油圧ポンプ

油圧ポンプとは

油圧ポンプ

油圧ポンプは、電動機を動作させることで機械エネルギーを発生させます。油圧ポンプを駆動すると油が循環して機械エネルギーを流体エネルギーに変換します。流体エネルギーは、油圧エネルギーと呼称されることもあります。この流体エネルギーは、油圧アクチュエーターが必要としている圧力と流量が組み合わさったものです。圧力は、どちらか一方のエネルギーが発生していなければ、流体を押し付けるだけの状態になります。油圧アクチュエーターに油が侵入すると流体エネルギーは、機械エネルギーに変換されます。変換された機械エネルギーは、直線運動や回転運動となってポンプの力になります。

油圧ポンプの種類には、一般的な容積式ポンプや定容量形ポンプ、可変容量ポンプなどがあります。

油圧ポンプの使用用途

油圧を利用した構造品には、油圧ユニットと呼ばれる一連の動作機構が使用されており、多少の構造型式に違いがありますが、そのすべてに油圧ポンプが内蔵されています。油圧機器の力は、圧力と流量の組み合わせであるため、流量を変えずに圧力を2倍にすれば馬力が2倍になります。圧力を変えずに流量を2倍に変更すると、馬力も約2倍になります。

一般的に、油圧を必要とする場面では大きな外部への動力を必要とする場面が多いため、特に建設現場などで用いられるショベルやクレーンなどの重機に使われています。また、小型ながらも大きなトルクが必要な装置にもよく使用されます。例えば、飛行機や船、自動車に代表される運輸業界にも広く適用されています。

その他にも自然の力を利用したポンプも存在しています。具体的な例として、農場で水を汲み上げるような装置を使用する場合にも使われており、このようなポンプは、連続運転が必要なため、水位を検知するセンサーと共に使用されています。風車もそのひとつです。風車は、風の力で地中から水を汲み上げるために油圧ポンプを使用しています。

油圧ポンプの選び方

流体を利用した動力として、空圧式と油圧式があります。どちらもパスカルの原理を応用して小さな力を大きな力へ変換する構造をしています。しかし、特長はいくらか異なります。

空圧式は、安価で構造が単純です。周囲の温度などへの環境依存性が高く応答性も低くなります。ただし、作動オイルの種類を適切に選択すれば全天候下で使用することが可能になります。空圧式では実現できないような大きな力を必要とする場合は、油圧式のユニットとそれに付帯する適切な油圧ポンプを選定することが望ましいです。

油圧ポンプの原理

全てのポンプには容積式と非容積式のタイプがあります。ほとんどの油圧システムでは容積式ポンプが使用されているため、ここでは容積式ポンプの原理について説明します。

容積式ポンプは、作動油が充填された部分と気体だけの容積室と呼ばれる部分に分けられています。容積式ポンプは、吸気弁で流体をポンプ室に吸い込み、排気弁で流体を吐き出します。

まず、外部から駆動力を与えることでピストン運動を行うと、容積室側に負圧が生じて吸い込み圧力が発生します。これを膨張工程と呼びます。

次に、吸い込み工程に入ります。この圧力がある一定値を超えると作動油の部屋と繋がる油タンクとの大気圧差により作動油を吸気弁から吸い込みます。このときに排気弁は、閉じています。

そして、容積室側が陽圧化することで気圧差が逆転します。この工程を圧縮工程と呼びます。

最後に、吐出工程に入ります。作動油が外に押し出される力が働くことで排気弁から油が吐出されます。油が押し出されると吸気弁が閉じることで排気弁が解放されます。

この4工程を1サイクルとして無限に繰り返すことで、作動オイルを一定方向へ送り出し続けることが出来ます。

なお、作動オイルタンクの吸い込み側と吐き出し側は、それぞれ1方向への逆止弁がついているため、どちらか一方に圧力が発生すると片側がその圧力に引かれて閉じてしまうので逆流することはありません。

油圧ポンプの構造

油圧ポンプを含めた油圧システムは、少ない動力で大きな力が得られるため、産業の場で多く使用されています。まず、システムは、原動機にて油圧ポンプを経由して作動油を昇圧することで動力にします。次に、油圧バルブで圧力のコントロールなどを行うことで油圧アクチュエーターに作動油が送り込まれます。その後、回転運動などの機械エネルギーに変換されます。その中でも油圧ポンプは、作動油を昇圧することで必要な機械的動力を確保するためには重要な機器です。

主に油圧ポンプは「ギアタイプ」「ベーンタイプ」「プランジャタイプ」などに分かれています。

ギアポンプは、ケーシング内で歯車が噛み合うことで、作動油を昇圧するものです。

ベーンポンプは、ケーシング内の羽にローターが組み込まれており、羽を回転させて作動油を昇圧させます。この羽のことをベーンと呼びます。

プランジャーポンプは、往復運動するピストンやプランジャーが作動油に圧力を加え、昇圧するものです。

いずれのポンプも作動油を昇圧することに変わりはありませんが、作動油の漏れが発生すると、環境を汚染するため、処理に時間がかかります。シール性は、技術の進歩で高水準です。しかし、漏れがゼロになることはないため、設置型のポンプユニットでは防油堤の内側に設置するなどの工夫が必要です。また、運搬式のポンプユニットは、一式を移動することになるので漏れを防止するためにシール性を高めておく必要があります。万が一、作動油が外に漏れても受ける油槽などを設けておくことで油の流出を防ぐことが出来ます。

油圧ポンプの動力

油圧ポンプには「電動型」「手動型」があります。主に産業や実験設備で使用されるのは、電動型でポンプの作動源が電気です。一方、手動型は、人の加える力を動力として使用します。 主に手動型は、動力を生み出す経路にピストンが使われています。人の力によってハンドルを操作することで、作動油をピストンに送り込みます。ピストンは、作動油の圧力を受けて、外界に対して動力を与えます。手動型を採用するメリットは、機構が単純なことから保守性に優れている点が挙げられます。また、動力を伝える際にゆっくりと力が伝わることで細かな調整が可能になります。このことは、結果としてリスクアセスメントに繋がります。

よく利用されるのが、車のタイヤ交換などで使用する油圧ジャッキです。これは、手動式の油圧ポンプで作動油を送ることで動力を伝えて車を持ち上げる力になります。

電動型は、より大きな仕事を与えたいときに使用するポンプなので、多くは産業用で使用されています。電動型は、手動型に比べて構造が複雑なため、求められる性能に合わせて種類が豊富に準備されています。しかし、構造が単純なポンプも製造されており、安価で手軽に導入することが可能になっています。また、陸上や水上において大きな動力を必要とする場合でも使用することが出来ます。

このように、電動タイプと手動タイプでは動力の源が違うだけでなく、使用する用途の規模感も異なります。

参考文献
http://www.kyoritsu-ss.co.jp/recruit/oilpressure/

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