タンタルコンデンサ

タンタルコンデンサとは

タンタルコンデンサ

タンタルコンデンサとは、電解コンデンサの一種で、誘電体にタンタルの酸化物が使われているものです。

電解コンデンサとは、アルミニウムやタンタルなどの酸化皮膜を誘電体として用いたコンデンサを指します。一般的な特徴として、「静電容量が大きいこと」「電圧の極性があること」が挙げられますが、タンタルコンデンサはレアメタルであるタンタルの表面を酸化させて五酸化タンタル (Ta2O5) を形成し、それを誘電体としたものです。

タンタルコンデンサはアルミ電解コンデンサよりも小型で寿命が長く、温度変化にも強く周波数特性が良い特徴があります。一方、主材料のタンタルは非常に高価なので、コンデンサとしては比較的価格が高いです。

また、壊れたときに電極間がショートする危険性があります。そのため、適切な使い方を守ることが大切です。

タンタルコンデンサの使用用途

タンタルコンデンサの用途は幅広く、携帯電話、パソコン、テレビゲーム機、カーナビ、オーディオ機器等々、あらゆる電子機器で使われています。アルミコンデンサと比較すると高周波特性や温度特性に優れているため、高い周波数で電流をON-OFFするスイッチング電源の平滑回路に採用されます。

また、電源回路のスパイクノイズを吸収するデカップリングコンデンサも最適な用途の一つです。さらに、バックアップコンデンサとして、一時的な電源の保持を目的とした使い方もあります。

近年では小型化が進んでおり、高さ0.5mmの製品も登場していて、携帯電話やパソコン等の小型化に貢献しています。

タンタルコンデンサの原理

タンタルコンデンサは、謡極、誘電体、陰極の3つで構成されています。

1. 陽極

材料はタンタルで、焼結された金属棒を介して電極に接続されています。

2. 誘電体

陽極のタンタルを酸化した五酸化タンタルの薄膜が誘電体となります。五酸化タンタルと陰極との間では一種のダイオードが形成され、逆バイアスが維持されている状態では静電容量を持ちますが、順方向に電圧が印可されると大きな電流が流れてしまします。

これがタンタルコンデンサに極性がある理由です。なお、五酸化タンタルの層は極めて薄いため、静電容量を大きくすることができます。

3. 陰極

陰極材料としては、二酸化マンガンもしくは導電性高分子が使われ、電極との間の導通を確保します。導電性高分子は二酸化マンガンより抵抗値が小さく、ESR特性が優れています。

さらに、陰極と電極の間に銀やグラファイトなどの通電用の金属類を挟んで、抵抗値を下げる工夫がなされています。アルミ電解コンデンサでは電解液を使いますが、その電解液が徐々に蒸発して比較的寿命が短いことが短所です。一方、タンタルコンデンサは全て固体材料で構成されているため、寿命が長いです。

タンタルコンデンサのその他情報

1. 使用上の注意事項

タンタルコンデンサが故障する主な原因は、コンデンサの誘電体が局所的にショートした状態になるためです。電源ラインなどの低インピーダンス回路に接続されていると、大きな電流がショートした箇所に集中して発熱し、発火に至ることがあります。

タンタルコンデンサが一旦発火すると、炎を発して燃焼を続け、燃え尽きます。そのため、高信頼性を求められる機器や常時通電する設備を製造するメーカーの中には、タンタルコンデンサの使用を一切禁止しているところも多いです。電池を電源とするポータブル機器においても、タンタルコンデンサの焼損は報告されているため、使用する際は十分な注意と回路検証が必要です。

一般的な対策としては、「いかなる場合も逆電圧を印加しないこと」「コンデンサにかかる電圧に対して十分余裕を持った定格電圧のコンデンサを選定すること」の2つが挙げられます。特に電源回路に採用する場合は、その電源電圧の2倍以上、可能であれば3倍の定格電圧のタンタルコンデンサを採用する事が望ましいです。

また、流入するリップル電流が大きい場合は、コンデンサ内部の発熱で劣化が進行する可能性があるので、放熱に有利な大きめのパッケージを選定することも有効です。

2. タンタルコンデンサの極性表示

タンタルコンデンサは有極性であり、指定された極性を誤ると大きな電流が流れ、最悪の場合発火に至ります。そのため、電極の極性表示を理解しておくことが必要です。

タンタルコンデンサはその構造から、チップ型、金属ケースハーメチックシール形、樹脂ディップ形の3種類にに分類できますが、これらのタンタルコンデンサの極性は次の様に読み取ります。

  • チップ型
    黒いモールドのケースの上面に静電容量や定格電圧とともに白い帯が印刷されていますが、その帯の下側の電極が陽極になります。
  • 金属ケースハーメチックシール型
    高信頼性が要求される用途向けですが、丸い筒状の形状の表面に静電容量、定格電圧などとともに+記号が印刷されています。その+記号側のリード線が陽極です。
  • 樹脂ディップ型
    縦型構造ですが、樹脂表面に静電容量、定格電圧とともに+記号が記されています。+記号が近い側のリード線が陽極です。また、リード線長が不等で陰極側のリード線が短くなっています。

なお、同じように有極性のアルミ電解コンデンサには負極側に表示があり、タンタルコンデンサとは表示方法が異なります。アルミ電解コンデンサからタンタルコンデンサに置き換える場合、極性を間違えないよう十分な注意が必要です。

参考文献
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/capacitors/tc_what1
http://www.hitachihyoron.com/jp/pdf/1966/02/1966_02_11.pdf
https://www.matsusada.co.jp/column/post-15.html
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/capacitors/tc_what1

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