トリマコンデンサ

トリマコンデンサとは

トリマコンデンサ (英: trimming capacitor) とは、回路の微調整や部品のばらつきの補正のために使用される可変コンデンサです。

つまみを機械的にドライバーで回して、静電容量を調整します。製造またはサービス中に設定され、使い始めたらずらすことはないため、半固定コンデンサとも呼ばれます。表面実装用が多く、基本的にチップ型か丸形です。水晶振動子の発振周波数を調整するために、多く使用されます。

トリマコンデンサは、静電容量方式が使われ、電極間の有効表面積、電極間の距離、あるいはその両方を変えることで容量の調整が可能です。

トリマコンデンサの使用用途

トリマコンデンサは、水晶振動子を含む発振回路や無線回路で、周波数調整のために多く使用されます。具体的には、自動車のキーレスエントリー、駅の自動改札、ハンディ無線機、パワーアンプ、BluetoothのRFモジュールなどです。

そのほか、ラジオや時計、パソコン用の電子ペン、DVD、ハイブリッドIC、監視カメラなどにも使われます。非磁性トリマコンデンサは、MRIなどの医療機器に使用される場合が多いです。

トリマコンデンサの原理

トリマコンデンサは、静電容量をある範囲で可変にします。通常のコンデンサと同じように、2枚の電極の間に絶縁体が挟まれており、電圧がかかると電荷を蓄えます。片方の電極を動かすことで静電容量の調整が可能です。

誘電体には、空気またはセラミックが使用されます。トリマコンデンサは構造上、静電容量が大きいものを作ることができないため、小容量でpFレベルです。可動電極は丸形が多く、中心軸か外側をガイドにして、つまみ等で回転させてずらすことができます。

ずらした分の表面積が変化するため、静電容量を可変させることが可能です。初期設定のときに、用途に応じてドライバーで調整します。一度調整した後は、基本的には容量を変えずに固定して使用します。ドライバーで調整する場合、過剰に力を加えると破損してしまうので注意が必要です。

トリマコンデンサの構造

トリマコンデンサの構造は一般的なコンデンサと同じ構造ですが、調整のためのドライバー溝とメタルロータがある点が異なります。この構造のため、はんだごてが端子部分以外に付着するとフラックスはんだが可変部分に入ってしまい、ロータが固定されたり、接触を妨げたりすることがある点に注意が必要です。

また、カバーがついているトリマコンデンサに、はんだごての先が触れると、溶けたり、破損したりすることがあります。

トリマコンデンサのその他情報

1. トリマコンデンサの調整方法

トリマコンデンサを調整するには、求める静電容量の設定値になるように、ドライバーを使用してロータを回転させます。調整用のドライバーは、手調整用ドライバーと自動調整用ドライバーの2種類です。

確実にドライバーをドライバー用の溝に入れ、360°以上の予備回転した後に静電容量のセットをします。ドライバーを使った調整をする際には、1N以下の荷重で行うことが推奨されています。これ以上の荷重を加えると、破損や機能の損失などが起こる可能性があります。

ドライバーで調整をした時の浮遊容量は、マイナス端子を回路のアースに取り付けることで軽減が可能です。

2. トリマコンデンサの容量ランク別の色

トリマコンデンサには、静電容量のやランクに合わせてカラーケースの色が異なっているものがあります。色分けはメーカによって異なりますが、下記は一例です。

  • 静電容量最大値 (pF) が3.0 +50/-0%のものは外観が茶色
  • 静電容量最大値 (pF) が6.0 +50/-0%のものは外観が青色
  • 静電容量最大値 (pF) が10.0 +50/-0% のものは外観が白色

下記のように色だけでなく、表示もされているものもあります。

  • 静電容量最大値 (pF) が50.0 +100/-0%のものは外観が黒色+表示

表示には端子の形状や、カバーフィルムの有無などが表記されます。このように、色分けされているトリマコンデンサは、目で容易に静電容量を把握できるため、間違ったものを使用するリスクが抑えられます。

参考文献
https://detail-infomation.com/variable-capacitor-type/
http://www.suzushoweb.com/pdf_file/56f36835842cf.pdf
https://www.murata.com/-/media/webrenewal/support/library/catalog/products/capacitor/trimmer/t13.ashx?la=ja-jp

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