マイクロフォンとは
マイクロフォンとは、音声を電気信号に変換する装置のことです。
略称として、マイクとも呼ばれるのが一般的です。音による振動を電気信号に変えることで、主に通信や録音、拡声などに使われます。
デジタルやアナログを問わず、音声の入力装置として総じてマイクロフォンと呼ばれます。マイクロフォンが音声入力装置であるのに対して、電気信号を音声に変換して出力する装置はスピーカーと呼ばれます。
マイクロフォンの使用用途
マイクロフォンは音声の入力装置として使われることから、放送用や、音楽録音用、騒音計の計測など、用途別にさまざまな形式で用いられています。また、スマートフォンやパソコン、ICレコーダー、カメラなどの多くの電子機器に内蔵されており、音声入力や音声認識などのために利用されています。
また、コンサートやライブ、講演会、イベントなどで、大勢の人を集めて声を届ける拡声装置としても有用です。カラオケや運動会、学校行事など、身近な場所で広く用いられています。
マイクロフォンの原理
マイクロフォンは、音響振動を電気信号に変換しますが、その変換の方式はさまざまです。具体的には、ダイナミック型、コンデンサ型などがあります。
1. ダイナミック型
ダイナミック型は、構成がシンプルで、振動板に取り付けられたコイルが音を電気信号に変換する構成になっています。ダイアフラムと呼ばれる振動板とボイスコイル、磁石が使われ、音の振動により磁束が変化し電気信号に変わる仕組みです。
ダイナミック型は、頑丈で扱いやすく、音の力強さを得られるため、演奏やライブ、講演会などでよく使われます。
2. コンデンサ型
コンデンサ型は構成が複雑で、振動板がコンデンサの電極となり、音を電気信号に変換します。電気を帯びたダイヤフラムと呼ばれる振動板とバックプレートと呼ばれる背板を組み合わせ電気的なコンデンサを構成しています。ダイヤフラムとバックプレートの間隔が振動の変化により、コンデンサ内の電界が変化します。この変化を電気的な入力にします。ダイナミック型にくらべ感度が高いことが特徴です。
コンデンサ型のマイクロフォンは構造が複雑で、内部に電子回路が必要になり、ダイナミック型のマイクロフォンに比べ、価格も高価になります。
マイクロフォンの種類
1. ムービングコイル型
ムービングコイル型のマイクは、振動板であるダイヤフラムに付けられたコイルが磁界の中で動くことで音=空気の振動を電気信号に変換します。この構造は、ギターやベースに使われるマグネティックピックアップマイクと似ており、弦の振動で電気信号が発生します。
2. リボン型
リボン型マイクは、磁極で挟まれたスリットの間に垂らした薄い金属箔のリボンを振動系として使い、音の振動によってリボンの両端に電気信号を発生させるマイクです。軽い振動系構造により高音域から低音域までの広い音域で音を拾うことができ、周波数特性にクセが出にくく自然な音がします。
3. カーボンマイク
カーボンマイクは、音声信号を得るために炭素粉の接触抵抗の変化を利用したマイクです。板状の2枚の電極の間に炭素の粉を入れた構造になっています。
片方を固定電極、他方を可動電極として、直流電流を電極間に流すと、音声により可動電極が振動し、電極と炭素粉との間の接触抵抗が変化し、音声信号が得られます。カーボンマイクは頑丈であり、感度は非常に高いですが、炭素粉の接触抵抗変化を利用しているため、音が歪みやす弱点があります。
4. 圧電マイク
圧電マイクは圧電素子を利用したマイクで、音声により電極を振動させることで音声信号を得ます。感度は高いですが出力電力は小さくなります。
主に帯域が限られる状況下で使用され、無線通信やコンクリートマイクが代表例です。
5. レーザーマイク
レーザーマイクは、音声振動による光の揺らぎをレーザー光を用いて受光素子で検出して復調するマイクの1種です。従来型のマイクでは使用が困難な環境下や状況下での使用が想定されており、ドップラー効果や干渉計によるものなど、複数の形式が存在します。
イオンマイクまたはプラズママイクと呼ばれる、振動板を用いずにプラズマを発生させ、そこに音波を当てて変調音波を取り出すマイクも研究されています。