フランジ

フランジとは

フランジ(英語:Flange)とは、パイプ(配管)やダクト、装置などの機器に取り付けられた平面の「つば」状の板を示します。配管のパイプ同士の接続、装置とパイプの接続や、軸同士もしくは軸と回転機の接続に用いられる部品です。

また、機械や部品をボルト、ナットなどで締結し接合する場合に、円形や矩形形状の接合部分の平面をフランジと呼ぶことがあります。フランジを設けることで精度が高く密閉性の高い接合が可能になります。鉄道車両の車輪のつば部分や、自動車のタイヤホイールを車軸側に取り付ける部分も、フランジとも呼びます。

ここでは、一般的な配管継手としての配管用フランジについて説明します。

下記は、配管用フランジの代表的なJIS規格になります。

  • JIS B2220 鋼製管フランジ
  • JIS B2202 管フランジのガスケット座寸法
  • JIS B2239 鋳鉄製管フランジ
  • JIB B2240 銅合金製管フランジ
  • JIB B2241 アルミニウム合金製管フランジ
  • JIB B2290 真空装置用フランジ

フランジの使用用途

フランジは他の配管継手と比べ、繰り返し使用することが可能で、高い密閉性を確保することができます。容易に分解組み立てができることから、船舶、鉄道、工場で使用される配管の接続には多くフランジが使用されています。特に、配管内を流れる流体が、高温、低温、高圧、真空など特殊な条件で使用する場合の多くは、フランジを使用しパイプが接合されています。

パイプ同士を接合する場合のフランジは、2枚のフランジの間にガスケットシール材)を挟み込み、ボルト、ナットで2枚のフランジを締め付けて使用します。

フランジ組立

図1. フランジ組立

ガスケットは、さまざまな種類や形状があり、また使用する流体の温度や圧力に応じて、適切なガスケットを選定する必要があります。下記にガスケットの種類の一例を示します。
ジョイントシートガスケット:炭素繊維などにゴムを充填し平板シート状に成形したガスケットで、フランジの座面寸法に合わせて切断して使用します。

うず巻形ガスケット:V字形断面の金属フープと、フィラー(緩衝材)を重ね合わせ、うず巻状に巻き成型したガスケットで、高温、高圧流体に使用されることが多く、密閉性(シール性)が高いことが特徴です。

リングジョイント:断面がオーバルとオクタゴナルの2種類の形状で、軟鋼、ステンレス鋼、モネルなどの材質でできたメタルガスケットです。主に石油工業界のJPI規格で使用されています。

フランジの特徴

ここでは代表的な例として、パイプ同士を接続するフランジの JIS B2220 鋼製管フランジ の種類について説明します。
フランジは、主に形状、使用流体圧力、パイプとの接続方法、ガスケットの種類などにより、フランジの種類が分かれており、その中から適切な仕様のものを選定します。

下記にフランジの種類の一例を示します。

1. 差し込み溶接式フランジ(SOH)

スリップオン溶接式フランジ

図1. スリップオン溶接式フランジ

差し込み溶接フランジはスリップオンフランジとも呼ばれ、パイプをフランジ穴に差し込み、フランジ上面とパイプ外面、フランジ穴下部とパイプ外面をすみ肉溶接して取り付け固定します。一般的に多く使用されているフランジです。

2. ソケット溶接式フランジ(SW)

ソケット溶接式フランジ

図3. ソケット溶接式フランジ

ソケット溶接式フランジはソケットウェルドフランジとも呼ばれ、パイプをフランジ穴の奥の段差部分まで差し込み、フランジ上面とパイプ外面をすみ肉溶接して取り付け固定します。使用する流体の温度が高い場合は、フランジ穴の段差とパイプ端面に、熱膨張でパイプが伸びる寸法より大きめの隙間を設けて溶接します。こうすることで、流体の熱でパイプが膨張し伸びても、フランジ穴の段差に当たり、その反力で溶接部が損傷することを防止します。

3. 突き合わせ溶接式フランジ(WN)

突き合わせ溶接式フランジ

図4.突き合わせ溶接式フランジ

突き合わせ溶接式フランジはウェルドネックフランジとも呼ばれ、強度にも優れていることから、パイプ径の太い(例えば2-1/2B以上)場合に多く使用されます。パイプとフランジを真っ直ぐ同心で固定し溶接接合するのは簡単ではありませんが、信頼性の高い接合方式のフランジ種類です。

4. ねじ込み式フランジ(TR)

ねじ込み式フランジ

図5. ねじ込み式フランジ

ねじ込み式フランジはスレデッドフランジとも呼ばれ、先端に管用ネジ加工を施工したパイプをフランジにねじ込み取り付け固定します。配管施工の作業は容易ですが、使用する流体の圧力が高い場合は、ねじ部からの漏洩する可能性もあり、比較的に小口径で使用流体が低圧で温度の低い場合に使用します。

5. 遊合形フランジ(LJ)

遊合形フランジ

図6. 遊合形フランジ

遊合形フランジはルーズフランジ、ラップジョイントフランジとも呼ばれ、配管端部をスタブエンドと呼ばれる「つば」加工を施したパイプをフランジ穴にはめ込み取り付け固定します。パイプはフランジのナットを緩めれば、パイプの向きを変更することができるのが特徴です。配管施工の作業は容易ですが、シール性は比較的高くないことから、使用する流体は低圧で温度の低い場合に使用します。

6. 閉止フランジ(BL)

閉止フランジ

図7. 閉止フランジ

閉止フランジはブラインドフランジとも呼ばれ、配管末端で流体を閉止する場合や、フランジの締結を一時的に取り外した時に、流体が漏洩しないよう閉止フランジを取り付けます。

7. はめ込み形フランジ(MF)

はめ込み形フランジ

図8. はめ込み形フランジ

はめ込み形フランジはメールおよびフィーメルフランジとも呼ばれ、オス座面(メール座面)とメス座面(フィーメル座面)の2種類の座面形状フランジを組み合わせて使用します。フランジの溝同士がはまり込むことで、心出しが正確に行える特徴があります。

8. 溝形フランジ(TG)

溝形フランジ

図9.溝形フランジ

溝型の凹部と凸部の2種類の座面形状フランジを組み合わせて使用します。密閉性に優れているのが特徴です。

フランジのその他情報

ガスケット座の形状

ガスケット座の形状は、全面座(FF)と平面座(RF)の2種類があり、全面座は呼び圧力が10K以下などのフランジで使用され、平面座は一般的に使用されている座面形状です。

ガスケット座の形状

図10. ガスケット座の形状

フランジ選定時の応力計算基準については、「JIS B2205 管フランジの計算基準」として、リングガスケットを用いるボルト締め管フランジの応力計算基準について規定されています。

ただし一般的にフランジの選定は、上記計算に基づき計算し検証するのではなく、使用する流体の最高使用圧力および温度により、表から選定される呼び圧力(レーティング)のフランジを使用します。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です