エアーポンプとは
エアーポンプとは、一方から空気を吸い込み、他方から空気を吐出する機器です。
エアーポンプにはモータ式やボイスコイルモータ (電磁) 式、圧電 (ピエゾ) 式などがあります。いずれも空気の吸入と吐出を切り分ける弁が用いられ、駆動限 (モータやピエゾ) でダイヤフラムと呼ばれる膜を往復運動させて空気の吸入と吐出が繰り返されます。
エアーポンプは作動音が大きいことがネックでした。しかし最近はサイレンサー機能によって作動音が気にならない製品も増えています。
エアーポンプの使用用途
エアーポンプは浄化槽のばっ気や医療機器、泡風呂や各種産業機器などの幅広い分野や製品で使用されています。
最も身近なエアーポンプは水槽の濾過装置に搭載されたタイプです。水槽内の水をエアーポンプで吸引し、濾過器内を循環させ、各種バクテリアやフィルターの力で汚れた水を清潔な状態へ精製します。精製された水はエアーポンプによって再び水槽内へと吐出され、これを繰り返すことで常に水槽の水を清潔な状態に保てます。
エアーポンプの原理
代表的なエアーポンプの動作原理を解説します。
1. モータ式ダイヤフラムエアーポンプ
エアーポンプ筐体内にはダイヤフラム、モータ、弁、空気が存在しています。モータの回転がダイヤフラムの運動に変わり、ダイヤフラムの上下運動で筐体内の水が膨張と収縮を繰り返します。
膨張する際には空気を吸引し、収縮する際に空気を吐出可能です。筐体内には弁があるため、空気は一方向にしか流れず、逆流を防ぎます。吸引・吐出される空気の量はモータの回転数やダイヤフラムの運動量によって決まります。
2. 圧電式 (ピエゾ式) ダイヤフラムエアーポンプ
エアーポンプ筐体内には圧電素子とダイヤフラム、空気と弁が存在しています。圧電素子の振動によってダイヤフラムが運動し、筐体内の容積変動を生み出して空気の吸入・吐出が起こります。通常、圧電素子の振動は微少であり、ダイヤフラムが大きな運動をできず、空気の流量は小さくなる場合が多いです。
3. 電磁式エアーポンプ
電磁式のエアーポンプには磁石やコイルが使用されています。アクアリウム業界では磁石やコイルを用いた電磁式のエアーポンプが多いです。
コイルに交流電流が流れると周囲の磁界が変わって高速で電磁石のNとSが入れ替わり、磁石が反発したり引き合ったりを繰り返します。高速で磁石が動く力を利用してポンプを動かし、空気を送り込んでいます。
エアーポンプの種類
エアーポンプには淡水用や海水用のほか、淡水・海水両用の3タイプがあります。最近のエアーポンプは両用タイプが主流で、製品説明欄に明記されていない場合には淡水と海水のどちらでも使用可能です。さらに水中型、陸上型、水陸両用型の3タイプがあります。水中型は水中に沈めて使い、陸上型は水槽の外に設置します。
エアーポンプの多くは屋内用です。屋内用は雨風や直射日光が当たらない場所を想定して製造されているため、屋内用を屋外で使うと雨や日光の影響だけでなく、チリやホコリを吸い込んで故障しやすいです。その一方で家の外に設置した水槽や庭の池で使える屋外用があり、繁殖池や浄化槽で使用可能なタイプもあります。
エアーポンプの選び方
エアーフィルターとの違いはろ過機能の有無です。エアーポンプは水槽に水流を作り、空気を行き渡らせて水の腐敗を抑制しますが、水中の糞やゴミは取り除けません。それに対してエアーフィルターは水中のゴミの除去が主な役割です。
エアーフィルターには水槽内に水流を起こして空気を送り込めるタイプもありますが、空気を送る能力はエアーポンプの方が一般的に優れています。水槽1つだけで魚を複数飼育するためには十分な酸素が必要です。クリーンな水質を保ちながら酸素を供給するためにエアーフィルターとエアーポンプの併用が最適です。
エアーポンプによって吐出量や耐久性、静音性などは違うため、用途や予算に合わせて選択する必要があります。
参考文献
https://www.murata.com/ja-jp/products/mechatronics/fluid/library/basics
https://www.fine-yasunaga.co.jp/y-ap/product/airpump/faq.html