フレキシブルホースとは
フレキシブルホース (フレキシブルチューブ) とは、柔軟性があり自由に曲げられるホースのことです。
素材としてはゴム製やプラスチック製、フッ素樹脂製のものなどがありますが、多くの場合は金属製のものを指してフレキシブルホースと呼称します。金属で作られたフレキシブルホースはベローズという波状の構造をしているものが多く、日本語ではその見た目から蛇腹とも呼ばれています。
ベローズは金属をギザギザに折り曲げて作られた配管であり、曲がりにくい金属管でも柔軟に曲げられるのが特徴です。
フレキシブルホースの使用用途
フレキシブルホースは、工場の配管に使用したり、可動式装置やポンプ等の振動する装置への接続などに用いられます。工業用だけでなく、家庭用のガスや水道の配管にも用いられます。
他にも自動車排気管の中間部、半導体製造装置の真空配管、消防設備である消火配管のスプリンクラーの接続部分など、その使用場面は非常に多いです。
フレキシブルホースは水のみではなく、水以外の液体及び気体を流します。曲げることができるため、ホースの設置にも自由度があります。ホース内に流す液体や気体によってホースの素材が選択され、腐食性が高い液体や気体にはフッ素樹脂製のフレキシブルホースが使用される場合もあります。
フレキシブルホースの原理
フレキシブルホースは柔軟性を活かすことで、上述したように幅広い場面で使用されています。各使用場面において発揮される特性としては、以下に示すようなものが挙げられます。
1. 配管作業の簡略化
真っすぐな配管では接続できない、或いは接続するには入り組んだ配管接続が必要となる箇所で活用されます。剛直な配管では僅かに芯のずれがあるだけでも繋ぎ合わせるのが難しくなりますが、フレキシブルホースを使うことで簡単に接続が行えます。
2. 変位吸収
設備の経年劣化や地盤沈下などが原因でホースが伸縮や偏心が起こると通常のホースであれば接続部やホース本体に負荷がかかります。 (伸縮とは真っすぐに伸ばしたホースの伸長方向に対する長さの変化のことで、一方偏心はホースの伸長方向に対して垂直な向きの変化を指します。) フレキシブルホースを使用することでそのような変位を吸収することができます。
3. 振動吸収
ポンプのような常に振動する機器にホースを接続する場合、その振動によりホース本体や接続部に負荷がかかります。フレキシブルホースがその振動を吸収することで振動を吸収し、設備への負荷を減らすことができ、結果として設備の長寿命化に貢献します。また、地震発生時の揺れを吸収し、設備へのダメージを低減します。
4. 配管の熱膨張吸収
剛直な金属配管は一見膨張収縮しないように見えますが、実際には急激な温度変化により僅かながら膨張収縮します。剛直な構造体であるために僅かなサイズの変化が負荷に繋がります。フレキシブルホースはそれ自身が伸縮可能な部材なので、その膨張収縮にも対応できます。
フレキシブルホースの構造
通常は固くて曲げ伸ばしすることができない金属ですが、フレキシブルホースでは自在に曲げて、ホースとして使用することができます。
以下に代表的なフレキシブルホースの構造と特徴を記述します。
1. ワンピッチタイプ
冒頭でも述べた通り、ベローズと呼ばれる構造を持ちます。薄く引き伸ばした配管をアコーディオンのように山と谷が連続する構造に成形したものです。折れ曲がりストローをイメージすると分かりやすいです。一つ一つの山が独立しており、谷によって隔てられたような形状をしています。
2. アニュラータイプ
ワンピッチタイプと同様に、山と谷があり、それぞれの山が独立しています。ただ、ワンピッチタイプでは山の形状がU字状なのに対して、アニュラータイプでは山の形状がΩ状になっています。各山が独立していることで、首元部分のねじれが抑えられることが特徴です。
3. スパイラルタイプ
U字型の山を連続的に螺旋形状で成形したものです。螺旋構造のため、液溜まりが起きにくいことが特徴として挙げられます。
4. ブレードタイプ
これまで記載してきたような山と谷の構造ではなく、金属の細い線材を服の繊維のように編み込んで筒状にした構造を持ちます。
上記のような構造体だけでなく、それらを組み合わせたものも作られています。多くの場合、ワンピッチタイプやスパイラルタイプのホースの外側をブレードタイプで補強する二重構造にすることで、柔軟性と耐久性を兼ね備えたホースにしています。
参考文献
https://www.nfk-jp.com/products/flexible/
https://t-techno.com/case/ls0261/