エンプラ

エンプラとは

エンプラ

エンプラとは日用品などに使用されるプラスチックよりも高性能なプラスチックです。

エンプラは、エンジニアリングプラスチックエンジニアリングプラスチックの略語です。特に耐熱性や機械的な強度が優れており、工業製品に使用されています。

これまで金属でしか達成できなかった機械的な強度や耐熱性を担保できる製品もあり、金属よりも軽量であることからエンプラは金属の代替品として期待されています。また近年では生産量の増加や生産技術の向上によりコストも下がってきており、金属の代替品としての期待がさらに高まっています。

エンプラの使用用途

エンプラは各分野での工業用品の素材として使用されています。普通のプラスチックよりも高い強度や耐熱性を有するエンプラは、各分野の工業用品の中でも厳しい環境下で使用される部品や製品の素材として好適です。

自動車業界ではヘッドライトや内部のプラスチック部分、シリンダ、ギア、コネクタなどに使用されています。また一般機械ではファン、インペラ、油圧用チューブに用いられ、電機業界では各種ケーブル、被覆材、ソケット、ロータリースイッチ部品などに使われるなど、その応用範囲は多岐にわたります。

エンプラの原理

エンプラは通常のプラスチックと異なり、酸素や窒素などの炭素以外の元素やベンゼン環などを主鎖中に含むのが特徴です。

通常のプラスチックでは分子鎖は炭素のみにより構成されます。炭素のみの分子鎖は分子が回転しやすく、熱が加わると溶融しやいのが特徴です。しかしエンプラでは炭素以外の元素を主鎖中に含むため、回転しにくく熱を加えても溶融しにくくなります。エンプラの高い耐熱性はこの構造に起因するものです。またエンプラの多くは分子鎖同士の結合が強く、結晶化度が高いのが特徴です。結晶化度が高いため、エンプラは高い機械的強度や耐薬品性をもちます。

エンプラの種類

エンプラには多くの種類があります。ここでは代表的なエンプラを5種類紹介します。

1. ポリアセタール

ポリアセタール ( POM ) はアセタール結合を主鎖に有する樹脂です。剛性や耐摩耗性、耐薬品性に優れるエンプラです。主にオキシメチレンのホモポリマー、もしくはオキシメチレンとオキシエチレンの共重合体 (コポリマー) からなります。ポンプ部品や給水管のジョイント、歯車や軸受、ファスナーや洗濯槽など幅広い業界、用途で使われています。

2. ポリアミド

ポリアミド (PA) は、いわゆるナイロンです。ナイロン6やナイロン66に代表される繊維として馴染みのある製品で、衣料用途で多く使用されています。その強度や耐久性から宇宙服にも使用されたことがあります。

3. ポリカーボネート

ポリカーボネートは分子式がC15H16O2で表されるエンプラで、ビスフェノールAを原料とする非晶性プラスチックです。高い透明性を持ち、眼鏡やカメラのレンズ、CDおよびDVD基板などに使用されています。また耐候性に優れることから自動車のヘッドランプレンズ、ドアハンドル、ルーフレールなどにも使用されています。

4. 変性ポリフェニレンエーテル

変性ポリフェニレンエーテル (m-PPE樹脂) は、ポリフェニレンエーテル (PPE樹脂) に耐衝撃性ポリスチレン (HIPS樹脂) を配合したエンプラです。加工性と耐衝撃性を強化しているのが特徴です。着色性の良さや難燃化のしやすさなどから電気機器やOA機器のハウジングによく使用されます。また低吸水性から水道配管や給水機などにも使用されます。低比重、耐衝撃性がよいことから自動車用の外装材にも好適です。

5. ポリブチレンテレフタレート

ポリブチレンテレフタレートは通常、PBT (Poly Butylene Terephthalate) と略されるエンプラです。ポリエチレンテレフタレート (PET) のアルキル鎖の炭素の数が2から4に増えた構造をもち、PETと同様の特性を持つのが特徴です。自動車分野におけるイグニッションコイル、ワイパーアーム、ディストリビューター、スイッチ類、ヘッドライトハウジング、モーター部品、バルブ、ギヤなどの各部品類に使用されています。また電気・電子分野で、スイッチ類、コネクター、ソケット、リレー、ハウジング、モータ部品などにも使用されています。

参考文献
https://www.nagaseplastics.co.jp/info/plastic/enpla
https://www.kda1969.com/study/study_pla_detail2.htm

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