス (P2O5-SiO2)

耐熱性、耐酸性に優れ、光学的特性が良好です。化学、医療、電子部品、LED素子、発光ダイオードなどに利用されます。

ガラスのその他情報

1. ガラスの製造上における特徴

ガラスがここまで幅広く普及した要因の1つに、製造上における特徴があります。

大量生産性
ガラスは原料を溶融、冷却するだけで結晶構造が均一になり、高品質なものを大量に得やすいです。精製が簡単であり、材料も手に入りやすいため、大量生産に向いています。

成形後の加工性
ガラスは成形後に、研削や研磨、結晶化など変質させることができます。例えば、精製後に窓枠の形に合わせて削ることが容易に実行できるため、扱いやすいです。

変形性
ガラスは成形後、常温の範囲内であれば永久に変形しません。私たちの生活範囲の温度変化ではその性質が全く変わらないため、直射日光が強くあたる窓などに採用しても問題なく使用可能です。

一方で、割れやすい特徴もありますが、強化ガラスの登場などで、ある程度の衝撃であれば耐えられるような製品が多く販売されています。

2. ガラスの製造方法

ガラスの製造方法には、ガラス原料を高温の炉で溶かして成形する溶融法、ガラス原料を気相にして凝固させる気相法、テトラエトキシシランなどの液体の前駆体からゾルを作り、焼結してガラスを作り出すゾルゲル法があります。下記では、最も一般的な溶融法について解説します。

原料の準備
ガラスは、シリカや石灰岩などの原料を混ぜ合わせ、適切な割合で配合します。また、ガラスに特定の色を付ける場合は、金属酸化物などの着色剤を加えます。

溶融
ガラス原料を高温の炉で溶かし、液体状態にします。

成形
溶融したガラスを、さまざまな方法で成形します。一般的な成形方法には、ブロー成形、プレス成形、鋳造成形などがあります。

冷却
成形したガラスを、適切な速度で冷却します。急激な冷却は、熱膨張率の大きいガラスが破損する原因となるため、適切な冷却速度を調整します。

研磨・仕上げ
冷却されたガラス製品に対して、必要に応じて研磨や仕上げを行います。研磨によって、表面の凹凸を取り除き、平滑な表面を作り出すことができます。

参考文献
https://www.nanonine9.com/blog-200825/

ガンダイオード

ガンダイオードとは

ガンダイオードとは、マイクロ波帯の発振器などに用いられるダイオードの一種です。

ガン効果を利用したダイオードを指します。主に用いられるのがN型のガリウムヒ素 (GaAs) で、GaAs結晶に直流電界を加えていき、ある閾値を超えるとマイクロ波領域で発振が起きることを物理学者のJ.B.Gunnが発見しました。そのために、この現象はガン効果と呼ばれています。

ガンダイオードは負性抵抗となる領域を持っており、この効果を用いてマイクロ波の発振器などに用いられます。ここでの負性抵抗とは、電圧が増加すると電流が減少する電気的な特性のことです。

ガンダイオードの使用用途

ガンダイオードは、ガン効果を用いたマイクロ波領域で発振器レーダー向けの用途が一般的です。

ガンダイオードをキャビティや導波管内にマウントして直流電圧を加えると、結晶の厚みに応じて固有振動で発振します。構造は比較的簡単ですが、周波数の安定度がVCOやPLLで制御する通常のマイクロ波の制御方式と比べてよくないため、通信以外にドップラー効果を用いた速度センサー向けに使用される場合が多いです。

身近な使用用途としては、野球のスピードガンや、速度取り締まり用のレーダーなどが挙げられます。

ガンダイオードの原理

ガンダイオードは、2つのエネルギーバンドを有する半導体結晶において、臨界電界を超えた電圧を加えたときに、エネルギー準位の高いバンドに電子が高速に遷移した際に生じるマイクロ波帯域の発振現象を活用しています。GaAs結晶のエネルギーバンド図は、波数に対するエネルギーのグラフを書いた際に、底のエネルギー、波数値が異なる2つの伝導帯を持ちます。

電圧をかけると電流が流れますが、この電流を担う電子は伝導帯にいる電子です。通常伝導帯の底のエネルギーが低いほうに電子が多く存在し、電圧が高くなるにつれエネルギーの高い伝導帯にも電子がうつるようになります。ある一定の電圧を超えた時に、低いレベルの伝導帯の電子が高いレベルの伝導帯に移動し、その結果で移動度が減少する現象が発生します。

この現象により、ある電圧を超えた時に電圧を上げても、見かけ上の電子の移動度すなわち電流値が下がる現象が発生し、負性抵抗の特性を持ちます。電圧をさらに上げていくと、低いレベルの伝導帯の電子が高いレベルの伝導帯にうつりきり、再び電流が増加していきます。

この際に、急激な電子の高速移動が雪崩的に生じて、マイクロ波帯域で起こるのが発振現象がです。一般のVCO (電圧制御発振器) においては、トランジスタのインピーダンス整合を活用した負性抵抗を活用していますが、ガンダイオードは半導体結晶の固有のエネルギーバンドをうまく活用しています。

ガンダイオードのその他情報

1. 速度センサーへの活用

ガンダイオードの代表的な用途の速度センサーは、一般にドップラー効果という物理現象を用いています。ドップラー効果とは、高速で移動する物体に照射した電磁波の反射波は、照射したもとの周波数と見かけ上の周波数が変わって観測されるという原理です。

GaAs結晶におけるガンダイオードの周波数は約10GHzであり、この周波数変動差分から照射した物体の速度を算出しています。ちなみに、この周波数の変動差分は物理用語で「うなり」と表現されており、野球のスピードガンや自動車の速度計測用の100km台の速度計測に関しては10GHzの周波数に対する変動分は非常に小さい割合になります。

2. サブテラヘルツ周波数への展開

サブテラヘルツ用周波数発振器の研究材料としてもガンダイオードや類似のインパッドダイオード、および共鳴トンネルダイオードが、研究機関において現在注目されています。Beyond5G/6Gや光通信分野のサブテラヘルツ周波数への応用に伴い、比較的簡易にサブテラヘルツ周波数の電磁波を生成可能な2端子デバイスであることから、研究開発がなされている状況です。

参考文献
https://detail-infomation.com/gunn-diode/
https://sunatsubu.at.webry.info/201607/article_3.html

コンタクタ

コンタクタとは

コンタクタ

コンタクタとは、電磁接触器ともよばれ、プランジャ型リレーと呼ばれる制御機器の一種です。

プランジャ型とは、円筒型でスプリング機構を有した可動部を有する機構形式を指します。円筒型の電磁コイルの中にリレーの役割を果たす可動鉄心があり、その鉄心の動きにより電気的なオン・オフの制御をします。

プランジャ型のリレーは、電気接点の開閉容量が大きく、絶縁耐力も優れている点が特徴です。その特徴を活かし、大電流を用いる機器のオン・オフをさせるための制御機器として用いられることが多くあります。

電磁接触器以外のプランジャ型のリレーに電磁開閉器があり、マグネットスイッチと呼ばれます。電磁開閉器は、コンタクタとサーマルリレーを組み合わせて構成されています。

コンタクタの使用用途

コンタクタは、大きな電力を扱う電気回路の遮断や接続を目的として、電路の遮断やヒーターの開閉、モーター電流のオン・オフなど様々な電気機器に用いられています。

比較的大きな電流を流すものが多く、電気産業機器やEVも含めた各種車両、船舶、飛行機なども使用用途の一つです。電磁的に接点の接触を行うため、少ない操作電流で駆動可能で、大きな電流を制御・操作することができます。

コンタクタの最も大きな特徴は、人手を介した手動によるオン・オフではなく、電気信号でオン・オフを切り替えられることです。

コンタクタの原理

コンタクタの原理は、電気的な回路の接点の切り替えを機械的な鉄心の接触に合わせて行い、その動作を (電磁リレーと同様に) 電磁石コイルに流れる電流により発生する磁界の力によって行っている点にあります。

一般に、コンタクタは接点部、電磁石部、外部接続部で構成されます。

1. 接点部

接点部は機械的な接触により、電気的な導通・非導通の状態を作る部分です。

2. 電磁石部

電磁石部は、電磁コイルにより磁界を発生させ可動鉄心を固定鉄心に接触させる部分です。

3. 外部接続部

外部接続部は、コンタクタ外部へ接続する端子などがあります。

コンタクタの開閉を行う原理は電磁リレーと同様で、固定鉄心が電磁石となり可動鉄心をひきつける動作を行います。コイルが動作しない場合には、スプリングの力により可動鉄心が元の位置へ戻り、電気的に非導通の状態に戻ります。この動作によって、電気的な導通・非導通の状態を作り出します。

コンタクタの端子には大別して、主接点、補助接点、コイルの3つがあります。

  • 主接点
    負荷などにつながる端子です。
  • 補助接点
    コンタクタの動作状態などを制御部へ伝えるために用いられるものです。
  • コイル
    電磁接触器を動作させるためのコイルにつながる端子です。

コンタクタのその他情報

1. ブレーカー・コンタクタ・マグネットスイッチの違い

ブレーカは、一般家庭でも使われているように、大電流 (定格の数十倍以上) 保護や定格を上回る過電流が流れ続けた時の回路保護を目的に使われています。この目的のための電路のオン・オフ動作であり、手動でのオン・オフも可能です。

一方で、コンタクタには手動によるオンオフ機能はなく、電気的な信号のみの動作になります。また、一般にコンタクタには、保護機能はなく、定格を大きく超える短絡時の大電流は扱えません。

また、マグネットスイッチは、コンタクタにサーマルリレーを具備した構成であり、コンタクタとの大きな違いは、例えばモーターの保護のためにサーマルリレーを介して過負荷時の保護機能を有する点です。ただし、ブレーカーと異なり短絡時の瞬時的な大電流には対応できないものが多いです。

2. EV向けコンタクタ

EVなどの電気自動車のモーター制御部分にもコンタクタは用いられていますが、EVならではの特徴があります。

まず、車載用途の高い信頼性を確保するために、コンタクタの可動接点箇所に水素ガスなどの特殊なガスを密閉し、接点の酸化などによる経時的な信頼性劣化を抑制しています。

また、EV固有の衝撃や振動に耐えうる強固な構造設計や、EVの充放電に起因するアーク放電の際のEVならではの反転する極性の違いに対応する特殊な電磁石の開発、実用化を行っているメーカーも存在しています。

参考文献
https://e-sysnet.com/magnet/
https://www.fujielectric.co.jp/fcs/usage/mc.html
https://memo-labo.com/mc.php

ジブクレーン

ジブクレーンとは

ジブクレーン

ジブクレーンとは、ジブを有するクレーンのことです。

クレーンから斜めに突き出した腕金具をジブと呼びます。ジブクレーンはジブを旋回・引込動作できるように設計されています。ジブクレーンは、ジブの動作とワイヤーの巻上動作によって、3次元的に吊荷を移動させることが可能なクレーンです。

0.5t以上の吊り上げ荷重を持つジブクレーンは、国内では労働安全衛生法の規制が掛かります。具体的な内容は施工規則の「クレーン等安全規則」によって定められており、ジブクレーンに対して定期的に性能検査や自主検査を実施する必要があります。

ジブクレーンの使用用途

ジブクレーンは産業用途や重工業においては幅広く使用されています。以下はジブクレーンの使用用途の一例です。

  • 製鉄所や製錬所の原料荷揚用または製品出荷用
  • コンテナ船のコンテナ積卸用
  • 大型船舶などのメンテナンス用
  • 工事現場における資材積卸用
  • 原材料倉庫への積卸用

多くの場合、岸壁荷揚げ用クレーンは岸壁に強固に固定設置されます。強度が担保され、吊り上げ荷重を高く設定できるためです。

走行動作付きのジブクレーンも荷物積卸用や船舶保守用に使用されます。走行機能付きの場合はロボットケーブルなどで電力を供給します。

ジブクレーンの原理

ジブクレーンは取付基礎、ジブ、駆動装置、ワイヤーロープなどで構成されます。

1. 取付基礎

取付基礎はジブクレーンを設置するための基礎部分です。ジブクレーン自体の重量が大きい上に数トン以上の吊荷を運搬するため、基礎の強度は重要です。コンクリートなどを打設して製作し、自走式の場合はその上に強固なレールを敷設します。

2. ジブ

ジブはクレーンの腕金部分で、頑丈かつ軽量であることを求められます。そのため、ボックス構造やパイプトラス構造によって補強される場合が一般的です。

3. 駆動装置

駆動装置はクレーンを駆動させるための装置で、減速機やモータ―で構成されます。巻上装置に関してはワイヤーロープをワイヤードラムで巻き取って吊荷を上下させます。

ジブクレーンの種類

ジブクレーンは構造によっていくつかの種類に分けられます。以下はジブクレーンの種類の一部です。

1. 低床式ジブクレーン

固定された旋回レールの上にクレーンを設置したジブクレーンです。岸壁の積卸用として多く使用されるクレーンで、走行式の場合は台車上に旋回レールを取り付けます。

2. つち形ジブクレーン

つち形ジブクレーンは地面に設置されたポストに水平のジブを設置したクレーンです。ジブが水平なためレールを設置してホイストを取り付ける場合もあります。工事現場や岸壁など幅広い場面で使用されるクレーンです。

3. 塔形ジブクレーン

塔形ジブクレーンは塔形の構造物にジブを取り付けたジブクレーンです。高所から吊荷を運搬できるのが特徴です。主に造船所などで使用されます。

4. 引込式ジブクレーン

一般的なジブクレーンはジブを持ち上げることで引込操作を実施するため、引込時に荷が上下します。引込式ジブクレーンは荷を水平にして引込動作ができる構造のクレーンです。主に埠頭での粉体積卸用などとして使用されます。

ジブクレーンのその他情報

ジブクレーンの動作

ジブクレーンは、旋回、引込、巻上の3動作ができることが特徴のクレーンです。

1. 旋回動作
旋回動作とは、クレーンの中心軸に対してジブを360°回転させる動作を指します。岸壁の荷揚げ用として使用される場合は、荷を吊った状態で旋回させることで船から陸地へ荷物を運びます。

旋回の動力は主に減速機付モーターや油圧ポンプであり、重量物を扱うため衝撃を加えすぎないように緩やかに動作させます。

2. 引込動作
引込動作とは、クレーンの中心軸に対して荷物を近づけたり遠ざけたりする動作です。一般的なジブクレーンではジブを持ち上げたり引き倒すことで引込動作をします。

3. 巻上動作
巻上動作はワイヤーを巻き上げたり下げたりすることで荷を上下させる動作です。実際に荷を上下させるため、ジブクレーンの中でも最も大きな動力が必要とされます。

参考文献
http://www.cranenet.or.jp/tisiki/crane_old.html

シンチレータ

シンチレータとは

シンチレータとは、荷電粒子や放射線が通過すると発光する物質の総称です。

無機シンチレータと有機シンチレータに分類されます。無機シンチレータはγ線やX線の検出に適しています。原子番号が大きい物質の結晶で作られており、発光量が多くてエネルギー分解能が良い反面、応答速度が遅いです。有機シンチレータにはプラスチックシンチレータや液体シンチレータなどがあり、安価で軽く、反応速度が速いため、α線やβ線の検出に適しています。

シンチレータは検出器と組み合わせたシンチレーション検出器として幅広い分野に応用可能です。 

シンチレータの使用用途

シンチレータは放射線を紫外線〜可視光領域の光に変換します。この光を光電子倍増管や光半導体によって電気信号に変換してデータ処理を行い、放射線の情報を画像などの情報として表せます。

この機能はX線コンピュータ断層撮影 (X線CT) 、陽電子断層撮像 (PET) などの核医学分野、空港の手荷物検査、食品検査、電子部品の非破壊検査、石油・鉱物資源の探査、原子炉放射線モニタリング、素粒子・原子核・宇宙物理分野の研究用など、多種多様な分野で利用可能です。

シンチレータの原理

シンチレータの発光原理は無機シンチレータと有機シンチレータで異なります。

1. 無機シンチレータ

無機シンチレータ中を荷電粒子や放射線が通過すると結晶格子の価電子帯の電子がエネルギーを得て伝導帯へ励起し、自由に動き回ります。電子が励起した後の価電子帯には正孔が生じ、伝導帯の電子と価電子帯の正孔が出会うと電子は再び価電子帯に戻り、エネルギーの差分に応じた波長のシンチレーション光が発生します。

結晶格子に不純物が含まれない場合には価電子帯と伝導帯の間 (バンドギャップ) は大きく、発生する光の波長は短いです。その一方で不純物が含まれると一部の結晶構造が変化し、バンドギャップ内に新たなエネルギー準位が生まれます。不純物の励起エネルギーは小さく、発光は可視光になります。

2. 有機シンチレータ

有機シンチレータは結晶格子ではなく単一分子の励起で発光可能です。室温ではほとんどの電子が基底状態にあり、放射線が通過するとそのエネルギーを受けて励起します。大部分の電子は励起状態の中で一番エネルギー準位の低い第一励起状態に上がり、基底状態に遷移する際に発光します。この発光を蛍光といい、有機シンチレータで発生する光は大部分が蛍光です。

中には放射線から大きいエネルギーを得て第二励起状態以上に上がる電子もあり、非常に短時間で内部転換により第一励起状態に戻って基底状態へ遷移します。

第一励起状態に励起した電子の一部はスピン三重項状態に系間遷移し、時間をかけて発光して基底状態に戻り、この発光を燐光といいます。スピン三重項状態は第一励起状態よりもエネルギー準位が低いため、燐光の波長は蛍光よりも長いです。またスピン三重項状態から再び第一励起状態に戻り、蛍光を発して基底状態に戻る電子もあり、これが遅発蛍光です。

シンチレータの構造

シンチレータの構造は無機シンチレータと有機シンチレータで違います。

1. 無機シンチレータ

無機シンチレータには、NaI:Tl、LSO:Ce、タングステン酸鉛、ケイ酸ガドリニウム (GSO) 、ゲルマニウム酸ビスマス (BGO) などがあります。タングステン酸鉛の化学式はPbWO4で、GSOはCeを添加したGd2SiO5のことです。BGOはビスマスジャーマネイトとも呼ばれ、化学式はBi4Ge3O12と表されます。

NaI:TlはアルカリハライドのNaI (ヨウ化ナトリウム) と発光中心のTI (タリウム) による結晶構造を形成しています。Tl+が6spから6s2に遷移した際に発光し、発光量の基準に用いる場合が多いです。潮解性があり、大気中の水分を吸収して劣化するため、密封して使用します。

LSO:Ceは酸化物のLu2SiO5に発光中心のCe3+を加えた無機シンチレータです。Ce3+が5dから4fに遷移した際に発光し、NaI:Tlよりも発光寿命が一桁程小さいです。

2. 有機シンチレータ

有機シンチレータの具体例は、有機結晶シンチレータ、液体シンチレータ、プラスチックシンチレータなどです。液体シンチレータであるナフタレンなどは固体ではないため、強い放射線照射で損傷しにくいです。

有機シンチレータに含まれるアントラセンやスチルベンなどの有機分子はπ電子構造を取っており、複数の励起状態を持ちます。応答が異方的で容易に加工できず、頻繁に使用されていません。アントラセンは発光量が大きく、他のシンチレータの発光量をパーセンテージで表す場合もあります。

プラスチックに有機発光物質を数種類溶解したプラスチックシンチレータは取り扱いやすく加工しやすいです。α線やβ線に適していますが、γ線には向いていません。

参考文献
https://www.lowbg.org/ugnd/workshop/groupC/sn20180108/files/0901_Iida.pdf
http://yoshikawa-lab.imr.tohoku.ac.jp/theme/scintillator.html
https://www.env.go.jp/chemi/rhm/h28kisoshiryo/h28kiso-02-04-02.html
https://www.jemima.or.jp/tech/6-02-02-06.html

スチームトラップ

スチームトラップとは

スチームトラップ

スチームトラップ (英: steam trap) とは、スチーム (蒸気) 中に発生したドレン (液滴) を分離して排出する機器です。

工場などには蒸気が流れている配管があり、配管が外気に触れて配管表面温度が低下すると流れている蒸気も冷やされドレンが発生します。ドレンが蒸気に混ざった状態で送られるとエルボなどの曲がり部で勢いよく衝突してドレンアタックが発生し、衝撃で配管が破損する可能性があります。ドレンがブロアやタービンなどのインペラに当たってエロージョンが発生するため、これらを回避するためにスチームトラップを設置可能です。

スチームトラップの使用用途

スチームトラップは蒸気を使用する配管に設置可能です。スチームトラップを設置すると蒸気中のドレンを回収でき、エロージョンやハンマリングを防げます。

蒸気がドレンによって冷やされて凝縮すると急激に体積が減少し、負圧になるとドレン同士が引き寄せられて衝撃破が生じる可能性もあります。

配管や接続されている機器に大ダメージを与える場合があり、スチームトラップによる予防が重要です。

スチームトラップの原理

スチームトラップには、機械式、温度差式、サーモダイナミック式があります。原理は種類によって異なります。

1. 機械式

機械式の構造は比較的簡単です。ドレンが流入するとフロートやバケットを浮かせて弁を開閉させます。メンテナンス性も良くて動作確認も音でわかりやすいです。弁にゴミが付着すると蒸気が吹きっぱなしになり、定期的なメンテナンスが必要です。

2. 温度差式

温度差式はスチームとドレンの温度差により、膨張や収縮で弁が開閉します。温度差式はバイメタル式とベローズ式に分類可能です。バイメタル式は膨張や収縮に異なる2種類の金属の膨張率の違いを使用し、ベローズ式は膨張や収縮にベローズ機構を用います。

3. サーモダイナミック式

サーモダイナミック式は1次側と2次側の間にある変圧室の圧力によって弁を開閉可能です。高温のドレンによりバイメタルが膨張して弁体が開き、一度ドレンが排出されると続いて蒸気が流れます。蒸気の流速は大きいため圧力が下がり一度弁体が下がり、変圧室に入った蒸気は徐々に冷やされて圧力が下がってドレンの圧力より低くなると再度開弁します。これを繰り返して動作可能です。

スチームトラップの種類

1. 機械式

機械式はメカニカルスチームトラップとも呼ばれ、ドレンと蒸気の比重差を利用します。機械式はバケット型やフロート型に分類され、バケット型には逆バケット式 (I.B.式) やバケット式が、フロート型にはレバー付きフロート式があります。

2. 温度差式

温度差式はサーモスタチックスチームトラップとも呼ばれ、ドレンと蒸気の温度差を利用します。温度差式にはバイメタル式やベローズ式があります。

3. サーモダイナミック式

サーモダイナミック式はドレンと蒸気の熱力学的特性差を利用します。サーモダイナミック式はディスク型の空気保温式や外気冷却式に分けられます。

スチームトラップの選び方

1. 機械式

機械式はドレンの滞留がなく、省エネ設計です。バケット型はスケールに強くて耐久性を持っています。フロート型は圧力差に強くてウォーミングアップが早いですが、機械式は凍結に弱くて比較的大きいです。フロート型は水撃作用に弱く、バケット型は取り付け方向に制限される場合があります。

2. 温度差式

温度差式は静かで水撃作用にも強いです。排出ドレン温度を制御でき、低音空気の排出性能が良いです。飽和蒸気温度よりも低温なためドレンが滞留しやすく、調整が悪い場合には弁の閉きが遅れて蒸気をロスします。バイメタル部の腐食や疲労のために耐久性が低いです。

3. サーモダイナミック式

サーモダイナミック式は小型かつ軽量で凍結に強く、取り付け方向が自由です。一般的に外気温に影響されやすいため空打ちを起こし、ドレンの滞留の可能性もあります。

参考文献
https://www.venn.co.jp/content/download/6555/143102/file/00133.pdf
https://www.tlv.com/ja/steam-info/steam-theory/steam-trouble/1006erosion/

スマートリレー

スマートリレーとは

スマートリレーとは、超小型のプログラマブルコントローラを指します。

プログラマブルコントローラは、押ボタンやセンサー等の入力から、予め決められたソフトウェアに基づいて出力する装置です。スマートリレーは、一般的なミニパワーリレーを数台連ねた程度の幅です。収納する制御盤を小型化できるため、経済的に有利な商品です。ただし、入出力点数は一般的なプログラマブルコントローラよりも少なく、拡張性も低いという欠点もあります。

スマートリレーの使用用途

スマートリレーは、出力点数が拡張なしでは4点のみの為、工場などの大型産業用装置よりは商業施設などに用いられます。

スマートリレーには既存性能として週間タイムスイッチ等が付与されています。従って、店舗の照明や空調、冷蔵機器の管理などに使用されます。また、私道であれば信号表示灯に使用することも可能でしょう。

工場等であれば、雨水回収ポンプの制御など、簡単な装置であれば使用可能です。

ソフトウェアは編集可能な為、幅広い使用用途が見込めます。

スマートリレーの原理

スマートリレーは、電源端子、入力端子、演算部、出力端子の3部分に分かれます。

電源端子は、DC24VやAC240Vを選ぶことが出来ます。供給可能な電源に応じて電源仕様を選定します。

入力端子は、主にセンサーや押ボタン等の信号を入力する際に使用されます。アナログ信号とデジタル信号を両方とも入力することが可能です。アナログ入力は、電圧入力のみ選択可能です。電流入力をする際は、抵抗を並列に接続して電圧入力に変換します。また、スマートリレーの種類によって、ACデジタル入力とDCデジタル入力を選択できます。

演算部は、スマートリレーのソフトウェアを記憶、処理する部分です。プログラマブルコントローラのCPUに当たります。ソフトウェアの編集は、プログラミングソフトによる編集と表示パネル編集の両方で可能です。簡単なソフトウェアであれば表示パネルで編集可能です。アナログ信号処理を含むような複雑なソフトウェアは、プログラミングソフトで編集するのが一般的です。

出力端子は、デジタル信号を出力する部分です。出力機器の種類に応じてトランジスタ出力とリレー出力を選択出来ます。

参考文献
スマートリレーとは https://jp.idec.com/idec-jp/ja/JPY/PLC/%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%AC%E3%83%BC/c/Smart_Relay