サニタリーポンプ

サニタリーポンプとはサニタリーポンプ

サニタリーポンプとは、品質と衛生を確保するために使用される特殊なポンプです。

食品、医薬品、化粧品、生物工学などの幅広い産業分野で使用されています。食品や医薬品などの製造過程で微小な汚染や異物の混入があると、製品の安全性や品質に悪影響を及ぼす可能性があるためです。

サニタリーポンプの使用用途

1. 食品産業

食品の生産ラインでは、高い衛生基準が要求されます。サニタリーポンプは、食品の搬送や加工の際に使用され、食品の品質を保ちつつ、汚染や異物混入を防ぎます。液体の移送からペースト状の素材の転送まで、さまざまな食品加工において使用が可能です。

2. 医薬品産業

医薬品の製造プロセスでは、高い品質基準と衛生基準が求められます。サニタリーポンプは、薬液の混合、転送、充填などに使用され、製品の安全性と品質を確保します。

3. 化粧品産業

化粧品の製造においても、製品の品質と衛生は非常に重要です。サニタリーポンプは、化粧品の原料の混合や充填に使用され、製品の均一性と衛生性を確保します。

4. 生物工学

バイオテクノロジーや生物工学の分野では、微生物や細胞の培養、分離、濃縮などが行われます。サニタリーポンプは、これらのプロセスにおいて微細な操作を可能にし、高い品質の生産を支援します。

5. 清涼飲料水産業

清涼飲料水の製造においても、製品の品質と安全性が求められます。サニタリーポンプは、原料の混合や転送、ボトリングラインでの充填作業などに使用されます。

6. 乳製品産業

乳製品の製造では、高い衛生基準が要求されます。サニタリーポンプは、乳製品の加工や充填作業に使用され、製品の鮮度と品質を保ちます。

サニタリーポンプの原理

1. 設計と材料

サニタリーポンプは、高い衛生基準を満たすために特別に設計されています。内部の隙間や溝を最小限に抑えることで、微生物や異物の付着を防ぐことが可能です。また、食品や医薬品といった製品の衛生性を保つために、適切な材料が使用されます。耐薬品性や耐摩耗性、耐熱性などが重要な要素です。

2. 吸引と排出

サニタリーポンプは、吸引側と排出側の2つの接続口を持ち、ポンプの動作により、吸引側から液体が吸い上げられ、ポンプ内部で圧縮されて排出側へと送られます。この動作には回転運動を利用する場合が一般的で、回転部分にはシールや軸受けが備わっています。

3. 閉じたシステム

サニタリーポンプは、液体を閉じたシステム内で転送するため、外部からの汚染や異物混入を防ぎます。これは製品の品質維持や衛生確保のために重要です。ポンプ内部の隙間やクリーニングのしやすさも考慮された設計が行われます。

4. 清掃と保守

サニタリーポンプは衛生基準を保つために、定期的な清掃と保守が必要です。ポンプ内部に残留物がたまることなく、効果的な清掃が行えるような設計がされています。分解や組み立てが容易であることも重要なポイントです。

5. 衛生基準への適合

サニタリーポンプは、国際的な衛生基準に適合するよう設計されています。食品や医薬品などの産業分野で使用されるため、GMP (Good Manufacturing Practice) などの基準に準拠し、製品の品質と衛生を確保します。

サニタリーポンプの種類

1. ドラムポンプ

ドラムポンプは、小容量の液体を効率的に転送するために使用されます。食品や化学物質の移送などに適しており、小型で取り扱いが容易です。ポンプヘッドの形状や材質が異なるモデルがあります。

2. ディアフラムポンプ

ディアフラムポンプは、液体がポンプ本体と直接接触せず、膜 (ディアフラム) を介して転送される方式です。衛生性を重視する分野で広く用いられます。食品や医薬品の転送に適しており、異なる素材の膜が選択可能です。

3. シリンジポンプ

シリンジポンプは、微量の液体を正確に転送するために使用されます。液体をシリンジ (注射器のような部分) に吸い上げ、精密な制御で排出します。生物工学や医療の分野で広く利用されるポンプです。

4. ロータリーローブポンプ

ロータリーローブポンプは、高い効率で液体を転送するためのポンプです。食品や化粧品の移送に使用され、液体が滑らかに送られる特性を持ちます。複数のローブが回転し、液体を吸引・排出します。

5. セントリフューガルポンプ

セントリフューガルポンプは、高速の回転によって液体を外側に遠心力で送り出すポンプです。食品や医薬品のほか、清涼飲料水などの分野で使用されます。異なる流量と圧力に対応するモデルがあります。

参考文献
https://www.tacmina.co.jp/library/glossary/sanitary_pump/

ゴム手袋

ゴム手袋とは

ゴム手袋

ゴム手袋とは、水仕事や油脂掃除の際に装着する手袋のことです。

ゴム手袋には、天然ゴムを用いた「ラテックス手袋」と、合成ゴムを用いた「ニトリル手袋」があります。

他の業務用の手袋には、食料品を取り扱う際に用いるポリエチレン手袋や食品に直接触れられないものの、油や薬品に強いPVC (塩化ビニル) 手袋があります。

ゴム手袋の使用用途

天然ゴムを用いたラテックス手袋は家庭用から産業用まで幅広く使用されます。具体的な使用用途は以下の通りです。

  • 水仕事や洗車
  • ガーデニングやごみ処理などの衛生作業
  • 少し尖ったものを扱う作業

ただし、薬品や油を使用しないことが条件となります。

2. ニトリル手袋

合成ゴムを用いたニトリル手袋は薬品や油に強い性質があります。具体的な使用用途は以下の通りです。

  • 機械を扱う作業
  • 油や灯油を扱う作業
  • ペンキ・スプレー塗装
  • 化学実験
  • 食品加工作業
  • 医療作業や清掃作業

ゴム手袋の原理

前述した通り、ゴム手袋は「ラテックス手袋」と「ニトリル手袋」に大別され、それぞれ原理は異なります。

1. ラテックス手袋

ラテックス手袋は天然ゴムを成形して製作します。滑りにくく柔軟性の高いことが特徴です。手に馴染みやすく丈夫なため、長時間作業も可能です。

ただし、油や薬剤や溶剤に弱いという欠点があります。また、天然ゴム中に含まれるたんぱく質等が原因で、アレルギー性接触皮膚炎を生じる場合もあるため注意が必要です。

2. ニトリル手袋

ニトリル手袋の材料は合成ゴムです。油や薬品に強く、強度もあるのが特徴です。対突差し特性に優れ、手にフィットするため素手感覚で使えますが、柔軟性にはやや劣ります。ニトリル手袋も、ゴム及び塩化ビニル樹脂の添加剤が関与するアレルギーが生じる場合もあるため注意が必要です。

ゴム手袋のその他情報

1. ゴム手袋によるアレルギー

ゴム手袋の中には天然ゴム製製品があり、繰り返し接触することでアレルギーを引き起こす可能性があります。これをラテックスアレルギーと呼び、接触部位や全身の蕁麻疹、喘息発作、アナフィラキシーショックなどの即時型アレルギー反応が起こります。ゴム手袋を頻繁に使う場合やアトピー体質の場合は、特に注意が必要です。

原料であるパラゴムの木の白い樹液 (ラテックス) に1.5%程度含まれているラテックスたんぱく質がアレルゲンであり、それが皮膚や粘膜から入ることが原因です。予防策は天然ゴム製品を回避するしかありません。

日本では1999年にラテックスアレルギーの注意表示が義務化されました。そのため、購入の際にラテックスフリーであるか確認し、ラテックスフリーを選択することが推奨されます。

2. ニトリルゴム手袋とは

ニトリルゴム手袋とは、ニトリルゴムという合成ゴムでできている手袋です。したがって、天然ゴムを使用しないラテックスフリーゴム手袋の一つです。

油・薬品に強く、丈夫であるという特徴があります。また、手に隙間なくフィットするため素手の感覚に近く、細かい作業に最適な手袋です。医療や介護現場でよく使用されます。

2020年の春以降、ニトリルゴム手袋は新型コロナウイルスの感染拡大により、品薄状態や価格高騰が発生しました。ニトリルゴムはマレーシアが世界の生産の約3分の2を占めており、現在の値段はコロナ禍以前の数倍です。

参考文献
https://bihin.shop/?mode=f17
https://www.nihon-glove.com/kindAndFeature.html
https://www.askul.co.jp/f/special/product_column/rubbergloves/
https://allergyportal.jp/provision/latex-allergy/
http://latex.kenkyuukai.jp/special/?id=1270
https://www.medius.co.jp/asourcenavi/latex/
https://www.medius.co.jp/asourcenavi/choice/
https://bihin.shop/?mode=f17
https://www.foodomejapan.com/user_data/slct/cleanclean/gloves.php
https://www.tokyo-np.co.jp/article/54242

グリーンレーザー

グリーンレーザーとは

グリーンレーザー

グリーンレーザーとは、可視光領域である波長532nmの光を発振できるレーザーの総称です。

目で見ると緑色の光に見えるのが特徴です。基本波長で生成されたレーザー光が非線形結晶を通ると532nmの波長となります。

結晶を通すとエネルギーが落ちますが、緑の波長は集光性に優れているため、微細加工やマーキングなどによく使用されます。Nd:YAG、Nd:YVO4、Yb:YAGの結晶を使用した個体レーザー、もしくは半導体レーザーが多く用いられます。

グリーンレーザーの使用用途

グリーンレーザーは、建築現場などで平行、垂直な基準線を投射する墨出し器、会議などで使うレーザーポインターに使用されています。

理科学分野では、ラマン分光、蛍光分析、レーザー干渉計、ホログラフィーなどです。工業分野では、ダイシング、ドリリング、スクライビングといった微細加工、ウエハマーキング、PCBカッティング、マーキングなどにグリーンレーザーが搭載された加工機がリリースされています。

グリーンレーザーの原理

532nmの波長は第二高調波 (英: Second Harmonic Generation) とも呼ばれます。第二高調波は非線形光学の波長変換作用です。ある周波数の光をある物質に入れると、整数倍の振動数の光が放出される現象を利用して532nmの光を生成しています。

基本波長となる1,064nmを発生させ、その光を非線形結晶 (LBO結晶) を通すと1,064nmの半分の値である532nmの波長となって放出されます。基本波長である1,064nmは、Nd:YAGレーザー (ネオジムがドープされたイットリウム・アルミニウム・ガーネットの結晶を用いた固体レーザー) や、Nd:YVO4レーザー (ネオジムがドープされたイットリウム・四酸化バナジュームの結晶を用いた固体レーザー) でなどで生成されます。

非線形結晶を通した場合の変換効率は100%ではありません。そのため、532nmの光のエネルギーは低下します。しかし、この波長の吸収率が良い素材 (金属) に対する加工の面や、基本波よりもビームが絞りやすいという面から、微細加工や半導体分野でも活躍しています。

グリーンレーザーのその他情報

1. LBO結晶

前述したLBO結晶は、三ホウ酸リチウムと呼ばれる物質でできています。LBO結晶は160nm〜2,600nmと広範囲の透過波長範囲を持った物質です。レーザー光は可視光領域と比較しても長い長波長の光ですが、透過波長範囲内のため透過可能です。

レーザー光は基本波長である場合、物質に照射すると整数倍の周波数となって出力される特徴があります。LBO結晶は非線形結晶です。非線形結晶に対して光を入射されると、入射光と結晶内の原子が相互作用することで2倍のエネルギーを持つ光が出力されます。

このとき、位相は入射光から保たれたまま出力されることが大きな特徴です。レーザーでは出力される光が同位相であることが強度を出すために重要なため、LBO結晶が使用されています。

元の2倍のエネルギーを持った出力光は波長は半分になっています。そのため、基本波長が入力光の場合、出力光は緑の可視光領域の光です。

2. 銅加工の特徴

レーザーは銅を加工する際にも使用されます。グリーンレーザーは、他波長のレーザーと比較して正確な銅加工が可能です。

基本波長のレーザーを銅に対して照射した場合、照射後にできるスポット径は同じ条件であってもバラつきがあります。対して、グリーンレーザーでは照射後のスポット径のバラつきは少ないです。

これは銅が持つ光の反射率が基本波長の場合は98.5%以上と非常に高い値を取る一方で、グリーンレーザーでは60%程度と低い値を取ることに起因します。上記の理由からバラつきの少ない銅加工が可能です。

ガス検知器

ガス検知器とは

ガス検知器

ガス検知器は、対象とするガスの濃度を測定する機械です。一般家庭のガス漏れを検知するためのものから、産業の現場で使用されるガスを検知するものまで様々なものが存在します。いずれの検知器もガスの存在を作業者に知らせることで、作業者の安全を守ることを目的として利用されます。

対象とされるガスは、一般家庭用であれば都市ガスやプロパンガスです。産業用では、酸素濃度の測定や一酸化炭素硫化水素といった毒性ガスや有機溶剤などの可燃性ガスなどを検知するものなどがあります。

ガス検知器の使用用途

ガス検知器は、ガスの製造現場から、化学プラント、半導体工場、トンネル工事現場、鉄鋼業、農業など産業の現場、或いは一般家庭など幅広く利用されています。ガスの漏洩には様々な危険が潜んでいます。

例えば、可燃性のガスの漏洩は火事や爆発といった大規模な問題に繋がりかねません。毒性ガスであれば作業者の健康被害や環境汚染の原因になります。また酸素濃度は一定値を下回ると作業者の窒息死に繋がる危険があります。

これらの重大な事故の原因となるガスの漏洩をいち早く感知し、作業者に知らせるためにガス検知器が使用されます。そのため、ガス検知器は用途に応じて適切な種類を選ぶ必要があります。

1. ガス検知器の設置義務(一般家庭用)

使用しているガスの種類によって異なります。都市ガスを使用している場合は設置が推奨されているものの義務化はされていません。プロパンガスを使用している場合は3戸以上の集合住宅であれば設置が義務づけられています。

一方で全ての住宅に法律(消防法)で設置が義務付けられているのは火災報知器です。住宅用のガス検知器ではメタンエタンプロパンといったガス成分を検知しますが、火災報知器では煙や熱を検知します。

2. ガス検知器の設置義務(産業・商業用)

一般家庭用と異なり、産業・商業用途においては様々な設備においてガス検知器の設置が義務付けられています。一例としては、可燃性ガスや毒性ガス等を扱う工業プラントや、特定地下街や地下室、超高層建物などの商業用設備が挙げられます。(関連法令:高圧ガス保安法、消防法、労働安全衛生法)

ガス検知器の種類

1. 測定対象の種類による分類

  • 単成分ガス検知型
    一台で一種類のガスの測定に使用します。小型・軽量で取扱いやすいタイプです。
  • 複合ガス検知型
    一台で複数種類のガスの測定に用いることができます。可燃性ガス、毒性ガス、酸素など、幅広い種類のガスの測定が可能であり、各種工場や作業現場で安全確保のために利用されています。

2. 設置方法による分類

  • ポータブル式検知器
    作業者に装着して、作業時に測定することで、ガスを検知した際に作業者に異常を知らせます。
  • 定置式検知器
    工場施設内でガス濃度を連続的に測定することで、工場の安定稼働に貢献します。大きな設備で使用する場合、検知部と警報部・システムを分離することで複数箇所をまとめて監視します。

ガス検知器の原理

ガス検知器によって検知できるガスは、多岐に渡るためその分析方法も多様です。多くのセンサにとって、有機シリコンガスや腐食性ガス(SOxやNOxなど)、酸性ガス(HFやHClなど)は劣化の原因となるガス(=雑ガス)になります。また、対象ガス以外の炭化水素やアルコール、有機溶剤などは多くの場合に正確な測定の妨げとなるガス(=干渉ガス)になり得ます。

使用を考えている検知器に内蔵されているセンサの種類と対応する雑ガス・干渉ガスの種類を事前に確認しましょう。以下に各種センサーの原理と、対象となるガスの項目について述べます。

1. 半導体式

半導体とガスが触れた時に生じる抵抗の変化を利用します。感度が高く、低濃度まで測定が可能です。
対象:可燃性ガス、毒性ガス

2. 熱線型半導体式

半導体式で用いる半導体の代わりに、白金線コイルと半導体が一体化したものを使用します。感度が高いことと、小型化に適していることが特長です。
対象:可燃性ガス、毒性ガス

3. ニューセラミック式

ニューセラミック(超微粒子化酸化触媒)上で、可燃性ガスが燃焼するときの発熱を利用します。測定できる濃度範囲が広く、また、安定した稼働が期待できます。
対象:可燃性ガス

4. 接触燃焼式

酸化触媒である白金を高温に熱し、そこにガスが当たることで燃焼反応が起こり温度が上昇します。この温度変化を検出に利用します。精度や再現性に優れています。
対象:可燃性ガス

5. 定電位電解式

電極上でガスが電気分解された際に発生する電流を検知します。電位の設定により対象ガスを選択でき、干渉ガスの影響も受けにくい点が特長です。
対象:毒性ガス

6. 隔膜ガルバニ電池式

内部にガルバニ電池が内蔵されています。電池内の隔膜をガスが透過する際に、二つの電極の間で反応が起こり、電流が生じます。この電流の強さを、目的とするガスの濃度として扱います。電池内蔵により外部電源なしで稼働できます。
対象:酸素

7. 非分散型赤外線式

ガスはその種類ごとに特定の波長の赤外線を吸収する特性を持っています。測定波長において吸収された赤外線量からガスの濃度を算出します。長期間にわたり安定稼働でき、測定対象に対して高い選択性を有します。
対象:可燃性ガス、毒性ガス

8. 光波干渉式

気体の屈折率の変化により、ガスを検出します。長期間安定した精度を保ち、運用することができます。
対象:可燃性ガス

9. 熱伝導式

高温の検知素子とガスが当たると、検知素子の温度が上昇します。ガスの種類により熱伝導度が異なり固有の値を持つため、温度変化の値と素子の抵抗値の変化からガス濃度を算出します。高濃度のガスの測定に適しています。
対象:可燃性ガス

参考文献
https://anabuki-m.jp/information/resolution/21895/
https://www.new-cosmos.co.jp/faq/gas/law/

オートクレーブバッグ

オートクレーブバッグとは

オートクレーブバック

オートクレーブバッグとは、オートクレーブ (高圧蒸気滅菌器) と呼ばれる装置を用いて、器具や廃棄物等を滅菌処理する際に利用する袋のことです。

オートクレーブとは、飽和蒸気の存在下で圧力を加えて加熱することで、滅菌を短時間で行うことができる装置です。オートクレーブバッグは高温・高圧下で使用されるため、耐熱性の高いポリプロピレンが多く用いられています。

また、オートクレーブ処理の目的に応じて、様々な形状や加工が施されたバッグが存在します。

オートクレーブバッグの使用用途

オートクレーブバッグは、実験器具の滅菌、あるいは感染やバイオハザードの恐れがある実験廃棄物・医療廃棄物の滅菌処理に用いられます。

1. 無菌状態の維持

無菌操作が必要な実験で用いる器具をバッグに入れて滅菌し、密封を保つことで、使用まで無菌状態を維持します。

2. 滅菌処理

医療機関等やバイオ系実験室から排出される感染性 (バイオハザード) 廃棄物をそのままオートクレーブバッグに入れ、オートクレーブ処理にかけ滅菌することで、排出場所から持ち出さずに滅菌処理します。

オートクレーブバッグの原理

滅菌したい器具あるいは廃棄物をオートクレーブバッグに入れて、オートクレーブ処理を行います。オートクレーブバッグには、実験前に器具を滅菌するためのものと、感染性廃棄物 (感染のおそれがある採血管、血液を扱ったピペット、培養後のシャーレ類など) を廃棄前に滅菌するためのものがあります。

1. 実験準備として器具を滅菌する場合

器具類を滅菌するためのオートクレーブバックは、滅菌バッグと呼ばれるのが一般的です。滅菌バッグは、通常、片面がフィルム面、片面が紙面 (フィルター面) になっています。紙面は微生物は出入りできませんが、気体は透過することができるため、ガス滅菌の場合にも有効です。

オートクレーブで滅菌する場合にも、蒸気の出入りが容易になったり、圧力変化に容易に対応できたりする利点があります。オートクレーブ前に器具などを収納しますが、収納後に密封するためヒートシールできるようになっているのが一般的です。また、一般的な滅菌バッグには、温度インジケータが印刷されており、確実にオートクレーブ滅菌ができたかを確認できるようになっています。

使用まで無菌性を保つポイントは、微生物の侵入を防ぐことです。そのため、バッグに穴が開かないように、ガラスシリンジやピンセットなどを入れるときには、先端部から落とし込むのを避けます。滅菌前に完全にシールします。

2. 感染性廃棄物を滅菌する場合

オートクレーブ用廃棄バッグは、耐熱性のポリプロピレン製のゴミ袋です。袋の口を開けて保持する器具が付属している場合があります。耐熱性のバッグに廃棄物を投入し、一杯になったら袋の口元を口締めバンドなどで緩く締めます。

廃棄バッグをオートクレーブにかけるときには、オートクレーブ前に完全に締める必要はなく、オートクレーブ中の圧力変化に対応することを見越し、緩くしておくのが一般的です。その後、そのままオートクレーブにかけて滅菌します。滅菌後に廃棄する際には、口元をきつく締めて処理します。

オートクレーブバッグのその他情報

オートクレーブにかけるときの注意点

オートクレーブは130℃までの耐熱性があり、水に濡れてもよいものをかけることができます。オートクレーブにかけることができるプラスチックは、ポリプロピレン (PP) とポリカーボネート (PC) です。

なお、滅菌後廃棄する場合には、必ずしも内容物の耐熱性は重要ではありません。例えば、ポリエチレンの内容物が変形・破損したとしても、ポリプロピレンのオートクレーブバックは熱に耐えるため、廃棄物として取り扱うことは可能です。

滅菌時にはオートクレーブ用のカゴなどを利用し、なるべく袋同士が干渉しないようにオートクレーブに入れます。オートクレーブで加圧・減圧するときにバッグが膨張する場合があり、干渉してバッグが破損する可能性があるためです。

また、割れたシャーレや試験管、針など鋭利なものを直接入れると、袋が破れる危険性があるため、鋭利物はプラスチックの小箱や金属缶にまとめたうえでバッグに入れます。

参考文献
http://www.kenq.net/dic/67.html
https://www.yamato-net.co.jp/word/70/
https://www.env.go.jp/recycle/kansen-manual1.pdf
https://m-hub.jp/biology/2798/183
https://biomedicalhacks.com/2020-07-22/autoclave-dryheatsterilization/
https://biomedicalhacks.com/2020-07-16/plastic-autoclave/
https://dhlife.net/sterilization-bag/
https://www.atect.co.jp/bio/products/pdf/haikibag.pdf
http://alpco.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/sterilize_bags.pdf
https://dhlife.net/sterilization-bag/
https://www.nichigi.co.jp/products/mekkin/bag_index.html 

ウレタン樹脂

ウレタン樹脂とは

ウレタン樹脂

ウレタン樹脂とはイソシアネート基を有する化合物と水酸基を有する化合物の重付加反応により生成される高分子の総称です。結合部位はウレタン結合と呼ばれ、一般的には、ジイソシアネートとポリオールを重付加させて生成します。

略称記号としては、プラスチックの場合はPUが、ゴムの場合はUが使用されます。ウレタン樹脂は抗張力、耐摩耗性や耐油性、耐薬品性に優れるため、塗料やコーティング剤にも応用されています。ただし、加水分解や紫外線などにより、徐々に劣化する欠点も併せ持っています。

ウレタン樹脂の使用用途

ウレタン樹脂は、汎用性が高いため身近な生活用品から工業用品まで、幅広い用途で使用されています。身近な製品例では、衣類や車のバンパー部、工業用途では防音材や接着剤などが挙げられます。

また、高い柔軟性を活かしてスポーツシューズの靴底にも利用されており、我々の生活に欠かせない樹脂の一つです。本素材は、もともとは天然ゴムの代替品として利用されてきた歴史があります。そのためゴムの特徴である高い弾性や引張強度を活かした用途開発が進められています。

ウレタン樹脂の特徴

ウレタン樹脂は、柔軟性や耐衝撃性、抗張力、耐薬品性などに優れていますが、3年ほどで劣化が進行していきます。このように多くの特性を有している一方で、製造方法によって特性が大きく変わります。

劣化の原因としては、酸素、オゾン、光、熱などの様々な因子、水との反応による加水分解、微生物による分解などのように多岐に渡ります。また、ポリウレタンはその特徴として、製造方法によりその物性を変化させることができます。そのため、その使用用途に応じて様々な種類のウレタン樹脂が存在します。その代表例は以下の通りです。

1. フォーム系

フォーム系とは発泡剤を加えて重合することで、樹脂内に空気を取り込ませたウレタン樹脂のことです。本素材は軟質ウレタンフォームと硬質ウレタンフォームに分けられ、前者はクッション性、耐久性に優れ軽量なことから自動車の座席などに使われています。後者は断熱性に優れるため、冷蔵庫、冷凍庫、エアコンなどの断熱材用いられています。

ウレタンフォームの製造方法のうち、スラブ成型やモールド成型、ラミネート成型などは大規模な製造装置が必要になります。一方でスプレー発砲法は断熱が必要な箇所にその場で混合し発泡させることができるため、手軽に扱えます。

2. 非フォーム系

非フォーム系はスポーツシューズなどに使われるエラストマつまり、ゴム弾性を有するウレタン樹脂がその代表例です。このような特性のウレタン樹脂は高い伸縮性を持つため、スポーツウェアやスラックスなどに使用されます。

ウレタン樹脂のその他情報

1. ウレタンの構造

ウレタンの構造式は下記の通りです。

ウレタンの構造式

図1. ウレタンの構造式

2. ウレタン樹脂の環境残留性とリサイクルについて

ウレタン樹脂は優れた断熱性を有する事から、冷蔵庫、冷凍庫、クーラーなどの断熱材として幅広く用いられています。ただし、その化学的特性からリサイクルや後処理が難しいという問題もあり、研究が進められている分野です。

なお、分解とリサイクルの技術としては既に確立されており、その例としては熱分解法、加水分解法、グリコール分解法、アンモニア分解法、アミン分解法などがあげられますが、分解効率やコスト面などで解決すべき問題が残されているのが現状です。

3. ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂の違い

ウレタン樹脂・アクリル樹脂・エポキシ樹脂の構造の違い

図2. ウレタン樹脂・アクリル樹脂・エポキシ樹脂の構造の違い

これらの3種類の用語は、いずれも樹脂という単語が含まれるせいか、混同して使用される場合も多いのですが、全く異なる素材を意味します。

ウレタン樹脂とは、本記事の冒頭で解説したように、ウレタン結合を有する重合体の総称です。一方でエポキシ樹脂とは、分子の末端に反応性に富んだエポキシ環を有する熱硬化性樹脂を意味します。

また、アクリル樹脂は、アクリル酸およびその誘導体の重合体、共重合体です。つまり、その構造や化学的性質の違いにより、厳密にその意味が定義づけられているため、その用法には注意が必要です。

4. 接着剤でのウレタン樹脂の位置づけ

接着剤には両面テープやシーミングテープなどの固形状の接着剤と、塗布された接着剤が圧着し、硬化して接着効果を発揮できる液体状の接着剤があります。

液体状の接着剤の種類は、接着方法から、乾燥固化型と反応硬化型の大きく種類に分類できます。乾燥固化型は、接着剤に含まれる水分、もしくは溶剤揮発する事により接着します。一方で反応硬化型は、接着剤に含まれる成分が化学反応でおこる硬化を利用した接着剤です。

反応硬化型はさらに二種類に分類できます。主剤と硬化剤で硬化をおこすエポキシ樹脂系と、空気中の水分で硬化をおこすウレタン樹脂系です。その中でもウレタン樹脂系接着剤は高い密着性と、素早い接着が可能なことから万能性能であり、一般の幅広い用途で使用されます。

5. ウレタン樹脂を使用したフロアコーティング剤

フロアコーティング剤は水性系と油性系の二種類に分類できます。もともとウレタン樹脂を使用したコーティング剤も水性系と油性系に分かれていました。しかし、油性系には安全面に疑問があったことから、現在は一般的に水性系を意味します。

水性ウレタンコーティング剤はガラスコーティング、シリコンコーティングなどの油性系フロアコーティング剤に比べて耐久性が低いことが特徴です。しかし、価格が低コストで仕上げられる特徴も持ち合わせています。そのため他のフロアコーティング剤と比べても、水性ウレタンコーティング剤が多く選ばれます。

水性ウレタンコーティング剤を選ぶメリットは、硬化の速さから速乾性に優れていることや、シンナーのような揮発臭がなく、ほぼ無臭であることです。また、ほとんどのフローリングの材質に適合するため、種類を選ばずに使用できます。

一方でデメリットとしては、ウレタン樹脂の弱点ともいえる、経年劣化が挙げられます。水性ウレタンコーティング剤の耐久年数は10年以下がほとんどです。しかし、前述のメリットに加えて安全性、手軽さも優れていることから水性ウレタンコーティング剤は、現在でも人気のコーティング剤として選ばれています。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/adhesion/40/6/40_6-4/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/networkpolymer1996/23/4/23_188/_pdf/-char/ja
三省堂 新化学小事典

アルマイト処理

アルマイト処理とは

アルマイト処理

アルマイト処理とは、アルミニウム表面に酸化被膜を人工的に形成する表面処理です。電解液中でアルミニウムに通電して酸化を促し、表面を保護する酸化被膜を形成する処理です。

アルミニウムは空気中の酸素と結合して表面に薄い酸化皮膜を生成します。しかしながら、使用環境によってはこの酸化皮膜が破損し、腐食が著しく進行する場合もあります。この現象を防ぐために、自然にできたも酸化膜も保護することができるアルマイト処理が有用です。

アルマイト処理の使用用途

アルマイト処理はアルミニウムの表面処理として広く利用されています。以下のような用途に使用されます。

1. 自動車

アルマイト処理は、特にエンジン部品やホイール及びアルミ製バンパーなど、耐腐食性や耐摩耗性が求められる部品に適しています。また、装飾的な面でも車両の外観を魅力的にするためにも使用されます。

2. 建材

アルミニウムは軽量で耐食性が高いため、建材でも広く使用されます。建物の外装材や窓枠及びカーテンウォールなどの表面に使用し、耐久性を向上させるとともに、外観の美しさも向上させます。

3. スポーツ・アウトドア

自転車のフレームや釣り具、キャンプ用具、登山用具などにもアルマイト処理が施されます。これにより、製品の耐久性が向上させ、過酷な屋外環境でも長期間使用することが可能です。装飾的な効果を高めるためにも使用されることがあります。

4. 航空機

航空機の部品にもアルマイト処理が使用されます。航空機エンジン部品やフレーム及び外装材などは、軽量で耐久性が高く、耐腐食性に優れたアルミニウムが有用です。アルマイト処理はこれらの部品を腐食から守り、極端な環境下でも長期間の使用を可能にします。

アルマイト処理の原理

アルマイト処理は、陽極にアルミニウムを配して硫酸電解液中で電気分解し、酸化被膜を形成する方法です。図1に示すように、電解液中に陽極と陰極を配置し、陽極側にアルミニウム製品を配置して電極から通電すると表面に酸化被膜が生成されます。

アルマイト処理の模式図

図1. アルマイト処理の模式図

この酸化被膜は図2および図3に示すように、中に細孔が形成された六角柱状のセルの集合体です。処理の方法によって特性が変化するため、用途に応じたアルマイト処理が求められます。

酸化被膜の模式図

図2. 酸化被膜の模式図(左) / セルの模式図(右)

アルマイト酸化被膜は、陽極と陰極の距離変動や配置による電流分布の違いにより、製品間の膜厚にバラツキが生じます。また、製品近くの拡散層のエリアでは電解液が動きにくく、温度分布が不均一のため、これもバラツキの原因です。複数の製品を一度に処理する場合には、膜厚が厚くなりやすい位置にダミーのアルミを吊るして電流を逃がすなどの工夫がなされます。

アルマイト処理の種類

アルマイト処理には、以下のようにいくつかの種類があります。以下に例示します。

1. 一般アルマイト処理

一般的な酸化被膜を成形する処理方法です。酸化被膜の厚さは、通常5~25μmの範囲です。複雑な構造をした小さな部品から大型の製品まで対応可能です。実用性が高く、耐腐食性と硬度の向上が期待できます。

2. 硬質アルマイト処理

一般的な酸化被膜よりも厚くし、さらに硬くする方法です。低温の電解質中で時間をかけて処理します。酸化被膜の厚さは20~70μmの範囲です。高い耐久性が求められる車のエンジン部や航空機などに使用されます。摺動性が求められる部材に使用されることが多いです。

3. 光沢アルマイト処理

アルミニウムの表面に化学研磨処理を行って光沢化する方法です。見た目が美しくなることから、装飾品や反射材に使用されます。見た目を良くするだけでなく、汚れが付きにくくなる効果も期待できます。

4. カラーアルマイト処理

酸化被膜の形成直後に染料液に浸して着色する処理方法です。染料の濃度や浸漬時間の条件や形成されている酸化被膜の厚さによって、着色をコントロールできます。軽量性とデザイン性が求められる水筒などに使われます。

参考文献
http://toeidenka.co.jp/alumite.html
http://toeidenka.co.jp/alumite.html
https://www.sanwa-p.co.jp/faq/detail673.php
https://www.toshin-alumite.jp/knowledge/alumite.html
https://koiketechno.co.jp/chiebukuro_blog/page/10

電極保持器

電極保持器とは

電極保持器

電極保持器とは、電極式レベルスイッチの電極を保持するための部品です。

電極式レベルスイッチとは、液体貯蔵用タンクの液体の高さを感知して電気接点を開閉する産業機器のことです。微弱電圧を掛けた電極棒をタンクに複数本指しておき、液体に接することで電極同士が導通してレベルを感知します。レベルスイッチの仕組み上、電極棒は接液しないとき、お互い絶縁されておかねばなりません。

電極保持器は電極を絶縁しつつ固定する部品です。電極保持器には端子が付いており、端子上で電極棒と配線を接続します。レベルスイッチで使用する電極棒の本数に合わせて、1~5極の電極棒に対応している製品が発売されています。

電極棒が長い場合は、自重や液体の粘性で電極同士が変形して接触してしまう恐れがあります。長い電極の接触防止部品として、電極同士を離して固定するセパレータも販売されています。

電極保持器の使用用途

電極保持器は様々な用途で使用されます。以下はその一例です。

1. オフィスビル

オフィスビルでは、屋上などに給水タンクが設置されています。電極保持器は給水タンクの液位を監視し、水の供給を管理します。液位が低下した場合には、自動的に水を補充するために、電極の信号によってポンプを作動させる仕組みです。

また、エアコンや冷却装置からの排水に対しても使用されることが多いです。電極式レベルスイッチを使用して排水タンクの液位を監視し、タンクが一定の容量に達したときに排水ポンプを作動させ、排水を行います。

2. 工場

工場では液体原料が保管されているタンクを使用することがあります。電極式レベルスイッチは原料の液位を監視し、必要に応じて供給を制御する場合が多いです。タンクが空になった場合には自動的に注入装置を作動させて、生産ラインの中断を防ぐ仕組みです。

3. 公共施設

市民プールなどでは、プールの水位を一定に保つ必要があります。電極式レベルスイッチによって、水位が低下した場合に自動的に水を補給し、適切な水位を維持させることが可能です。。給湯タンクの水位を監視する際にも使用されます。

4. その他

その他として、医療や農業用途に使用されることがあります。医療においては、医薬品や生体試料の保管に電極式レベルスイッチを使用し、液体の供給を管理します。農業では電極式レベルスイッチを使用して灌漑タンクの水位を監視し、必要に応じて灌漑を制御することが可能です。

電極保持器の原理

電極保持器は電極式レベルスイッチの構成要素の一つで、フロートレススイッチと電極棒を合わせて使用されます。電極をタンクに保持しつつ、フロートレススイッチから掛けられる微弱電圧を電極棒へ伝達する部品です。

電極式レベルスイッチは、ポンプの運転停止によってタンク液位を制御したり、タンク液位の警報用として使用されます。電極保持器自体は電極棒取付部と配線接続端子、タンクとの固定部品、カバーで構成されています。

電極棒取り付け部は一般的には雌ネジ、電極棒が雄ネジとなっており、ネジ穴を合わせることで接続します。配線接続端子は、配線端末を固定しつつ、フロートレススイッチからの微弱電圧を電極棒へと掛ける役割があります。タンクとの固定部品は金属タンクと電極を絶縁するために、一般に樹脂製です。

電極保持器の選び方

電極保持器を選ぶ際は、以下の要素を考慮することが重要です。

1. サイズ

タンクや容器のサイズに合わせて適切な電極保持器を選ぶ必要があります。電極の長さや保持器の全体的なサイズが、設置するタンクの寸法に適合していることを確認します。

2. 極数

電極保持器の極数は、液体レベルの検知に使用される電極の数を指す指標です。一般的に極数が多いほど、多くの信号を発信することが可能です。ただし、必要な極数は使用環境や用途によって異なるため、適切な極数を選択する必要があります。

3. 材質

電極保持器の材質は耐久性や耐腐食性、適合性に影響を与えます。一般的な材質としては、ステンレス鋼やプラスチック、セラミックなどがあります。使用環境や液体の性質に応じて適切な材質を選択します。

4. オプション

電極保持器には追加の機能やオプションが付属している場合があります。例えば、配線保護カバーや取付ネジなどがその一例です。使用環境や用途に応じて、これらの追加機能を検討し、適切な電極保持器を選択します。

参考文献
https://www.fa.omron.co.jp/guide/faq/detail/faq04834.html
https://esctlg.panasonic.biz/iportal/CatalogPageGroupSearch.do?method=catalogPageGroupSearchByCatalogCategory&type=clcsr&volumeID=PEWJ0001&catalogID=4887880000&catalogCategoryID=1870120000
https://www.fa.omron.co.jp/products/category/switches/level-switches/electrode-holders_electrodes/
https://www.keyence.co.jp/ss/products/process/levelsensor/type/electrode.jsp

光電センサー

光電センサーとは

光電センサーは光を検出するセンサーです。

光の性質を利用して、測定対象の表面形状や状態、構成物質などを検出します。非接触で表面の形状や構成物質を検出可能なため、出荷前検査や非破壊検査装置に適しています。長距離測定可能かつ応答時間が短いこと、分解能を高くできることも特徴です。検出方法としては、透過型や回帰反射型、拡散反射型などがあります。

光電センサーの使用用途

光電センサーは民生品から産業機器まで幅広い用途で使用されています。使用例は以下の通りです。

1. 食品や消費材などの生産工場での検品
2. ビルやマンションなどの自動ドアや改札
3. 鉄道や自動車など移動運搬機器の距離測定センサー
4. 厚み測定器や非破壊検査装置などの実験器具

光電センサーの原理

光電センサーは、発光素子が内蔵されている投光器、受光素子が内蔵されている受光器、アンプなどの増幅機器、出力端子などで構成されます。また、測定方法によって透過型、回帰反射型、拡散反射型に分類可能です。

1. 透過型

透過型は投光器と受光器の間に測定対象を置き、投光器から出された光を測定対象が遮ることで測定対象を検出します。検出対象が不透明であれば、色や構成物質などに関係なく測定可能です。

2. 回帰反射型

回帰反射型は投光器と受光器が一体になった投受光器と反射板の間に測定対象を置き、投受光器から発光した光を反射板から反射させて検出します。反射板は狭い場所でも設置できるので、限られたスペースに設置して測定することが可能です。

3. 拡散反射型

拡散反射型は投受光器から発光した光を測定対象で反射させて検出します。色の判別が可能なことが特徴です。

光電センサーのその他情報

1. 光電センサーとレーザーセンサーの違い

光電センサーとレーザーセンサーは、使用する光源の種類によって分けられます。光電センサーは一般的にLED光源を使用し、レーザーセンサーはレーザ光を使用します。レーザ光はLED光に比べ指向性が良く、投光器から照射される光の拡散が小さくなります。そのため、小さな物体も検出することが可能です。また、エネルギーも高いため長距離でも減衰せずに投光することができます。

LED光は投光器から照射されると拡散や回り込みが発生するため小さな物体を検出できません。エネルギーも高くないため長距離での検出には不適です。また、隣の光電センサが近くに設置されている場合、拡散光による誤検出が起こる可能性もあります。そのため光電センサーあまり精度を必要としない場合に使用され、価格も安価です。レーザーセンサーは長距離の検出や小型物体検出など精度が必要な用途に用いられ、比較的高額な製品が多いです。

2. 光電センサーの使い方

光電センサーは安価で取り扱いが簡単なことから多くの設備に使用されていますが、使用方法を間違えるとトラブルの原因となります。

光電センサーのトラブルで多いものが、隣り合ったセンサーの相互干渉です。相互干渉は一方のセンサーの投光器から照射された光がもう一方のセンサーの受光器に入光してしまうことで起こります。光電センサーのLED光源は照射後に拡散していき、投光距離が長くなると拡散幅も大きくなります。

相互干渉を防ぐためには、設置距離を離したり、投光受光を交互に設置するほか、干渉防止フィルタや遮光板を取り付けることが効果的です。設置距離は一般的に動作距離の1.5から2倍を推奨しています。設置距離を近くしたい場合は干渉防止フィルタを検討します。干渉防止フィルタは各メーカーがセンサーに合わせて販売しています。

参考文献
https://www.fa.omron.co.jp/products/category/sensors/photoelectric-sensors/
https://www.keyence.co.jp/ss/products/sensor/sensorbasics/pe_info.jsp
https://ac-faq.industrial.panasonic.com/jp/faq_detail.html?id=11042
https://www.fa.omron.co.jp/product/special/knowledge/pes/whole_definition/good_usage.html

油圧プレス

油圧プレスとは

油圧プレス

油圧プレスは、油圧を動力源として薄い板金に圧力を加え、金型の形に加工する装置です。油圧モータによって、油圧シリンダに油が送られ、油圧シリンダ内のピストンによって、金型を上下にスライドさせることによってプレスします。油圧プレスの特徴としては、スライドの速度や動作時の圧力、ストロークが長いことがあります。一方で、油の漏れなどによって、落下事故などの危険性もあるので、使用する場合はそのリスクも考慮に入れる必要があります。

油圧プレスの使用用途

プレス機には作動方式により機械式やサーボモーター式などがあります。

油圧プレス機は生産速度が比較的遅いものの、幅広い材料に対応可能であり、プレスの速度、加速度、力、ストローク長などを精密に制御することができます。また、比較的小さい規模で大きな圧縮能力が得られます。このような特徴から小規模生産や絞り・曲げ加工などに向いています。

油圧プレスは、自動車や家電、電気機器の板金素材の加工で主に使用されます。プレスの種類としては、切断プレスや深絞りプレス、射出プレス、成形プレス、パンチングプレス、鍛造プレスなどに対応できます。選定の際には、プレスの圧力の大きさ、ストロークの長さ、プレスに対応している大きさ、安全面を考慮する必要があります。

油圧プレスの使用例を以下に示します。

  • 車の車体のプレス加工
  • 歯車の概形のプレス加工
  • 弁当やふろの浴槽の金属部分のプレス加工

油圧プレスの原理

油圧プレスはパスカルの原理を利用することで小さな力で大きな力を生み出すことができます。パスカルの原理とは「密閉容器内の流体は、容器形状に関係なく、ある一点に受けた単面積当たりの圧力をそのまま流体の他のすべての部位に伝える」というものです。例えば下図の場合、両側の圧力が釣り合うためF1/A1=F2/A2となり、F2=F1×A2/A1となります。つまり、面積比が大きいほどより大きな力を生み出すことができます。

油圧プレスの原理

図1. 油圧プレスの原理

また、テコの原理によりレバーの力点の力(f)を作用点により大きな力(F1)にして伝えることができます。この二つの原理を利用することで、人力でも非常に大きな力を生み出すことができます。

ここで注意しなければならないことは、両側の面積比を大きくするだけ生み出せる力も大きくなりますが、同時に動かせる長さ(ストローク)が短くなってしまうことです。ストロークは押し出した油量によって決まりますが、面積比が大きくなるほど押し出せる油量が少なくなるため、ストロークも短くなってしまいます。

油圧プレスの構造

原理の説明ではレバーによる手動方式を簡単に説明しましたが、実際に工業的に利用される油圧プレス機は非常に大きな力を精密に加える必要があるため、油圧ポンプを用いて油を押し出しています。

油圧プレスの動作原理を説明します。油圧プレスは、油圧ポンプ、油圧シリンダ、圧力制御弁、流量調整弁、方向切換弁、油圧タンク、プレス部分で構成されています。油圧タンクから、油圧ポンプと圧力制御弁、油圧シリンダが接続されています。油圧ポンプから伸びるパイプには圧力制御弁、流量調整弁、油圧シリンダにつながれています。

油圧プレスの構造

図2. 油圧プレスの構造

油圧プレス動作時は、油圧タンクから油圧ポンプによって油がパイプを通じて油圧シリンダに輸送します。その時は、圧力制御弁と流量調整弁によって、目標の圧力とストロークの速さになる様に、油の圧力と流量を調整します。その後、油圧シリンダが油によって押し出され、シリンダを動作させることによって、プレスをします。設定していた時間、プレスが完了した場合、油圧シリンダから油圧タンクに使用した油が送られます。

方向切換弁によりシリンダによる圧縮、停止、シリンダの戻しを制御することが可能である。