光変換器とは
光変換器とは、光メディアコンバータとも呼ばれ、電気信号を光信号に、光信号を電気信号に変換する装置です。
LANケーブルに代表されるメタルケーブルを使った通信では、電位差を電気信号として伝送しますが、伝送距離が長くなると電気信号が減衰し、さらにケーブル内外で発生する電磁波ノイズの影響で、通信エラーが起こりやすくなります。
光ファイバーを使った通信では、光の点滅を信号として伝送します。光ファイバー内の光信号は減衰率が低く、電磁波の影響も受けないので、2本のメタルケーブルの間に長い光ファイバーを挟むことで、安定した長距離通信が実現できます。
このとき、メタルケーブルと光ファイバーを接続するのが光変換器です。
光変換器の使用用途
光変換器は、一般家庭やオフィスビルに引き込まれている光回線からそれぞれのLANシステムへのつなぎ目、全国に存在するWiFi通信設備と光回線との接続部分など、多岐にわたる場所で使用されています。
コンピュータとその周辺機器、製造装置、家電機器に至るまでネットワークで接続されている現在、あらゆる場所でデータ通信設備を必要としています。そして、光ファイバーには減衰率が低いこと、ノイズに強いこと、軽量であること、腐食や錆に強いことなどのメリットがあることから、全国に光ファイバーによる通信網が展開されています。
ネットワークに接続されている機器は、電気信号で動作します。光ファイバーによって伝送された光信号は、そのままでは使えません。信号として利用するためには光変換器が必要です。
光変換器の原理
1. EO変換
電気信号を光信号へ変換することを「EO変換」と呼び、光信号の光源としては半導体レーザーが使われます。レーザー光の変調方法の種類は、電気信号を直接半導体レーザーの駆動電流として供給する直接変調と、半導体レーザー自体は連続駆動しその光を変調器で変調する外部変調の2種類です。
直接変調は、小型で変調回路を容易に構成できるというメリットがありますが、直接駆動するため半導体レーザーの発振遅延による波形劣化を起こしやすいという欠点があります。そのため、長距離通信用途では外部変調が採用されます。
2. OE変換
光信号を電気信号に変換することを「OE変換」と呼び、光入力をフォトダイオードで電気信号に変換します。フォトダイオードは光センサーとも呼ばれる半導体素子で、PN結合で構成されています。フォトダイードのP側を電源のマイナス、N側をプラスに接続すると、逆接続なので電流は流れず、この時にできるのがPN接合面周辺には空乏層と呼ばれる領域です。
この空乏層に光が当たると電子と正孔が発生し、電子はN側の電極へ、正孔はP側の電極へ移動して、P側からN側へと電流が流れます。光が入力した時にだけ電流が流れるこの原理を使って、光信号は電気信号に変換されるのです。EO変換器とOE 変換器をセットにしたものが、光変換器です。
光変換器のその他情報
光変換器の回路パターン
光変換器の特性を活かすためには回路パターンや実装レイアウトに注意を払う必要があり、特に注意すべき点として次の2点が挙げられます。
1. インピーダンス整合
Gbpsクラスの変調の場合で回路長さがミリ単位に及ぶ際は、インピーダンス整合を考慮する必要があります。具体的には半導体レーザーとレーザードライバのインピーダンス整合の考慮が必要です。
インピーダンス整合が上手くできていないと反射やリンギングを生じ、変調波形の劣化につながります。設計の際にシミュレーションと並行して、実装上での特性検証が必要な場合が多いです。
2. 受光器と初段アンプの構成
受光器から初段アンプの間には非常に微弱な信号が流れています。規定の最小受光感度を確保するためにはこのノイズを可能な限り抑えることが重要です。
回路の組み方や配置で受光感度が変わるので、インピーダンス整合と同様に実装上での特性検証が必要な場合が多いです。
参考文献
https://www.tmele.jp/wp2020/wp-content/themes/tamagawadenshi/images/case/case_rof.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jiep1998/9/7/9_7_574/_pdf
https://www.sanwa.co.jp/product/network/hikariconverter/converter.html