車載用コネクタとは
車載コネクタとは、自動車用の配線をつなぐ自動車専用の部品です。
自動車が高度な通信機能を持つようになり、高性能化するにつれて電子回路や部品が増え、車載コネクタも種類が多く展開されるようになっています。また、電気自動車が販売されるようになり充放電用に専用のコネクタが使用されています。
自動車に搭載される湿度、温度、振動、水といったセンサーやその環境に適合できるよう、車載コネクタの種類は多いです。つなぐ配線の微小な信号から大電力用までラインナップがあります。
車載用コネクタの使用用途
自動車の配線に使用されるコネクタ全般を車載コネクタと呼ぶため、ハーネスコネクタやFPCコネクタ、基板間コネクタ、同軸コネクタなど、多数のコネクタがあります。タイプよって使用用途は異なります。
- ハーネスコネクタ
安全系、高電圧、防水、先進運転システム等全般 - FPCコネクタ
先進運転システム、マルチメディア - 基板間コネクタ
先進運転システム、ECU - 同軸コネクタ
先進運転システム、マルチメディア、ECU
車載用コネクタの原理
車載コネクタは配線同士をつなぐ役割をするので、一般的なコネクタと基本的に構造は変わりません。コネクタは主に2つのパートに分けられます。コンタクトと呼ばれる、配線相互の電気的な接続をする部分と、ハウジングと呼ばれるコンタクトを組み込む絶縁体部分です。
車載コネクタの場合、振動による接触不良や抜けをなくすために、メカニカルロックがついたコネクタが多くあります。プラグを押し込むとクリック音がして、確実にロックができる構造です。他にも、コンタクト部分の抜けを防ぐため、ハウジングランスとリテーナで二次係止できる構造になっているコネクタもあります。
また、車載コネクタの使用箇所の環境に適した素材や構造を持つ製品が使用されています。例えば、電気自動車の充放電用コネクタでは十分に防水保護した設計になっており、このようなコネクタの外側のプラスチックには劣化や衝撃による損傷を防ぐため、耐候性が高く、強度も十分なプラスチックが採用されています。
車載用コネクタのその他情報
車載用コネクタの活用
1. 車載用防水コネクタ
防水コネクタは、防水や防塵が求められる場所で使用します。具体的には、水や油が発生するエンジンルーム周辺や濡れた靴の水が染み込むフロアマット周辺、雨天時に水が侵入する可能性のある箇所などです。普通のコネクタと比べて構造が大きく変わり、防水対策はケースの撥水加工として外側の対策から、コネクタ内部の端子1本にまで及びます。
コネクタ内部の端子にはシールリングを使用し、嵌合時に発生する隙間を埋めることで外部からの水・油・塵の侵入を防止します。その他、電線と端子がつながる部分はゴム栓を締め付けるように装着することで耐環境性とともに引っ張りのような外部からの力にも強い構造です。
エンジン周辺で使用するコネクタは、防水性の他に高温や振動にも耐えうる構造になっています。車載用防水コネクタは複雑な構造と高い耐環境性ゆえに通常の車載用コネクタに比べ、生産に必要なコストがとても大きく、数倍から数十倍の金額差があります。
2. 安全系部品に使用する車載用防水コネクタ
車載用防水コネクタは、エアバッグや衝突検知センサー、ECU (電子制御ユニット) といった安全上の観点から厳重な管理が求められる部品に使用される場合があります。エアバッグは人命に直接かかわる部品であることから高い信頼性が求められ、防水加工の他にコネクタ嵌合時の挿入不足と嵌合外れを防止する対策が施されています。
リテーナとフロントキャップの2つの部品による2重の係止構造で嵌合外れを防止します。また、リテーナとフロントキャップはコネクタが確実に嵌合されていないと取り付けることができない構造です。それによって、嵌合時の挿入不足を防止することができます。
それ以外に、組付け工程時の作業者の誤った嵌合を予防する対策も施されています。標準タイプのコネクタとは形状や色が大きく異なり、ひと目に誤りを判断することが可能です。重要保安部品であるエアバッグに使用するコネクタの色は黄色が多い傾向にあります。
3. 高電圧部品に使用する車載コネクタ
電気自動車の充放電用に使用されるようなコネクタは、充放電にかかる時間を短縮するために高い電圧が必要です。高電圧部品に使用される場合は、感電防止対策、発生温度上昇による発火対策等、通常のコネクタよりも高い安全性能が必要となります。
また、消費者が自ら充電を行うことも想定されており、堅牢性、軽量化が求められます。これらの安全性がバラつかないように規格が策定されており、規格を準拠することで同規格に準拠しているコネクタであれば、メーカーをまたいだ互換性があるため、どのメーカーのコネクタでも使用することが可能です。
4. 先進運転システムに使用する車載コネクタ
先進運転システムに使用する車載コネクタは周辺の車や人、バイク等の位置把握を動きながらする必要があるため、通信を損失させないための高速通信性能が求められます。
また、車の中でもスマートフォンの電波やテレビの受信、ETCなど多くの通信が行われており、それらの通信による誤作動対策、周辺の通信を誤作動させないための対策として耐ノイズ性能が必要です。高速通信性能や耐ノイズ性能を向上させるために、信号ラインの保護としてシールド部品が欠かせません。
参考文献
http://www.ittcannon.jp/item-cat/automobile/
https://www.omron.co.jp/
http://www.tossnet.or.jp/portals/0/resouce/staticContents/public_html/mtou_siryo/img/tech_info/tech_info_08.pdf