容積流量計

容積流量計とは

容積(式)流量計は、計量室と呼ばれる計量カップが内蔵された流量計回転子(運動子)の2つで構成される計測機器です。

この流量計は英語表現に由来するPDメータ (Positive Displacement Meter) という名称で記述されることもあり、これは流量計に内蔵された計量室の容積が明確に決まっていることに由来しています。

容積流量計は計量室の充満、排出の繰り返し数で流体の体積を測るしくみで、この計量室によって直接流量を測ることができるためシンプルな構造であり、比較的安価で高精度な計測が可能です。

容積流量計の使用用途

流量には瞬時流量と積算流量の2種類がありますが、容積流量計は積算流量を正確に計測することに適しています。

また、容積流量計は一般に計量精度の良い測定ができるため、工業計器を始めとして広く一般に使用されています。

さらに、容積流量計には回転子の形状によってロータリーピストン式、ギヤ式、ルーツ式、ベーン式などの計測方式があります。これらのうち、ロータリーピストン式は燃料油計測に適しています。

なお、燃料油計測に関しては、国税庁通達により石油類の課税数量査定に容積流量計を使用することが認められて以降、容積流量計は取引証明用の流量計測分野において重要な位置を占めてきました。

このように、主な測定対象は流体ですが、ギヤ式とルーツ式では気体の計測も可能です。 

容積流量計の原理

容積流量計の大まかな作動原理は、流体のエネルギーにより回転子を作動させ、運動子の回転数から流量を算出します。このため、電気などの外部エネルギーを使う必要がないというのが大きな特徴です。

以下、代表的な計測方式であるルーツ式の作動原理について説明します。

ルーツ式ではケーシングの中に一対のまゆ型回転子が取り付けられています。

この回転子には歯車(パイロットギア)が組み込まれていて、これらが互いにかみ合い、回転子が擦れ合うことのないように設計されています。

また、回転子とケーシング内壁の間にわずかな隙間が設けられています。

流体がケーシング内に入ると回転子は流体に押され、回転子は外側に回転します。

すると、回転子とケーシング内壁との間に計量室が2か所交互に形成されます(ここではそれぞれ計量室A・Bと言います)。

その結果、流体は軽量室AまたはBのいずれかを通って下流側へ排出されます。

この一連の動きは、計量カップで一杯ずつ測り取ることを連続的に行っている作業に等しく、回転子の回転数を数えれば積算流量がわかります。 

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jime/52/3/52_342/_pdf/-char/ja
https://www.tokyokeiso.co.jp/techinfo/magazine/pdf/flow7.pdf
https://www.oval.co.jp/products/pd_index.html

粉体流量計

粉体流量計とは

粉体流量計は、粉や粒などの集合体(粉体)の流量を測定する装置です。

粉体は、ひとつひとつの粒子は固体ですが、大量に集まった状態で移動するときは流体のように振る舞うこともあります。粉体のその性質を利用し、移動する粉体の量を流体同様に流量として捉えて測定するのが、粉体流量計です。

粉体が流れる状況としては、自由落下する場合と空気輸送される場合があり、粉体の種類や測定現場に応じて様々なタイプの粉体流量計が使われています。

粉体流量計の使用用途

大量の粉や粒子の量を計測する場面は、様々な産業分野で見られます。

食品産業では、小麦粉、粉ミルク、ココア、砂糖、塩など、農業畜産業では農薬、肥料、飼料、小麦、米など、建設・土木産業ではセメント、消石灰、焼却灰、砂など、化学産業では顔料、酸化鉛粉、炭酸カルシウムなど、粉体流量計は多岐にわたる産業分野で原料・製品の計測管理や材料の比例配合に使用されています。

計測対象によっては体積流量で管理することが求められる場合と質量流量の場合があり、それぞれ対応可能な流量計があります。

粉体流量計の原理

粉体流量計にはいくつかのタイプがあり、それぞれ動作原理が異なります。

  1. 静電容量式
    対向した2枚の金属板からなる電極の間に、粉体を自由落下させる構造です。2枚の金属板はコンデンサとしての性質を持っていて、その間を絶縁体の粉体が通過すると、粉体の比誘電率と流量に応じて静電容量が増加します。電極間の静電容量を常時測定することで、通過する粉体の流量をリアルタイムに測定することができます。このタイプの流量計は自由落下の粉体の測定しかできません。
  2. マイクロ波式
    ドップラー効果を利用した粉体流量計です。輸送管にセンサが設置されていて、ここからマイクロ波を発信し、返ってきたマイクロ波を受信します。輸送管で反射して戻ってくるマイクロ波は発信したままの周波数ですが、管内を通過している粉体に当たって戻ってくるマイクロ波はドップラー効果により周波数が変化しています。変化した周波数は粒子の数に比例し、その周波数の振幅は粒子の平均体積に比例するので、周波数と振幅から粉体の流量が算出できます。このタイプは、自由落下、空気輸送どちらの粉体流量も測定できます。
  3. コリオリ式
    モータで回転している計量ホイールに粉体を入れると、遠心力によって粉体はホイールごと外側へ移動します。この時、回転方向とは逆の円周方向にコリオリの力が発生します。このコリオリの力は粉体の質量に比例しているため、コリオリの力を計測することで、粉体の質量流量を求めることができます。
    このタイプは、空気輸送の粉体しか測定できません。

参考文献
https://yamaden-sensor.jp/product/?id=1454403381-567655

定電流ドライバ

定電流ドライバとは

定電流ドライバ (英: Constant Current Dirver) とは、電源電圧や温度や負荷の変動によらずに安定した電流を出力することができる電子回路です。

トランジスタのコレクタ電流やMOSFETのドレイン電流が、ベース電流やゲート電圧で制御されることを利用して、負荷に一定の電流が流れるように制御します。

ツェナーダイオードを用いたものやオペアンプを用いたものなどいくつかの回路方式があり、他にはPWM制御などスイッチング方式で制御するものもあります。

定電流ドライバの使用用途

定電流ドライバの主な用途としてLEDの駆動回路が挙げられます。その場合はLEDドライバと呼ばれることもあります。

LEDの明るさは流れる電流によって決まるため、電源電圧の変動や温度の変化によって明るさが変わらないように定電流ドライバを用いて電流を制御します。適切に電流を制御することで、個々のLEDの特性ばらつきを抑えたり、効率よく発光させたり、寿命を延ばしたりすることもできます。

他には、モータの駆動回路に用いられることもあります。モータを一定のトルクで回したい場合に一定の電流を流す必要があるため、定電流ドライバが用いられます。

定電流ドライバの原理

ここでは、ツェナーダイオードを用いた回路方式について説明します。トランジスタのベースにツェナーダイオードを、エミッタにエミッタ抵抗を、コレクタに負荷を接続します。またツェナーダイオードは抵抗を介して電源に接続され、正しく動作するように適切な電流を流します。

ツェナーダイオードは電源電圧の変動によらず一定の電圧を保つため、トランジスタのベースには一定の電圧が印加されます。コレクタ電流はベース電流によって制御されますが、コレクタ電流が上がる方向に変動すると、エミッタ抵抗の電圧降下が大きくなりベース電流が下がるため、コレクタ電流を下げる方向に制御されます。逆にコレクタ電流が下がる方向に変動すると上げる方向に制御されます。結果として、負荷に流れるコレクタ電流が一定になるように制御されます。

オペアンプを用いた方式の場合、非反転入力にツェナーダイオードを、反転入力にトランジスタのエミッタを、出力にベースを接続することで、コレクタ電流が一定になるように制御されます。スイッチング方式の場合、トランジスタのオン/オフをPWM制御することで、コレクタ電流の平均値が一定になるように制御されます。

参考文献
https://www.ti.com/jp/lit/wp/jajy095/jajy095.pdf
https://techweb.rohm.co.jp/motor/tech-info/column/755

光変換器

光変換器とは

光変換器とは、光メディアコンバータとも呼ばれ、電気信号を光信号に、光信号を電気信号に変換する装置です。

LANケーブルに代表されるメタルケーブルを使った通信では、電位差を電気信号として伝送しますが、伝送距離が長くなると電気信号が減衰し、さらにケーブル内外で発生する電磁波ノイズの影響で、通信エラーが起こりやすくなります。

光ファイバーを使った通信では、光の点滅を信号として伝送します。光ファイバー内の光信号は減衰率が低く、電磁波の影響も受けないので、2本のメタルケーブルの間に長い光ファイバーを挟むことで、安定した長距離通信が実現できます。

このとき、メタルケーブルと光ファイバーを接続するのが光変換器です。

光変換器の使用用途

光変換器は、一般家庭やオフィスビルに引き込まれている光回線からそれぞれのLANシステムへのつなぎ目、全国に存在するWiFi通信設備と光回線との接続部分など、多岐にわたる場所で使用されています。

コンピュータとその周辺機器、製造装置、家電機器に至るまでネットワークで接続されている現在、あらゆる場所でデータ通信設備を必要としています。そして、光ファイバーには減衰率が低いこと、ノイズに強いこと、軽量であること、腐食や錆に強いことなどのメリットがあることから、全国に光ファイバーによる通信網が展開されています。

ネットワークに接続されている機器は、電気信号で動作します。光ファイバーによって伝送された光信号は、そのままでは使えません。信号として利用するためには光変換器が必要です。

光変換器の原理

1. EO変換

電気信号を光信号へ変換することを「EO変換」と呼び、光信号の光源としては半導体レーザーが使われます。レーザー光の変調方法の種類は、電気信号を直接半導体レーザーの駆動電流として供給する直接変調と、半導体レーザー自体は連続駆動しその光を変調器で変調する外部変調の2種類です。

直接変調は、小型で変調回路を容易に構成できるというメリットがありますが、直接駆動するため半導体レーザーの発振遅延による波形劣化を起こしやすいという欠点があります。そのため、長距離通信用途では外部変調が採用されます。

2. OE変換

光信号を電気信号に変換することを「OE変換」と呼び、光入力をフォトダイオードで電気信号に変換します。フォトダイオードは光センサーとも呼ばれる半導体素子で、PN結合で構成されています。フォトダイードのP側を電源のマイナス、N側をプラスに接続すると、逆接続なので電流は流れず、この時にできるのがPN接合面周辺には空乏層と呼ばれる領域です。

この空乏層に光が当たると電子と正孔が発生し、電子はN側の電極へ、正孔はP側の電極へ移動して、P側からN側へと電流が流れます。光が入力した時にだけ電流が流れるこの原理を使って、光信号は電気信号に変換されるのです。EO変換器とOE 変換器をセットにしたものが、光変換器です。

光変換器のその他情報

光変換器の回路パターン

光変換器の特性を活かすためには回路パターンや実装レイアウトに注意を払う必要があり、特に注意すべき点として次の2点が挙げられます。

1. インピーダンス整合
Gbpsクラスの変調の場合で回路長さがミリ単位に及ぶ際は、インピーダンス整合を考慮する必要があります。具体的には半導体レーザーとレーザードライバのインピーダンス整合の考慮が必要です。

インピーダンス整合が上手くできていないと反射やリンギングを生じ、変調波形の劣化につながります。設計の際にシミュレーションと並行して、実装上での特性検証が必要な場合が多いです。

2. 受光器と初段アンプの構成
受光器から初段アンプの間には非常に微弱な信号が流れています。規定の最小受光感度を確保するためにはこのノイズを可能な限り抑えることが重要です。

回路の組み方や配置で受光感度が変わるので、インピーダンス整合と同様に実装上での特性検証が必要な場合が多いです。

参考文献
https://www.tmele.jp/wp2020/wp-content/themes/tamagawadenshi/images/case/case_rof.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jiep1998/9/7/9_7_574/_pdf
https://www.sanwa.co.jp/product/network/hikariconverter/converter.html

丸鋸盤

丸鋸盤とは

丸鋸盤

丸鋸盤とは、丸いノコギリを高速回転させて木材などを直線に切断する機械のことです。

手に持って使用する丸鋸とは異なり、台に固定されて使用されます。テーブル丸鋸やテーブルソー、手押し丸鋸盤とも呼ばれ、木材を台上に固定された丸鋸に向かって動かして切断することが可能です。また、スライド丸鋸盤と呼ばれる、丸鋸部を前後にスライドさせて使用する機種もあります。

台上に材料を動かす際の調節できるガイドが付いている機種が多く、手に持って使用する丸鋸に比べて比較的簡単に正確な寸法で切断することが可能です。また、刃を交換することによって、異なる素材の切断にも対応できます。

また、切断する素材によって異なる種類があります。例えば木材を切断する木工用丸鋸盤、金属を切断する金属用丸鋸盤、プラスチックやアクリルを切断するプラスチック用丸鋸盤、そして石材を切断する石材用丸鋸盤など多種多様です。また、DIY用の小型丸鋸盤や、産業用の大型丸鋸盤など、用途に合わせた様々なサイズや形状の丸鋸盤が存在します。

丸鋸盤の使用用途

丸鋸盤は主に木材を切断するために使用されるほか、機種や鋸刃を変えることで、様々な材料の切断が可能です。例えばプラスチックや金属、レンガ、サイディングなどを切断することもできます。丸鋸盤は材料を同じ寸法で繰り返し切断でき、角度をつけた斜めの切断も可能です。このため、建築現場や木工工場などで、大量の材料を切断する際に効率的に使用されています。

台についたガイドや鋸刃の出代を細かく調節、固定できるため、高い精度で材料を切断すること可能で、小型の丸鋸盤は比較的運搬が容易ですが、台の大きい機種は移動が大変なため、作業場に据え置いて使用する用途に向いています。

また、木材や建材の切断以外にもDIYや趣味の木工、工作などでも活用されています。また、プロの建築家や大工、現場監督などが丸鋸盤を使用して建築現場で作業することも多く、建築や木工業界において欠かせない機械といえます。

丸鋸盤の原理

丸鋸盤には台から鋸刃が出ているタイプと鋸刃が上下に動くタイプがあり、原理が異なります。

1. 台から鋸刃が出ているタイプ

台から鋸刃が出ているタイプは、本体にオンオフ切り替えるスイッチのほかに鋸刃を調整するダイヤルやねじが付いています。また、本体の下部には脚が付いている機種が多く、上部の材料を乗せる台以外に長尺の材料を切断するための補助台が付いた機種もあります。

材料を動かす台上には材料を当てるガイドが付いており、位置を調節して固定することが可能です。このため、正確な寸法で切断でき、繰り返し同じ寸法で切断する作業に適しています。

2. 鋸刃が上下に動くタイプ

一方、鋸刃が上下に動くタイプ (スライド丸鋸) は、鋸本体が上下に動く軸と、前後にスライドするスライド軸が備わっています。幅の狭い材料をスライド固定して上下のみで切断可能です。鋸の角度を変えることで傾斜切断も容易にでき、板材の留め接ぎ加工などで重宝します。傾斜できる向きや角度の範囲は機種により異なりますが、多くの機種では0~45°程度まで 傾斜可能です。

丸鋸盤は主に木材を切断するために使われますが、鋸刃を変えることでプラスチックや金属、レンガやサイディングを切断することも可能です。小型の丸鋸盤は比較的運搬が容易ですが、台の大きい機種は移動が大変なので現場に運搬して使用するよりは、作業場に据え置いて使用することが一般的です。

丸鋸盤の種類

丸鋸盤は、台鋸式丸鋸盤、スライド式丸鋸盤、ポータブル式丸鋸盤、CNC丸鋸盤の4種類が存在します。

1. 台鋸式丸鋸盤

台から鋸刃が出ているタイプで、台の上に材料を置いて切断する方法が一般的です。鋸刃の角度を変えることで傾斜切断ができ、材料を同じ寸法で繰り返し切断する場合に適しています。大型機種は固定式で、小型機種は携帯性が高く移動に便利です。

2. スライド式丸鋸盤

鋸刃が上下に動くタイプで、前後にスライドするスライド軸が備わっています。幅の狭い材料をスライド固定して上下のみで切断します。鋸の角度を変えることで傾斜切断も容易にでき、板材の留め接ぎ加工などで重宝されるでしょう。傾斜できる向きや角度の範囲は機種により異なりますが、0~45度程度まで傾斜できる機種があります。

3. ポータブル式丸鋸盤

移動が容易で持ち運びができるタイプです。小型機種は一般的に手持ち式で、大型機種は脚がついているタイプがあります。小型機種は、狭い場所でも作業ができ、大型機種は現場での使用に適しています。

4. CNC丸鋸盤

CNC (コンピュータ数値制御) 技術を応用した丸鋸盤で、高精度な切断ができます。機械的に精度を出すため、高価格な傾向にあります。大量生産や複雑な形状の加工に向いています。

参考文献
https://www.bildy.jp/power/c509c610c2666/
https://electrictoolboy.com/media/4864/
https://www.diyna.com/wcf/wcf01-13.html

両頭グラインダ

両頭グラインダとは

両頭グラインダ

両頭グラインダとは、卓上グラインダやベンチグラインダとも呼ばれる研削・研磨加工を行う機械のことです。

通常、作業台などに固定して使用し、横向きに固定されたモータの軸両端に取り付けられた2つの円盤状の砥石が回転する仕組みとなっています。両端の砥石に異なる粒度のものが取り付けられることで、一方の砥石で荒砥作業を行い、もう一方の砥石で仕上げ作業できるのが特徴です。砥石の交換を繰り返さず、効率的に作業を進められます。

両頭グラインダは、工具や金属部品の研磨・整形に最適で、精度の高い加工を求められる場面で活躍します。また、使用方法や砥石の取り付け方によって、さまざまな素材や形状の対象物に対応できるため、幅広い用途で利用されています。

両頭グラインダの使用用途

両頭グラインダは、素材の加工や刃物の荒砥作業、研磨作業など、多岐にわたる用途で利用されています。素材の加工では、小さい素材の成型加工や金属素材を切断加工した後のバリ取りなどに使用されます。万力で固定できないような小さな素材も、両頭グラインダを用いることで簡単に加工が可能です。

また、刃物の荒砥作業にも適しています。大工道具のノミやカンナ、ノコ刃などの砥ぎ作業に利用されるほか、固定が難しい小さな旋盤のバイトの研磨にも使われます。さらに、砥石の代わりに布や麻でできたバフを取り付けることで、細かい仕上げの研磨作業にも利用可能です。

刃物の研削が多い場合は、専用の刃物研磨機を使用することが一般的ですが、バフを取り付けた仕上げ作業が多い場合には、バフグラインダという選択肢もあります。

両頭グラインダは、加工や研磨作業において非常に便利な機械です。作業現場での効率向上や品質向上に貢献するため、多くの職人やDIY愛好家に重宝されています。

両頭グラインダの原理

両頭グラインダは、下部にベース部を持ち、大きい機種ではボルトで作業台に固定することが可能です。本体にはスイッチが付いており、回転数を調節できるダイヤル付きの機種も存在します。また、両端に砥石を取り付ける構造になっており、安定させる支持台 (ワークレスト) や安全カバーが装備されています。

取り付けられる砥石の粒度は、金属加工に使用する場合には36~120番程度が一般的です。機種によっては、使用できる砥石の直径範囲が指定されています。比較的小さな205mm以下の砥石に対応した機種は単相100Vで動作し、205mmを超える大きな砥石に対応した機種は三相200Vで動作します。

両頭グラインダの構造と原理により、研削や研磨作業において安定した性能を実現しています。用途が限られるものの、材料を押し付けて研削する作業に適しており、金属加工や刃物研磨などの用途で多くの現場で活躍している機械です。

両頭グラインダの種類

両頭グラインダは、主に大型両頭グラインダ、小型両頭グラインダ、バフグラインダの3種類が存在します。

1. 大型両頭グラインダ

大型両頭グラインダは、大きな砥石を使用可能で、より大型の作業に適した機種です。三相200Vで動作し、金属加工や刃物研磨など、精密な作業が求められる場合に使用されます。また、集塵機能が搭載されている機種もあり、作業環境の改善に役立ちます。

2. 小型両頭グラインダ

小型両頭グラインダは、単相100Vで動作し、家庭用電源で使用できることが特徴です。砥石の直径が比較的小さな205mm以下のものに対応しており、DIY愛好家や趣味の工作などに適しています。コンパクトで場所を取らず、手軽に利用できるのが魅力です。

3. バフグラインダ

バフグラインダは、砥石の代わりに布や麻でできたバフを取り付けて使用する機種です。仕上げ作業に特化しており、金属やプラスチックなどの素材に磨きをかけることができます。美しい仕上がりを求める場合や、研削後の微細な研磨作業に適しています。

参考文献
https://diytools1.com/2016/07/14/post-16075/
https://www.kousakukikai.tech/grindingmachine/
https://www.bildy.jp/mag/desktopgrinder-guide/

マイクロモーター

マイクロモーターとは

マイクロモーター

マイクロモーターとは、非常に小型の電動モーターのことです。

出力が3ワット以下のモーターをマイクロモータと呼ぶことが多いです。サイズが非常に小さく、ミリメートル単位のモーターもあります。マイクロモーターは非常に小型なため、制約のある空間や微細なシステムに組み込むことができます。

これにより、小型デバイスやモジュールの設計が可能です。医療系精密機器をはじめ、最新技術の自動車各種部品といった高度な技術を要求される産業分野でも利用されます。

マイクロモーターは、ミクロエレクトロメカニカルシステム (MEMS) やナノテクノロジーの進歩により、さらに小型化や高性能化が進行中です。より複雑なタスクを達成するための微細な動力源として活用されています。

マイクロモーターの使用用途

マイクロモーターはさまざまな分野で使用される機器です。以下はマイクロモーターの使用用途一例です。

1. 医療機器

内視鏡や手術用ロボットなどの医療機器で使用されます。また、歯科治療用のハンドピースにもマイクロモーターが内蔵されています。ハンドピースに使用されるモーターの性能は回転速度がおよそ100~40,000回転/分程度です。

2. 電子デバイス

スマートフォン用の振動モーターなどに使用されることが多いです。また、フィットネスバンドやスマートウォッチなどのウェアラブルデバイスに組み込まれます。通知やバイブレーションアラートなどの機能に使用されます。

これらの機器で使用されるマイクロモーターは、電池で駆動できるように直流モーターが使用されることが多いです。

3. 自動車

自動車の外部ミラーは、マイクロモーターによって自動的に格納・展開されることがあります。これにより、車両の幅を狭めたり、駐車時にミラーが傷つくのを防いだりすることが可能です。

また、自動車のシートの調整機能に使用されることもあります。運転席や助手席のシートの位置や角度を電動で調節することができます。

マイクロモーターの原理

マイクロモーターの原理は、一般的な直流モーターの原理と同様です。コイルと呼ばれる導線の巻き線を持ち、このコイルに電流を流すことで磁場が形成されます。 電流が流れるコイルの周りに磁場が形成されると、コイルと磁場の相互作用によって発生する力がローレンツ力です。この力によってコイルを回転させています。

コイルに流れる電流の方向と、その周りの磁場の方向、および発生する力の方向は直交します。この法則に基づいて、マイクロモーターの回転方向や力の向きを制御することが可能です。

マイクロモーターには、回転子と固定子と呼ばれる2つの主要な部分があります。回転子は電流を流すコイルが配置された部分であり、ステーターは固定された磁場を提供する部分です。回転子のコイルとステーターの磁場の相互作用によって、回転子が回転運動します。

マクロモーターの種類

マイクロモーターにはブラシレスモーターや永久磁石型DCモーターなどの種類が存在します。

1. ブラシレスモーター

電気的に接触するブラシを持たない直流モーターです。効率的で信頼性の高い動力源として知られています。一般的には3つ以上のコイルを持ち、これらのコイルに順序正確に電流を供給することで回転を実現します。

ブラシレスモーターは小型化や高効率が可能であり、長寿命でメンテナンスが少ない点が特徴です。また、インナーローター型とアウターローター型の2種類に分類されます。インナーローター型は制御性に優れており、アウターローター型は安定した回転を維持することに優れています。

2. 永久磁石型DCモーター

内部に永久磁石を持ち、ブラシを使用して回転するモーターです。ブラシはコイルに電流を供給する役割を果たします。比較的シンプルでコストが低く、制御が容易です。ブラシの摩耗やメンテナンスの必要性があるため、一部の応用分野ではブラシレスモーターが好まれます。

永久磁石を装着する方法の違いから、表面磁石型と埋込磁石型に分類されます。表面磁石型はローター外周に永久磁石を貼り付ける方式で、埋込磁石型はローターの内側に永久磁石を埋め込む方式です。

参考文献
https://jp.aspina-group.com/ja/learning-zone/columns/high-efficiency/005/
https://www.ally-japan.co.jp/motor.html

マイクログラインダ

マイクログラインダとはマイクログラインダ

マイクログラインダーとは、手に持ってワークを削ったり磨いたりするためのペンのような形状をした加工器具のことです。

加工器具はルーターやリューターとも呼ばれ、工具として広く用いられています。マイクログラインダーは、電気モーターで駆動するタイプだけでなく、エアーで駆動するエアーマイクログラインダーもあります。また、実際に加工する先端のツールは交換可能で、加工内容に応じてツールを変えられます。

加工器具は回転速度を調整可能で、低回転領域でも加工に十分なトルクを維持することができます。そのため、精密加工や微細な作業に向いており、時には工業製品だけでなく、アクセサリーや時計などの精密な加工にも用いられます。

しかし、高速回転しているので安全に取り扱うためには、正しい使い方や保護具の着用が必要です。また、高速回転することから発生する振動や騒音にも気をつけなければなりません。

マイクログラインダの使用用途

マイクログラインダーは、金属のバリ取りや面取り、精密研磨仕上げ、彫刻などの加工に使用されます。また、大きな工具が入りにくい内側の加工や自由曲面などの微細な加工が必要な場所でも使用可能です。プラスチック、セラミック、ガラス、石、木材など、切削や研削可能な素材はさまざまです。

特に、エアマイクログラインダーは歯科医院で歯を削るために使用されます。歯を削る際には、高速回転する必要があり、高い精度と安全性が求められるからです。エアマイクログラインダーは、高速回転により、細かな部位に精密に加工すること可能です。また、衛生的な点からも重宝されています。

そのほか、塗装をはがすためのブラシなどでは研磨できない微細な部分にも対応できます。

マイクログラインダの原理

マイクログラインダーは、超硬や砥石などバリエーションに富んだ先端工具を使用し、狭い部位の加工に適したコンパクト加工機です。加工する場所に合わせて回転方向も正転逆転を選択可能で、幅広い用途に対応できます。

マイクログラインダーは、電動とエアーの二種類の駆動方法があります。電動タイプは最大約40,000回転/min、エアータイプは最大約100,000回転/minと高速で回転します。そのため、加工時間を短縮可能で、高速で精密な加工を実現します。

加工部はストレートタイプのほか、下方向を向いているアングルタイプ (45°~120°) もあり、幅広い加工に対応します。回転系のグラインダーが主流ですが、中には1秒間に100回以上往復する前後運動式や左右運動式のものもあり、回転式加工機が苦手とする隅の加工などを行うことが可能です。

マイクログラインダーは、先端工具の種類によって、切削や研削、磨きなど、さまざまな加工に使用されます。超硬材料を使った先端工具は、高い耐久性と精度を持ち、高速回転にも耐えられるため、微細な加工に適しています。

マイクログラインダの種類

マイクログラインダーには主に電動マイクログラインダー、エアーマイクログラインダー、ピストン型マイクログラインダーの3種類が存在します。

1. 電動マイクログラインダー

電動マイクログラインダーは、電動モーターで回転するタイプのマイクログラインダーです。加工する場所に合わせて正転や逆転に切り替えでき、回転数も可変式になっているものが多いため、さまざまな用途に使用されます。

主に、金属のバリ取りや面取り、精密研磨仕上げ、彫刻などの加工に使用される場合が多いです。

2. エアーマイクログラインダー

エアーマイクログラインダーは、空気圧で駆動するタイプのマイクログラインダーです。回転数が高速であるため、金属やプラスチック、セラミックス、ガラスなどの切削や研削に適しています。また、歯科医院などで歯を削るために使用されることもあります。

3. ピストン型マイクログラインダー

ピストン型マイクログラインダーは、ピストンの往復運動によって駆動するタイプのマイクログラインダーです。回転型と比較すると加工速度は遅いですが、前後運動式や左右運動式など、回転式加工機が苦手とする隅の加工や微細な加工に適しています。

また、加工に伴って熱が発生することが少ないため、素材によってはピストン型が選ばれることもあります。

参考文献
https://www.monotaro.com/g/00183937/
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td06/x0314.html

ボウルフィーダ

ボウルフィーダとはボウルフィーダ

ボウルに供給されたワークに振動を与えて一つずつ一定方向の姿勢に整列させ、次の工程に供給するための装置です。

ワークを整列させるための領域をボウル(形状がボウル)部、ボウル内にワークが不足しないように自動で補充するホッパー部、ボウルで整列されたワークを次工程の機械に送るシュート(レールやトラフとも呼ばれる)部によって構成されます。

ボウルフィーダを使うことで自動でワークの供給ができ、生産ラインの自動化・省力化を実現します。

ボウルフィーダの使用用途

生産工程で、ロボットなどFA機器を使って自動化を行う際、部品を一定方向にむけて、次工程が取りやすい状態にして供給するために使用します。

ボルトやネジとワッシャーをボウルフィーダーに投入、組付けた状態で次工程に供給することもできます。

また、バネのように絡みやすいワークでもばらし器で1つずつ分離して次工程に供給することもできます。

ボウルフィーダに異物混入検査機能など複合機能をもたせることも可能です。

ボウルフィーダの原理

ボウルフィーダは製品をさまざまな姿勢で供給することができ、供給速度はボウルを振動させる周波数で調整することができます。

樹脂など導電性がないワーク同士が接触、振動でこすれることで静電気が発生、クーロン力でひっつくことがあり、イオナイザなどでワーク同士の分離をはかることが多いです。

振動による騒音が大きいのがネックですが、最近は振動ではなくモーターによる回転を使って整列、供給する低騒音無振動なボウルフィーダもあります。

ボウルフィーダはワークにあわせた形状になっており、ワークを変えるためにはボウルフィーダ自体を変えなければなりません。そのため、大量に長期間、同じワークを供給するのには向いていますが、少量多品種には向きません。

少量多品種向けには適当に並べたワークをコンベア搬送、3Dビジョンセンサを使っでワーク形状を認識、把持位置を判断してパーツを把持する方法が提案されています。

参考文献
https://www.parts-feeder.com/qa/yougo.html
https://www.parts-feeder.com/seihin/index.html

ヘリカルカップリング

ヘリカルカップリングとは

ヘリカルカップリング

ヘリカルカップリング (英: Helical coupling)  とは、円柱状の材料に螺旋状のスリットが入った完全一体構造の金属カップリングです。

スリットを入れることで一体の円柱に弾性を持たせ、その弾性変形の範囲で軸同士のミスアライメントを吸収します。ヘリカルカップリングは、バックラッシュがなく、振動減衰性もあるため、回転動作を正確に伝達できるのが特徴です。

ヘリカルカップリングの使用用途

ヘリカルカップリングは、モータ (サーボモーターステッピングモーター) や回転シリンダーなどの駆動軸と従動軸をつなぎ動力を伝達させるときに使用します。特に軸間の偏心や偏角、エンドプレイのミスアライメントが発生する箇所や軸の径が異なる場合に有用です。

ミスアライメントのうち、偏角の許容範囲は比較的大きいですが、偏心、軸振れの許容範囲は小さいです。また、他のカップリングに比べ小型で、バックラッシがないため、高精度、軽負荷用途に向いています。

1. 回転角度計測器 (エンコーダ)

エンコーダなど精密な回転角計測においては、接続するカップリングは、高精度で高ねじれ剛性が必要です。ヘリカルカップリングは、バックラッシがなく、さらに小型で低慣性、振動減衰性があり、この用途に使用されます。

2. 医療用機械・光学機器

医療用機器や光学機器は、機器先端のわずかなズレが機器性能に大きく影響します。このため、駆動部からの高精度の伝達や振動低減が必要で、かつ操作の追従性も重要視されます。ヘリカルカップリングは、このような高精度、低振動の用途に有効です。

3. 精密ステージ

精密ステージの駆動部は、微細な角度の調整が必要です。ヘリカルカップリングは、バックラッシがなく小型のため、この用途に使用されます。

ヘリカルカップリングの原理

図1. ヘリカルカップリングの構造

ヘリカルカップリングの原理は、ヘリカル (螺旋) 状のスリットにより一体の円柱にばねのように弾性を持たせることです。その弾性変形の範囲で、軸同士のミスアライメントを吸収可能です。

カップリングが一体構造のため、バックラッシュがなく、ミスアライメントを吸収しながら、動力を伝達できます。その弾性性能で、装置の振動や衝撃を吸収します。なお、ヘリカルカップリングの材質はステンレスやアルミ合金 (ジュラルミン) などが使用されます。

ヘリカルカップリングの種類

1. たわみ性とねじり剛性による分類

ヘリカルカップリングは、スリット範囲を長くすることでたわみ性を向上し、ミスアライメントの許容範囲が広がりますが、ねじり剛性は低下します。

また、スリットの条数 (スリットの数) で、たわみ性が必要な場合は1条スリットモデル、高ねじり剛性が必要な場合は2条スリットモデルが使用されます。

2. 軸との固定方法による分類

図2. 軸との固定方法

軸との固定方法は、クランピング方式とねじ止め方式があります。ねじ止め方式では、キー溝を併用したタイプもあります。

ヘリカルカップリング

スリット型カップリング

図3. スリット型カップリングの例

スリット型カップリングは、本体にスリットが入った物を示し、ヘリカルカップリングも含まれます。スリット形状が螺旋形状以外に、対面に直線状のスリットを入れた列を次の列は回転させながら等間隔に並べたカップリングもあり、ヘリカルカップリングに比べ低コストです。

ヘリカルカップリングと同等の性能を持ちますが、スリットの方向により回転角度位置によって若干変形状態が変化するため、高精度の角度伝達や振動減衰を求める用途ではヘリカルカップリングの方が有利です。

参考文献
https://www.mikipulley.co.jp/JP/Products/FlexibleCouplings/HELI-CAL/index.html
https://www.nbk1560.com/resources/coupling/article/couplicon-about/#disc_type