ポリエステル

ポリエステルとは

ポリエステル

ポリエステルとは、エステル結合によって生成される高分子の総称です。

代表的なものとしてはポリエチレンテレフタレート (PET) が挙げられます。エステル結合を形成する原料のアルコールやカルボン酸を変えることで、得られるポリエステルの性質も変えることができます。様々な用途で用いられますが、代表的なものは衣類や布団、カーテンなどの素材などです。

ポリエステルの使用用途

ポリエステルの使用用途には、ポリエチレンテレフタレート (PET) に代表されるペットボトル、ポリエステル繊維、電子機器や自動車部品に使用するケーブルの保護材などがあります。PETのほかにポリエチレンナフタレート (PEN) 、ポリブチレンテレフタレート (PBT) 、ポリトリメチレンテレフタレート (PTT) などもポリエステル繊維として用いられます。

他には不飽和結合を分子内に有する不飽和ポリエステルがあります。こちらはガラス繊維や炭素繊維と混合し複合化することで、軽くて強度が高い繊維強化プラスチック(FRP)として用いられます。FRPは航空機などの輸送機の部品や建材、スポーツ用品、ロケットなどの宇宙関係の部品など幅広い業界で使われる材料です。

ポリエステルの製造方法

ポリエチレンテレフタレートの製造方法

ポリエステルの製造方法は、2価アルコールと2価カルボン酸を脱水縮合させてエステル結合を形成する直接重合法と、ジカルボン酸エステルと2価アルコールをエステル交換反応させるエステル交換法の2種類があります。図1にPETの直接重合法とエステル交換法による製造方法を示しました。

脱水縮合させる2価のアルコールや2価のカルボン酸を変えることで様々なポリエステルを作ることができ、物性も変化するため用途も変化します。例えばアルコールの炭素数が2つのポリエチレンテレフタレートはフリースなどの衣服の素材として使われているのに対して、アルコールの炭素数が4つのポリブチレンテレフタレートは耐久性、ストレッチ性が高く、スポーツウェアや水着などに使われています。

ポリエステルは分子構造によって性質が異なりますが、共通する特徴は強度、耐摩耗性、弾力性などが高いことです。一方で欠点は帯電しやすいこと、耐熱性が低いことが挙げられます。

ポリエステルのその他情報

1. ポリエステルとナイロンの違い

ポリエステルに類似する高分子としてナイロンが挙げられますが、両者の化学構造は大きく異なります。ポリエステルがエステル結合によって、ナイロンはアミド結合によって高分子が形成されます。

ポリエステル繊維の特徴としてはハリ、コシがありシワになりにくいこと、酸・アルカリに強いことなどが挙げられます。一方でナイロン繊維は軽く、乾くのが速いという特徴があります。見た目や触り心地も異なり、ポリエステル繊維は綿、羊毛に近い触り心地なので婦人服、紳士服などに使われています。一方、ナイロン繊維はインナーウェアやストッキングなどに使われたり、自動車のエアバッグの素材としても使われています。

2. 不飽和ポリエステル

不飽和ポリエステルの3次元架橋形成反応不飽和ポリエステルは熱硬化性の樹脂で、この点が熱可塑性樹脂であるPET、PEN、PBT、PTTなどと異なります。具体的には不飽和結合を分子中に持ったポリエステル樹脂とビニル系モノマーの混合物を、加熱によりポリエステル樹脂がビニル系モノマーで3次元架橋させることで最終製品にします。

3. 不飽和ポリエステルの物性と用途

熱硬化性樹脂の物性比較

不飽和ポリエステルの物性と用途は表1の通りで、特に成形時の粘性が低いため成形性に優れています。ガラス繊維や炭素繊維と複合化すると強靭性が増すため自動車車体や船舶など強度が必要とする場合に使用されます。弱点は主鎖であるエステル結合がアルカリによって加水分解されることで分子量が低下し、耐アルカリ性が低くなることです。

参考文献
https://www.jcfa.gr.jp/statistics_index/
https://www.toray.jp/mf/product/tetoron/
基礎高分子科学(書籍:高分子学会編)

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