ヘリカルカップリング

ヘリカルカップリングとは

ヘリカルカップリング

ヘリカルカップリング (英: Helical coupling)  とは、円柱状の材料に螺旋状のスリットが入った完全一体構造の金属カップリングです。

スリットを入れることで一体の円柱に弾性を持たせ、その弾性変形の範囲で軸同士のミスアライメントを吸収します。ヘリカルカップリングは、バックラッシュがなく、振動減衰性もあるため、回転動作を正確に伝達できるのが特徴です。

ヘリカルカップリングの使用用途

ヘリカルカップリングは、モータ (サーボモーターステッピングモーター) や回転シリンダーなどの駆動軸と従動軸をつなぎ動力を伝達させるときに使用します。特に軸間の偏心や偏角、エンドプレイのミスアライメントが発生する箇所や軸の径が異なる場合に有用です。

ミスアライメントのうち、偏角の許容範囲は比較的大きいですが、偏心、軸振れの許容範囲は小さいです。また、他のカップリングに比べ小型で、バックラッシがないため、高精度、軽負荷用途に向いています。

1. 回転角度計測器 (エンコーダ)

エンコーダなど精密な回転角計測においては、接続するカップリングは、高精度で高ねじれ剛性が必要です。ヘリカルカップリングは、バックラッシがなく、さらに小型で低慣性、振動減衰性があり、この用途に使用されます。

2. 医療用機械・光学機器

医療用機器や光学機器は、機器先端のわずかなズレが機器性能に大きく影響します。このため、駆動部からの高精度の伝達や振動低減が必要で、かつ操作の追従性も重要視されます。ヘリカルカップリングは、このような高精度、低振動の用途に有効です。

3. 精密ステージ

精密ステージの駆動部は、微細な角度の調整が必要です。ヘリカルカップリングは、バックラッシがなく小型のため、この用途に使用されます。

ヘリカルカップリングの原理

図1. ヘリカルカップリングの構造

ヘリカルカップリングの原理は、ヘリカル (螺旋) 状のスリットにより一体の円柱にばねのように弾性を持たせることです。その弾性変形の範囲で、軸同士のミスアライメントを吸収可能です。

カップリングが一体構造のため、バックラッシュがなく、ミスアライメントを吸収しながら、動力を伝達できます。その弾性性能で、装置の振動や衝撃を吸収します。なお、ヘリカルカップリングの材質はステンレスやアルミ合金 (ジュラルミン) などが使用されます。

ヘリカルカップリングの種類

1. たわみ性とねじり剛性による分類

ヘリカルカップリングは、スリット範囲を長くすることでたわみ性を向上し、ミスアライメントの許容範囲が広がりますが、ねじり剛性は低下します。

また、スリットの条数 (スリットの数) で、たわみ性が必要な場合は1条スリットモデル、高ねじり剛性が必要な場合は2条スリットモデルが使用されます。

2. 軸との固定方法による分類

図2. 軸との固定方法

軸との固定方法は、クランピング方式とねじ止め方式があります。ねじ止め方式では、キー溝を併用したタイプもあります。

ヘリカルカップリング

スリット型カップリング

図3. スリット型カップリングの例

スリット型カップリングは、本体にスリットが入った物を示し、ヘリカルカップリングも含まれます。スリット形状が螺旋形状以外に、対面に直線状のスリットを入れた列を次の列は回転させながら等間隔に並べたカップリングもあり、ヘリカルカップリングに比べ低コストです。

ヘリカルカップリングと同等の性能を持ちますが、スリットの方向により回転角度位置によって若干変形状態が変化するため、高精度の角度伝達や振動減衰を求める用途ではヘリカルカップリングの方が有利です。

参考文献
https://www.mikipulley.co.jp/JP/Products/FlexibleCouplings/HELI-CAL/index.html
https://www.nbk1560.com/resources/coupling/article/couplicon-about/#disc_type

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