定電流ドライバとは
定電流ドライバ (英: Constant Current Dirver) とは、電源電圧や温度や負荷の変動によらずに安定した電流を出力することができる電子回路です。
トランジスタのコレクタ電流やMOSFETのドレイン電流が、ベース電流やゲート電圧で制御されることを利用して、負荷に一定の電流が流れるように制御します。
ツェナーダイオードを用いたものやオペアンプを用いたものなどいくつかの回路方式があり、他にはPWM制御などスイッチング方式で制御するものもあります。
定電流ドライバの使用用途
定電流ドライバの主な用途としてLEDの駆動回路が挙げられます。その場合はLEDドライバと呼ばれることもあります。
LEDの明るさは流れる電流によって決まるため、電源電圧の変動や温度の変化によって明るさが変わらないように定電流ドライバを用いて電流を制御します。適切に電流を制御することで、個々のLEDの特性ばらつきを抑えたり、効率よく発光させたり、寿命を延ばしたりすることもできます。
他には、モータの駆動回路に用いられることもあります。モータを一定のトルクで回したい場合に一定の電流を流す必要があるため、定電流ドライバが用いられます。
定電流ドライバの原理
ここでは、ツェナーダイオードを用いた回路方式について説明します。トランジスタのベースにツェナーダイオードを、エミッタにエミッタ抵抗を、コレクタに負荷を接続します。またツェナーダイオードは抵抗を介して電源に接続され、正しく動作するように適切な電流を流します。
ツェナーダイオードは電源電圧の変動によらず一定の電圧を保つため、トランジスタのベースには一定の電圧が印加されます。コレクタ電流はベース電流によって制御されますが、コレクタ電流が上がる方向に変動すると、エミッタ抵抗の電圧降下が大きくなりベース電流が下がるため、コレクタ電流を下げる方向に制御されます。逆にコレクタ電流が下がる方向に変動すると上げる方向に制御されます。結果として、負荷に流れるコレクタ電流が一定になるように制御されます。
オペアンプを用いた方式の場合、非反転入力にツェナーダイオードを、反転入力にトランジスタのエミッタを、出力にベースを接続することで、コレクタ電流が一定になるように制御されます。スイッチング方式の場合、トランジスタのオン/オフをPWM制御することで、コレクタ電流の平均値が一定になるように制御されます。
参考文献
https://www.ti.com/jp/lit/wp/jajy095/jajy095.pdf
https://techweb.rohm.co.jp/motor/tech-info/column/755