オートコリメーターとは
オートコリメータ ー (英: autockllimater) とは、光の直進性を利用し,測定対象物の微小角度変位などを測定する光学機器です。
非接触で角度などを測定可能で、通常は光学系や機械系において部品の位置を調整したり、ゆがみを測定したりするために使用されます。
オートコリメーターの使用用途
オートコリメーターは、精密な角度測定だけでなく、平行度、真直度、光軸、アライメントなどの検査・調整に使用されます。
1. 工作機械のベッドやロボットの加工装置の真直度測定
平面鏡が固定された台を案内面にそって滑らせ、平面鏡による十字線像の移動量から真直度を換算します。
2. 光学窓やウェッジの面など端面の平行度測定
1本のレーザビームを透過させることで、同軸上の2面間の平行度測定が可能です。ガラス板などは、表面と裏面の2面からの反射光の角度差を計測することで、平行度を測定します。
3. 直角度の測定
オプチカルスクエアと呼ばれる五角形のプリズムを使い、光を曲げることで測定が可能です。
4. 回転盤の回転角の測定
多面鏡を利用して回転盤や割り出し盤の分割精度を測定します。
5. 弾性片のたわみ測定
弾性片に反射鏡を固定し、オートコリメーターで観察すると、微小な変化量の測定が可能です。
6. 光軸の調整
天体望遠鏡など光軸が合っていれば、オートコリメーターの視野内で、主鏡のセンターマークが何重にも重なって見えます。
7. 光学製品の検査
ディスクやウエハの反りやうねりの測定、ポリゴンミラーの精度測定を行います。
オートコリメーターの原理
オートコリメーターの測定は、レーザー光の持つ直進性とレンズの集光の原理を利用しています。まず、光源として半導体レーザーが主に用いられ、レーザーを1次レンズで平行光へ変換します。この平行光を2次側のレンズに通し、焦点へ結像させます。
この場合、反射光は光路の途中でハーフミラーにより分光され、CCDなどの受光素子へ到達し、結像する仕組みです。仮に対象物が、照射したレーザー光に対して、傾きなく設置されている場合は、反射光による写像は入射光と完全に一致します。一方、対象物が傾いている場合は、ずれて結像されるため、ずれの度合いから、ずれの角度の決定が可能です。
オートコリメーターのその他情報
1. ミラーの設置
オートコリメーター内部には、測定原理とは直接関係のないミラーが多く組み込まれています。オートコリメーターの光学系をすべて直列で配置すると、光路分の装置サイズが必要です。
多くのオートコリメーターでは、装置サイズを小さくするため、反射ミラーを複数設置することがほとんどです。
2. オートコリメーターで測定できる幾何公差
オートコリメーターを用いることで、直線や平面で定義できる幾何公差を求めることが可能です。オートコリメーターは、光源と離れた位置に設置したミラーの反射光が光軸からずれることを利用して、ミラーの傾きを測定します。
ミラーの角度を変位に置き換えて算出することで、測定点ごとの凹凸が測定可能です。開始位置をゼロとし、測定点ごとの変位をプロットすることで、真直度を求めることができます。
オートコリメーターを使用して、別のラインで真直度を求めることを繰り返すと、プロットされた点は線から面を描けるため、平面度の測定が可能です。オートコリメーターの置き方やミラーの保持方法を工夫することで、測定結果を傾斜度や直角度にも発展させることができます。ただし、真円度や円筒度など、曲線や曲面を用いて定義するものは測定が難しいです。
3. オートコリメーターの短所
オートコリメーターは、光源がレンズの焦点位置にない場合、正しく結像ができず、測定誤差、観察像の焦点ずれが起きる問題があります。この光源位置の誤差は、コリメーターレンズの焦点距離に対して0.1%以下の厳しい精度が必要です。
この位置調整が非常にシビアなため、オートコリメーターには、絞りを用いたスポット径で位置調整が可能なもの、ナイフエッジを用いるものなどがあり、さまざまな方法で位置調整が可能です。
参考文献
https://www.pearl-opt.com/media/2019/07/31/31
http://www.mekatoro.net/digianaecatalog/chuo-sougou/book/chuo-sougou-P1089.pdf
https://www.chuo.co.jp/contents/hp0198/list.php?CNo=198&ProCon=7482
http://www.jissen.or.jp/meeting/2010/entry/yokou/2010-38.pdf