8ビットマイコン

8ビットマイコンとは

8ビットマイコンとは、マイクロコントローラの略称であるマイコンの中でも、処理用のビット幅が8ビットに限定されたものです。

ある入力に対して、出力をプログラムできるという特長を持ちます。一般に普及しているマイコンの中ではその処理能力は低く、高速度通信などには適しません。

しかし、単純な照明のオンオフなど、ごく簡単なプログラム操作には十分な性能を持ちます。また、市場流通も多いため、入手しやすく安価であることから、今でも身近な多くの電子機器に採用されています。

8ビットマイコンの使用用途

8ビットマイコンは、処理用のビット幅が8ビットのため、簡単な動作を安価かつ手軽に表現する際に使われます。そのため、市販されている多くの電子機器には、無数の8ビットマイコンが内蔵されています。

例えば、冷蔵庫に内蔵された8ビットマイコンは、庫内を一定温度に保ったり、ドア開閉時の照明を点灯させたりするのが役割です。炊飯器では、スイッチが押されたら炊飯がスタートする、予約タイマー機能がセットされたら、そのタイマーが作動するために使用されています。

8ビットマイコンの原理

マイコンの中身は大きく分けて、入力部と処理部および出力部から構成されます。入力部では、外部スイッチなどからのオンオフの信号を受け取ります。その入力を受けた場合、入力信号に応じて処理を実施し、適切な出力をします。

この処理部の中身をソフトウェアとして捉え、あとから変更することができるのがマイコンの利点です。マイコン無しで組まれた回路では、このデータ処理の部分を変更しようとした場合、実基板の回路を変更する必要があります。それに対して、マイコンであればソフトウェアを書き換えることで対応することが可能です。

複雑な回路構成を変更するには、多くの時間と労力を要します。しかし、あらかじめ入力信号による条件分岐をマイコンへ担わせることで、あとから多量の基板の制御変更が起こったとしても容易に対応できます。

また、回路構成が複雑になればなるほどトランジスタなど必要部品が多くなるため、装置が大型になりがちです。マイコンを使うことでその大部分を集約できるため、装置の小型化も同時に実現されます。

8ビットマイコンの構成

マイコンはI/O、CPU、ROM、RAM、周辺回路の部品で構成されています。

1. I/O

マイコンは外部のさまざまな回路や装置の間で信号のやり取りを行います。最も基本的な仕組みを汎用I/O、またはGPIO (General Purpose I/O) と呼びます。汎用I/Oはマイコンの持つ入出力ピンを指します。

2. CPU

中央演算処理装置 (英: Central Processing Unit) の略です。マイコンの中で命令を実行する装置に当たります。パソコンとマイコンの大きな違いとして、このCPUの処理能力が挙げられます。マイコンはパソコンと比較すると単位時間当たりの命令実行数が少なくなります。

一方で、マイコンが持つCPUのメリットとしては安価で消費電力が小さいこと等があります。

3. ROM

「Read Only Memory」の略で、読み出し専用のメモリのことです。不揮発性メモリと呼ばれており、電源を消去しても記憶したデータを保持できる性質を持ちます。

4. RAM

「Random Access Memory」の略になります。読み書きが可能なメモリであり、CPUの演算結果等の一時的なデータを格納する役割等を持ちます。

8ビットマイコンのその他情報

8ビットマイコンのメリット

高性能マイコンと呼ばれるものは、現在多数あります。高速、大容量な処理は、32ビットマイコンや64ビットマイコンなどが圧倒的に能力が高く、8ビットマイコンでは到底太刀打ちできない差があります。

それでも8ビットマイコンが使用されるのは、少ないセンサやスイッチの情報を元に最低限の動作や表示の制御をすればよい場合に、必要以上に複雑な制御ロジックを組む必要がないからです。扱いがシンプルで安価な8ビットマイコンを採用した方が、コストパフォーマンスが良いという結果になります。

また、複数の機能を有するシステムの場合は、動画や通信などの制御は32ビットマイコンを選択し、それ以外の基本動作は8ビットマイコンで対応するなど、1システム中に複数のマイコンを装備するようなケースも多いです。

参考文献
https://www.renesas.com/
https://jp.rs-online.com/

DAコンバータ

DAコンバータとはdaコンバータ

DAコンバータは、デジタル信号をアナログ信号に変換する電子回路です。

パソコンやタブレット、スマートフォン等のデジタル機器では様々な処理がデジタル信号で行われます。しかしその結果を音や光のような形で出力する場合、これらはアナログ量なのでデジタル信号からアナログ信号への変換を行う必要があります。

アナログ量は連続値であり、離散値であるデジタル量を厳密にアナログ量に変換するには無限の桁数が必要となってしまうので、DAコンバータからの出力値は必然的に近似値となります。逆に、アナログ量をデジタル量に変換する回路をADコンバータといいます。

DAコンバータの使用用途

DAコンバータは、アナログ信号を出力する必要のある全てのデジタル機器で用いられます。

スピーカを搭載したパソコン、スマートフォン、デジタルオーディオ、TVは勿論、スマートスピーカーに代表される音声合成機能を備えた機器にも搭載され、デジタルデータをアナログの音声信号に変換します。最近ではUSB接続などの外付けDAコンバータも開発されており、ハイレゾ音源など、高音質での音声出力のためにも使われています。

また、パソコンモニターやプロジェクタなどの一部の映像機器にはアナログデータを入力するVGA端子やRCA端子があり、DAコンバータによりデジタルデータから変換されたアナログ映像信号が入力されます。

産業用機器では、特に高精度の連続的な制御を必要とする場面等でDAコンバータから出力されるアナログ信号が必要となります。

DAコンバータの原理

DAコンバータの変換方式はいくつかありますが、最もシンプルでローコストな方式が抵抗分割方式です。抵抗ストリングスと呼ばれることもあります。

抵抗分割方式では、参照電圧とアースの間に2^n個の等価な抵抗を直列に接続し、抵抗間のノードを出力とすることで、参照電圧の1/2^nの整数倍の電圧を作ります。デジタル信号をデコードしてこの出力ノードのいずれかを選択することにより任意の電圧を出力することができます。このときの分解能はnによって決まり、nビットのデジタル信号をアナログ信号に変換することができることになります。

抵抗分割方式は非常にシンプルで単調増加性が確保されるため、線形性があり高精度である一方で、分解能を高めるためにビット数を増やすと回路規模は指数関数的に大きくなるというデメリットもあります。

抵抗分割方式以外の変換方式として、キャパシタを用いる方式、電流源を用いる方式、ローパスフィルターを用いる方式などがあります。

DAコンバーターのその他情報

1. DAコンバータ使用時の注意

DA変換の出力は原理的に離散値となるため、変換精度を上げても元のアナログ信号とは違ったものになります。この差がノイズとなり、アナログ信号の品質に影響します。また、DAコンバータの先に接続されるスピーカーなどの電子部品の品質もアナログ信号の品質に影響します。

このように、回路図のパラメータだけでは表せない部分が存在する場合もあり、全体のバランスを念頭に置いて使用部品を吟味し調整する必要があります。

2. DAコンバータの精度

DAコンバータは、産業用システム、IoTシステム、各種測定システム、各種メディアシステム等、様々なケースで利用されますが、各システムの高度化に伴ってより高精度のものが要求されています。

DAコンバータではいくつかの誤差が発生しますが、その主なものとしては下記のようなものがあります。

  • オフセット誤差 (OE) 
  • ゲイン誤差 (GE) 
  • 積分非直線性誤差 (INL) 

DAコンバータの精度はこれら3種類の誤差総てを含めて評価され、総合未修正誤差は (OE^2+GE^2+INL^2) の平方根で表されます。

3つの誤差のうち、OEとGEはシステム上で簡単なコードを使って較正することができますが、INLは一般的に複雑なコードとなり、誤差自体も関数で表せない誤差であるため、多くのパラメータをメモリ上に保管する必要があります。

また、較正コード自体がシステム全体に無視できない負荷を与える場合もあるため、INL誤差を抑えることが重要です。

参考文献
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/da-converters/da_what5
https://www.cqpub.co.jp/dwm/contents/0064/dwm006401200.pdf
http://www.phileweb.com/review/column/201709/19/553.html
https://ednjapan.com/edn/articles/1611/08/news012.html

CPLD

CPLDとは

CPLDとは、プログラムの書き換えが可能な論理回路デバイスのうち、比較的複雑な回路構成の製品です。

「Complex Programmable Logic Device」の略で、CPLDによって製品開発が以前と比較し、低コストでスムーズに行えるようになりました。

CPLDの使用用途

CPLDは民生品から産業機器まで、制御基板内などの中に広く使用されます。CPLDの具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • デジタルカメラや複合機
  • スマートフォン
  • 車載制御装置やカーナビ装置
  • ゲーム機

CPLDは制御回路の中でも、特に電源回路の管理などに使用されます。回路への電源投入順番の管理や電圧選択回路などの機能を担う場合も多いです。

CPLDの原理

CPLDは複数のプログラマブル論理回路が集積したブロックと、別のブロックを接続する配線領域によって構成されています。ブロックを構成しているのは、AND-ORゲート構造を持ったマクロセルと1ビットの情報を0/1で保持するためのD型フリップフロップ、入出力のためのI/Oピンの3つです。

マクロセルはInputピンからデジタル信号を入力し、ユーザーにプログラムされた論理回路で、Outputピンへ信号を出力します。内部の一次データはフリップフロップで保存します。

配線領域はブロック間を接続する部分で、1~複数個のブロックを経由してデータを出力します。

CPLDのその他情報

1. CPLDとFPGAの違い

CPLDと類似の論理回路デバイスに、FPGAが存在します。FPGAは揮発性メモリを利用していることから、電源を落とすと回路データが失われます。

それに対してCPLDでは、EEPROMやフラッシュメモリのような不揮発性メモリを利用しているため、回路データは保持されるという違いがあります。両者は規模についても違いがあります。

FPGAが数万ゲートを有するのに対し、CPLDは数千程度のゲートしか有しません。そのため、大規模な論理回路はFPGAに行わせ、電源を投入時にFPGAにCPLDがデザインデータを与えるという使い方をします。

また、論理ブロックが配置されている場所によって遅延時間が異なるため、FPGAは遅延時間を予測するのが困難です。それに対して、CPLDは経由するマクロセルの個数が決まっているため予測が容易です。

2. CPLDの歴史

CPLDは約30年前にTTLやCMOSロジックデバイスの置き換えを目的に開発されました。当時は、NOTやANDだけの機能をもつ汎用ロジックICを基板上で組み合わせて回路を構成していました。

テキサスインスツルメンツ (TI) 社の7400シリーズが有名ですが、当時の技術者は数百を超えるデバイスをほぼ暗記していたと言われています。回路が複雑になると数十から数百個の汎用ロジックICが必要なため、基板サイズが巨大になる問題がありました。

トランジスタの微細化が進んだことで、数千、数万個の汎用ロジックICを数個のLSIで実現できるようになったため、CPLDの開発が加速することになりました。

3. CPLDの開発プロセス

CPLD設計の開発プロセスは、論理設計、論理合成、配置配線、タイミング検証、プログラミングのステップに分類されます。

  • 論理設計
    VerilogやVHDLなどのハードウェア記述言語を用いて回路設計を行います。RTL設計とも呼ばれています。
  • 論理合成
    ハードウェア記述言語で現した回路を、CPLDで実装可能なゲート回路 (ネットリスト) に変換します。回路記述を解釈し、NOTやANDなどの論理式に変換します。また、この時、回路の動作速度向上やチップ面積を削減するために最適化も行われます。
  • 配置配線
    ゲート回路 (ネットリスト) の内容をCPLD内部でどのように配置するかを決めます。組合せ回路部分の出力が安定するまでの時間を計算したり、信号間の出力タイミングに差が出過ぎないように調整したりします。
  • タイミング検証
    CPLD内部の素子に対して遅延時間を定義し、シミュレーションを行います。
  • プログラミング
    最終デザインを元に、開発ツールから生成されたデータをCPLDに送り込みます。

参考文献
https://www.cqpub.co.jp/hanbai/books/37/37101/37101_1.pdf
https://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/programmable/products/cpld/cpld.html
https://japan.xilinx.com/japan/fpga-koza/chapter01.html
http://www.ieice-hbkb.org/files/10/10gun_01hen_03.pdf#page=23

インダクタコイル

インダクタコイルとは

インダクタコイルとは電子部品のひとつで、鉄などの磁性体の芯(棒)に導線を巻いたコイルです。

導線には、直流電流はスムーズに流れるけれども交流電流は流れにくいという性質があるため、整流作用があります。

インダクタコイルは電気エネルギーを磁界に変換しますが、芯を共有する別のコイルには再び電流に戻すことができます。

この性質を応用したものが交流用の変圧器で、片方のコイルに交流電流を流すと同じ鉄芯に別のコイルに誘導電流が流れます。導線の巻き数を変えることで電圧を変えることができます。

インダクタコイルの使用用途

インダクタコイルは多くの電気製品に使用されていますが、身近な物であれば交流用の変圧器があります。

スマホの充電器やPCのアダプタは家庭用の交流100Vの電源を5~12Vの直流に変換しますが、電圧を下げる部分の変圧器にこの部品が使用されています。

高周波を発信させることから、各種無線装置(WiFiや非接触式のICチップ)や電子レンジなどにも使用されています。蛍光灯の安定器や各種電気製品などにも数多く利用されており、特に電子回路の整流をおこなうためには不可欠な部品だと言えるでしょう。

インダクタコイルの原理

直流電流をコイルに流すと、鉄芯には磁場が発生し、芯の部分が電磁石になります。

はじめに電圧を加えた場合や、電圧を下げた際には、動線に瞬間的に誘導電流が流れます。これにより、電気エネルギーが磁界の形で蓄えられるという作用があります。

一定の強さの磁界が生じた後は、普通の銅線と同じように直流電流が流れます。これに対してインダクタコイルに交流電流を流した場合には、鉄芯には大きさが変化する磁界が生じます。

磁場が変化すると電流と逆向きの誘導起電力が発生するので、抵抗(インダクタンス)が発生します。交流の電流を流し続けると常に逆向きの誘導起電力が発生するので、電流が流れにくいという状態が継続します。

インダクタコイルの場合、直流電流であればスムーズに通過できますが、交流電流の場合、抵抗が発生するため流れにくい特質があります。

そのため、交流電流は通すけれども直流電流は通過できない、というコンデンサーとは逆の性質を持った電子部品なのです。

インダクタコイルの抵抗

インダクタコイルは、等価回路的な表現をすると、直列抵抗成分が存在します。この抵抗成分を直流抵抗(DCR)と言います。

理想のインダクタでは、周波数が大きくなるにつれて、インダクタンス(L)成分はそのまま増えます。しかし現実のインダクタコイルには、寄生容量が存在するため、自己共振が発生し、自己共振周波数より高い領域では、インダクタンス成分は低下します。つまりこの周波数領域では、本来のインダクタコイルとしては機能しなくなるのです。

直流抵抗以外にも、コアの渦電流損を発生させる抵抗成分と、 表皮効果や近接効果での導線の抵抗成分も含まれており、この抵抗の成分を交流抵抗(ACR)と言います。 交流抵抗は、周波数に比例して値が大きくなり、高周波における電力損失やインダクタの温度上昇に大きく影響するため、実使用上は考慮しなければなりません。

なおインダクタコイルのQ値は、誘導性リアクタンスXLをACRで割った値であり、周波数に対してどれだけの損失があるかを示しています。

インダクタコイルの種類

インダクタの代表的な種類としては、空芯コイル、トロイダルコイル、コアコイル、積層コイル、フェライトビーズなどが挙げられます。

トロイダルコイルはドーナツ型のフェライトに導線を巻き付けた構造、コアコイルは棒状等のフェライト等のコアとなる材料に導線を巻きつけたコイルになります。

積層コイルは、チップインダクタ部品等のセラミック材料の薄いシートに導体金属をスパイラル状に形成し内部ビアで導通を取っているインダクタコイルです。半導体やIPD等でスパイラルインダクタを形成の際も一般には同様な構造をとります。

インダクタコイルの記号Lの意味

インダクタ記号のLの意味は諸説あるようです。もっとも一般的に言われている説には、電磁誘導の法則を導き出したLenzの頭文字に由来するという説です。
この法則は、インダクタコイルのインダクタンス成分が、コイルの長さに反比例し、コイルのコアの透磁率と巻き数の2乗、および断面積に比例するというものです。

参考文献
https://product.tdk.com/info/ja/contact/faq/faq_detail_D/1432565863594.html
https://www.matsusada.co.jp/column/inductor.html
https://www.chip1stop.com/sp/knowledge/067_types-of-inductor
https://industrial.panasonic.com/jp/ss/technical/b6

車載用コネクタ

車載用コネクタとは車載用コネクタ

車載コネクタとは、自動車用の配線をつなぐ自動車専用の部品です。

自動車が高度な通信機能を持つようになり、高性能化するにつれて電子回路や部品が増え、車載コネクタも種類が多く展開されるようになっています。また、電気自動車が販売されるようになり充放電用に専用のコネクタが使用されています。

自動車に搭載される湿度、温度、振動、水といったセンサーやその環境に適合できるよう、車載コネクタの種類は多いです。つなぐ配線の微小な信号から大電力用までラインナップがあります。

車載用コネクタの使用用途

自動車の配線に使用されるコネクタ全般を車載コネクタと呼ぶため、ハーネスコネクタやFPCコネクタ、基板間コネクタ同軸コネクタなど、多数のコネクタがあります。タイプよって使用用途は異なります。

  • ハーネスコネクタ
    安全系、高電圧、防水、先進運転システム等全般
  • FPCコネクタ
    先進運転システム、マルチメディア
  • 基板間コネクタ
    先進運転システム、ECU
  • 同軸コネクタ
    先進運転システム、マルチメディア、ECU

車載用コネクタの原理

車載コネクタは配線同士をつなぐ役割をするので、一般的なコネクタと基本的に構造は変わりません。コネクタは主に2つのパートに分けられます。コンタクトと呼ばれる、配線相互の電気的な接続をする部分と、ハウジングと呼ばれるコンタクトを組み込む絶縁体部分です。

車載コネクタの場合、振動による接触不良や抜けをなくすために、メカニカルロックがついたコネクタが多くあります。プラグを押し込むとクリック音がして、確実にロックができる構造です。他にも、コンタクト部分の抜けを防ぐため、ハウジングランスとリテーナで二次係止できる構造になっているコネクタもあります。

また、車載コネクタの使用箇所の環境に適した素材や構造を持つ製品が使用されています。例えば、電気自動車の充放電用コネクタでは十分に防水保護した設計になっており、このようなコネクタの外側のプラスチックには劣化や衝撃による損傷を防ぐため、耐候性が高く、強度も十分なプラスチックが採用されています。

車載用コネクタのその他情報

車載用コネクタの活用

1. 車載用防水コネクタ
防水コネクタは、防水や防塵が求められる場所で使用します。具体的には、水や油が発生するエンジンルーム周辺や濡れた靴の水が染み込むフロアマット周辺、雨天時に水が侵入する可能性のある箇所などです。普通のコネクタと比べて構造が大きく変わり、防水対策はケースの撥水加工として外側の対策から、コネクタ内部の端子1本にまで及びます。

コネクタ内部の端子にはシールリングを使用し、嵌合時に発生する隙間を埋めることで外部からの水・油・塵の侵入を防止します。その他、電線と端子がつながる部分はゴム栓を締め付けるように装着することで耐環境性とともに引っ張りのような外部からの力にも強い構造です。

エンジン周辺で使用するコネクタは、防水性の他に高温や振動にも耐えうる構造になっています。車載用防水コネクタは複雑な構造と高い耐環境性ゆえに通常の車載用コネクタに比べ、生産に必要なコストがとても大きく、数倍から数十倍の金額差があります。

2. 安全系部品に使用する車載用防水コネクタ
車載用防水コネクタは、エアバッグや衝突検知センサー、ECU (電子制御ユニット) といった安全上の観点から厳重な管理が求められる部品に使用される場合があります。エアバッグは人命に直接かかわる部品であることから高い信頼性が求められ、防水加工の他にコネクタ嵌合時の挿入不足と嵌合外れを防止する対策が施されています。

リテーナとフロントキャップの2つの部品による2重の係止構造で嵌合外れを防止します。また、リテーナとフロントキャップはコネクタが確実に嵌合されていないと取り付けることができない構造です。それによって、嵌合時の挿入不足を防止することができます。

それ以外に、組付け工程時の作業者の誤った嵌合を予防する対策も施されています。標準タイプのコネクタとは形状や色が大きく異なり、ひと目に誤りを判断することが可能です。重要保安部品であるエアバッグに使用するコネクタの色は黄色が多い傾向にあります。

3. 高電圧部品に使用する車載コネクタ
電気自動車の充放電用に使用されるようなコネクタは、充放電にかかる時間を短縮するために高い電圧が必要です。高電圧部品に使用される場合は、感電防止対策、発生温度上昇による発火対策等、通常のコネクタよりも高い安全性能が必要となります。

また、消費者が自ら充電を行うことも想定されており、堅牢性、軽量化が求められます。これらの安全性がバラつかないように規格が策定されており、規格を準拠することで同規格に準拠しているコネクタであれば、メーカーをまたいだ互換性があるため、どのメーカーのコネクタでも使用することが可能です。

4. 先進運転システムに使用する車載コネクタ
先進運転システムに使用する車載コネクタは周辺の車や人、バイク等の位置把握を動きながらする必要があるため、通信を損失させないための高速通信性能が求められます。

また、車の中でもスマートフォンの電波やテレビの受信、ETCなど多くの通信が行われており、それらの通信による誤作動対策、周辺の通信を誤作動させないための対策として耐ノイズ性能が必要です。高速通信性能や耐ノイズ性能を向上させるために、信号ラインの保護としてシールド部品が欠かせません。

参考文献
http://www.ittcannon.jp/item-cat/automobile/
https://www.omron.co.jp/
http://www.tossnet.or.jp/portals/0/resouce/staticContents/public_html/mtou_siryo/img/tech_info/tech_info_08.pdf

サイリスタモジュール

サイリスタモジュールとは

サイリスタモジュールとは、半導体整流素子の1つであるサイリスタを、用途にあわせて転流回路などを集積し、モジュール仕様にして使いやすくした製品です。

ある回路中に入力信号に応じたスイッチの機構を持たせたいときに使用します。一般に、回路設計の際のリレー部品として組み込まれることが多いですが、その挙動に似たものとしてダイオードとトライアックがあります。

実装したい処理に応じて、入力信号に対して異なる出力をするモジュールを使い分けることで、さまざまな入力に対して得たい出力を制御することが可能です。

サイリスタモジュールの使用用途

サイリスタモジュールは 大電力用インバータ回路の突入電流防止用途や電流の産業機器の電力制御、電車のモータ制御他、幅広い用途で用いられています。スイッチとしての役割を担い、一度導通するとその時に生じた電流がなくなるまでは導通し続けるという特長を生かしたい回路設計の場面に組み込まれています。

例えば、サイリスタは身近な例としてカメラなどのフラッシュに適用されます。フラッシュはスイッチが押された瞬間に発光し、その電荷が完全に放出されるまで光り続けることが求められます。

そのような動きを一回の接点開閉だけで表現しようとしたときに、サイリスタモジュールを用いることで簡単に実装することが可能です。

サイリスタモジュールの原理

サイリスタモジュールの原理は、大電流を扱う機器において簡便に回路を遮断するために、ゲートバイアス印加で動作する整流素子であるサイリスタを、放熱性の良いパッケージやゲートをオフする転流回路などを集積し使いやすくしていることにあります。

サイリスタの内部構造は、ダイオードにゲート端子と呼ばれる端子が付加された構造であり、PNPNの4層構造が特徴です。サイリスタは、回路内にアノード側からカソード側へ正のバイアスがかかった状態でかつゲート電流が流れない限り導通しないという特徴を有します。

一度ゲート電流が流れれば、ダイオードと同じく導通した状態になり、次にアノード側からカソード側へのバイアスが負になるか、ゲート電流が0になるまでは導通し続けます。ちなみに、サイリスタでは一方向のバイアスでしか導通しませんが、双方向のバイアスに対してゲート電流が流れている間動作させたい場合には、サイリスタを双方向へ設置した構造になっているトライアックが用いられます。

サイリスタモジュールのその他情報

1. サイリスタの転流回路

交流では零クロスの時点でゲートを確実にオフにできるサイリスタも直流での動作の場合、ゲートがオンした後は遮断することができません。その際によく用いられるのが、転流回路と呼ばれる回路です。

転流回路とは、転流用のサイリスタとRC回路などを主線路と並列に具備しそちらのゲートバイアスをオンすることで、主線路の電流を吸い取ってしまう回路です。この回路は大電力用途でよく用いられています。

2. GTOサイリスタとGCTサイリスタ

ともに転流回路を有したサイリスタデバイスであり、GTOは「Gate Turn Off」の略称であり、GCTは「Gate Commutated Turn off 」の略称です。例えば、GTOの場合は、ゲートに負電流を流すことでアノードとカソード間の自由電子を引き抜き、その結果電流をオフ状態にすることが可能です。

ただし、十分な電流容量を確保せねばならず、ゲートオフのための大電流用のゲート回路が必要です。

3. IGBT化とSiC-MOSFET化の流れ

サイリスタモジュールはパワーモジュールの一部として現在も広く用いられていますが、昨今の次世代パワーデバイスの主流である、高性能なIGBTモジュールやSiC-MOSFETにその座を明け渡しつつあります。

しかし、鉄道車両や大電力を扱う分野においては、やはり必要なモジュールであり、例えば、IGBTモジュールの非常に大きな突入電流の制御のためにサイリスタモジュールを活用するような複合モジュール的な製品も存在しています。

フレキシブルフラットケーブル

フレキシブルフラットケーブルとはフレキシブルフラットケーブル

フレキシブルフラットケーブルとは、平たい電線を並べ、絶縁コーティングをした電線のことです。

略してFFCとも呼ばれています。通常の電線は断面円形の電線を絶縁層を介して集め、断面が丸形となるように被覆していますが、FFCは平たい電線を並べて絶縁層となる樹脂フィルムで挟み込んでおり、平型で厚みが通常の電線と比較して大幅に薄いのが特徴です。

フレキシブルフラットケーブルの使用用途

フレキシブルフラットケーブルは屈曲が可能であるため、スペースを取らない電線として広く利用されています。近年、各種の機器の小型化や軽量化、省スペース化が進み、これに対応すべくフレキシブルフラットケーブルが製造されるようになりました。

フレキシブルフラットケーブルは、プリント基板と基板の接続や、基板と電子部品への接続も可能です。比較的価格が安く、繰り返し折り曲げて使用することができるため、稼働する場所に多く用いられます。具体的には、家電製品全般や液晶TV、石油ファンヒーター、プリンターおよび複写機、ステレオやVTR、電話機などです。

フレキシブルフラットケーブルのバリエーションは多く、芯数の多いタイプや、両面テープつき、ハロゲンフリーや、金メッキ仕様なども製造されています。

フレキシブルフラットケーブルの原理

平型の電線の上下を絶縁体となるプラスチックフィルムで挟んだ構造で、接合面には接着剤を塗布し、熱および圧力をかけて圧着しています。圧着することで、フレキシブルフラットケーブルの厚みを0.3mm程度など非常に薄くすることが可能です。なお、電線には主にスズメッキされた銅箔が用いられていますが、ニッケルめっきされた、金メッキされた銅も使用されています。

また、絶縁体となるプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート  (PET) やポリイミドなどが一般的です。接着剤としては、ポリエステル系のものなどが使用されています。使用温度の上限が75℃程度とあまり高くないものが多数ですが、材料により125℃程度を使用上限とする高耐熱性のフレキシブルフラットケーブルもあります。

フレキシブルフラットケーブル両端の端末部は、ポリエステルフィルムなどよりなる補強板で補強されており、コネクターに接続できる形状です。具体的な構造は、両端とも導体が露出しており、これを補強板で支えているもの、導体露出の面が逆になるように補強板で支えているもの、片側の端末部のみ補強板で支えているものなどがあります。また、この補強板の形状を工夫するなどして、コネクタへの篏合性能を向上させているものもあります。

なお、フレキシブルフラットケーブルと補強板の接着はホットメルト接着剤によるものです。コネクタに嵌合した状態で高温下 (150℃) にて使用すると、接着剤が軟化して接続安定性が不安定になることがあります。これを解決するために、ポリエステルを主原料とした接着剤が開発されたという報告もあります。

フレキシブルフラットケーブルその他情報

フレキシブルフラットケーブルの規格

フレキシブルフラットケーブルは、そのほとんどの製品がUL規格を満たしています。UL規格は、アメリカ保険業者安全試験所 (Underwriters Laboratories Inc.: UL) によって策定される製品安全規格です。フレキシブルフラットケーブルは、そのほとんどの製品がUL規格を満たしています。UL規格は、アメリカ保険業者安全試験所 (Underwriters Laboratories Inc.: UL) によって策定される製品安全規格です。

製品本体の表示は、UL規格を満たす規格品であることを示すためのマークです。製品におけるUL規格は、AWM (Appliance Wiring Material) というカテゴリーに分類されています。FFC製品はULスタイルに適合するようにつくられており、ULスタイルNo.ごとに定格 (温度、電圧) や難燃規格が定められています。すべてのFFC製品は難燃規格に合格しており、その規格は最も厳しい垂直難燃試験 (VW-1) です。

また、一部の用途においてはCSA規格の取得を求められる製品があります。CSA規格とは、カナダにおける工作機械、電子機器、医療機器等の電気用品に対する安全規格で、人命、財産の安全保証を目的として制定されています。

参考文献
http://www.wirestation-mall.jp/ffcstation/100ffc/1whatisffc.html
https://www.shibata.co.jp/products/ffc
https://www.wirestation-mall.jp/ffcstation/300ffc/#05
https://www.jetro.go.jp/world/qa/04S-040007.html#
https://www.shibata.co.jp/products/ffc
https://sei.co.jp/technology/tr/bn194/pdf/194-23.pdf

モジュラーコネクタ

モジュラーコネクタとは

モジュラーコネクタとは、接続に用いるコネクタです。

ワンタッチで取り外しが可能で、インターフェース用のコネクタとしてよく利用されています。モジュラージャック、モジュラープラグとも呼ばれ、モジュラーケーブルと接続します。電話回線からADSL通信、LAN回線にも使用可能です。

また、その優れた特性により、様々な産業や応用領域で広く活用されています。

モジュラーコネクタの使用用途

モジュラーコネクタは、インターフェース用の回線の接続に利用されています。四角形の露出タイプや、壁にパネルとして埋め込んでいるタイプなどがあり、用途に合わせた使い方が多数ある接続ツールです。大きさや形状、性能が規格によって異なるので、用途にあったものを使用することが求められます。

1. 通信機器

モジュラーコネクタは、通信機器において重要な役割を果たしています。特に、モデムやルーターなどのネットワーキング機器において、Ethernetケーブルの接続に使用されます。これにより、高速データ通信が可能です。

2. コンピューター

パソコンやサーバーなどのコンピューター機器においても、モジュラーコネクタが頻繁に利用されます。例えば、USBポートやモニターの接続に使用され、データの転送や画面表示を実現します。

3. 家庭用電化製品

モジュラーコネクタは、家庭用電化製品の用途も大変多いです。例えば、電話機や家庭用ゲーム機、テレビなど、あらゆる電化製品の接続に用いられます。

4. 自動車産業

モジュラーコネクタは、自動車産業でも重要な役割を果たしています。車内の各種電子機器やセンサー、制御ユニットなどの接続に利用され、車両の機能や性能を向上させることが可能です。また、車載通信やエンターテイメントシステムなどにも使用されています。

モジュラーコネクタの原理

モジュラーコネクタには、難燃性のプラスチックが使用されています。内部に信号線が引かれていて、それぞれの規格の極数分の電線が色分けされているという仕組みです。

複数のピンと対応するソケットからなるモジュラーコネクタは、一般的には、8つの金属製のピンとそれに対応する8つの孔を持つソケットで構成されています。これにより、オス型のプラグの上部にあるツメでメス型に引っかかるようになっていて、接続するとカチッと音がしてすぐに引き抜けない構造です。抜くときはツメを下に押しながら引き抜きます。

モジュラーコネクタには、いくつかの規格があります。端子が6つで2本芯の通称6極2芯はRJ-11という規格で、電話、ADSL用として、端子が8つで8本芯の8極8芯はRJ-45という規格です。こちらは主にLAN用として利用されており、LAN用の8極8芯の結線は一般的に米国規格協会のT568AかT568Bに従います。

1つのモジュラーコネクタで複数の電話回線やLAN接続が可能なコネクタもあります。モジュラーコネクタの付け替えには、専用の工具が必要です。

モジュラーコネクタの特徴

モジュラーコネクタは、取り外しや接続が容易であることが特徴です。ピンとソケットが確実に噛み合うため、信号のロスや接触不良が少なく、信頼性が高い接続を提供します。また、コネクタを挿し込むと自動的にロックされるため、誤って外れることがありません。

モジュラーコネクタは標準化されているため、異なる機器やシステム間での互換性が高いことも特徴です。これは、様々な業界や応用において、異なる機器を組み合わせる必要がある場合に便利です。例えば、モジュラーコネクタはテレビや電話機、コンピューターなどの様々な機器に使用されており、互換性を確保するための共通の規格となっています。

さらに、ピンとソケットを組み合わせることで、複数の信号を一度に接続することができるため、配線の効率化にも貢献します。これにより、配線の複雑さを軽減し、効率的な配線設計を可能にするだけでなく、コネクタの形状やサイズを変更することで、異なる信号やプロトコルに対応することも容易です。

トリマコンデンサ

トリマコンデンサとは

トリマコンデンサ (英: trimming capacitor) とは、回路の微調整や部品のばらつきの補正のために使用される可変コンデンサです。

つまみを機械的にドライバーで回して、静電容量を調整します。製造またはサービス中に設定され、使い始めたらずらすことはないため、半固定コンデンサとも呼ばれます。表面実装用が多く、基本的にチップ型か丸形です。水晶振動子の発振周波数を調整するために、多く使用されます。

トリマコンデンサは、静電容量方式が使われ、電極間の有効表面積、電極間の距離、あるいはその両方を変えることで容量の調整が可能です。

トリマコンデンサの使用用途

トリマコンデンサは、水晶振動子を含む発振回路や無線回路で、周波数調整のために多く使用されます。具体的には、自動車のキーレスエントリー、駅の自動改札、ハンディ無線機、パワーアンプ、BluetoothのRFモジュールなどです。

そのほか、ラジオや時計、パソコン用の電子ペン、DVD、ハイブリッドIC、監視カメラなどにも使われます。非磁性トリマコンデンサは、MRIなどの医療機器に使用される場合が多いです。

トリマコンデンサの原理

トリマコンデンサは、静電容量をある範囲で可変にします。通常のコンデンサと同じように、2枚の電極の間に絶縁体が挟まれており、電圧がかかると電荷を蓄えます。片方の電極を動かすことで静電容量の調整が可能です。

誘電体には、空気またはセラミックが使用されます。トリマコンデンサは構造上、静電容量が大きいものを作ることができないため、小容量でpFレベルです。可動電極は丸形が多く、中心軸か外側をガイドにして、つまみ等で回転させてずらすことができます。

ずらした分の表面積が変化するため、静電容量を可変させることが可能です。初期設定のときに、用途に応じてドライバーで調整します。一度調整した後は、基本的には容量を変えずに固定して使用します。ドライバーで調整する場合、過剰に力を加えると破損してしまうので注意が必要です。

トリマコンデンサの構造

トリマコンデンサの構造は一般的なコンデンサと同じ構造ですが、調整のためのドライバー溝とメタルロータがある点が異なります。この構造のため、はんだごてが端子部分以外に付着するとフラックスはんだが可変部分に入ってしまい、ロータが固定されたり、接触を妨げたりすることがある点に注意が必要です。

また、カバーがついているトリマコンデンサに、はんだごての先が触れると、溶けたり、破損したりすることがあります。

トリマコンデンサのその他情報

1. トリマコンデンサの調整方法

トリマコンデンサを調整するには、求める静電容量の設定値になるように、ドライバーを使用してロータを回転させます。調整用のドライバーは、手調整用ドライバーと自動調整用ドライバーの2種類です。

確実にドライバーをドライバー用の溝に入れ、360°以上の予備回転した後に静電容量のセットをします。ドライバーを使った調整をする際には、1N以下の荷重で行うことが推奨されています。これ以上の荷重を加えると、破損や機能の損失などが起こる可能性があります。

ドライバーで調整をした時の浮遊容量は、マイナス端子を回路のアースに取り付けることで軽減が可能です。

2. トリマコンデンサの容量ランク別の色

トリマコンデンサには、静電容量のやランクに合わせてカラーケースの色が異なっているものがあります。色分けはメーカによって異なりますが、下記は一例です。

  • 静電容量最大値 (pF) が3.0 +50/-0%のものは外観が茶色
  • 静電容量最大値 (pF) が6.0 +50/-0%のものは外観が青色
  • 静電容量最大値 (pF) が10.0 +50/-0% のものは外観が白色

下記のように色だけでなく、表示もされているものもあります。

  • 静電容量最大値 (pF) が50.0 +100/-0%のものは外観が黒色+表示

表示には端子の形状や、カバーフィルムの有無などが表記されます。このように、色分けされているトリマコンデンサは、目で容易に静電容量を把握できるため、間違ったものを使用するリスクが抑えられます。

参考文献
https://detail-infomation.com/variable-capacitor-type/
http://www.suzushoweb.com/pdf_file/56f36835842cf.pdf
https://www.murata.com/-/media/webrenewal/support/library/catalog/products/capacitor/trimmer/t13.ashx?la=ja-jp

押釦開閉器

押釦開閉器とは押釦開閉器

押釦開閉器とは、押ボタンによって電動器具を動作させる装置です。

動力用と操作用がありますが、押釦開閉器は動力用を指す場合が多いです。動力用押釦開閉器はモータの電源を人の手で直接導通させる装置で、一度ONボタンを押すとラッチ機構でONが維持されます。OFFボタンを押すことで、通電状態を解除します。

押釦開閉器の使用用途

押釦開閉器は、さまざまな業種で使用される装置の一つです。以下は押釦開閉器の使用用途一例です。

ほとんどの場合は、モーターやヒーター駆動用として使用されます。

押釦開閉器の原理

押釦開閉器は押ボタン、接点、ケーシングなどで構成されます。

1. 押ボタン

押ボタンは人が指で操作する部品です。一般的には導通操作部分にON、遮断操作部分にOFFと印字されています。また、ONは背景色が黒色の場合が多く、OFFは背景色が赤色の場合が多いです。

ON用押ボタンは普段はばねで押し上げられた状態です。内部の可動接点と繋がっており、指で力を加えることで押し込むことができます。ボタンを押し込むと、内部のラッチ機構で保持されます。

2. 接点

接点は電気を導通させる金属部品です。一般的には銀合金の材料が使用され、板などで端子台と接続されています。端子台には丸端子などで端末処理を施した配線を接続します。

接点には固定接点と可動接点があります。固定接点はケーシングと樹脂などで絶縁されつつ堅牢に固定されています。可動接点はON用押ボタンと共に駆動し、両者が密着することで電気を導通させます。

3. ケーシング

ケーシングは内部の部品を外部環境から保護するための部品です。軽くて絶縁性も良いABS樹脂が多く使用されます。衝撃に強い鉄を使用している押釦開閉器も販売されており、この場合は内部の電気部品を合成樹脂などでケーシングと絶縁されます。

押釦開閉器の種類

押釦開閉器には用途に応じていくつかの種類があります。代表的な押釦開閉器の種類は以下のとおりです。

1. 防水型

防水型は内部へ水分が侵入することを防止する押釦開閉器です。屋外での使用に適しています。堅牢な構造の製品が多く長寿命です。

一般的に入線口が下を向いている点が特徴で、入線口に防水パッキンを付属し、さらに雨水侵入を防止する場合もあります。

2. ホイスト・クレーン用

ホイスト・クレーン動作に使用される押釦開閉器です。形状からペンダントスイッチとも呼ばれます。この用途の場合、一般的には動力ではなく回路を対象とした製品が多いです。

ON-OFFのボタンだけではなく、上下東西南北という印字がされています。ブザーボタンや緊急停止ボタンなどが付属する製品も多く、10個以上のボタンを有する製品も販売されています。 

3. 可逆型

可逆型は三相モーターを正転・逆転の両制御が可能な押釦開閉器です。巻上機ウィンチなどに使用します。破砕機などでは噛み込み時の解除用に可逆型を使用する場合もあります。

4. 埋込型

埋込型は、押釦開閉器を壁などに埋め込んで使うことを前提とした製品です。駆動させないため、配線への負担が低い使用方法です。壁面へ取り付けやすいように金属プレートが付属する製品も販売されています。

押釦開閉器の選び方

押釦開閉器を選ぶ際は、使用用途、容量、使用場所などに応じて選定します。使用用途はクレーン・ホイスト用と動力用に大分されます。クレーンホイスト用の押釦開閉器は制御回路用で許容電流が低いため、負荷を直接通電することはできません。直接負荷を駆動させたい場合は必ず動力用を選定します。

使用場所は屋外または屋内などの要件があります。屋外の場合は、防雨型の押釦開閉器を使用します。屋内据置で使用する場合は、埋込型の製品を使用することも多いです。

押釦開閉器には、メーカーが定めている定格容量が存在します。定格容量は適用するモーターの容量で定められている場合が多く、一般的に5.5kW程度が上限です。使用する負荷の容量に応じて選定します。

参考文献
https://denkipro.com/denki-kouji/category21/entry178.html
https://e-sysnet.com/magnetsequence/