デジタル差圧計とは
デジタル差圧計とは、2点間の圧力の差を測定しデジタル表示する装置です。
マノメーターと呼ばれることもあります。測定したい2点とデジタル差圧計を測定用チューブで接続するだけで差圧が計測できる簡便性と、小型で軽量なことが大きな特徴です。測定対象は気体、液体どちらにも対応した製品が多いです。
計測可能なレンジや分解能も、空調設備の気圧といった比較的大きな差圧からクリーンルームにおける微差圧まで幅広く、使用用途は多岐にわたっています。配線不要な電池式タイプは設備監視・記録用、警報装置付きのタイプはフィルタ交換等のメンテナンス用というように、目的に合わせた製品選択が可能です。ピトー管を利用した流量計測が可能なものもあります。
デジタル差圧計の使用用途
測定分解能の広さから、幅広い用途に用いられています。代表的な用途は以下のとおりです。
1. 空調設備の性能チェック

図1. フィルタ劣化のメンテナンス
空調設備には、ダクト、ファン、フィルタ等が含まれます。図1に示すように、フィルタは長期間利用していると目詰まりにより性能が低下します。
フィルタの目詰まりが進行するとフィルタ前後の差圧が大きくなるため、差圧計を用いてフィルタの性能をチェックすることが可能です。
2. クリーンルーム内の環境測定

図2. クリーンルームの模式図
クリーンルームにおいては、空気清浄度を維持することが重要です。空気を絶えず循環させていますが、清浄度を保つためにフィルタを用いてホコリなどを取り除いています。フィルタの性能が落ちていないか、差圧計を用いてチェックすることが重要です。
また、クリーンルーム外部からホコリなどを取り込まないよう、内部は陽圧 (1気圧より高い気圧) になっています。陽圧状態が保たれているかどうかも、差圧計を用いることで確認できます。特にクリーンルーム内に何らかの排気装置を設置している場合は陰圧になりやすいため、陽圧の確認が不可欠です。
3. 大型密閉タンクのレベル計測

図3. 差圧計による密閉タンクの液面高さ測定
密閉タンク内の液体のレベル (液面の高さ) を知りたいときも、差圧計が用いられます。液体の比重が一定の場合、測定面にかかる圧力は液体のレベルに比例するため、圧力を測定することでレベルが分かります。
しかし、密閉タンクの場合、測定面にかかる圧力にはタンク上面の内圧も含まれるため、内圧の影響をキャンセルする必要があります。そのようなときに差圧計を用いることで、液体による圧力のみを測定することも可能です。
デジタル差圧計の原理
感圧素子に圧力が加わったときの素子のたわみを素子に流れる電流による抵抗変化によって、電気的信号として測定します。電気的信号と素子の変位の関係を用いて、測定結果を圧力に変換します。こうして計量した2点間の圧力の差を、デジタル数値として表示するのがデジタル差圧計です。
デジタル差圧計では測定点が2点あるので、2方向の測定点から加わった圧力によるたわみ (変位) の大きさと向きを測定しています。向きも計測することでどちらが高圧側でどちらが低圧側かを判断しており、変位の差を電気信号として読み取り圧力差として表示しています。
デジタル差圧計のその他情報
感圧素子について
デジタル差圧計の内部には、感圧素子として圧電素子 (ピエゾ素子) と呼ばれる素子が埋め込まれています。圧電素子とは特定の物質において、圧力が加わるとその圧力に応じて電圧を生じる圧電効果を利用した受動素子です。主に水晶 (人工水晶) や、強誘磁性のセラミックスなどが利用されます。
測定の要となる圧電素子は、圧電効果をもつ圧電体を2枚の電極で挟み込んだ構造をしています。構造がシンプルなため劣化しにくく丈夫で、軽量化しやすいというメリットがあります。
圧電効果を持つ材質は数多くあり、感圧素子の素材開発も行われているため、より精密な計測が可能な製品も開発されています。