スチームトラップ

スチームトラップとは

スチームトラップ

スチームトラップ (英: steam trap) とは、スチーム (蒸気) 中に発生したドレン (液滴) を分離して排出する機器です。

工場などには蒸気が流れている配管があり、配管が外気に触れて配管表面温度が低下すると流れている蒸気も冷やされドレンが発生します。ドレンが蒸気に混ざった状態で送られるとエルボなどの曲がり部で勢いよく衝突してドレンアタックが発生し、衝撃で配管が破損する可能性があります。ドレンがブロアやタービンなどのインペラに当たってエロージョンが発生するため、これらを回避するためにスチームトラップを設置可能です。

スチームトラップの使用用途

スチームトラップは蒸気を使用する配管に設置可能です。スチームトラップを設置すると蒸気中のドレンを回収でき、エロージョンやハンマリングを防げます。

蒸気がドレンによって冷やされて凝縮すると急激に体積が減少し、負圧になるとドレン同士が引き寄せられて衝撃破が生じる可能性もあります。

配管や接続されている機器に大ダメージを与える場合があり、スチームトラップによる予防が重要です。

スチームトラップの原理

スチームトラップには、機械式、温度差式、サーモダイナミック式があります。原理は種類によって異なります。

1. 機械式

機械式の構造は比較的簡単です。ドレンが流入するとフロートやバケットを浮かせて弁を開閉させます。メンテナンス性も良くて動作確認も音でわかりやすいです。弁にゴミが付着すると蒸気が吹きっぱなしになり、定期的なメンテナンスが必要です。

2. 温度差式

温度差式はスチームとドレンの温度差により、膨張や収縮で弁が開閉します。温度差式はバイメタル式とベローズ式に分類可能です。バイメタル式は膨張や収縮に異なる2種類の金属の膨張率の違いを使用し、ベローズ式は膨張や収縮にベローズ機構を用います。

3. サーモダイナミック式

サーモダイナミック式は1次側と2次側の間にある変圧室の圧力によって弁を開閉可能です。高温のドレンによりバイメタルが膨張して弁体が開き、一度ドレンが排出されると続いて蒸気が流れます。蒸気の流速は大きいため圧力が下がり一度弁体が下がり、変圧室に入った蒸気は徐々に冷やされて圧力が下がってドレンの圧力より低くなると再度開弁します。これを繰り返して動作可能です。

スチームトラップの種類

1. 機械式

機械式はメカニカルスチームトラップとも呼ばれ、ドレンと蒸気の比重差を利用します。機械式はバケット型やフロート型に分類され、バケット型には逆バケット式 (I.B.式) やバケット式が、フロート型にはレバー付きフロート式があります。

2. 温度差式

温度差式はサーモスタチックスチームトラップとも呼ばれ、ドレンと蒸気の温度差を利用します。温度差式にはバイメタル式やベローズ式があります。

3. サーモダイナミック式

サーモダイナミック式はドレンと蒸気の熱力学的特性差を利用します。サーモダイナミック式はディスク型の空気保温式や外気冷却式に分けられます。

スチームトラップの選び方

1. 機械式

機械式はドレンの滞留がなく、省エネ設計です。バケット型はスケールに強くて耐久性を持っています。フロート型は圧力差に強くてウォーミングアップが早いですが、機械式は凍結に弱くて比較的大きいです。フロート型は水撃作用に弱く、バケット型は取り付け方向に制限される場合があります。

2. 温度差式

温度差式は静かで水撃作用にも強いです。排出ドレン温度を制御でき、低音空気の排出性能が良いです。飽和蒸気温度よりも低温なためドレンが滞留しやすく、調整が悪い場合には弁の閉きが遅れて蒸気をロスします。バイメタル部の腐食や疲労のために耐久性が低いです。

3. サーモダイナミック式

サーモダイナミック式は小型かつ軽量で凍結に強く、取り付け方向が自由です。一般的に外気温に影響されやすいため空打ちを起こし、ドレンの滞留の可能性もあります。

参考文献
https://www.venn.co.jp/content/download/6555/143102/file/00133.pdf
https://www.tlv.com/ja/steam-info/steam-theory/steam-trouble/1006erosion/

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