ポンチとは
ポンチ (英: punch) とは、材料に穴あけ加工をする際に穴の中心をマーキングする工具です。
垂直に立てたポンチにハンマーで1回打つと小さなくぼみを作れます。ドリルの先端が逃げない (ぶれない) 効果があり、ポンプなどの回転機を分解する際のアイマークとしてのマーキングで使用可能です。
ポンチの種類にはセンターポンチ (英: center punch) やピンポンチ (英: pin punch) などがあり、形状や使用用途が異なります。ポンチを使用する際には併せてハンマーが必要です。
ポンチの使用用途
ポンチは金属、木材、皮などの幅広い素材に使用でき、非常に汎用性が高い工具です。ケガキ針などで金属材料へ目印をつけ、そこにポンチを当てハンマーで打ち付けて小さなくぼみを作れば、穴を開ける場所からドリル先端がずれません。
ポンプなどの回転機を整備する際に分解後組付けを行いますが、分解前の状態と同様に組付けを行う必要があります。そこで分解前の組付け位置を間違わないためにアイマークをつけるのが一般的です。マーカーなどでもアイマークが可能ですが、手入れ時に消える可能性もあり、ポンチでのアイマークは確実に位置を確認できます。
ポンチの特徴
センターポンチはあくまでもマーキングが目的ですが、ピンポンチはピンを抜くことが目的の一つです。センターポンチは先端が円錐形状で、ピンポンチは先端が平らです。様々なピンを内向くために使用され、目的のピンと同径のピンポンチを準備してピンに当てながらハンマーで叩いて打ち抜きます。一撃で打ち抜くのではなく複数回叩きながら抜けを確認しつつ作業を行い、位置ずれによる傷やピンの折損などの確率を下げます。
ポンチは金属材料のマーキングやピンの出し入れに使うため、工具自体の硬度が必要です。一般的に焼き入れをした工具鋼で作られており、通常の金属よりも硬度が高い材質です。
ピンには平行ピン、テーパーピン、スプリングピンなどの種類があります。ピンを打ち抜くほか挿入の際にもピンポンチを利用して奥までしっかりと押し込めます。
ポンチの種類
主にポンチは6種類に分類でき、ピンポンチ、センターポンチ、自動ポンチ、穴あけポンチ、レターポンチ、マーキングポンチです。
1. ピンポンチ
ピンやボルトを取り除く場合に使われます。先端の形状が細く、穴からピンやリベットをすべて取り出す際に役立ちます。金属軸が穴にはまった場合やチェーンが錆びてリンクに引っかかった際にも使用可能です。
2. センターポンチ
先端が60°のポンチです。ドリルのガイド用の窪みを作り、表面位置を特定するために用いられます。センターポンチでガイドをつけると穴を開けるときにドリルの刃が固定され、穴を狙った場所に開けられます。叩く力が大きすぎると目印の周りに窪みや突起ができるため注意が必要です。
3. 自動ポンチ
ハンマーなどが必要ない便利なポンチです。手で簡単にガイド用の穴を被加工物に開けられます。内部にバネがあり、加工物を押した反作用がバネに貯まり、蓄積したエネルギーを再び穴開けに用います。ただし硬い素材にガイドをつける場合には適していません。アルミニウムやステンレスのような柔らかい材料に向いています。
4. 穴あけポンチ
穴を開ける場合に使用する中空状のポンチです。柔らかい金属板、布、皮などの材料の表面にポンチで穴を開けるときに使います。使用時には固い土台の上でポンチ作業を行うと力が逃げることなく穴を開けられます。皮抜きポンチとも呼ばれ、皮の穴を開けるときに使用可能です。
5. レターポンチ
文字を刻印するポンチです。加工物に数字やアルファベットの形状のポンチを当てて文字を刻印できます。よく皮素材の表面へ文字を刻印する際に用いられます。
6. マーキングポンチ
ジョイントポンチとも呼ばれ、木材同士を接合する際のダボ穴の位置決めに使われます。