フロート弁

フロート弁とはフロート弁

フロート弁はトイレに使用されているゴムやプラスチックでできた栓のことです。形状は球形や半球形をしていて、タンク内の排水管の蓋として機能します。

このフロート弁は鎖によりタンクの横にあるレバーとつながっており、レバーを操作することで鎖が延び、フロート弁が開きます。このフロート弁が開くことによりトイレに水が流れます。フロート弁はトイレのタンク内にある筒状のオーバーフロー管に取り付けられており、動かないようになっています。

フロート弁の使用用途

フロート弁は水を決まった量使用する際に使用します。このため、トイレに水を流すシステムの一つとして使用されています。

フロート弁は飽くまで水を止めるための弁ですので、決まった量の水を流すためには浮き球を利用した水供給システムと連動して使用されています。

水量の調節はタンクの容量や浮き球の位置により決まりますのでトイレの水量にはフロート弁は直接関係ありませんが、規定量の水が流れた後に水を止めるという重要な役割を果たしています。

フロート弁の原理

フロート弁はその名の通り水より軽くて水に浮きます。この浮くという特徴によりフロート弁は水が流れている際には栓をせず、水が減ると栓をするという機能をもたらしています。

まず、トイレ水を流す際にはレバーを引きますが、レバーを引くと鎖が引っ張られてフロート弁が解放されて水が流れます。一度フロート弁が解放されるとフロート弁は水上に上がろうとして栓の上で浮かんでいます。このために水の量が多い間は浮かび続けて栓をしません。

水の量が減るとフロート弁も下がってきて元の位置へと戻ってきます。この時水ですが少ないですがわずかに供給されており排水されています。その流れによりフロート弁は排水栓に吸い込まれて栓をします。すると行き場を失った水がタンク内に溜まりだし、水圧によりフロート弁は固定されて栓をし続けるのです。

トイレの水が流れ続けて止まらないというトラブルの原因はこのフロート弁にある場合が多く、ゴムの劣化などによる水漏れや鎖が外れたなどの原因が考えられます。

参考文献
https://diyclip.roymall.jp/tool/1370541

フレキシブルホース

フレキシブルホースとは

フレキシブルホース

フレキシブルホース (フレキシブルチューブ) とは、柔軟性があり自由に曲げられるホースのことです。

素材としてはゴム製やプラスチック製、フッ素樹脂製のものなどがありますが、多くの場合は金属製のものを指してフレキシブルホースと呼称します。金属で作られたフレキシブルホースはベローズという波状の構造をしているものが多く、日本語ではその見た目から蛇腹とも呼ばれています。

ベローズは金属をギザギザに折り曲げて作られた配管であり、曲がりにくい金属管でも柔軟に曲げられるのが特徴です。

フレキシブルホースの使用用途

フレキシブルホースは、工場の配管に使用したり、可動式装置やポンプ等の振動する装置への接続などに用いられます。工業用だけでなく、家庭用のガスや水道の配管にも用いられます。

他にも自動車排気管の中間部、半導体製造装置の真空配管、消防設備である消火配管のスプリンクラーの接続部分など、その使用場面は非常に多いです。

フレキシブルホースは水のみではなく、水以外の液体及び気体を流します。曲げることができるため、ホースの設置にも自由度があります。ホース内に流す液体や気体によってホースの素材が選択され、腐食性が高い液体や気体にはフッ素樹脂製のフレキシブルホースが使用される場合もあります。

フレキシブルホースの原理

フレキシブルホースは柔軟性を活かすことで、上述したように幅広い場面で使用されています。各使用場面において発揮される特性としては、以下に示すようなものが挙げられます。

1. 配管作業の簡略化

真っすぐな配管では接続できない、或いは接続するには入り組んだ配管接続が必要となる箇所で活用されます。剛直な配管では僅かに芯のずれがあるだけでも繋ぎ合わせるのが難しくなりますが、フレキシブルホースを使うことで簡単に接続が行えます。

2. 変位吸収

設備の経年劣化や地盤沈下などが原因でホースが伸縮や偏心が起こると通常のホースであれば接続部やホース本体に負荷がかかります。 (伸縮とは真っすぐに伸ばしたホースの伸長方向に対する長さの変化のことで、一方偏心はホースの伸長方向に対して垂直な向きの変化を指します。) フレキシブルホースを使用することでそのような変位を吸収することができます。

3. 振動吸収

ポンプのような常に振動する機器にホースを接続する場合、その振動によりホース本体や接続部に負荷がかかります。フレキシブルホースがその振動を吸収することで振動を吸収し、設備への負荷を減らすことができ、結果として設備の長寿命化に貢献します。また、地震発生時の揺れを吸収し、設備へのダメージを低減します。

4. 配管の熱膨張吸収

剛直な金属配管は一見膨張収縮しないように見えますが、実際には急激な温度変化により僅かながら膨張収縮します。剛直な構造体であるために僅かなサイズの変化が負荷に繋がります。フレキシブルホースはそれ自身が伸縮可能な部材なので、その膨張収縮にも対応できます。

フレキシブルホースの構造

通常は固くて曲げ伸ばしすることができない金属ですが、フレキシブルホースでは自在に曲げて、ホースとして使用することができます。

以下に代表的なフレキシブルホースの構造と特徴を記述します。

1. ワンピッチタイプ

冒頭でも述べた通り、ベローズと呼ばれる構造を持ちます。薄く引き伸ばした配管をアコーディオンのように山と谷が連続する構造に成形したものです。折れ曲がりストローをイメージすると分かりやすいです。一つ一つの山が独立しており、谷によって隔てられたような形状をしています。

2. アニュラータイプ

ワンピッチタイプと同様に、山と谷があり、それぞれの山が独立しています。ただ、ワンピッチタイプでは山の形状がU字状なのに対して、アニュラータイプでは山の形状がΩ状になっています。各山が独立していることで、首元部分のねじれが抑えられることが特徴です。

3. スパイラルタイプ

U字型の山を連続的に螺旋形状で成形したものです。螺旋構造のため、液溜まりが起きにくいことが特徴として挙げられます。

4. ブレードタイプ

これまで記載してきたような山と谷の構造ではなく、金属の細い線材を服の繊維のように編み込んで筒状にした構造を持ちます。

上記のような構造体だけでなく、それらを組み合わせたものも作られています。多くの場合、ワンピッチタイプやスパイラルタイプのホースの外側をブレードタイプで補強する二重構造にすることで、柔軟性と耐久性を兼ね備えたホースにしています。

参考文献
https://www.nfk-jp.com/products/flexible/
https://t-techno.com/case/ls0261/

フランジヒータ

フランジヒータとは

フランジヒータは大容量の液体などの加熱や保温に使用されるヒーターです。加熱用のヒーターは加熱する液体中などのタンク内に直接設置されていますので加熱効率がよく大容量の加熱に向いています。

フランジヒータの利点はJIS規格などのフランジが使用されているので、ボルトとナットで取り付け可能であり設置が非常に簡単であることとフランジですので液漏れがしにくいことが挙げられます。液体タンクの横からフランジに取り付けされますので取り外しも簡単でメンテナンスもしやすくなります。

フランジヒータの使用用途

フランジヒータは洗浄機や機械油の保温、食品油の加熱などに使用されます。食品工場で揚げ物を作る際に設定温度に油を温めてその温度を保ちます。

加熱対象によってはヒーター部分の腐食が心配されます。ヒーター部分の材質はSUS、いわゆるステンレスですが、海水や温泉のお湯を温める場合などは泉質によってはステンレスが腐食してしまう場合もあります。この場合にはステンレス製のフランジヒータではなく、チタン製など腐食に強い素材で作られたフランジヒータが選択されます。

フランジヒータの原理

フランジヒータは一般的に容器の横から取り付けます。横から取り付けますのでリークの危険があり、取り付けの際はリークしないようにしっかりと取りつけないと感電などの事故につながってしまいます。

フランジヒータで加熱された液体の温度は熱電対などの温度計により測定され、温調器で読み取られます。温調器に設定温度を指定しておくと温調器が液体の温度を読み取りながらヒーターの出力の調整を行いますので、容器内の温度は一定に保たれます。

安全装置としてサーモスタットが設置される場合もあり、容器から液体が無くなり空焚き状態になってしまい容器内の温度が異常に上がってしまった場合にサーモスタットが開になることでヒーターの出力が停止されます。

フランジの規格はJISの他にもJPIやDIN、NPC、APIなどがありますので規格に合わせたフランジヒータを選択する必要がありますが、一般的にはJIS規格がよく用いられています。

参考文献
https://www.snd-net.co.jp/product/flange/

ファイバードラム

ファイバードラムとは

ファイバードラム

ファイバードラムとは、紙でできたドラム形状の容器です。

粉体状の化学品や医薬品の輸出用に主に使用されています。金属や合成樹脂のドラムに比べて軽量なのが特徴です。

紙でできていると言っても、ファイバードラム用の強度が高い紙で作られており、十分な強度を持ちます。そのため、ファイバードラムを積み重ねて、保管したり輸送したりすることが可能です。

また、紙から作られているため焼却やリサイクルが容易です。サイズも様々で、1リットルから120リットル程度と幅広い大きさのものがあります。

ファイバードラムの使用用途

ファイバードラムは、安価でサイズも多種にわたるため、様々な製造現場で日常的に使用される容器です。中でも粉体の充填によく使用されています。粉体を充填する際には、直接ファイバードラムに充填するのではなく、ファイバードラム内にポリエチレン製の内袋を配し、この内袋内に充填するのが一般的です。

粉体状の化学品や医薬品の輸出用の容器として使用する場合には、コンタミネーションを防ぐために専用のファイバードラムを使用します。なお、有機溶媒などの液体は漏えいする恐れがあること、セットで用いられるポリエチレンの袋が劣化してしまうことからファイバードラムには適していません。

ファイバードラムは、材質が紙であることから容器が軽く、プラスチックのようにロット数が多いものを運ぶ際にもよく使用されています。

ファイバードラムの原理

ファイバードラムは、ダンボールなどに使われるクラフト紙やライナー紙を積層させた高強度を有する紙で作られます。ファイバードラム用の高強度紙よりなる円筒状の本体の上下を、同じ紙や金属よりなる蓋で蓋をした形状です。蓋の閉め方には、テープで蓋と本体を張り合わせる方法や、金属バンドで締め付ける方法があります。

一般的には、金属製の蓋とバンドを使い密閉性を高めるケースが多いです。型番によっては危険物の輸送に必要な基準を満たしているものもあり、海外への危険物の輸出にも使用可能です。

ファイバードラムのその他情報

1. ファイバードラムが適さない内容物

ファイバードラムは、重量物や水を多く含む製品の運搬には向いていません。

ファイバードラムは紙でできているため金属製ドラムよりも運搬時の負荷が少なく、廃棄も容易です。コスト面でも金属製ドラムよりも安いため、大量に出荷する製品にも使われることが多いです。一方で、金属製ドラムよりも耐久性が低いため、重量や密度が大きい製品の運搬には適しません。また材質が紙であるため、水分を多く含む製品や酸化性物質の運搬にも適していません。

ファイバードラムをこのような製品の充填に使用する場合は、耐水処理等の特殊な処理を行ったファイバードラムを選定する必要があります。メーカーによっては充填する製品に合わせてファイバードラムの表面を加工可能です。

2. ファイバードラムの解体方法

ファイバードラムを解体する方法は、ファイバードラムの種類により異なります。

本体が紙で上蓋部分が金属製のファイバードラムは、本体上下の蓋取り付け部分に金属よりなるリングが配されているのが一般的です。また、金属よりなる上蓋は金属バンドで取り付けられているのが一般的です。これを解体する場合は、まず、上蓋の金属バンドを外し、金属製の上蓋を取り外します。続いて、底面の紙でできている蓋の外周部をカッターなどで切って底面の蓋をドラムの中に押し込んで分解します。最後に、ドラム筒状の本体の上下の金属リングを外して解体完了です。

底面の蓋が金属リングを使用せずに紙同士を嵌合させて固定しているものや、上蓋および底面の蓋の取り付けに紙の嵌合を使用しているものは、金属バンドや金属リングを外す必要がないため、さらに容易に解体可能です。

参考文献
http://toyoyoki.co.jp/wahtsFiberDrum.html
https://okamoto-youki.co.jp/data/71/product_detail

ビッカース硬度計

ビッカース硬度計とは

ビッカース硬度計

ビッカース硬度計は、ダイヤモンド圧子を試験部位の表面に決められた荷重で押し込み、荷重を除いた後にできたくぼみの対角線の長さによって硬さを評価する硬さ試験機です。

ビッカース硬度計と同様に、表面にできた圧痕の大小によって硬さを判断する硬さ試験機にはブリネル硬度計があります。

ブリネル硬度計はくぼみをつける圧子に10mmの鉄球を使用するのに対して、ビッカース硬度計では圧子として、対面角が136°のダイヤモンド正四角すいを使用します。

ビッカース硬さ試験では、試験面についたくぼみの大きさを評価するために、四角形にできたくぼみの2つの対角線の長さを測定します。

ブリネル硬度計の圧子は硬球です。圧痕は円形状になるため直径を測定します。

ビッカース硬度計の使用用途

ビッカース硬さ試験は主に金属材料の硬さを評価するために用いられます。金属の硬さを評価には複数の試験方法がありますが、ビッカース硬さ試験は微小範囲の硬さを評価できる試験法です。具体的には熱処理した硬化層の硬さや、硬化層の深さの評価、比較的薄い材料の評価に適しています。

硬さ試験は、一般的に硬い圧子を試験片に押し込んだ後にできたくぼみの大きさや深さによって硬さを評価します。ビッカース硬さ試験は試験荷重が小さいので、表面から浅い部分のみの硬さを評価できます。例えば浸炭焼入れされた鉄鋼材料の硬化層深さは0.4~1.0mm程度です。このような材料の表面に大きな荷重で圧子を押し込むと、圧子は硬化層より深く押し込まれてしまい硬化層の硬さを正しく評価することはできません。同じ原理で薄い部品の硬さも、試験荷重が大きい試験方法では正しく評価できません。必要となる試験片の厚さは、試験片の硬さと試験荷重によって定められています。

ビッカース硬さ試験においても圧子を押し込む荷重の大きさによってはマイクロビッカース硬さ試験と言われることがあります。

ビッカース硬度計の原理

ビッカース硬度計は、硬度計の中で最も汎用性が高い硬さ試験機です。試験荷重を任意に選択することができるので、試験対象物の厚みに関わらず正しく評価することができます。

ブリネル硬度計は10mmの球圧子を使用するので圧痕は大きくなりますが、ビッカース硬度計のダイヤモンド四角すいの圧痕はとても微小です。具体的には、1000gfの試験荷重で450Hvの試験片の硬さを試験した場合、対角線の長さは平面の試験片の場合0.064mm程になります。この対角線長さは金属顕微用を使って測定します。

マイクロビッカース硬度計を使用し、荷重を小さくすればさらに薄いものの硬さが試験可能となり、試験荷重を適切に選定することで薄い硬化層の表面処理に対して、圧痕が硬化層を貫通させることなく表面硬さを評価することができます。ビッカース硬さ試験に用いる試験片は表面の平面度、裏面に対する平行度、表面粗さが規定されています。研磨作業によって鏡面処理を施した上で測定するのが一般的です。

ビッカース硬度計のその他情報

1. ビッカースとロックウェルの違い

ロックウェル硬度計もビッカース硬度計と同様に、被測定物に圧子を一定加重で押し付ける点では同じですが、圧子の形状と測定量の2つに大きな違いがあります。圧子の形状はビッカース硬度計が正四角錐のダイヤモンドであるのに対して、ロックウェル硬度計では球形です。このため試験後にできる圧痕の形状も異なります。ビッカース硬度計では正方形の圧痕になり、ロックウェル硬度計では円形の圧痕が残ります。

測定量はビッカース硬度計が圧痕の対角幅を計測するのに対して、ロックウェル硬さでは圧痕の深さを測定して硬さを算出します。深さを読むだけで済むため簡便でスピーディに結果を知ることができ、主に金属材料を使用する生産現場に最適です。

ロックウェル硬度計のデメリットは被対象物の硬さによって圧子の種類や試験条件を変える必要があることです。ビッカース硬度計では試験片の準備や測定に時間が掛かるものの、圧子は試験果汁によらず同じです。荷重を変更した場合でも材料の硬さが均一であればほぼ同等の試験結果が得られます。また試験荷重が大きいため試験片の座面に凹凸があったり中空構造でたわみが生じるような場合も正確な評価はできません。

ビッカース硬度とロックウェル硬度は、硬さ換算表を参照することで互いに換算することができるので、どちらか一方の硬度しかデータがない場合でも概算値として利用することができます。 

2. ビッカース硬度計の自動機構

ビッカース硬度計は場所によって硬さが異なる浸炭部品や溶接部品などを測定することがありますが、測定者が一点ずつ場所を決め圧子を打ち込んで硬さを測定すると多くの時間が必要です。

最近では、このすべての作業を全自動で行ってくれる自動機構を搭載したビッカース硬度計が広く利用されています。このため、浸炭部品では硬度が高い表面から硬度の低い母材部分までの数ミリ数十点の測定範囲を一次元のラインで設定することができます。

また、溶接部品の溶金部と熱影響部などの広いもので数百mm×数百点にもなる二次元エリアも自動測定できます。硬さの値をグラデーションマップとして表現することも可能なので、硬さの変化を視覚的に理解しやすくなり開発や事故対策にいても豊富な情報を得ることができます。 

参考文献
www.matsuzawa-ht.com/item/index.htm
https://www.keyence.co.jp/ss/products/recorder/testing-machine/material/hardness.jsp
https://www.dakotajapan.com/hardness/point/aboutHardness.html

増圧弁

増圧弁とは

増圧弁 (英: booster regulator) とは、圧縮空気の圧力を増圧させるために使用する空気圧機器です。

エアブースターとも呼ばれます。JISの用語では、増圧器が使われています。一般的に設備で使用する圧縮空気の圧力は、高いと1.0MPa程度ですが、通常使用する圧力は0.5MPa前後です。

使用する圧力を上げる際に、工場や事業所全体の圧縮空気ラインの圧力を上げる場合には、コンプレッサの設定圧力を変えていく必要があります。しかし、限られた製造ラインや回路のみ圧力を上げる場合は、必要とする場所の入口に増圧弁を設置することで、その目的を果たせます。

この他、専用の空気圧縮機を設置したり、空気圧駆動により、水、作動油、軽油、灯油、重油などの増圧用を選択したりする場合もあります。

増圧弁の使用用途

工場内で使用されている圧縮空気を使う装置のなかで、一箇所だけ圧力をあげる必要性が発生した場合、コンプレッサの設定圧力を上げてしまうと、電気料金を大幅に上昇させてしまいます。具体的には、耐圧試験やエア漏れ検査などです。

コンプレッサの設定圧力を0.1Mpa下げると、電気料金が7~8%程下がるというデータもあります。そのような場合には、圧力が不足する機械装置の手前に増圧弁を設置することが有効な手段です。増圧弁を設置することで、必要な部分のみ圧力を上昇させられます。

増圧した部分の流量は、設定圧力の上昇とともに減少しますので注意が必要です。また、増圧弁は圧縮空気を消費します。

増圧弁の原理

1. 増圧の仕組み

増圧弁は圧縮空気駆動により、作動させるので電気が不要です。また、コンプレッサの設定圧力以上に増圧させることができます。増圧弁は、1次側の圧縮空気圧力の2倍~4倍まで増圧して、2次側から出力します。2倍増圧と4倍増圧の場合の差異は、内部の構造です。

2倍増圧の場合の構造は、同じ径のシリンダを2つ有し、2室の増圧室と2室の駆動室から構成されます。駆動室のシリンダーには、同じ径のピストンがあります。そして、2つのピストンで受けた入力圧力が、1つの増圧室のピストンに作用して増圧します。

2つ分のピストンの受圧面積に比例した高い圧力が得られて、2次側から出力されます。2つのピストンは、ロッドで連結され、同期しています。ピストンがシリンダの端まで移動すると、センサーが作動し、空気回路を切り替えて駆動室と増圧室が逆になり、増圧を続けます。

4倍増圧の構造は、径が異なる2つのシリンダを有して、2室の増圧室と駆動室があることは2倍増圧の場合と同じです。駆動室の2つのピストンの受圧面積合計を、増圧室の1つのピストンの受圧面積の4倍にすることで、4倍の増圧が可能です。他の作動は、2倍増圧と変わりません。

2. エアタンクの設置

2倍増圧及び4倍増圧のタイプとも、蓄圧や脈動対策のために一般的にはエアタンクを設置します。エアタンクは、流量増加で一時的に圧力が低下した場合、補給して圧力低下を防止します。

また、増圧が間欠であるので、脈動低下に有効です。さらに、増圧弁の間欠作動音の低下もメリットとして挙げられます。圧縮空気には、オイルや水分が含まれており、エアタンクで冷却されると、オイルや水が分離されるので、排出する必要があります。

タンクを設置しない場合、流量が不足すると、増圧弁が連続駆動することになるため、寿命が短くなる可能性が高いです。

増圧弁の特徴

長所

  • 電源が不要で、圧縮空気によって駆動されます。
  • 圧縮空気の圧力を最大2倍~4倍に増圧が可能です。また、圧力調整が可能です。
  • 工場全体の圧縮空気圧を下げ、部分的に必要箇所のみを増圧することにより、全体の省エネができます。

短所

  • 供給エアーの約半分を排気するので、エネルギーロスが発生します。
  • 2次側にエアタンクを設置するのが一般的です。
  • 間欠作動なので、騒音が大きい短所があります。

増圧弁のその他情報

増圧弁の使い方

まず、IN側ポートに、供給空気管を接続し、OUT側ポートにエアタンク配管を接続します。

配管後設備空気を供給し、OUT側の圧力計の数値を確認しながら調整ノブを回して必要な圧力に調整します。

参考文献
https://www.smcworld.com/support/faq/ja-jp/?ca_id=booster-regulator&fa?id=10371
https//jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td06/x0386.html

スラスト玉軸受

スラスト玉軸受とは

スラスト玉軸受

スラスト玉軸受とは、回転軸の長さ方向と同方向の荷重である「アキシアル荷重」を受けながら、滑らかに回転させることができる軸受のことです。

アキシアル荷重を受け持つことに特化しているため、アキシアル荷重と直行方向に作用するラジアル荷重を負荷することはできません。なお、アキシアル荷重を「スラスト荷重」と表現することもありますが、どちらも同じ意味で使われています。

スラスト玉軸受の使用用途

スラスト玉軸受は、高いアキシアル荷重を支持できることから、家庭向け機械から工業用機械にまで、幅広く使用されます。

身近なところでは、冷蔵庫や掃除機プリンター周辺機などの家電製品、釣具リールなどに使われています。工業用機械ではCNC旋盤フライス盤マシニングセンタなどの工作機械の主軸に使われるケースも多いです。

CNC旋盤等で工作物の中心をドリル加工すると、主軸にはスラスト方向に高い荷重がかかります。加工による衝撃や荷重は加工精度にも影響を及ぼす可能性がありますが、スラスト玉軸受を組み付けることで、主軸の軸方向への変位を最小限に抑えられるようになります。

スラスト玉軸受の原理

スラスト玉軸受は大きく、3つの部品で構成されます。転動体と呼ばれる金属球、転動体同士が擦れるのを防ぐ保持器、軌道盤です。軌道盤は転動体が転がる溝が付いたワッシャ形の部品を指します。

高い荷重に耐えながら滑らかな回転をするために、転動体や軌道盤には熱処理された鉄系の合金鋼が使われます。中には、セラミックの転動体を使ったものもあります。

また、表面の粗さも小さくなるように仕上げられていることも特徴です。転動体同士の大きさの均一性等も非常に重要なポイントとなります。使用条件によっては、適切な潤滑油が必要となるケースもあります。潤滑油は摩擦抵抗を低減し、高荷重・高速回転で発熱を伴うような場合には、冷却する役割も担います。

スラスト玉軸受の種類

スラスト玉軸受は大きく、「単式スラスト玉軸受」と「複式スラスト玉軸受」の2種類に分けられます。

1. 単式スラスト玉軸受

転動体も1列で、その転動体を上下に挟む2つの軌道盤で構成されたタイプです。単式スラスト玉軸受は、1方向だけの荷重を支えます。

2. 複式スラスト玉軸受

転動体が2列あり、3枚の軌道盤で構成されたタイプです。複式スラスト玉軸受なら、両方向に対応できます。ただし、その分厚みが増すので、組み付けできるスペースを確保する必要があります。

3. その他のスラスト玉軸受

単式、複式どちらにも「調心座形」「調心座金付き」と呼ばれるタイプがあります。

調心座形
調心座形は軌道盤の取付け座が球面になっているタイプです。球面加工された相手部品に取り付けることで、軌道盤の位置が自動的に回転の中心軸の位置で保持されるようになります。回転軌道の位置ずれを抑制する効果があります。

調心座金付き
調心座金付きは、球面加工された軌道盤に組み合わさる調心座金が加えられたタイプです。スラスト玉軸受を取り付ける相手部品の取り付け面に、球面加工を施さなくても使用することができます。ただし、より多くのスペースを使うことになります。

スラスト玉軸受のその他情報

軸受を使う上での注意点

軸受を設置する際は、軸にどのように荷重がかかり、どのように支えるのが的確かをよく考えたうえで、用途や目的に合ったものを選ぶことが大切です。また、軌道盤やスラスト玉軸受の取付け面が、支える荷重に対して十分な剛性を確保していることも、軸受をトラブルの発生から防ぐ重要なポイントになります。

高荷重、高回転数の条件で使われる場合には、潤滑も注意するようにしましょう。潤滑油には摩擦抵抗を減らすだけでなく、発熱したスラスト玉軸受を冷却する効果もあります。

参考文献
https://koyo.jtekt.co.jp/products/type/thrust-ball-bearing/
https://www.nsk.com/jp/company/introduction/index.html

バケットエレベータ

バケットエレベータとは

バケットエレベータは粉体などを上に持ち上げてサイロやベルトコンベヤに排出する装置です。似た装置にバケットコンベヤがありますが、垂直搬送を行うバケットコンベヤがバケットエレベータと呼ばれています。

水などの液体はポンプで汲み上げることが可能ですが固体に関してはポンプは使用できませんので、固体を運ぶためには固体をバケットで掬い上げてエレベータのように上へと運び上げて機械により加工されるなどが行われます。

バケットエレベータの使用用途

バケットエレベータは固体を垂直に持ち上げて運搬する装置ですので、工場で原料を機械に搬入し投入する際や鉱山で採掘された鉱石をベルトコンベヤに載せるためなどに使用されます。

輸送される物は米や麦と言った穀物類から大豆や家畜の飼料など様々です。輸送する量や物によりバケットの大きさや形状、材質が異なっており、さらには搬送後に排出される際の排出法も搬送物により異なっています。排出の際は全ての搬送物が完全に排出できるわけではなく、バケット中にある程度残ってしまいます。

バケットエレベータの原理

バケットを持ち上げる際にチェーンを用いるチェーン式のバケットエレベータではチェーンに付属しているアタッチにバケットを取り付けます。このチェーンに幾つものバケットが取り付けられチェーンが上下に回転することでバケットが持ち上がります。

バケットへの搬送ですが、ベルトコンベヤでなど運ばれてきた搬送物が搬送口へと投入され、それをバケットで掬い上げて持ち上げます。

バケットの素材ですが、重い鉱石などを搬送する場合には丈夫な金属性のバケットが用いられますが。金属の他にもナイロン製やポリエチレン製などもあり、金属を腐食してしまう酸性の物質なども運べるようになっています。

粉体を運ぶ際には粉塵爆発の危険性があります。粉体は粒径が小さいとその分表面性が増えますので、反応が一気に進む場合があります。例えば鉄粉など最悪のケースでは爆発してしまいますが、悪条件が重なると小麦粉などでも粉塵爆発を起こしてしまいますので、粉体用には粉塵爆発の予防処置がなされている場合があります。

参考文献
https://kenki-corporation.jp/2018/05/17/bucket-conveyor-bucket-elevator/

デジタル差圧計

デジタル差圧計とはデジタル差圧計

デジタル差圧計とは、2点間の圧力の差を測定しデジタル表示する装置です。

マノメーターと呼ばれることもあります。測定したい2点とデジタル差圧計を測定用チューブで接続するだけで差圧が計測できる簡便性と、小型で軽量なことが大きな特徴です。測定対象は気体、液体どちらにも対応した製品が多いです。

計測可能なレンジや分解能も、空調設備の気圧といった比較的大きな差圧からクリーンルームにおける微差圧まで幅広く、使用用途は多岐にわたっています。配線不要な電池式タイプは設備監視・記録用、警報装置付きのタイプはフィルタ交換等のメンテナンス用というように、目的に合わせた製品選択が可能です。ピトー管を利用した流量計測が可能なものもあります。

デジタル差圧計の使用用途

測定分解能の広さから、幅広い用途に用いられています。代表的な用途は以下のとおりです。

1. 空調設備の性能チェック

フィルタの劣化と差圧計

図1. フィルタ劣化のメンテナンス

空調設備には、ダクト、ファン、フィルタ等が含まれます。図1に示すように、フィルタは長期間利用していると目詰まりにより性能が低下します。

フィルタの目詰まりが進行するとフィルタ前後の差圧が大きくなるため、差圧計を用いてフィルタの性能をチェックすることが可能です。

2. クリーンルーム内の環境測定

クリーンルームの模式図

図2. クリーンルームの模式図

クリーンルームにおいては、空気清浄度を維持することが重要です。空気を絶えず循環させていますが、清浄度を保つためにフィルタを用いてホコリなどを取り除いています。フィルタの性能が落ちていないか、差圧計を用いてチェックすることが重要です。

また、クリーンルーム外部からホコリなどを取り込まないよう、内部は陽圧 (1気圧より高い気圧) になっています。陽圧状態が保たれているかどうかも、差圧計を用いることで確認できます。特にクリーンルーム内に何らかの排気装置を設置している場合は陰圧になりやすいため、陽圧の確認が不可欠です。

3. 大型密閉タンクのレベル計測

密閉タンクの液面測定

図3. 差圧計による密閉タンクの液面高さ測定

密閉タンク内の液体のレベル (液面の高さ) を知りたいときも、差圧計が用いられます。液体の比重が一定の場合、測定面にかかる圧力は液体のレベルに比例するため、圧力を測定することでレベルが分かります。

しかし、密閉タンクの場合、測定面にかかる圧力にはタンク上面の内圧も含まれるため、内圧の影響をキャンセルする必要があります。そのようなときに差圧計を用いることで、液体による圧力のみを測定することも可能です。

デジタル差圧計の原理

感圧素子に圧力が加わったときの素子のたわみを素子に流れる電流による抵抗変化によって、電気的信号として測定します。電気的信号と素子の変位の関係を用いて、測定結果を圧力に変換します。こうして計量した2点間の圧力の差を、デジタル数値として表示するのがデジタル差圧計です。

デジタル差圧計では測定点が2点あるので、2方向の測定点から加わった圧力によるたわみ (変位) の大きさと向きを測定しています。向きも計測することでどちらが高圧側でどちらが低圧側かを判断しており、変位の差を電気信号として読み取り圧力差として表示しています。

デジタル差圧計のその他情報

感圧素子について

デジタル差圧計の内部には、感圧素子として圧電素子 (ピエゾ素子) と呼ばれる素子が埋め込まれています。圧電素子とは特定の物質において、圧力が加わるとその圧力に応じて電圧を生じる圧電効果を利用した受動素子です。主に水晶 (人工水晶) や、強誘磁性のセラミックスなどが利用されます。

測定の要となる圧電素子は、圧電効果をもつ圧電体を2枚の電極で挟み込んだ構造をしています。構造がシンプルなため劣化しにくく丈夫で、軽量化しやすいというメリットがあります。

圧電効果を持つ材質は数多くあり、感圧素子の素材開発も行われているため、より精密な計測が可能な製品も開発されています。

参考文献
https://www.sokken.co.jp/pressure/201011/entry164.html

チューブコネクタ

チューブコネクタとは

チューブコネクタ

チューブコネクタはチューブ同士を接続するためのコネクタです。

一般的に使用されているのはチューブに差し込んで締め付けて使用するテーパータイプですが、高圧エアなどの気体には扱いやすいプッシュワンタイプが使用されています。他にもリークを低下させたい場合はスウェージロックタイプのチューブコネクタもあります。

形状はストレート型、T字型、Y字型、L字型、異形型などがあり、システムに合わせて選択し組み合わせて使用されています。

チューブコネクタの使用用途

液体や気体を流す際にチューブを用いますが、このチューブ同士の接続や分岐、径の異なるチューブ同士の接続、さらにはチューブと装置の接続にチューブコネクターは使用されます。

腐食性の無い液体を流す場合は素材は何でもよいので安価なチューブコネクタが使用されますが、酸やアルカリなどを流す場合には腐食しないようにチューブの素材と共にコネクタの素材も注意深く選ばなければなりません。腐食してしまうと液体が漏れてしまい事故につながりますので、適切な素材の使用が求められます。素材にはポリプロピレン樹脂がよく用いられていますが、耐腐食性の高い液体に使用する場合は耐腐食性が高いフッ素樹脂性が選ばれます。

チューブコネクタの原理

チューブコネクタはチューブ同士を接続しますので、リークしないように各種の工夫がなされています。最もリークが少ないチューブコネクタはスウェージロックタイプで、フェルールを用いてしっかりと締め付けますのでリークはほぼゼロになります。逆にリークしやすいコネクタタイプは締め付け不要で便利なプッシュワンタイプですが、こちらは高圧エアや高圧窒素などに使用されていてエアガンなどに使用されており安価で使いやすいチューブコネクタとして使用されています。

チューブの素材はビニール、シリコン、PCVなどが使用されていますが、チューブコネクタの素材もなるべくチューブ素材に合わせて使用したいです。特に、接合箇所はリークと言った不具合が起こりやすいので使用の際は気を付けた方が良いでしょう。また、外径の異なるチューブ同士を接続する際には流量の低下や流量の変化などを考えて接続する必要がありますので、使用の際はこれらの点に注意を払って使用してください。