リミットスイッチ

リミットスイッチとは

リミットスイッチリミットスイッチとは、機械部品の動きや物体の存在によって作動するスイッチです。

制御システムの一部として、安全インターロックや特定位置を通過する物体を検出して、自動起動・停止や機械の可動域の制限、位置検出などの制御をするために使用します。

リミットスイッチは、使用環境における外力、水、油、ガス、粉塵などから保護するために、金属や樹脂製ケースにマイクロスイッチを封入ケースに組み込んだもので、アクチュエータ(機械的検出部)が動くことで接点がオン、オフします。

アクチュエータは、プランジャ式(直動式)、回転レバー、フォークロックレバー、フレキシブルロッドなどがあり、用途や使用環境に応じてさまざまな形状をしたものがあります。

アクチュエータの種類

図1. アクチュエータの種類

リミットスイッチの使用用途

リミットスイッチの使用用途は、物体の位置を検出した結果で電気回路をオン、オフすることです。

工場の生産ラインなどの自動制御を行うオートメーションシステムでは、リミットスイッチで機械の動作や位置を検出します。例としては、リミットスイッチを検出位置に取り付け、異常動作位置でオンになり警報を発報し機械の操作を停止します。

また身近な例では、エレベーターのカゴ(人や荷物を載せ昇降する搬器)が、停止階の所定の位置に来た特に、リミットスイッチが作動しモータを停止させカゴが停止します。
このように、リミットスイッチは自動的制御システム内では、さまざまな用途で使用されています。

リミットスイッチの原理

基本的なリミットスイッチは、本体、ヘッド、マイクロスイッチ、プランジャ回転軸(回転レバー、フォークロックバーのみ)、アクチュエータで構成されています。

リミットスイッチの原理を以下に、回転レバー式アクチュエータの場合で説明します。

リミットスイッチの動作

図2. リミットスイッチの動作

  1. 被検出物体が移動し検出すべき位置に向かって移動します。
  2. アクチュエータは被検出物体に押され回転します。
  3. アクチュエータと固定された回転軸が回転します。
  4. 回転軸のカムがプランジャを押します。
  5. プランジャ先端に取り付けられている可動接点が移動します。
  6. 可動接点が固定接点接触し、電気回路がオンになります。

リミットスイッチの接点

図3. リミットスイッチの接点

リミットスイッチの選び方

リミットスイッチには多くの種類や仕様があり、基本的な選び方としてポイントを以下に説明します。

1. 使用環境による選び方

  • 一般形
    一般的な環境の屋内外で使用するタイプです。使用できる周囲温度は、-10~80℃ぐらいになります。
  •  耐環境形
    下記のような特殊な環境で使用するタイプです。
    使用する環境の雰囲気が、高温もしくは低温になる
    リミットスイッチに薬品や油、水滴、粉塵がかかる
  • スパッタ対策形
    溶接のスパッタがかかる
  • 長寿命形
    高耐久性が必要な使用方法である
  • 防爆形
    使用する場所が危険場所で耐防爆を使用する必要がある

2. アクチュエータの種類による選び方

使用用途に適したアクチュエータの種類を選定します。下記は代表的な例で、その他にも数種類のアクチュエータがあります。

  • プランジャ式(直動式)
  • 回転レバー
  • フォークロックレバー
  • フレキシブルロッド

3. 特性による選び方

動作までの動き(PT)
ここでの「動作」は、接点がオン、オフするまでの角度や距離を示します。回転レバー、フォークロックレバーの場合は、被検出物体がアクチュエータを回転させる角度は、動作までの動き(角度)より大きくなるように、リミットスイッチの取り付け位置とアクチュエータの角度を設定する必要があります。

プランジャ式とフレキシブルロッドの場合は、被検出物体がアクチュエータを押す距離は、動作までの動き(距離)より大きくなるように、リミットスイッチの取り付け位置とアクチュエータの位置を設定する必要があります。

※ なお、被検出物体の動きは、アクチュエータの動作限界位置(TTP)以内に抑える必要があります。

定格
リミットスイッチには、それぞれの型式ごとに定格が規定されており、カタログや取扱説明書に記載されています。電気回路の使用電源に適合した定格のリミットスイッチを選定する必要があります。

リミットスイッチのその他情報

リミットスイッチの故障と対策

リミットスイッチの故障の原因は、機械寿命や摩耗による経年劣化の場合もありますが、大半は使い方に原因があるといわれています。ドッグやアクチュエータの位置調整不良、シール不良などがそれに当たります。

たとえば、リミットスイッチの取り付け不良も故障の原因の一つです。機械の可動域の制限用に取り付けたスイッチが複数回作動すると位置が徐々にずれていき、押し込み量が足りずにスイッチが作動しなくなることがあります。対策として、スイッチ本体に設定位置表示機構が付属されたものもあります。あらかじめ設定した位置までスイッチを押し込むようプログラムしておけば、スイッチの位置が多少ずれたとしても正常な動作をするようになります。

リミットスイッチの作動に使用する被検出物体の設計にも注意しなくてはなりません。被検出物体のカット角度は45度以下が適当とされています。45度を超えると、被検出物体の移動速度によってはレバーシャフトに加わる力が過大になるため、故障の原因になります。移動速度が速い場合は、レバーを被検出物体のカット面と平行にするのも効果的です。

また、ドッグに急な段差があると、スイッチが基準位置に回帰した際に強い衝撃が加わる可能性もあります。スイッチのON/OFFの切り替わりはなるべく滑らかになるように設計しましょう。

プランジャ式は、プランジャ部分をOリングやゴムダイヤフラムでシールするものと、ゴムキャップで覆うものの2種類があります。

前者はシールゴムが外部に露出していないので、工作機械の切屑などの熱を持った異物に対して強い反面、砂、切粉などの細かい粒子や塵埃などがプランジャ摺動面にかみ込むという弱点があります。

後者は砂、切粉など粒子や塵埃のかみ込みはなくシール性能が優れていますが、工作機械の切屑などの熱を持った異物はゴムキャップが溶ける、破れるなどの恐れがあるため、コストや用途、使用場所によって使い分けが必要になります。

リミットスイッチは動作時に、プランジャのピストン運動による空気の圧縮・吸引が行われます。このため、長時間プランジャを押し込んだままにしておくと、リミットスイッチ内の内圧が大気圧と同じになり、プランジャの復帰時に大気圧が抵抗となりプランジャがゆっくり復帰することがあります。

また、プランジャや回転軸のシール部分に油や埃が溜まることで動作が阻害され、リミットスイッチの動きが悪くなることもあります。

参考文献
https://www.fa.omron.co.jp/data_pdf/commentary/limitswitch_apparatus_tg_j_3_2.pdf
https://www.fa.omron.co.jp/guide/faq/detail/faq02986.html

タンタルコンデンサ

タンタルコンデンサとは

タンタルコンデンサ

タンタルコンデンサとは、電解コンデンサの一種で、誘電体にタンタルの酸化物が使われているものです。

電解コンデンサとは、アルミニウムやタンタルなどの酸化皮膜を誘電体として用いたコンデンサを指します。一般的な特徴として、「静電容量が大きいこと」「電圧の極性があること」が挙げられますが、タンタルコンデンサはレアメタルであるタンタルの表面を酸化させて五酸化タンタル (Ta2O5) を形成し、それを誘電体としたものです。

タンタルコンデンサはアルミ電解コンデンサよりも小型で寿命が長く、温度変化にも強く周波数特性が良い特徴があります。一方、主材料のタンタルは非常に高価なので、コンデンサとしては比較的価格が高いです。

また、壊れたときに電極間がショートする危険性があります。そのため、適切な使い方を守ることが大切です。

タンタルコンデンサの使用用途

タンタルコンデンサの用途は幅広く、携帯電話、パソコン、テレビゲーム機、カーナビ、オーディオ機器等々、あらゆる電子機器で使われています。アルミコンデンサと比較すると高周波特性や温度特性に優れているため、高い周波数で電流をON-OFFするスイッチング電源の平滑回路に採用されます。

また、電源回路のスパイクノイズを吸収するデカップリングコンデンサも最適な用途の一つです。さらに、バックアップコンデンサとして、一時的な電源の保持を目的とした使い方もあります。

近年では小型化が進んでおり、高さ0.5mmの製品も登場していて、携帯電話やパソコン等の小型化に貢献しています。

タンタルコンデンサの原理

タンタルコンデンサは、謡極、誘電体、陰極の3つで構成されています。

1. 陽極

材料はタンタルで、焼結された金属棒を介して電極に接続されています。

2. 誘電体

陽極のタンタルを酸化した五酸化タンタルの薄膜が誘電体となります。五酸化タンタルと陰極との間では一種のダイオードが形成され、逆バイアスが維持されている状態では静電容量を持ちますが、順方向に電圧が印可されると大きな電流が流れてしまします。

これがタンタルコンデンサに極性がある理由です。なお、五酸化タンタルの層は極めて薄いため、静電容量を大きくすることができます。

3. 陰極

陰極材料としては、二酸化マンガンもしくは導電性高分子が使われ、電極との間の導通を確保します。導電性高分子は二酸化マンガンより抵抗値が小さく、ESR特性が優れています。

さらに、陰極と電極の間に銀やグラファイトなどの通電用の金属類を挟んで、抵抗値を下げる工夫がなされています。アルミ電解コンデンサでは電解液を使いますが、その電解液が徐々に蒸発して比較的寿命が短いことが短所です。一方、タンタルコンデンサは全て固体材料で構成されているため、寿命が長いです。

タンタルコンデンサのその他情報

1. 使用上の注意事項

タンタルコンデンサが故障する主な原因は、コンデンサの誘電体が局所的にショートした状態になるためです。電源ラインなどの低インピーダンス回路に接続されていると、大きな電流がショートした箇所に集中して発熱し、発火に至ることがあります。

タンタルコンデンサが一旦発火すると、炎を発して燃焼を続け、燃え尽きます。そのため、高信頼性を求められる機器や常時通電する設備を製造するメーカーの中には、タンタルコンデンサの使用を一切禁止しているところも多いです。電池を電源とするポータブル機器においても、タンタルコンデンサの焼損は報告されているため、使用する際は十分な注意と回路検証が必要です。

一般的な対策としては、「いかなる場合も逆電圧を印加しないこと」「コンデンサにかかる電圧に対して十分余裕を持った定格電圧のコンデンサを選定すること」の2つが挙げられます。特に電源回路に採用する場合は、その電源電圧の2倍以上、可能であれば3倍の定格電圧のタンタルコンデンサを採用する事が望ましいです。

また、流入するリップル電流が大きい場合は、コンデンサ内部の発熱で劣化が進行する可能性があるので、放熱に有利な大きめのパッケージを選定することも有効です。

2. タンタルコンデンサの極性表示

タンタルコンデンサは有極性であり、指定された極性を誤ると大きな電流が流れ、最悪の場合発火に至ります。そのため、電極の極性表示を理解しておくことが必要です。

タンタルコンデンサはその構造から、チップ型、金属ケースハーメチックシール形、樹脂ディップ形の3種類にに分類できますが、これらのタンタルコンデンサの極性は次の様に読み取ります。

  • チップ型
    黒いモールドのケースの上面に静電容量や定格電圧とともに白い帯が印刷されていますが、その帯の下側の電極が陽極になります。
  • 金属ケースハーメチックシール型
    高信頼性が要求される用途向けですが、丸い筒状の形状の表面に静電容量、定格電圧などとともに+記号が印刷されています。その+記号側のリード線が陽極です。
  • 樹脂ディップ型
    縦型構造ですが、樹脂表面に静電容量、定格電圧とともに+記号が記されています。+記号が近い側のリード線が陽極です。また、リード線長が不等で陰極側のリード線が短くなっています。

なお、同じように有極性のアルミ電解コンデンサには負極側に表示があり、タンタルコンデンサとは表示方法が異なります。アルミ電解コンデンサからタンタルコンデンサに置き換える場合、極性を間違えないよう十分な注意が必要です。

参考文献
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/capacitors/tc_what1
http://www.hitachihyoron.com/jp/pdf/1966/02/1966_02_11.pdf
https://www.matsusada.co.jp/column/post-15.html
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/capacitors/tc_what1

射出成形機

射出成形機とは

射出成型機

射出成形機とは、プラスチックなどの樹脂を成形する射出成形を行う機械のことです。

射出成形の製造過程は、まず、加熱して軟化した樹脂を金型に流し込みます。その後、高い圧力を金型にかけて成形し、冷却した製品を取り出します。

射出成形は、プラスチック等の樹脂を成形する方法として最もよく利用されている方法です。自動車部品や家電部品はもちろんのこと、文房具や携帯部品といった身近な製品の多くは射出成形で製作されています。

射出成形機の使用用途

射出成形機は、生活用品の多くを製造するのに使用されています。射出成形機が、樹脂の成形を得意としているからです。射出成形機が成形できる材料は、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂、エラストマなど、幅広い樹脂材料の成形が可能です。

射出成形機で製造される製品には、自動車の内外装部品などがあります。自動車内外装部品は、ほとんどが射出成形機で成型されています。また、扇風機や電子レンジ、テレビ、洗濯機など生活に関わる製品でも、ほとんどの外装は射出成形機で製作されています。

射出成形機は小型部品から大型の製品まで、身近な製品の製造になくてはならないものです。

射出成形機の構造

射出成形機の構造は、樹脂を射出する「射出部」と、製品を成形する「型締め部」に分かれます。まず射出部で、約200℃もの高温で樹脂を溶かし、金型に流します。流し込む量や温度を機械に設定するだけで、自動化されて流れていくのが特徴です。

型締め部に設置されるのが金型です。この金型には、樹脂が張り付かないよう離型剤をなじませて昇温させておく必要があります。射出部から金型に流し込まれた樹脂を高い圧力で型締めし、成形します。

成形後、樹脂を冷却して完成です。取り出した樹脂にはバリが発生しているため、バリの除去や検査を行い製品となります。

射出成形機の種類

射出成形機の種類は、成形する材料と、射出成形機の構造によって分類されます。射出成形機が使用する材料には、大きく分けて「熱可塑性プラスチック用」と「熱硬化性プラスチック用」の2種類があります。

  • 熱可塑性プラスチック: 熱を加えると変形するプラスチック
  • 熱硬化性プラスチック: 熱を加えると硬化するプラスチック

一般的な射出成形機のほとんどは、熱可塑性プラスチック用です。また、射出装置の種類には、「プランジャ式」「プリプランジャー式」「スクリュー式」の3種類があります。

1. プランジャー式

ピストン型のプランジャーを使用し材料を射出します。この方式は、1960年代までは一般的でしたが、現在では特殊用途でのみ使用されています。

2. プリプランジャー式

2本のシリンダを組み合わせた方式です。シリンダはそれぞれ、加熱用シリンダと射出用シリンダで構成されています。2本のシリンダを使うため、高いサイクルで成形することが可能です。

3. スクリュー式

1本のスクリューで材料の計測や射出を行う方式です。スクリュー・イン・ライン式とも呼ばれ、現代では最も一般的な方式として使用されています。

 

射出成形機の選定には、使用材料と構造の種類をよく理解しておく必要があります。組み合わせが悪い場合には、うまく製品が成形できない可能性があるからです。

また、成形を失敗するとさらに費用が膨大になってしまうため注意が必要です。

射出成形機のその他情報

射出成形機のメリット・デメリット

射出成形機のメリットは、生産効率が非常に高いことです。小さい部品を製造するときは、効率よく生産するために、一つの金型でとれる製品の個数がなるべく多くなるように製作されています。

また、射出成型の方法は簡単で、射出成形機はかなり自動化が進んでいます。このため、生産性が非常に高い点が大きなメリットと言えます。

射出成形機のデメリットは、コストがかかってしまうことです。射出成形機は、射出部の高い圧力に耐える強度が必要です。さらに型締め部では、精度のよい金型を製作することが求められます。

射出部が高強度であることや、金型の高精度という条件を満たすために、開発費用や加工費用がかかってしまいます。目的の製品に合わせて個別の金型を製造するため、初期費用が多く必要です。

参考文献

https://www.npl-jsw.co.jp/about_injection-molding/
https://www.polyplastics.com/jp/support/mold/outline/
https://i-maker.jp/blog/injection-molding-5609.html
https://www.jdmia.or.jp/mold/

タッチセンサー

タッチセンサーとは

タッチセンサー

タッチセンサーは人が触れたり近づいたことを感知できるセンサーです。

透明なフィルム基板上にタッチセンサーを配置し、人が触れるとオンオフといった回路を切り替えたり、選択したりして操作することができます。

タッチセンサーは強い力を必要とせず軽く触れるだけで作動するので、照明器具のスイッチや自動ドア、エレベータ等に使われています。

タッチセンサーはタッチパネルの原理と同じで、タッチパネルとしては携帯電話やパソコン機器、車載パネル等に利用されています。

タッチセンサーの使用用途

タッチセンサーは軽い力で作動しますので、自動ドアや照明器具のスイッチとして附属されていることが多くなっています。

他に最近では電子レンジや冷蔵庫の画面、コンビニエンスストアのコーヒーサーバーの画面にもタッチセンサーが採用されています。

工業用としては、各種機械の非常停止ボタン、防犯用センサーや着席しているか確認するための着席センサーとしても利用されています。

タッチパネルとしては携帯電話、タブレットパソコン機器、車載パネル、ゲーム機、業務用の端末などがあります。

タッチセンサーの原理

タッチセンサーはガラス基板の上に透明の導電性ポリマーによる透明電極を利用しているものが多いです。

透明のシート状のタッチセンサーというものがあります。また、タッチセンサーには主に静電容量方式と、抵抗膜方式があります。

1. 静電容量方式

人間は導体なので、手をセンサーに近づけるとセンサーの金属板の静電気容量に変化を起こします。
その静電気の容量変化をとらえてセンサーを作動させていますが、手袋をしていると反応しない場合があります。

抵抗膜方式よりも反応が良く、最近のスマートフォンは静電容量方式が主流です。

一般に抵抗膜方式よりも弱い力で操作でき、同時に2点以上のタッチ(マルチタッチ)にも対応可能であるため、最近のスマートフォンは静電容量方式が主流です。 静電容量方式の主要な構成を図に示します。

タッチセンサーの原理

図1. タッチセンサーの原理

初めに自己容量タイプは、センサー電極に指が接近した場合に静電容量が増加する原理を利用して、タッチ座標を算出します。

次に相互容量タイプは、あらかじめトランスミッタ側(送信側)の電極とレシーバ側(受信側)の電極との間に電界を形成しておくと、電極に指が接近した場合に電界の一部が指に向かうため、レシーバ電極で検出される静電容量が減少するメカニズムを利用して、タッチ座標を算出します。

2. 抵抗膜方式

膜の上から圧力をかけると、上下の膜が接触し、通電することによりセンサーとして動きます。主にデジタル方式とアナログ方式の2つの方式があります。

利点としては、検出回路が設計しやすい部分が挙げられます。また、手袋をしたままでも操作が可能で、手での直接操作だけでなくペンによる操作もできますが、その反面、静電容量方式よりしっかりと圧力をかける必要があります。

主に使用用途の一つとしてカーナビが挙げられます。

タッチセンサーのその他情報

フィルム式のタッチセンサー

ここではフィルム式のタッチセンサーについてご紹介いたします。

一般的にタッチセンサーはガラス基板の上に透明の電極を採用しているものが多い一方で、透明のフィルム基材を用いたタッチセンサーも存在しております。

特徴として、一般的に使用されているガラスセンサーよりもフィルム式のタッチセンサーの方が薄く軽いです。また、落としても割れる心配はありません。ガラスセンサーの特徴でもある透明度も備わっており、価格面でも遜色ありません。

フィルム基材は非常に柔らかいため、平面だけではなくガラスセンサーには不可能な曲面形状デザインのタッチセンサーも作製できます。センサーの大きさについてもいわゆるスマホサイズから車載センターインフォメーションディスプレイ向けの大型サイズまで、様々な大きさのフィルムセンサーが市場に出回っています。

参考文献
https://www.sensor-sk.com/fureru/fure01_touchsensor.html
https://www.takagishokai.co.jp/product-search/2017/04/10/118
https://www.nissha.com/products/allproducts/touch.html
https://www.item16.com/touchvu/touchvu_film.html

フォトダイオード

フォトダイオードとは

フォトダイオード

フォトダイオードとは、光を照射すると微小な電流が一定方向に流れる受光素子のことです。

半導体の接合箇所に光を照射すると内部光電効果が起こり、電子が励起されて電流が流れる性質を利用して、照射された光のレベルを検出します。受光を検出する精度が高いため、特に光通信装置に必要な部品です。

その他、ガス濃度測定などの医療用の装置にも組み込まれています。ダイオード構造には、主にPN接合型とPIN接合型、アバランシェ型があり、それぞれ受光感度や応答速度が異なります。

フォトダイオードの使用用途

フォトダイオードの代表的な使用用途は、CD/DVDプレーヤーのピックアップ箇所やテレビのリモコン、光通信などです。特に、高感度な受光感度を有するPIN接合型は、通信光通信システムに用いられていますが、アプリケーションにも広く用いられています。

フォトダイオードの3つの構造の中で、一番多く使用されている型です。その他、医療用器具の断層X線写真機等にも使用されています。

フォトダイオードの原理

フォトダイオードは、素子に光が照射されると半導体の接合部分の電子が励起され、電流を測定することにより光量を検出できるという物理現象を用いています。

ダイオードの材質に応じて検出できる光の波長が異なるため、波長の用途に応じて選択する必要があります。使用される主な素材は、シリコンやゲルマニウム硫化鉛等です。

1. PN接合型

P型半導体とN型半導体の境界にあたる空乏層に光を照射すると、N型半導体の方に電子が流れていき、P型半導体では電子が移動したことによってホールが生成されます。光が照射されている間は、このような電子とホールの流れが生じるので、電子の流れを電流として検出していますが、やや応答速度は遅いのが特徴です。

2. PIN接合型

暗電流とも称されるバックグランドのノイズが小さいため、フォトダイオードとして最も利用されている構造です。P型半導体、I型半導体、N型半導体の並びで接合されています。

I型半導体部分に逆バイアスの電圧をかけることで、励起された電子がスムーズにN型半導体へと流れ、応答速度が速くなる点も特徴の一つです。

3. アバランシェ接合型

P型半導体層の電極箇所から順にp+層、p-層、p層に分かれているのが特徴です。アバランシェ (電子雪崩) 増幅機能により、非常に微弱な光を超高速応答で検出できる特性を有しています。電圧は高い電圧をかけて用いるのが一般的であり、頭文字をとってAPDと呼ばれています。

フォトダイオードのその他情報

1. フォトダイオードのアプリケーション回路

フォトダイオードは、両電極を開放状態の場合は温度依存性が大きく、ショートの場合は光量と電流の関係がリニアではないために、そのままアプリケーションへ適用することは困難です。そこで、照度計露出計など明るさを計測する用途には、フォトダイオードのカソードをオペアンプの反転入力端子に、アノードを非反転端子に接続し、オペアンプの出力端子と反転入力端子間に帰還抵抗Rfを挿入する回路構成が用いられます。

この回路では、光の強さに応じた短絡電流Is×帰還抵抗Rfがオペアンプの出力電圧 (反転入力端子を基準電圧) となり、フォトダイオードの両端 (アノード-カソード間) 電圧は0V、即ち両端をショートしている状態と等価 (イマジナリー・ショート) になります。

従って、短絡電流Isは光の強さに比例するので、オペアンプの出力電圧は光の強さとして表現することが可能です。実際の回路では、フォトダイオードの容量による応答遅れを保証するコンデンサCfを接続して、応答速度を速めます。

2. フォトダイオードの分光感度特性

シリコン・フォト・ダイオードは、320nm〜1100nmの波長の光に対して電流を出力しますが、特に800nmから1000nmの近赤外線領域で高い感度を示します。人間の可視領域は380nm~720nmの範囲であり、550nm付近に感度のピークがあるため、シリコン・フォト・ダイオードの分光感度特性とは異なります。

従って、シリコン・フォト・ダイオードの出力をそのまま明るさとして扱うことはできません。例えば、近赤外線が多い環境ではシリコン・フォト・ダイオードの出力が大きくなりますが、人間の目には見えない領域であるため明るく感じないわけです。

このような理由から、照度計などのセンサーとして使う場合は、人間の目の感度特性にシリコン・フォト・ダイオードの分光感度特性を合わせる必要があります。その際に、シリコン・フォト・ダイオードの表面に視感度補正フィルターを設置したものが用いられます。

また、シリコン以外の波長用途には、ゲルマニウムやInGaAsが用いられています。これはバンドギャップエネルギーが各々の材料物性値で異なるためであり、特にInGaAsは1μmより長い波長用途に適している材料です。

参考文献
https://www.fiberlabs.co.jp/tech-explan/about-pd/

ロータリースイッチ

ロータリースイッチとは

ロータリースイッチ

ロータリースイッチ (Rotary Switch) とは、回転させることで接点を切り替えるスイッチです。

オーディオコンポの音量ボリューム調節や、電子レンジのつまみなどで使用されます。ロータリースイッチの多くは複数接点の切り替えに利用されますが、1接点のみを切り替えるスイッチも販売されています。最近では超小型のロータリースイッチも開発されており、音声機器などの小型化に寄与しています。

ロータリースイッチの使用用途

ロータリースイッチは、身近な家電製品から産業用機器まで幅広い用途で使用されます。具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • オーディオコンポの音量ボリューム調節
  • 電子レンジの出力設定
  • 扇風機の電源や強弱の切替
  • 測定機械や通信機器のボリューム切替
  • インバータや空調機などの制御基板設定切替

最近ではレトロな雰囲気を出すために、1接点のロータリースイッチで電源操作をするペンダントライトも販売されています。また、近年ではDIYの一環としてポータブルLED照明の電源切替スイッチなどに使用されることもあります。

ロータリースイッチの原理

ロータリースイッチは摺動子、ケース・固定接点、端子などで構成されます。

摺動子は可動接点と同時に動き、操作に従って接点を切り替える部分です。切り替えた接点はケースに付属する固定接点の2か所以上を導通させます。固定接点の接点出力は端子部を通して外部へ出力されます。

ロータリースイッチの種類

ロータリースイッチにはノンショーティングタイプとショーティングタイプがあります。使用目的にそぐわないタイプを選んでしまうと回路が故障してしまう場合もあるため、適切な選択が必要です。

1. ショーティングタイプ

ショーティングタイプ (Shorting Type) とは、接点を切り替える際に同時に2接点以上が導通する種類です。回路が断線する瞬間がないのが特徴です。そのため、接点間が電気的に接続される状態が一時的に発生します。

変圧器のタップ切替回路などの一時的な断線が許容できない場合に用います。ショーティングタイプはメーク・ビフォア・ブレイクとも呼ばれます。英語で「接点が離れる前に接続される」という意味です。

2. ノンショーティングタイプ

ノンショーティングタイプ (Non-Shorting Type) とは、隣り合った端子同士は完全に独立しており、接点を切り替える瞬間は回路が一度断線する種類です。こちらは接点切り替え時に、一瞬どちらの接点も電気的に未接続の状態が発生します。

したがって、切替による一時的な断線が問題とならない場合に用います。一般用途では多くがノンショーティングタイプです。ノンショーティングタイプはブレイク・ビフォア・メークともよばれます。英語で、「接点が接続される前に離れる」という意味です。

ロータリースイッチのその他情報

1. ロータリースイッチの使い方

ロータリースイッチは操作部を回転することで回路を切り替えます。ディジタル回路の設定を行う際に、利用されることが多いです。設定用などに用いるため、スイッチの切替頻度が高くないときに用います。

操作部がフラットな製品やシャフト状の製品など、ロータリースイッチの種類はさまざまです。形状の違いにより、切り替えの操作に指で操作できる製品やドライバーなどが必要な製品があります。

2. サムロータリースイッチ

ロータリースイッチの中にはサムロータリスイッチがあります。これは、スイッチの表示部に数字が書かれた円盤状の部品が使用されたロータリースイッチです。視覚的に確認が容易なことが特徴で、古い無線機のチャンネル設定用などに用います。

代表的なサムロータリスイッチはケース、押しボタン、摺動子、ロータ、プリント基板、取り付け版などの部品で構成されます。

参考文献
https://www.nkkswitches.co.jp/support/klg/knowledge.html
https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/15/330/index.html

セラミックコンデンサ

セラミックコンデンサとは

セラミックコンデンサ

セラミックコンデンサとは、誘導体にセラミックを用いたコンデンサです。

コンデンサは、2枚の金属板と金属板に挟まった誘導体によって構成されています。コンデンサの誘導体にはいくつかの材料が用いられており、それぞれ特徴があります。

セラミックコンデンサは誘電率が高く、小型で熱に強いのが特徴です。さらに、周波数特性の良いコンデンサとして、高周波回路などに多く用いられています。

セラミックコンデンサの使用用途

セラミックコンデンサは、デジタル回路のバイパスコンデンサとして利用されます。コンデンサは、交流電流を通しますが、直流電流を通さないのが特徴です。

セラミックコンデンサはセラミックの性質を利用して、カップリングコンデンサやラインフィルタとして利用されます。例えば、AC/DC、DC/DCコンバータ回路やサーキットブレーカー用回路等です。

また、高周波や低周波のノイズをキャンセルするためにも、広く利用されています。

セラミックコンデンサの原理

一般的なコンデンサと原理は同じです。2枚の電極の間にセラミックの誘電体を入れて、電極間に電圧を発生させると電極に電荷が貯まり、一定程度貯まると電荷を放出するというコンデンサとしての性質が現れます。

コンデンサが蓄えられる電荷の容量を静電容量と呼びます。誘電体の材質や電極間の距離、誘電体の層の数によって容量や性質が変わります。

セラミックの誘導体には、誘導率が高いセラミックが使われており、主な材料は酸化チタンアルミナ です。また、チタン酸バリウムを使うとやや価格が高くなりますが、より容量の大きいコンデンサになります。

セラミックコンデンサの種類

セラミックコンデンサの種類には大きく低誘電率型、高誘電率型、半導体型があります。

1. 低誘電率型

酸化チタンを主な誘電体に用いており、温度変化に強く温度補償用に利用されています。カップリング用にも使われます。

2. 高誘電率型

チタン酸バリウム等が誘電体で、酸化チタンより誘電率が高くなっています。静電容量が大きい特徴があり、平滑回路に使われますが、やや高価です。

3. 半導体型

誘電体にチタン酸ストロンチウムなどの半導体セラミックを用いています。小型で容量が大きく絶縁性も良好なコンデンサとされています。価格は3つのうち最も高価です。

セラミックコンデンサのその他情報

セラミックコンデンサの容量の読み取り方

セラミックコンデンサは本体サイズが小さいため「0.1uF」「10uF」などのような容量を直接記載するようなことはせず、1~3桁の数字のみで表示しています。

1~2桁の場合
1~2桁の場合は、単に数字をそのまま読み取り「pF (ピコファラド) 」の単位を付けたものが静電容量です。例えば、「5」なら5pF、「33」なら33pFとなります。

数字が小さい分そのまま印字できること、容量の小さなコンデンサはその分本体サイズもより小さくなることから、このように表現されています。

3桁の場合
3桁の場合は、炭素被膜抵抗などと同様に、上位2桁をそのまま数値として読み取り、3桁目を乗数として掛け算します。こちらも単位は「pF」です。例えば、「104」なら10×10の4乗=100000pF=100nF=0.1uF、「223」なら22×10の3乗=22000pF=22nF=0.022uFとなります。

一方で、チップタイプのセラミックコンデンサには容量を本体に記載しないものが多くなっています。実装や部品交換の際には使用する直前にテープから取り出したり、小分けのできるケースに保管したりするなど、静電容量の測定できるテスターで確認してから実装するのがおすすめです。

2. セラミックコンデンサの極性

一般にセラミックコンデンサには極性がないため、回路上でどちら向きに取り付けてもかまいません。リード部品の場合、片面にしか静電容量が印刷されていないため、基本的に静電容量が印刷されている面が同じ向きを向くようにします。

また、背の高い部品が近くにある場合は、後から数値が読み取れる向きで実装しておくと、確認する際に見やすい基板となります。

3. セラミックコンデンサの耐圧

セラミックコンデンサには、印加できる電圧の上限が定められています。しかし、コンデンサ本体のサイズや定格値によっては本体に記載されていない場合や略号として記載されている場合があります。

特に高い電圧を扱う回路で使用する際は、データシートやメーカー型番などをよく確認してください。長い英数字の羅列となっているメーカー型番の中には、耐圧に関する情報が含まれていることもあるためです。

参考文献
https://www.matsusada.co.jp/column/post-15.html
https://article.murata.com/ja-jp/article/basics-of-capacitors-5
https://search.murata.co.jp/Ceramy/image/img/A01X/G101/JPN/RDE_X7R_X7S_25V-100V_J.pdf

プリント基板

監修: OKIサーキットテクノロジー株式会社

プリント基板とは

プリント基板

プリント基板は、電気工作には必要不可欠な部品です。

絶縁体(プラスチック)の表面上の主にの配線パターンにトランジスタや抵抗等の部品を配置して、はんだ付けを行い、電子回路を製作する事が可能になります。ほぼ全ての電子機器 (TV PC スマートホン 家電 )にプリント基板は使われており、機器に内蔵された電子回路はプリント基板によって作動しています。

日本では1936年頃に世界に先駆けて特許が取得され、技術開発が進みました。そのため、1990年頃は、日本が生産額では、世界一でした。近年では、中国 アジアに電子機器の生産がシフトしており、中国、アジアで大量に生産されています。

プリント基板の使用用途

プリント基板は、電子工作はもちろんのこと、パソコンやテレビ、電気機器の配線基板として利用されています。

こうした特に精密な電気機器のプリント基板には基板自体にすでに必要な回路パターンが形成されており、部品を載せるだけで、電子回路が完成します。さらにより高密度に対応するため、1枚の板の中に何層もの回路を重ねた、多層基板もあり、PC、マートホン等の電子機器に使われております。

また、用途に応じて多くの種類の材料があり、何百種類もの品種があります。一般には、堅い材料が主ですが、近年 スマートホン等のモバイル用途では、柔らかいフレキ基板が多数使われており、柔軟性のある材料(フィルム)の使用が増えております。

プリント基板の製造方法

プリント基板は、絶縁性の板に小さな穴を開けて、その穴に銅などでメッキを行います。(スルホール、ビアホールと呼びます。)小さな穴に電子部品と電線をはんだ付けし電気が流れるようにすることで、回路を組むことができます。多層基板の場合、スルホール、ビアホールを通じて、中の信号が他の層と接続しております。

プリント基板には片面、両面、多層基板があり、多層になるほど回路をたくさん組むことができるので省スペース化が可能になります。

使用される材料

プリント基板の基材は、家電(冷蔵庫 洗濯機)では、紙にフェノール樹脂を含浸させた紙フェノール基板が主力です。ただ 反りが出てしまったりするので、強度は高くありません。PC、スマートホン、自動車、測定装置等の信頼性が必要とされるものは、ガラスエポキシ基板(ガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させ物)

また、放熱性が要求される所では、放熱性の良いアルミ基板を使用する事もあります。昨今は、自動車のEV化に伴い、大電流化が進んでおりますので、需要がでてきております。

また、薄いポリイミドやポリエステルのフィルムを基板とするフレキシブル基板も登場しました。フレキシブル基板は機械的強度が弱い反面、柔軟性があり折り曲げることができます。こうした基板の材料には、難燃性(火がついても燃えにくい)が求められています。そのため、ハロゲン系の物質が使われており、環境のためにハロゲンフリーを要求するお客様もおり、その対応が求められています。

近年では、回路のパターン形成方法も自動化されており、小型化 高密度化に対応した製品の開発が進んでいます。

プリント基板の構造

プリント基板は目的により数種類あり、それぞれ構造・材質などが違います。

片面基板

パターン面にだけ銅箔がある基板のこと。比較的簡単なパターンのみ実現ができます。プリント基板の製造コストが一番安く、自作のプリント基板にはもっとも使われているタイプです。

両面基板

プリント基板の表裏両面に銅箔がある基板のこと。表と裏でパターンを描き分けることができ、片面基板よりも複雑なパターンが実現できます。少し高度になりますが、自作も可能です。表裏のパターンのずれに注意してください。また、ベタアースパターン基板はスルホールも必要です。

多層基板

両面基板では実現できない複雑なパターン(コンピューターボードなど)や基板の大きさの制約でパターンを重ねる必要がある場合(携帯電話、携帯オーディオ機器など)などで使われます。~8層までの多層基板が使われています。大量生産が要求される基板の場合は、月産数十万枚など製造する場合は1台 何億円という装置を組み合わせて、製造する必要があり、設備産業となっています。

プリント基板の材料

プリント基板の材質は以下のように数種類あり、それぞれ性質が異なります。目的に合致するものを選択してください。

紙フェノール基板

基材に紙を使い、接着樹脂はフェノール樹脂です。ベーク基板、ベークライトとも呼ばれます。古くから使用されています。安価で加工性が高いですが、基板が反りやすく、耐熱性、吸湿性が悪いです。また、絶縁抵抗、高周波特性が悪く、スルホールを形成できません。

紙エポキシ基板

基材に紙を使い、エポキシ樹脂を接着樹脂とした基板です。紙フェノール基板とガラスエポキシ基板の中間的な特性です。片面基板として作られています。紙フェノール基板に比べて耐熱性、吸湿性、電気特性に優れているが、ガラスエポキシ基板には劣ります。

ガラスエポキシ基板

ガラス繊維にエポキシ樹脂を含ませて製造したプリント基板です。現在最も多用されており、多層基板はほとんどがガラスエポキシ基板です。0.2mmの薄物から電力機器用、マザーボードなどの2.4mmまでの板厚など、幅広く使用されています。寸法変化が小さく、耐久性に優れています。併せて電気特性、機械特性が良好です。但し加工性が悪く、専用の工具が必要です。コストは高くなりますが機能性は向上します。

このようにプリント基板には、色々な種類があり、色々な材料を使用します。プリント基板の種類により、設計ルールも、大幅に異なりますので、お困りの時は、専門のメーカーに問い合わせてみてください。

本記事はプリント基板を製造・販売するOKIサーキットテクノロジー株式会社様に監修を頂きました。

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分光器

分光器とは分光器

分光器とは、様々な波長の光が混在した合成光の中から、測定対象とする波長の光の強度のみを測定するために、光の成分を分離する装置です。

最近では分離した光の検出器を一体化したものも多く、光の分離から検出機構までをまとめて分光器と呼ばれることもあります。

分光器の使用用途

分光器は、反射光や透過光を問わず、また可視光のみならず電波から放射線に至るまで、原理的に様々な波長帯の光源(線源)を分光することができるため、あらゆる産業や研究場面で使用されます。

分析化学分野では、太陽光やプラズマ発光強度を測定するために用いられ、素材の反射率などの光学的性質を評価する場面でも用いられます。

また、レーザーなどの光源を使った製品検査ラインにおいて、反射光など任意の波長の検出をする品質管理ラインに意識せずとも組み込まれていることも多いです。

分光器の原理

分光器の原理

図1. 回折格子 反射型(左) / 分光器 回折格子型 (右)

一般に、光源を分光するには、まず光の整形が必要です。

スリットと呼ばれる隙間に光源を通すことで光の分解能を設定したのち、レンズやミラーで作られたコリメータにより光源を平行光化します。この平行光を分光素子に入射させることで分光が可能です。分光素子には、光の回折現象を利用した回折格子型か、光の屈折現象を利用したプリズム型があります。

回折格子型では、分光素子表面に一定の間隔で刻んだ回折格子による光の反射を利用して分光するため、回折パターンを変更することで検出できる光の波長と分解能が変化します。ここで、回折格子型分光器の原理について、図を用いて説明します。

回折格子には透過型と反射型がありますが、図1は、反射型の回折格子の概念図を表しています。さまざまな波長の光を含む光源(白色光)の平行光を回折格子に入射させると、複数のグレーティングすなわち格子状の構造部分(G1、G2...)のそれぞれの位置において、広い角度方向への反射光の回折が生じます。ここで光の干渉が起こり、各グレーティングに由来する反射光の光路差(dsinθ)が所定の条件(波長λの整数倍)を満たす角度(θ)方向に対して、特定の波長λのみが強められた単色光が出射します。

このようにして、回折格子によって、異なる波長が異なる角度に分散(虹状に分離)することになります(図2参照)。さらに図2に示したスリットを用いることで、分散した反射光のうち特定波長の単色光のみを取り出すことができます。以上が回折格子型分光器の原理となります。なお、回折格子を回転させれば、取り出す光の波長を変化させることも可能です。

分光器の選び方

検出器一体型の分光器を使用する場合には、測定した光源の波長について適切なものを選定する必要があります。

例えば、紫外線から近赤外線までの範囲の光源であれば、CCDでいいですが、それを超える長波長光源を検出するのであれば、InGaAs型の検出器が必要です。

また、測定原理でも述べたように、回折格子型の分光器は回折パターンにより検出できる波長がきまるため、目的の波長に適したものを選ぶ必要があります。

プリズム型はプリズムの性質によって分解能は決まりますが、光の強度ロスがないという特長があるため、用途によって使い分けるとよいでしょう。

分光器のその他情報

1. 分光器の使い方

分光器を使用した分析機器の使い方は、一般的に以下の流れとなります。

  1. 測定する物質と、測定波長域を決めます。
  2. 測定したい波長に対応した分光器を選択します。
  3. 物質に光を当てて、目的の波長を分光します。
  4. 目的の光をセンサーに入れて信号を検出します。
  5. 得られた信号をスペクトルに変換します。

研究室で使用する高価なモノなら、マイケルソン干渉計と呼ばれる分光箇所で特定の光の波長を自動で検出します。持ち運び可能な小型機でも、物質を透過、反射した光を交換可能な分光器を通すことで、目的波長を検出できます。

得られた波長はセンサー(検出器)に入り、各波長ごとに信号として検出されます。この信号はスペクトルと呼ばれる波の波形に変換され、このスペクトルを解析することで、物質の状態を解析します。

2. 分光器の実験例

分光器を使用した実験はいくつかありますが、測定する波長によって様々な例があります。

例えば短波長側から各波長域の実験例を見ていくと以下の通りとなります。

  1. X線分光器は、物質表面にX線を当て、その反射光を分光器に通すことで、表面の組成を特定します。
  2. 紫外・可視分光器は、物質に光を透過させることで、対象の成分や含まれる量を特定します。
  3. 赤外分光器は分子間の結合に光を当てることで、物質の構造が分かります。

このように、分光器の波長域によって得られる情報は異なってきます。

3. 分光器から得られるスペクトル

分光器を使用する目的は、未知、もしくは既知の物質から情報を習得して、解析を行い物質の状態を特定することです。その解析に用いるのが、分光器から最終的に得られるスペクトルと呼ばれる波形図です。

分光器から得られるスペクトルには以下のような例があります。知りたい情報を最初に定義することで、適切な分光器を選択してスペクトルを習得することが重要になります。

  1. X線分光器は測定される特性X線のピークから原子を特定します。
  2. 紫外・可視分光器は光を試料に透過させたときに励起する電子のエネルギー差をスペクトルとして検出します。
  3. 赤外分光器は原子間を繋ぐ結合間の振動エネルギーをスペクトルとして検出します。

参考文献
https://www.klv.co.jp/technology/spectrometer.html
https://www.mst.or.jp/method/tabid/1222/Default.aspx

油圧ポンプ

油圧ポンプとは

油圧ポンプ

油圧ポンプは、電動機を動作させることで機械エネルギーを発生させます。油圧ポンプを駆動すると油が循環して機械エネルギーを流体エネルギーに変換します。流体エネルギーは、油圧エネルギーと呼称されることもあります。この流体エネルギーは、油圧アクチュエーターが必要としている圧力と流量が組み合わさったものです。圧力は、どちらか一方のエネルギーが発生していなければ、流体を押し付けるだけの状態になります。油圧アクチュエーターに油が侵入すると流体エネルギーは、機械エネルギーに変換されます。変換された機械エネルギーは、直線運動や回転運動となってポンプの力になります。

油圧ポンプの種類には、一般的な容積式ポンプや定容量形ポンプ、可変容量ポンプなどがあります。

油圧ポンプの使用用途

油圧を利用した構造品には、油圧ユニットと呼ばれる一連の動作機構が使用されており、多少の構造型式に違いがありますが、そのすべてに油圧ポンプが内蔵されています。油圧機器の力は、圧力と流量の組み合わせであるため、流量を変えずに圧力を2倍にすれば馬力が2倍になります。圧力を変えずに流量を2倍に変更すると、馬力も約2倍になります。

一般的に、油圧を必要とする場面では大きな外部への動力を必要とする場面が多いため、特に建設現場などで用いられるショベルやクレーンなどの重機に使われています。また、小型ながらも大きなトルクが必要な装置にもよく使用されます。例えば、飛行機や船、自動車に代表される運輸業界にも広く適用されています。

その他にも自然の力を利用したポンプも存在しています。具体的な例として、農場で水を汲み上げるような装置を使用する場合にも使われており、このようなポンプは、連続運転が必要なため、水位を検知するセンサーと共に使用されています。風車もそのひとつです。風車は、風の力で地中から水を汲み上げるために油圧ポンプを使用しています。

油圧ポンプの選び方

流体を利用した動力として、空圧式と油圧式があります。どちらもパスカルの原理を応用して小さな力を大きな力へ変換する構造をしています。しかし、特長はいくらか異なります。

空圧式は、安価で構造が単純です。周囲の温度などへの環境依存性が高く応答性も低くなります。ただし、作動オイルの種類を適切に選択すれば全天候下で使用することが可能になります。空圧式では実現できないような大きな力を必要とする場合は、油圧式のユニットとそれに付帯する適切な油圧ポンプを選定することが望ましいです。

油圧ポンプの原理

全てのポンプには容積式と非容積式のタイプがあります。ほとんどの油圧システムでは容積式ポンプが使用されているため、ここでは容積式ポンプの原理について説明します。

容積式ポンプは、作動油が充填された部分と気体だけの容積室と呼ばれる部分に分けられています。容積式ポンプは、吸気弁で流体をポンプ室に吸い込み、排気弁で流体を吐き出します。

まず、外部から駆動力を与えることでピストン運動を行うと、容積室側に負圧が生じて吸い込み圧力が発生します。これを膨張工程と呼びます。

次に、吸い込み工程に入ります。この圧力がある一定値を超えると作動油の部屋と繋がる油タンクとの大気圧差により作動油を吸気弁から吸い込みます。このときに排気弁は、閉じています。

そして、容積室側が陽圧化することで気圧差が逆転します。この工程を圧縮工程と呼びます。

最後に、吐出工程に入ります。作動油が外に押し出される力が働くことで排気弁から油が吐出されます。油が押し出されると吸気弁が閉じることで排気弁が解放されます。

この4工程を1サイクルとして無限に繰り返すことで、作動オイルを一定方向へ送り出し続けることが出来ます。

なお、作動オイルタンクの吸い込み側と吐き出し側は、それぞれ1方向への逆止弁がついているため、どちらか一方に圧力が発生すると片側がその圧力に引かれて閉じてしまうので逆流することはありません。

油圧ポンプの構造

油圧ポンプを含めた油圧システムは、少ない動力で大きな力が得られるため、産業の場で多く使用されています。まず、システムは、原動機にて油圧ポンプを経由して作動油を昇圧することで動力にします。次に、油圧バルブで圧力のコントロールなどを行うことで油圧アクチュエーターに作動油が送り込まれます。その後、回転運動などの機械エネルギーに変換されます。その中でも油圧ポンプは、作動油を昇圧することで必要な機械的動力を確保するためには重要な機器です。

主に油圧ポンプは「ギアタイプ」「ベーンタイプ」「プランジャタイプ」などに分かれています。

ギアポンプは、ケーシング内で歯車が噛み合うことで、作動油を昇圧するものです。

ベーンポンプは、ケーシング内の羽にローターが組み込まれており、羽を回転させて作動油を昇圧させます。この羽のことをベーンと呼びます。

プランジャーポンプは、往復運動するピストンやプランジャーが作動油に圧力を加え、昇圧するものです。

いずれのポンプも作動油を昇圧することに変わりはありませんが、作動油の漏れが発生すると、環境を汚染するため、処理に時間がかかります。シール性は、技術の進歩で高水準です。しかし、漏れがゼロになることはないため、設置型のポンプユニットでは防油堤の内側に設置するなどの工夫が必要です。また、運搬式のポンプユニットは、一式を移動することになるので漏れを防止するためにシール性を高めておく必要があります。万が一、作動油が外に漏れても受ける油槽などを設けておくことで油の流出を防ぐことが出来ます。

油圧ポンプの動力

油圧ポンプには「電動型」「手動型」があります。主に産業や実験設備で使用されるのは、電動型でポンプの作動源が電気です。一方、手動型は、人の加える力を動力として使用します。 主に手動型は、動力を生み出す経路にピストンが使われています。人の力によってハンドルを操作することで、作動油をピストンに送り込みます。ピストンは、作動油の圧力を受けて、外界に対して動力を与えます。手動型を採用するメリットは、機構が単純なことから保守性に優れている点が挙げられます。また、動力を伝える際にゆっくりと力が伝わることで細かな調整が可能になります。このことは、結果としてリスクアセスメントに繋がります。

よく利用されるのが、車のタイヤ交換などで使用する油圧ジャッキです。これは、手動式の油圧ポンプで作動油を送ることで動力を伝えて車を持ち上げる力になります。

電動型は、より大きな仕事を与えたいときに使用するポンプなので、多くは産業用で使用されています。電動型は、手動型に比べて構造が複雑なため、求められる性能に合わせて種類が豊富に準備されています。しかし、構造が単純なポンプも製造されており、安価で手軽に導入することが可能になっています。また、陸上や水上において大きな動力を必要とする場合でも使用することが出来ます。

このように、電動タイプと手動タイプでは動力の源が違うだけでなく、使用する用途の規模感も異なります。

参考文献
http://www.kyoritsu-ss.co.jp/recruit/oilpressure/