増圧弁

増圧弁とは

増圧弁 (英: booster regulator) とは、圧縮空気の圧力を増圧させるために使用する空気圧機器です。

エアブースターとも呼ばれます。JISの用語では、増圧器が使われています。一般的に設備で使用する圧縮空気の圧力は、高いと1.0MPa程度ですが、通常使用する圧力は0.5MPa前後です。

使用する圧力を上げる際に、工場や事業所全体の圧縮空気ラインの圧力を上げる場合には、コンプレッサの設定圧力を変えていく必要があります。しかし、限られた製造ラインや回路のみ圧力を上げる場合は、必要とする場所の入口に増圧弁を設置することで、その目的を果たせます。

この他、専用の空気圧縮機を設置したり、空気圧駆動により、水、作動油、軽油、灯油、重油などの増圧用を選択したりする場合もあります。

増圧弁の使用用途

工場内で使用されている圧縮空気を使う装置のなかで、一箇所だけ圧力をあげる必要性が発生した場合、コンプレッサの設定圧力を上げてしまうと、電気料金を大幅に上昇させてしまいます。具体的には、耐圧試験やエア漏れ検査などです。

コンプレッサの設定圧力を0.1Mpa下げると、電気料金が7~8%程下がるというデータもあります。そのような場合には、圧力が不足する機械装置の手前に増圧弁を設置することが有効な手段です。増圧弁を設置することで、必要な部分のみ圧力を上昇させられます。

増圧した部分の流量は、設定圧力の上昇とともに減少しますので注意が必要です。また、増圧弁は圧縮空気を消費します。

増圧弁の原理

1. 増圧の仕組み

増圧弁は圧縮空気駆動により、作動させるので電気が不要です。また、コンプレッサの設定圧力以上に増圧させることができます。増圧弁は、1次側の圧縮空気圧力の2倍~4倍まで増圧して、2次側から出力します。2倍増圧と4倍増圧の場合の差異は、内部の構造です。

2倍増圧の場合の構造は、同じ径のシリンダを2つ有し、2室の増圧室と2室の駆動室から構成されます。駆動室のシリンダーには、同じ径のピストンがあります。そして、2つのピストンで受けた入力圧力が、1つの増圧室のピストンに作用して増圧します。

2つ分のピストンの受圧面積に比例した高い圧力が得られて、2次側から出力されます。2つのピストンは、ロッドで連結され、同期しています。ピストンがシリンダの端まで移動すると、センサーが作動し、空気回路を切り替えて駆動室と増圧室が逆になり、増圧を続けます。

4倍増圧の構造は、径が異なる2つのシリンダを有して、2室の増圧室と駆動室があることは2倍増圧の場合と同じです。駆動室の2つのピストンの受圧面積合計を、増圧室の1つのピストンの受圧面積の4倍にすることで、4倍の増圧が可能です。他の作動は、2倍増圧と変わりません。

2. エアタンクの設置

2倍増圧及び4倍増圧のタイプとも、蓄圧や脈動対策のために一般的にはエアタンクを設置します。エアタンクは、流量増加で一時的に圧力が低下した場合、補給して圧力低下を防止します。

また、増圧が間欠であるので、脈動低下に有効です。さらに、増圧弁の間欠作動音の低下もメリットとして挙げられます。圧縮空気には、オイルや水分が含まれており、エアタンクで冷却されると、オイルや水が分離されるので、排出する必要があります。

タンクを設置しない場合、流量が不足すると、増圧弁が連続駆動することになるため、寿命が短くなる可能性が高いです。

増圧弁の特徴

長所

  • 電源が不要で、圧縮空気によって駆動されます。
  • 圧縮空気の圧力を最大2倍~4倍に増圧が可能です。また、圧力調整が可能です。
  • 工場全体の圧縮空気圧を下げ、部分的に必要箇所のみを増圧することにより、全体の省エネができます。

短所

  • 供給エアーの約半分を排気するので、エネルギーロスが発生します。
  • 2次側にエアタンクを設置するのが一般的です。
  • 間欠作動なので、騒音が大きい短所があります。

増圧弁のその他情報

増圧弁の使い方

まず、IN側ポートに、供給空気管を接続し、OUT側ポートにエアタンク配管を接続します。

配管後設備空気を供給し、OUT側の圧力計の数値を確認しながら調整ノブを回して必要な圧力に調整します。

参考文献
https://www.smcworld.com/support/faq/ja-jp/?ca_id=booster-regulator&fa?id=10371
https//jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td06/x0386.html

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