DCモーター

DCモーターとは

DCモーター

DCモーターとは、直流電源によって動作するモーターです。一般的にブラシ付モーターを指すことが多いです。

電気には直流電源と交流電源の2種類があります。直流電源は電流の向きが常に一方向の電源で、交流電源は電流の向きが周期的に入れ替わる電源です。英訳すると、直流がDirect Currentで、交流がAlternate Currentです。それぞれ頭文字を取ってDC電源、AC電源と呼びます。

したがって、DCモーターはDC電源を使用するモーターを指します。

DCモーターの使用用途

DCモーターは産業用、一般用問わず広く用いられます。一般用としては、おもちゃのラジコンや自動車模型に使用されます。過去に流行したミニ四駆はDCモーターを使用するおもちゃの代表例です。DCモータは構造が単純かつ安価であり、乾電池を電源とできるため、おもちゃにはDCモーターが使用される場合が多いです。

産業用としては、1800年代から電車の走行モーターに使用されてきました。近年では、電気自動車用走行モーターやHDD回転用モーターなどに使用されています。

DCモーターの原理

DCモーターの内部には、コイルが巻かれた回転子が中央に設置されており、その周りにはN極とS極に分極された固定子がそれぞれ設置されます。

DCモーターへ電流を流すと、フレミングの法則によってコイル内に磁界が発生します。磁化された回転子磁極と固定子磁極が同極の場合は反発力が誘起され、異極の場合は吸引力が誘起されて回転子が回転します。

回転子に流す電流を反転させると引力と斥力が変化するため、これを交互に繰り返して回転子を一定方向へ回転させます。また、磁化に必要な電力は整流子と呼ばれる部分に導電体のブラシが接触して供給されます。

単純な構造から、出力トルクの効率が高いモーターを安価に製造できます。ただし、整流子とブラシが接触して回転するため、ブラシがすり減っていきます。したがって、小型のブラシ付きDCモーターはブラシ寿命がモーター寿命になります。

DCモーターの種類

DCモーターは、永久磁石型DCモーターと電磁石界磁型DCモーターが主流となっていますが、近年ではブラシレスDCモーターも存在します。

1. 永久磁石型DCモーター

永久磁石型DCモーターは、固定子に永久磁石を使います。回転子は鉄心とコイルで構成された電磁石とします。固定子へ通電する必要がないため、構造を単純で制御も簡単です。

2. 電磁石界磁型DCモーター

電磁石界磁型DCモーターでは、固定子と回転子を共に電磁石とします。固定子へ流す電流を大きくすると界磁束も大きくなるため、中大型DCモーターへ使用されてきました。

3. ブラシレスDCモーター

ブラシレスDCモーターは、回転子に永久磁石を用いたモーターです。回転子の変位を磁気センサーで読み取り、固定子の発生磁界を変化させて制御します。ブラシがないため長寿命で保守が容易な反面、ブラシレスDCモーター専用の電源を使用する必要があります。

DCモーターのその他情報

DCモーターとACモーターの違い

DCモーターとACモーターの違いは電源です。DCモーターは直流電源、ACモーターは交流電源で駆動します。以下にお互いの特徴を挙げます。

DCモーターの特徴

  • 電池電源をそのまま使用可能
  • 回転特性が安定している
  • 低価格で製作可能
  • トルク制御性能が高く、応答が安定している
  • 回転にムラがある
  • DC高電圧を発生させづらく、大型化しづらい

ACモーターの特徴

  • 商用電源をそのまま使用可能
  • ブラシがなく、構造が簡単で堅牢
  • 高電圧を作りやすく、大型化可能
  • 電源周波数によって回転速度が一定となる
  • 回転速度制御にはVVVF装置が必要

また、電力会社から提供される電源は交流電源です。交流電源からDCモーターを駆動させる場合は、整流器(コンバータ)を用いて直流電源に変換させて使用します。

参考文献
https://www.nidec.com/jp/technology/motor/basic/00004/
https://www.renesas.com/jp/ja/support/technical-resources/engineer-school/brushless-dc-motor-01-overview.html
https://www.nidec.com/jp/technology/motor/basic/00004/

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