硬さ試験機についての概要、用途、原理などをご説明します。また、硬さ試験機のメーカー22社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。硬さ試験機関連企業の2023年11月注目ランキングは1位:株式会社島津製作所、2位:株式会社フューチュアテック、3位:株式会社ミツトヨとなっています。
硬さ試験機とは、さまざまな材料や製品の硬さを評価するための試験装置です。
硬さ試験方法は、その基本原理によって押し込み試験法と動的試験法に大別できます。押し込み試験法は、硬質の圧子を試験片の表面に押し込み、生じる圧痕の表面積の大きさを測る方法と、圧痕の深さを測る方法の2通りです。圧痕の面積が小さい、圧痕の深さが浅いほど、硬い材料として評価されます。
動的試験法は、ハンマーを一定の高さから落下させて、その跳ね返る高さを測ります。試験片の反発力を試験するで、硬いものほど、高く跳ね上がるという性質を利用した試験方法で、ショア硬さ試験と呼びます。
以上の試験方法を行うために、それぞれ専用の圧子や、圧子に加える荷重、圧痕の測り方などによって種々な硬さ試験機が用いられています。硬さを評価する際には、試験片の大きさ、形状、目的などに応じて、受渡当事者間での取り決めを行い、適切な試験方法と試験機を選ぶことが重要です。
圧痕の表面積を測る試験法として、ビッカース硬さ試験とブリネル硬さ試験が挙げられます。
ビッカース硬さ試験機
ビッカース硬さ試験機は、金属材料をはじめとした様々な材料を試験します。試験荷重が小さいので、非常に狭い範囲の硬さを評価するのが特徴です。浸炭焼入れや高周波焼入れ、窒化層など様々な表面処理の硬化層深さ、溶接部の硬さの分布などの評価にも用います。
ブリネル硬さ試験機
ブリネル硬さ試験機は、鋳造品や鋳物、鍛造品など表面が粗く不均質な粒子構造をもつ金属材料を試験します。試験荷重が大きく圧痕も大きいので、比較的広い範囲の硬さを平均的に評価するのが特徴です。
圧痕の深さを測る試験法では、ロックウェル硬さ試験があります。ロックウェル硬さ試験機は、主に焼入れした金属材料に使用します。焼き入れした金属材料で硬化層の硬さを評価する際には、硬化層の硬さと深さに応じて、適切な試験条件 (スケールとして設定されています) の選択が必要です。
動的試験方法であるショア硬さ試験は、大きな部品や圧延ロールの硬さ試験に使用され、機械工場内の現場でもよく使用される試験方法です。圧痕が目立ちにくいので、製品検査に使用できること、またショア硬さ試験機は小型で、持ち運びができることがメリットとして挙げられます。
硬さ試験機の原理は、種類によって異なります。
ビッカース硬さ試験機は、対面角136°の正四角すいのダイヤモンド圧子を、試験片に試験荷重をかけて押し込みます。この荷重によって試験片にできる四角形の圧痕の対角線の長さを、試験機に取り付けられた金属顕微鏡で計測します。
試験荷重はJISでは、10gfから100kgfについて定めています。また1kgf以下で行う試験を、マイクロビッカース硬さ試験といいます。試験機はビッカース硬さ試験、マイクロビッカース硬さ試験でも同じです。試験荷重を変えることによって、どちらの試験も実施できます。基本的には、試験荷重を変えても材質にムラが無ければ、硬さの数値は変わりません。
また、ビッカース硬さ試験は、試験片が手のひらサイズほど以下である必要があります。試験する表面は鏡面研磨も必要なので、硬さを知りたい部分を切り出すことがほとんどです。
ブリネル硬さ試験機は、球圧子という直径10mmの鋼球または超硬合金球を使用します。試験荷重は3,000kgfが多く用いられます。試験面に球分のくぼみをつけたときの荷重を、永久くぼみの表面積で割った値です。
ロックウェル硬さ試験機は、3段階で荷重を付加します。まず基準荷重を加え、さらに大きな試験荷重を加えた後、再び基準荷重に戻します。硬さの評価は前後2回の基準荷重負荷時における、くぼみの深さの差から求めます。
また、ロックウェル硬さ試験では、複数の試験荷重と圧子の種類の組み合わせによって、スケールが決められています。例えば先端半径0.2mmかつ先端角120°のダイヤモンド円錐を使用し、基本荷重10kgfの場合、試験荷重が60kgfならAスケール、100kgfならDスケール、150kgfであればCスケールです。
また、1/16インチ (1.5875mm) 鋼球を使用し、基本荷重10kgfで、試験荷重が100kgfで行う試験はBスケールに該当します。なお、基本荷重3kgfで、試験荷重15 , 30 , 45kgfで行う試験は、ロックウェルスーパーフィッシャル硬さ試験と呼びます。特 に薄い鋼板などの硬さ試験に使用されます。
現在のロックウェル硬さ試験機は、圧子が交換可能で、それぞれの基本荷重、試験荷重を設定できます。一連の荷重負荷と深さの測定が自動的に行われる点がメリットです。
ショア硬さ試験は、一定の形状と質量のダイアモンドハンマーを、試験片の上に一定の高さから落下させ、跳ね返りの高さを計測する試験です。ショア硬さ試験機は他の試験機と異なり、非常に小さく電力も使わずに試験ができることが特徴です。
硬さ試験を正しく行うために、硬さ試験機には定期的な校正が必要です。通常は、試験機メーカーのサービスを受けることになります。
また。日々の運用においては、試験片を使った精度確認を行うことが大切です。硬さが保証された標準試験片を用意し、実際に試験を行う前に、標準試験片で正しい結果が得られるのかを確認します。この事前確認で、試験荷重や圧子の選択の間違いに気づくこともできます。
参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/products/recorder/testing-machine/material/hardness.jsp
https://www.struers.com/ja-JP/Knowledge/
Metoreeに登録されている硬さ試験機が含まれるカタログ一覧です。無料で各社カタログを一括でダウンロードできるので、製品比較時に各社サイトで毎回情報を登録する手間を短縮することができます。
手動から全自動まで、ブリネル、ビッカース、ロックウェル、ヌープに準拠した硬さ試験のほか、プラスチック試験や炭素試験用に設計されています。多様な材料...
2023年11月8日
Model-Dはショア式硬さ試験機で従来よりも重くて長いダイヤモンドハンマを採用する一方で高さを19mmとすることにより同等の衝撃エネルギーを発生させて硬さを測定します。
ハンマは反跳最高点で固定され、自動的に硬さ値をダイヤルゲージにて示します。
大型または重い試験片の場合であっても、計測筒を取り外すことで手持ちにて測定することが可能なため、幅広い測定レンジを有しています。
試験痕跡は非常に小さく、操作が容易なため短時間に測定できることが特徴です。
HM-100シリーズは硬さ試験に求められる必要最低限の機能を有する経済的かつ標準タイプのマイクロビッカース硬さ試験機です。
アナログタイプ1種と、デジタルタイプ2種の合計3仕様がラインアップで、デジタル仕様は顕微鏡内の圧痕を映し出すモニターがあるかないかによってわかれています。
試験力は98.07mN(10gf)~9807mN(1000gf)に対応していて、試験力の負荷・保持・除荷の工程は自動的に制御し、保持時間の設定は任意で行うことができます。
Viaは電動型のビッカース硬さ試験機で、試験力の自動制御機能搭載により980.7mN~490.3Nという幅広い測定可能範囲を実現しています。
ロードセルによる試験力制御は高精度な測定を実現し、荷重フィードバック制御は外乱を抑制することが可能です。
ビッカース硬さ試験に加え、ブリネル硬さやヌープ硬さも測定可能です。
自動ピント調節機能や自動読取機能が標準で搭載されていて、本体は軽量かつコンパクト設計のため操作性に優れています。
デュラミン-4はロードセル技術や簡易なタッチパネル式操作画面を採用することで再現性や操作性に優れた標準タイプのビッカース硬さ試験機です。
ビッカースに加え、ヌープ硬さ試験、ブリネル硬さ試験を行うことも可能で、試験範囲は10gf~2kgfと1kgf~62.5kgfに対応したモデルがあるため用途に合わせて選択することが可能です。
顕微鏡を覗き、手動でX、Y、Z軸を調整することで圧痕に計測ラインを合わせて硬さ値を測定するアナログ式で、研究室等への導入に最適です。
ウィルソン® ロックウェル® 574は同クラスのロックウェル硬さ試験機の中でトップクラスの品質を有し、耐久性や繰り返し性、再現性に優れています。
標準のロックウェル硬さ試験に加えて、スーパーフィシャルロックウェル試験を行うことが可能なツインスケールモデルもあるため、用途に合わせて選択可能です。
試験機は高剛性を有する優れた工業デザインになっていて、扱いやすい操作画面やデータ転送用のUSBポートを搭載しているため操作性に優れます。