プラズマ滅菌器

プラズマ滅菌器とは

プラズマ滅菌器のイメージ

図1. プラズマ滅菌器のイメージ

プラズマ滅菌器とは、過酸化水素のガスと高周波発生装置を組み合わせて低温プラズマを発生させ、プラズマ中に生じたフリーラジカルの作用により、細菌などの微生物を死滅させる装置です。

高い殺菌効率を持つことに加え、短時間で工程を完了できるメリットがあり、さらに工程後は水となることから安全性にも優れています。本体の設置には給水や排水といった設備が不要です。

そのため、電源の供給によりただちに使用することができます。また、プラズマ滅菌器はオートクレーブなどと違って低温の装置であり、高圧・高温蒸気などで滅菌できない物であっても、適用することが可能です。 「過酸化水素ガスプラズマ滅菌器」と呼ばれる場合もあります。

プラズマ滅菌器の使用用途

プラズマ滅菌器は、金属製品、プラスチック製品、ガラス製品などの滅菌が可能です。特に、熱に弱くオートクレーブなどの高圧蒸気滅菌を使用することができない器材などの滅菌に利用されています。

1. 医療分野

医療分野においては、眼内レンズ、人工関節などのメンテナンス前滅菌や、内視鏡、手術器材など医療器材のメンテナンス前滅菌に用いられています。内視鏡手術などで使用する内視鏡管や、超音波ガイドで用いるプローブは、使用頻度も高いため効率的に滅菌する必要があります。

従来法にはエチレンガスを使った滅菌手法や浸漬による消毒方法がありますが、エチレンガスの毒性回避や滅菌時間の短縮といった課題がありました。プラズマ滅菌器であれば安全性も高く、滅菌時間の短縮も実現することができます。

2. 化学分野

化学分野においては、前述の医療分野に関連して、人工臓器、医療器材などの素材の研究開発に用いられています。その他では、バイオクリーンルーム施設用機材の滅菌などの用途があります。

3. 畜産分野

畜産分野においては、人工受精器材の滅菌や、SPF動物施設用機材の滅菌などの用途があります。

プラズマ滅菌器の原理

プラズマ滅菌器によるプラズマ化の機構

図2. プラズマ滅菌器によるプラズマ化の機構

プラズマ滅菌器は、過酸化水素ガスに対して、高周波放電する手法が一般的です。具体的には、以下の手順で滅菌が行われています。

  1. 真空引きした滅菌チャンバー内に過酸化水素蒸気を拡散させる
  2. 過酸化水素分子を低温プラズマ状態に電磁励起させる
  3. プラズマ化により生じたフリーラジカルによって滅菌される

一回の装置稼働の間に、過酸化水素蒸気の拡散とプラズマによる滅菌を何サイクルか繰り返すことが一般的です。金属製品、プラスチック製品、ガラス製品などへの滅菌に適しています。

プラズマ滅菌器の種類

プラズマ滅菌器は、小型 (チャンバー容量30L前後) 、中型 (チャンバー容量80L前後) 、大型 (チャンバー容量140L前後) など、様々な大きさの種類があります 。また、製品によって滅菌時間も異なっており、滅菌時間が50分前後や70分前後の製品がある一方、最短では20分前後や30分前後で滅菌完了する製品もあります。用途に合わせて適切なものを用いることが必要です。

過酸化水素だけでなく過酢酸など他の薬剤も添加してプラズマ化することにより、より効果を高めている装置もあります。過酢酸をプラズマ化することにより得られるラジカルは、ペルヒドロキシルラジカル・OOHや・CH3COなどです。

プラズマ滅菌器のその他情報

1. プラズマ滅菌器の安全性

プラズマ化で生成したラジカルの分解

図3. プラズマ化で生成したラジカルの分解

過酸化水素やプラズマ化によって生成するラジカルは、残留性がありません。滅菌終了時には水と酸素に分解されるため、プラズマ化による滅菌は安全な方法です。

また、滅菌サイクルは、全ての段階が低温乾燥環境で作動するので、熱や湿気に敏感な適合器材を破損することがありません。

2. プラズマ滅菌器に適さない材質

プラズマ滅菌器は、リネン、ガーゼ、綿、紙、段ボール、木などのセルロース類や、発砲スチロール、粉体、液体、などの滅菌には適していません。

参考文献
https://www.yamato-net.co.jp/word/21/
https://oici.jp/file/285-8.pdf

フラッシュメモリ

フラッシュメモリとは

フラッシュメモリ

フラッシュメモリとは、データの読み出しや書き込みに使われる記憶装置のことです。

身近なデバイスとしては、SDカードやSSD,USBメモリなどがあります。電源を切っても記録が消えない不揮発性メモリで、現在様々なデバイスに利用されています。SSDとは、「Solid State Drive」の略で、ノートパソコンなどの内蔵ストレージなどに使用される場合が多いです。

フラッシュメモリは、主にNAND型とNOR型の2つに分けられます。それぞれ読み出し速度と書き出し速度に違いがあり、用途が異なります。

フラッシュメモリの使用用途

フラッシュメモリが使われている主な製品として、USBメモリやSSD、SDカードなどが挙げられます。SSDは、HDDなどと同じ記憶媒体ですが、HDDのようにディスクヘッドを用いてデータの読み書きは行わないため、HDDと比べSSDは処理が高速で、省電力、振動衝撃に強いのが特徴です。近年、ノートパソコンの内蔵ストレージとしてよく使われるようになってきています。

USBメモリは、USB端子がついていてUSBポートに接続することで、データの読み書きが行え、持ち運びが便利な外部ストレージです。SDカードは、カード型の記録媒体で、スマートフォンやデジタルカメラ、ゲーム機など様々な電子機器で使われています。

フラッシュメモリの原理

フラッシュメモリは、主にNAND型とNOR型の2つに分けられます。NAND型とNOR型では、基本的な記憶素子の構造は同一ですが、内部の配線が異なります。

配線の違いにより、NOR型とNAND型の特徴が異なります。

1. NOR型

NOR型は集積度が低くなりますがバイト単位でのアクセスが可能です。書き込みは遅いですがランダムアクセスは高速であるという特徴を持ちます。

2. NAND型

それに対してNAND型は、高集積化に向いており、書き込みが相対的に高速になります。アクセスはブロック単位で、ランダムアクセスは低速である特徴を持ちます。

NAND型フラッシュメモリはメモリセルを高密度に配置できるメリットを持っていますが、ビットエラーが発生しうるデメリットがあります。そのため、誤り訂正符号 (ECC:Error-Correction Code) 回路を搭載する必要があります。

誤り訂正符号とは、データの読み出し・書き込み時に付与される値です。読み出したデータが本当にフラッシュメモリに書き込まれた値かを誤り訂正符号の一致で確認します。

フラッシュメモリの種類

NAND型フラッシュメモリには、情報を記憶する単位であるセルの特徴で以下の種類に分類されます。

1. SLC NAND

セル当たりに1ビットの情報を保存することができるNAND型フラッシュメモリをSLC (シングルレベルセル) NANDと呼びます。耐久性が高い特徴を持つ一方で、容量が少ないデメリットがあります。

2. MLC NAND

セル当たりに2ビットの情報が保存できるNAND型フラッシュメモリをMLC (マルチレベルセル) NANDと呼びます。安価ではありますが、読み出しや書き込みの速度や耐久性はSLC NANDと比較して劣るデメリットがあります。

フラッシュメモリのその他情報

NAND型におけるデータの保存方法

フラッシュメモリにデータを保存する場合、記録する最小単位はセルと呼ばれます。NAND型フラッシュメモリのセルは、半導体上にトンネル参加絶縁膜とフローティングゲートが搭載した構造です。

フローティングゲートに電子を蓄えたり放出したりすることで、データを保存します。データを書き込んだり消したりする際に、電子がトンネル酸化膜を突き破り移動するため、トンネル酸化膜が劣化します。

このトンネル酸化膜が劣化してくると、正しくデータを記憶できずに寿命を迎えます。個々のセルの寿命の目安としては、書き込みと消去の回数が1,000~10,000回程度と言われています。

参考文献
https://news.mynavi.jp/article/20200330-1005466/

フラップホイル

フラップホイルとは

フラップホイル

フラップホイルは金属の研磨し使用する部品です。電動ドリルやエアードリルリューターの先につけて使用します。研磨するための布を放射上に固定する構造をしています。紙やすりなどと同様に、目の粗さごとに番手が決まっており、番号が大きくなるほど目が細かくなります。

また、研磨する部品の大きさに合わせて、大きいものから小さいものまで様々な種類があります。さらに製品に自制作用を持つため、比較的長く使用できます。

フラップホイルの使用用途

フラップホイルは機械整備の中でも手入れ時に多く使用されます。錆とりや手で研磨すると時間がかなりかかるところでも、素早く研磨することができとても効率的です。また、製品制作時の最終研磨前の粗研磨にも使用されます。最終磨き上げはバフと呼ばれるフェルト生地の部品を使用します。研磨材と併用することでかなりピカピカに仕上げることができます。

また、構造上空冷作用を持ち研磨の対象物に熱を与えにくくなっています。ひずみや焼けをなくすことができます。

フラップホイルの特徴

機械部品のバリ取りや傷の除去をはじめとする様々な工程に使用されるフラップホイルは、その構造から研磨時の目詰まりを起こさないため仕上げ面の均一化が可能です。上述の通り自生作用を持つためです。また、円筒形状をしているため、曲面を持つ部品(パイプや球体)にも使用可能です。円筒形状の部材を研磨する際には、手より内径が小さくても、小さい径のフラップホイルを使用することで研磨が可能となります。

溶接後の焼け跡を綺麗に仕上げる際にフラップホイルを使用することが可能です。フラップホイルを使用することで焼け跡を残さずきれいな表面仕上げが可能となります。

ただし、研磨面を綺麗に仕上げるためには、フラップホイルと部材とを平行に保つ必要があります。斜めに当ててしまうと表面が均一になりにくくまた、フラップホイル自体の摩耗も綺麗な円筒ではなくいびつな形になってしまい研磨ムラができてしまうので注意が必要です。

また、金属材料だけではなく木材の研磨にも使用できます。木材へ使用するときも金属材料に使用するときと同様のメリットがあります。

参考文献
http://miyuki-sangyo.jp/products/flap_wheel/index.html
http://www.sunpower-web.co.jp/flat_wheel.html

フランジ

フランジとは

フランジ(英語:Flange)とは、パイプ(配管)やダクト、装置などの機器に取り付けられた平面の「つば」状の板を示します。配管のパイプ同士の接続、装置とパイプの接続や、軸同士もしくは軸と回転機の接続に用いられる部品です。

また、機械や部品をボルト、ナットなどで締結し接合する場合に、円形や矩形形状の接合部分の平面をフランジと呼ぶことがあります。フランジを設けることで精度が高く密閉性の高い接合が可能になります。鉄道車両の車輪のつば部分や、自動車のタイヤホイールを車軸側に取り付ける部分も、フランジとも呼びます。

ここでは、一般的な配管継手としての配管用フランジについて説明します。

下記は、配管用フランジの代表的なJIS規格になります。

  • JIS B2220 鋼製管フランジ
  • JIS B2202 管フランジのガスケット座寸法
  • JIS B2239 鋳鉄製管フランジ
  • JIB B2240 銅合金製管フランジ
  • JIB B2241 アルミニウム合金製管フランジ
  • JIB B2290 真空装置用フランジ

フランジの使用用途

フランジは他の配管継手と比べ、繰り返し使用することが可能で、高い密閉性を確保することができます。容易に分解組み立てができることから、船舶、鉄道、工場で使用される配管の接続には多くフランジが使用されています。特に、配管内を流れる流体が、高温、低温、高圧、真空など特殊な条件で使用する場合の多くは、フランジを使用しパイプが接合されています。

パイプ同士を接合する場合のフランジは、2枚のフランジの間にガスケットシール材)を挟み込み、ボルト、ナットで2枚のフランジを締め付けて使用します。

フランジ組立

図1. フランジ組立

ガスケットは、さまざまな種類や形状があり、また使用する流体の温度や圧力に応じて、適切なガスケットを選定する必要があります。下記にガスケットの種類の一例を示します。
ジョイントシートガスケット:炭素繊維などにゴムを充填し平板シート状に成形したガスケットで、フランジの座面寸法に合わせて切断して使用します。

うず巻形ガスケット:V字形断面の金属フープと、フィラー(緩衝材)を重ね合わせ、うず巻状に巻き成型したガスケットで、高温、高圧流体に使用されることが多く、密閉性(シール性)が高いことが特徴です。

リングジョイント:断面がオーバルとオクタゴナルの2種類の形状で、軟鋼、ステンレス鋼、モネルなどの材質でできたメタルガスケットです。主に石油工業界のJPI規格で使用されています。

フランジの特徴

ここでは代表的な例として、パイプ同士を接続するフランジの JIS B2220 鋼製管フランジ の種類について説明します。
フランジは、主に形状、使用流体圧力、パイプとの接続方法、ガスケットの種類などにより、フランジの種類が分かれており、その中から適切な仕様のものを選定します。

下記にフランジの種類の一例を示します。

1. 差し込み溶接式フランジ(SOH)

スリップオン溶接式フランジ

図1. スリップオン溶接式フランジ

差し込み溶接フランジはスリップオンフランジとも呼ばれ、パイプをフランジ穴に差し込み、フランジ上面とパイプ外面、フランジ穴下部とパイプ外面をすみ肉溶接して取り付け固定します。一般的に多く使用されているフランジです。

2. ソケット溶接式フランジ(SW)

ソケット溶接式フランジ

図3. ソケット溶接式フランジ

ソケット溶接式フランジはソケットウェルドフランジとも呼ばれ、パイプをフランジ穴の奥の段差部分まで差し込み、フランジ上面とパイプ外面をすみ肉溶接して取り付け固定します。使用する流体の温度が高い場合は、フランジ穴の段差とパイプ端面に、熱膨張でパイプが伸びる寸法より大きめの隙間を設けて溶接します。こうすることで、流体の熱でパイプが膨張し伸びても、フランジ穴の段差に当たり、その反力で溶接部が損傷することを防止します。

3. 突き合わせ溶接式フランジ(WN)

突き合わせ溶接式フランジ

図4.突き合わせ溶接式フランジ

突き合わせ溶接式フランジはウェルドネックフランジとも呼ばれ、強度にも優れていることから、パイプ径の太い(例えば2-1/2B以上)場合に多く使用されます。パイプとフランジを真っ直ぐ同心で固定し溶接接合するのは簡単ではありませんが、信頼性の高い接合方式のフランジ種類です。

4. ねじ込み式フランジ(TR)

ねじ込み式フランジ

図5. ねじ込み式フランジ

ねじ込み式フランジはスレデッドフランジとも呼ばれ、先端に管用ネジ加工を施工したパイプをフランジにねじ込み取り付け固定します。配管施工の作業は容易ですが、使用する流体の圧力が高い場合は、ねじ部からの漏洩する可能性もあり、比較的に小口径で使用流体が低圧で温度の低い場合に使用します。

5. 遊合形フランジ(LJ)

遊合形フランジ

図6. 遊合形フランジ

遊合形フランジはルーズフランジ、ラップジョイントフランジとも呼ばれ、配管端部をスタブエンドと呼ばれる「つば」加工を施したパイプをフランジ穴にはめ込み取り付け固定します。パイプはフランジのナットを緩めれば、パイプの向きを変更することができるのが特徴です。配管施工の作業は容易ですが、シール性は比較的高くないことから、使用する流体は低圧で温度の低い場合に使用します。

6. 閉止フランジ(BL)

閉止フランジ

図7. 閉止フランジ

閉止フランジはブラインドフランジとも呼ばれ、配管末端で流体を閉止する場合や、フランジの締結を一時的に取り外した時に、流体が漏洩しないよう閉止フランジを取り付けます。

7. はめ込み形フランジ(MF)

はめ込み形フランジ

図8. はめ込み形フランジ

はめ込み形フランジはメールおよびフィーメルフランジとも呼ばれ、オス座面(メール座面)とメス座面(フィーメル座面)の2種類の座面形状フランジを組み合わせて使用します。フランジの溝同士がはまり込むことで、心出しが正確に行える特徴があります。

8. 溝形フランジ(TG)

溝形フランジ

図9.溝形フランジ

溝型の凹部と凸部の2種類の座面形状フランジを組み合わせて使用します。密閉性に優れているのが特徴です。

フランジのその他情報

ガスケット座の形状

ガスケット座の形状は、全面座(FF)と平面座(RF)の2種類があり、全面座は呼び圧力が10K以下などのフランジで使用され、平面座は一般的に使用されている座面形状です。

ガスケット座の形状

図10. ガスケット座の形状

フランジ選定時の応力計算基準については、「JIS B2205 管フランジの計算基準」として、リングガスケットを用いるボルト締め管フランジの応力計算基準について規定されています。

ただし一般的にフランジの選定は、上記計算に基づき計算し検証するのではなく、使用する流体の最高使用圧力および温度により、表から選定される呼び圧力(レーティング)のフランジを使用します。

ベアリング

ベアリングとは

ラジアル荷重とスラスト荷重

図1. ラジアル荷重とスラスト荷重

ベアリング(英語:Bearing)は、軸(シャフト)などの回転体を正確で滑らかに支持するための機械部品です。軸を回転させると、軸と支持している構造物や支持物は接触しているため、必ず摩擦による抵抗力や摩擦熱が発生し、回転するエネルギーの損失が生じます。その摩擦によるエネルギーの損失と発熱を防ぐためにベアリングを使用します。ベアリング以外にも「軸受」と呼ぶことがあります。

ベアリングは構造の違いにより「転がり軸受」と「滑り軸受」の2種類があります。転がり軸受は転動体を使用し、滑り軸受は油膜を使用する違いになります。
また、ベアリングにかかる荷重方向の違いによって「ラジアルベアリング」と「スラストベアリング」の2種類があります。

ラジアルベアリングは、軸の中心線方向に荷重がベアリングにかかる場合に使用します。
スラストベアリンググ、軸の中心線と垂直方向に荷重がベアリングにかかる場合に使用します。

ベアリングの使用用途

ベアリングは、産業用の軸を回転させる機械、自動車や航空機、鉄道車両、日常生活の中でも家電製品などさまざまな製品に幅広く使用されています。

身近な例では、車やバイクは大小100個以上のベアリングが使用されています。特にエンジンは、多くの回転部がありエネルギー損失を抑えるためにもベアリングが欠かせません。
ベアリングを使用する目的としては主に2つあります。

1. 回転を支持し軸の正確な位置を維持します

2. 回転による摩擦を低減し滑らかな回転を維持します
ベアリングは、その他ありとあらゆる場面で使用されているため、使用例を挙げるのは難しいくらいです。現代ではベアリングのない世界は考えにくく、摩擦のエネルギー損失による石油などの資源消費の低減に大きく寄与しています。

ベアリングの種類

ベアリングの種類

図2. ベアリングの種類

各ベアリングの構造と特徴を以下に説明いたします。それぞれのベアリングには、荷重のかかる方向の違いにより「ラジアルベアリング」と「スラストベアリング」の2種類があります。またそれぞれのベアリングに、軸に多少のたわみが発生するような場合に使用する「自動調心軸受」があります。

1. 転がり軸受

一般的な転がり軸受の構造は、軸と接する「内輪」、ボールやころといった「転動体」、転動体を保持する「保持器」、外部ハウジングと接する「外輪」で構成されています。転がり軸受には、「ボールベアリング(玉軸受)」と「ローラーベアリングころ軸受)」の2種類があります。

1) ボールベアリング(玉軸受)

ボールベアリング(玉軸受)

図3. ボールベアリング (玉軸受)

転動体に球状のボール(玉)を使用しているベアリングです。比較的に高速回転で低荷重の軸受として使用します。構造や使用方法の違いで「深溝ボールベアリング(深溝玉軸受)」「アンギュラボールベアリング(アンギュラ玉軸受)」「自動調心ボールベアリング(自動調心玉軸受)」「スラストボールベアリング(スラスト玉軸受)」などがあります。

2) ローラーベアリング(ころ軸受)

ローラーベアリング(ころ軸受)

図4. ローラーベアリング (ころ軸受)

転動体に円筒、円すい、針状のローラー(ころ)を使用しているベアリングです。比較的に大きな荷重の軸受として使用します。構造や使用方法の違いで「ローラーベアリング(円筒ころ軸受)」「テーパーローラーベアリング(円すいころ軸受)」「自動調心ローラーベアリング(自動調心ころ軸受)」「スラスト自動調心ローラーベアリング(スラスト自動調心ころ軸受)」などがあります。

3) ニードルベアリング(針状軸受)

ニードルベアリング(針状軸受)

図5. ニードルベアリング (針状軸受)

ローラーベアリングの一種ですが、ローラが針のように細いのが特徴です。ニードルベアリングは「ラジアルベアリング」と「スラストベアリング」があります。

2. 滑り軸受

滑り軸受は、ベアリングにはボールやころといった転動体が存在せず、含油した金属や摩擦抵抗の小さい樹脂を円筒形に加工し製作されています。一般的に「メタル」や「ブッシング」などと呼ばれています。形状の違いにより「メタル、ブッシング(平軸受)」「フランジメタル、フランジブッシング(平フランジ軸受)」などがあります。

メタル・ブッシング(平軸受)

図6. メタル・ブッシング (平軸受)

転がり軸受は、小~中負荷荷重の場合に使用され、消耗品として定期交換します。あらかじめグリース潤滑剤)が封入されているタイプ以外では、充填するオイル(潤滑油)の定期的な点検と入れ替えなどの管理を適切に行う必要があります。

ベアリングの軸への組み込みは、軸とのはめ合い(ベアリングと軸またはハウジングの隙間の大きさによる固定直の相違)によっては、ベアリングを加熱し焼きばめにより軸に組み込み必要があります。

滑り軸受は、大負荷荷重の場合に使用され、ベアリングと軸の間は油膜により金属接触は発生しないため、使用環境とメンテナンスが良い場合には永久的に使用することが可能です。ただし摩耗や損傷が発生した場合は交換します。一般的な転がり軸受と滑り軸受の比較は以下の表を参照してください。

転がり軸受と滑り軸受の一般的な比較

図7. 転がり軸受と滑り軸受の一般的な比較

ホイスト

ホイストとは

ホイスト

ホイスト (英: hoist) とは、重量物を運搬する際に使用する機械です。

工場や倉庫にあるH鋼やIビームに取り付け、横移動し荷物を上げ下げします。横移動用と上下用のそれぞれのモーターで駆動します。ワイヤーの上げ下げで荷物の上げ下げが可能です。ホイストの型によって耐荷重量が決まっており、それ以上の重量物は持ち上げられません。

基本的には荷物の上げ下げがメインですが、ビームに取り付けると横移動可能となり、さらにビームにも移動機構を付与すると縦移動が可能です。

ホイストの使用用途

ホイストの使用用途は主に重量物の荷上げや荷下ろしです。人の力だけで100㎏を超える重量物の移動は困難ですが、ホイストを使用して荷上げすると他の台車に移したりそのまま運搬でき、工場や倉庫では欠かせない機械です。

ホイストのほかに手動で荷上げ荷下ろしをするチェーンブロック (英: chain block) もあります。チェーンブロックにトロリーを組み合わせると1方向の水平移動が可能です。ホイストは電動版のチェーンブロックのような機械です。

ホイストの特徴

ホイストを含むマテリアルハンドリング機器は効率的に荷物を運搬する際に用いられます。ホイストには単なる吊り上げや下ろししかできないタイプ以外にも、水平移動ができるサドルにぶら下がっているホイスト式クレーンもあります。

ホイスト機構で荷物の上げ下げを行い、クレーン機構で水平移動が可能です。ホイスト式クレーンを導入すると倉庫内や工場内の重量物の移動が容易で効率化を図れます。ハンドパレットフォークリフトなどと組み合わせるとさらに物流を効率化できます。

ホイストの使用には資格が必要です。ホイストの操作自体は簡単なボタン操作ですが、重量物を運搬するため危険が伴います。資格の種類によって吊り上げ可能な重量や操作方式が異なり、業務に適したホイストクレーンの資格を取得して安全にホイスト作業を行うことが重要です。

ホイストの種類

ホイストには、電気ホイスト、レバーホイスト、電池式ポータブルホイスト、エアホイストなどの種類があります。

1. 電気ホイスト

ワイヤーが取り付けられたモーターを電力で動かし、荷物を上げ下げします。工場や倉庫で最も用いられているホイストです。

電気ホイストは横行と巻き上げの機械に分かれ、天井クレーンやIビームと組み合わせて使います。スイッチを押すと上げ下げが切り替わり、リモコンスイッチで遠隔作業して自動制御可能です。

2. レバーホイスト

チェーン、ハンドル、フック、滑車などで構成され、小型のチェーンブロックでレバーやハンドルを動かして荷物を上げ下げします。比較的小型かつ軽量で安価です。土木や建築などの吊り上げのほか、貨物運搬やけん引で荷締め機に用いられます。荷物をフックに引っ掛けてチェーンに張力を掛け、荷物を吊り上げて固定可能です。

3. 電池式ポータブルホイスト

電池式なため移動しながら利用可能です。軽くて小さいホイストも多く、操作性が高いです。土木工事の荷役・運搬や建築現場の簡易クレーンで役立ちます。

4. エアホイスト

圧縮空気を動力に使用します。電気を使用せず、火花で引火する可能性はありません。化学工場などで爆発性ガスを取り扱う際に向いています。

ホイストの選び方

荷役作業に使われるマテリアルハンドリング機器にはホイスト以外にも、チェーンブロック、ウィンチ、クレーンなどがあります。

1. チェーンブロック

チェーンブロックはチェーンによって荷物を巻き上げる装置です。滑車やてこの原理によって少ない力で重量物を持ち上げます。

電源がなくても使用できますが、電動式チェーンブロックはリモコン操作で容易に重い荷物の上げ下げが可能です。

2. ウィンチ

ホイストは垂直に吊り下げる機械ですが、ウィンチは重量物の横引きも可能です。

3. クレーン

ホイストは垂直方向の上げ下げのみですが、クレーンは吊り上げて水平に移動可能です。

参考文献
https://kikaiyablog.com/

ポリエステル

ポリエステルとは

ポリエステル

ポリエステルとは、エステル結合によって生成される高分子の総称です。

代表的なものとしてはポリエチレンテレフタレート (PET) が挙げられます。エステル結合を形成する原料のアルコールやカルボン酸を変えることで、得られるポリエステルの性質も変えることができます。様々な用途で用いられますが、代表的なものは衣類や布団、カーテンなどの素材などです。

ポリエステルの使用用途

ポリエステルの使用用途には、ポリエチレンテレフタレート (PET) に代表されるペットボトル、ポリエステル繊維、電子機器や自動車部品に使用するケーブルの保護材などがあります。PETのほかにポリエチレンナフタレート (PEN) 、ポリブチレンテレフタレート (PBT) 、ポリトリメチレンテレフタレート (PTT) などもポリエステル繊維として用いられます。

他には不飽和結合を分子内に有する不飽和ポリエステルがあります。こちらはガラス繊維や炭素繊維と混合し複合化することで、軽くて強度が高い繊維強化プラスチック(FRP)として用いられます。FRPは航空機などの輸送機の部品や建材、スポーツ用品、ロケットなどの宇宙関係の部品など幅広い業界で使われる材料です。

ポリエステルの製造方法

ポリエチレンテレフタレートの製造方法

ポリエステルの製造方法は、2価アルコールと2価カルボン酸を脱水縮合させてエステル結合を形成する直接重合法と、ジカルボン酸エステルと2価アルコールをエステル交換反応させるエステル交換法の2種類があります。図1にPETの直接重合法とエステル交換法による製造方法を示しました。

脱水縮合させる2価のアルコールや2価のカルボン酸を変えることで様々なポリエステルを作ることができ、物性も変化するため用途も変化します。例えばアルコールの炭素数が2つのポリエチレンテレフタレートはフリースなどの衣服の素材として使われているのに対して、アルコールの炭素数が4つのポリブチレンテレフタレートは耐久性、ストレッチ性が高く、スポーツウェアや水着などに使われています。

ポリエステルは分子構造によって性質が異なりますが、共通する特徴は強度、耐摩耗性、弾力性などが高いことです。一方で欠点は帯電しやすいこと、耐熱性が低いことが挙げられます。

ポリエステルのその他情報

1. ポリエステルとナイロンの違い

ポリエステルに類似する高分子としてナイロンが挙げられますが、両者の化学構造は大きく異なります。ポリエステルがエステル結合によって、ナイロンはアミド結合によって高分子が形成されます。

ポリエステル繊維の特徴としてはハリ、コシがありシワになりにくいこと、酸・アルカリに強いことなどが挙げられます。一方でナイロン繊維は軽く、乾くのが速いという特徴があります。見た目や触り心地も異なり、ポリエステル繊維は綿、羊毛に近い触り心地なので婦人服、紳士服などに使われています。一方、ナイロン繊維はインナーウェアやストッキングなどに使われたり、自動車のエアバッグの素材としても使われています。

2. 不飽和ポリエステル

不飽和ポリエステルの3次元架橋形成反応不飽和ポリエステルは熱硬化性の樹脂で、この点が熱可塑性樹脂であるPET、PEN、PBT、PTTなどと異なります。具体的には不飽和結合を分子中に持ったポリエステル樹脂とビニル系モノマーの混合物を、加熱によりポリエステル樹脂がビニル系モノマーで3次元架橋させることで最終製品にします。

3. 不飽和ポリエステルの物性と用途

熱硬化性樹脂の物性比較

不飽和ポリエステルの物性と用途は表1の通りで、特に成形時の粘性が低いため成形性に優れています。ガラス繊維や炭素繊維と複合化すると強靭性が増すため自動車車体や船舶など強度が必要とする場合に使用されます。弱点は主鎖であるエステル結合がアルカリによって加水分解されることで分子量が低下し、耐アルカリ性が低くなることです。

参考文献
https://www.jcfa.gr.jp/statistics_index/
https://www.toray.jp/mf/product/tetoron/
基礎高分子科学(書籍:高分子学会編)

ポンチ

ポンチとは

ポンチ

ポンチ (英: punch) とは、材料に穴あけ加工をする際に穴の中心をマーキングする工具です。

垂直に立てたポンチにハンマーで1回打つと小さなくぼみを作れます。ドリルの先端が逃げない (ぶれない) 効果があり、ポンプなどの回転機を分解する際のアイマークとしてのマーキングで使用可能です。

ポンチの種類にはセンターポンチ (英: center punch) やピンポンチ (英: pin punch) などがあり、形状や使用用途が異なります。ポンチを使用する際には併せてハンマーが必要です。

ポンチの使用用途

ポンチは金属、木材、皮などの幅広い素材に使用でき、非常に汎用性が高い工具です。ケガキ針などで金属材料へ目印をつけ、そこにポンチを当てハンマーで打ち付けて小さなくぼみを作れば、穴を開ける場所からドリル先端がずれません。

ポンプなどの回転機を整備する際に分解後組付けを行いますが、分解前の状態と同様に組付けを行う必要があります。そこで分解前の組付け位置を間違わないためにアイマークをつけるのが一般的です。マーカーなどでもアイマークが可能ですが、手入れ時に消える可能性もあり、ポンチでのアイマークは確実に位置を確認できます。

ポンチの特徴

センターポンチはあくまでもマーキングが目的ですが、ピンポンチはピンを抜くことが目的の一つです。センターポンチは先端が円錐形状で、ピンポンチは先端が平らです。様々なピンを内向くために使用され、目的のピンと同径のピンポンチを準備してピンに当てながらハンマーで叩いて打ち抜きます。一撃で打ち抜くのではなく複数回叩きながら抜けを確認しつつ作業を行い、位置ずれによる傷やピンの折損などの確率を下げます。

ポンチは金属材料のマーキングやピンの出し入れに使うため、工具自体の硬度が必要です。一般的に焼き入れをした工具鋼で作られており、通常の金属よりも硬度が高い材質です。

ピンには平行ピン、テーパーピン、スプリングピンなどの種類があります。ピンを打ち抜くほか挿入の際にもピンポンチを利用して奥までしっかりと押し込めます。

ポンチの種類

主にポンチは6種類に分類でき、ピンポンチ、センターポンチ、自動ポンチ、穴あけポンチ、レターポンチ、マーキングポンチです。

1. ピンポンチ

ピンやボルトを取り除く場合に使われます。先端の形状が細く、穴からピンやリベットをすべて取り出す際に役立ちます。金属軸が穴にはまった場合やチェーンが錆びてリンクに引っかかった際にも使用可能です。

2. センターポンチ

先端が60°のポンチです。ドリルのガイド用の窪みを作り、表面位置を特定するために用いられます。センターポンチでガイドをつけると穴を開けるときにドリルの刃が固定され、穴を狙った場所に開けられます。叩く力が大きすぎると目印の周りに窪みや突起ができるため注意が必要です。

3. 自動ポンチ

ハンマーなどが必要ない便利なポンチです。手で簡単にガイド用の穴を被加工物に開けられます。内部にバネがあり、加工物を押した反作用がバネに貯まり、蓄積したエネルギーを再び穴開けに用います。ただし硬い素材にガイドをつける場合には適していません。アルミニウムやステンレスのような柔らかい材料に向いています。

4. 穴あけポンチ

穴を開ける場合に使用する中空状のポンチです。柔らかい金属板、布、皮などの材料の表面にポンチで穴を開けるときに使います。使用時には固い土台の上でポンチ作業を行うと力が逃げることなく穴を開けられます。皮抜きポンチとも呼ばれ、皮の穴を開けるときに使用可能です。

5. レターポンチ

文字を刻印するポンチです。加工物に数字やアルファベットの形状のポンチを当てて文字を刻印できます。よく皮素材の表面へ文字を刻印する際に用いられます。

6. マーキングポンチ

ジョイントポンチとも呼ばれ、木材同士を接合する際のダボ穴の位置決めに使われます。

マイクロフォン

マイクロフォンとは

マイクロフォン

マイクロフォンとは、音声を電気信号に変換する装置のことです。

略称として、マイクとも呼ばれるのが一般的です。音による振動を電気信号に変えることで、主に通信や録音、拡声などに使われます。

デジタルやアナログを問わず、音声の入力装置として総じてマイクロフォンと呼ばれます。マイクロフォンが音声入力装置であるのに対して、電気信号を音声に変換して出力する装置はスピーカーと呼ばれます。

マイクロフォンの使用用途

マイクロフォンは音声の入力装置として使われることから、放送用や、音楽録音用、騒音計の計測など、用途別にさまざまな形式で用いられています。また、スマートフォンやパソコン、ICレコーダー、カメラなどの多くの電子機器に内蔵されており、音声入力や音声認識などのために利用されています。

また、コンサートやライブ、講演会、イベントなどで、大勢の人を集めて声を届ける拡声装置としても有用です。カラオケや運動会、学校行事など、身近な場所で広く用いられています。

マイクロフォンの原理

マイクロフォンは、音響振動を電気信号に変換しますが、その変換の方式はさまざまです。具体的には、ダイナミック型、コンデンサ型などがあります。

1. ダイナミック型

ダイナミック型は、構成がシンプルで、振動板に取り付けられたコイルが音を電気信号に変換する構成になっています。ダイアフラムと呼ばれる振動板とボイスコイル、磁石が使われ、音の振動により磁束が変化し電気信号に変わる仕組みです。

ダイナミック型は、頑丈で扱いやすく、音の力強さを得られるため、演奏やライブ、講演会などでよく使われます。

2. コンデンサ型

コンデンサ型は構成が複雑で、振動板がコンデンサの電極となり、音を電気信号に変換します。電気を帯びたダイヤフラムと呼ばれる振動板とバックプレートと呼ばれる背板を組み合わせ電気的なコンデンサを構成しています。ダイヤフラムとバックプレートの間隔が振動の変化により、コンデンサ内の電界が変化します。この変化を電気的な入力にします。ダイナミック型にくらべ感度が高いことが特徴です。

コンデンサ型のマイクロフォンは構造が複雑で、内部に電子回路が必要になり、ダイナミック型のマイクロフォンに比べ、価格も高価になります。

マイクロフォンの種類

1. ムービングコイル型

ムービングコイル型のマイクは、振動板であるダイヤフラムに付けられたコイルが磁界の中で動くことで音=空気の振動を電気信号に変換します。この構造は、ギターやベースに使われるマグネティックピックアップマイクと似ており、弦の振動で電気信号が発生します。

2. リボン型

リボン型マイクは、磁極で挟まれたスリットの間に垂らした薄い金属箔のリボンを振動系として使い、音の振動によってリボンの両端に電気信号を発生させるマイクです。軽い振動系構造により高音域から低音域までの広い音域で音を拾うことができ、周波数特性にクセが出にくく自然な音がします。

3. カーボンマイク

カーボンマイクは、音声信号を得るために炭素粉の接触抵抗の変化を利用したマイクです。板状の2枚の電極の間に炭素の粉を入れた構造になっています。

片方を固定電極、他方を可動電極として、直流電流を電極間に流すと、音声により可動電極が振動し、電極と炭素粉との間の接触抵抗が変化し、音声信号が得られます。カーボンマイクは頑丈であり、感度は非常に高いですが、炭素粉の接触抵抗変化を利用しているため、音が歪みやす弱点があります。

4. 圧電マイク

圧電マイクは圧電素子を利用したマイクで、音声により電極を振動させることで音声信号を得ます。感度は高いですが出力電力は小さくなります。

主に帯域が限られる状況下で使用され、無線通信やコンクリートマイクが代表例です。

5. レーザーマイク

レーザーマイクは、音声振動による光の揺らぎをレーザー光を用いて受光素子で検出して復調するマイクの1種です。従来型のマイクでは使用が困難な環境下や状況下での使用が想定されており、ドップラー効果や干渉計によるものなど、複数の形式が存在します。

イオンマイクまたはプラズママイクと呼ばれる、振動板を用いずにプラズマを発生させ、そこに音波を当てて変調音波を取り出すマイクも研究されています。

参考文献
https://www.watanabe-mi.com/shopping/list/c352/?page=1

マイコン

マイコンとは

マイコンの外観

図1. マイコンの外観

マイコンとは、ひとつのICチップの中にコンピュータが持つ基本機能を一式搭載した電子部品です。

「マイクロコントローラ」または「マイクロコンピュータ」の略で、図1のような外観をしています。マイコンの内部には、演算処理を行うCPUと呼ばれる半導体や、ROM/RAMなどの記憶装置などが備わっています。マイコンを電子機器に組み込んだ機器は、組込み機器とも呼ばれています。

マイコンを使うことで一つのICの中で様々な機能を実現できるため、製品の部品点数を少なくできることや設計・開発にかかる工数削減に寄与することができます。現在では、電子機器で様々な動作をさせるためにはマイコンが必須と言えるでしょう。

マイコンの使用用途

マイコンの使用用途図2. マイコンの使用用途

マイコンは身近なものでは、自動車や、炊飯器などの家電に使われていますが、その他にマイコンが使われている家電製品を例に挙げます。

  • 冷蔵庫
  • 洗濯機
  • 電子レンジ
  • コードレス掃除機、ロボット掃除機
  • ドライヤー
  • 血圧計/体温計
  • 照明機器
  • テレビのリモコン

家電製品以外にも、家庭の電気やガスの使用量を計測するマイコンメーターや、Switchなどのゲーム機にもマイコンが使われています。身の回りの様々な電化製品に搭載されています。

マイコンの原理

マイコンの基本構成

図3. マイコンの基本構成

マイコンは、CPU (Central Processing Unit) 、ROM (Read Only Memory) 、RAM (Random Access Memory) 、I/O (Input/Output) 、タイマー、クロックジェネレータといった回路で構成されています。この構成によって、何らかの入力を受けてプログラムされた処理を行い信号を出力する動作を実現します。

マイコンの構成部品と役割は下記の通りです。

  • CPU
    プログラムされた処理を行う部分。
  • ROM
    プログラム処理の内容を決めるソフトウェアが格納される部分。
  • RAM
    プログラム処理結果などのデータを一時的に格納する部分。
  • I/O
    何らかの入力を受けて、処理した信号を出力する部分。アナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換もI/Oの機能の一部です。
  • タイマー
    プログラムの処理を開始/終了したり、プログラムを監視したりするための時間を計る部分。
  • クロックジェネレータ
    発信回路の信号を受け取り、異なる周波数の出力信号 (クロック) を生成する部分。

図3のような基本構成のほかにも周辺回路として、電源回路や発振回路、リセット回路などが構成されます。これらはマイコンの外部に置かれますが、マイコンを起動/制御するために必要な回路です。

  • 電源回路
    マイコン用の電源を生成する回路です。
  • 発信回路
    マイコンに供給するクロックを生成する回路です。
  • リセット回路
    マイコン電源ON時にマイコンを初期化するための回路です。

マイコンの種類

マイコンが使用される用途は幅広く、それぞれの用途に合った仕様、性能のものが多数存在しています。ここでは、マイコンの種類として車載用マイコン、家電用マイコン、産業用マイコンを取り上げ、それぞれの特徴について説明します。

1. 車載用マイコン

車載用マイコンには、自動車のエンジンや周辺機器を制御するための機能が搭載されています。エンジン制御では、燃料の噴射量や点火タイミングを計算し、アクチュエータに出力信号を送っています。

また、パワーウインドウなどの電動モーターを制御することも車載用マイコンの役割です。自動車には1台当たり約100個のモーターが使用されていると言われています。

2. 家電用マイコン

炊飯器、ドライヤー、コードレス掃除機などに使われるマイコンです。家電用マイコンは小型、省電力、安価であることが要求されています。

3. 産業用マイコン

工作機械や産業用ロボット、プラント制御など産業用途に使われるマイコンです。故障によって工場が止まると生産性が下がるため、産業用マイコンには長時間動作し続けられる高い信頼性が求められます。

また、産業用マイコンには産業用イーサネットに対応する通信機能が求められる場合もあります。 近年ではEtherCATなどの産業用イーサネットを搭載する産業機器が増えています。

産業用イーサネットは、これまでアナログ信号でやり取りしていたデータをデジタル通信に置き換えた産業用のネットワークです。産業用イーサネットを使うことで、省配線やデータの有効活用がしやすくなるメリットがあります。

参考文献
https://news.mynavi.jp/article/20200522-1040913/
https://www.renesas.com/us/ja/support/engineer-school/mcu-01-basic-structure-operation