油圧プレス

油圧プレスとは

油圧プレス

油圧プレスは、油圧を動力源として薄い板金に圧力を加え、金型の形に加工する装置です。油圧モータによって、油圧シリンダに油が送られ、油圧シリンダ内のピストンによって、金型を上下にスライドさせることによってプレスします。油圧プレスの特徴としては、スライドの速度や動作時の圧力、ストロークが長いことがあります。一方で、油の漏れなどによって、落下事故などの危険性もあるので、使用する場合はそのリスクも考慮に入れる必要があります。

油圧プレスの使用用途

プレス機には作動方式により機械式やサーボモーター式などがあります。

油圧プレス機は生産速度が比較的遅いものの、幅広い材料に対応可能であり、プレスの速度、加速度、力、ストローク長などを精密に制御することができます。また、比較的小さい規模で大きな圧縮能力が得られます。このような特徴から小規模生産や絞り・曲げ加工などに向いています。

油圧プレスは、自動車や家電、電気機器の板金素材の加工で主に使用されます。プレスの種類としては、切断プレスや深絞りプレス、射出プレス、成形プレス、パンチングプレス、鍛造プレスなどに対応できます。選定の際には、プレスの圧力の大きさ、ストロークの長さ、プレスに対応している大きさ、安全面を考慮する必要があります。

油圧プレスの使用例を以下に示します。

  • 車の車体のプレス加工
  • 歯車の概形のプレス加工
  • 弁当やふろの浴槽の金属部分のプレス加工

油圧プレスの原理

油圧プレスはパスカルの原理を利用することで小さな力で大きな力を生み出すことができます。パスカルの原理とは「密閉容器内の流体は、容器形状に関係なく、ある一点に受けた単面積当たりの圧力をそのまま流体の他のすべての部位に伝える」というものです。例えば下図の場合、両側の圧力が釣り合うためF1/A1=F2/A2となり、F2=F1×A2/A1となります。つまり、面積比が大きいほどより大きな力を生み出すことができます。

油圧プレスの原理

図1. 油圧プレスの原理

また、テコの原理によりレバーの力点の力(f)を作用点により大きな力(F1)にして伝えることができます。この二つの原理を利用することで、人力でも非常に大きな力を生み出すことができます。

ここで注意しなければならないことは、両側の面積比を大きくするだけ生み出せる力も大きくなりますが、同時に動かせる長さ(ストローク)が短くなってしまうことです。ストロークは押し出した油量によって決まりますが、面積比が大きくなるほど押し出せる油量が少なくなるため、ストロークも短くなってしまいます。

油圧プレスの構造

原理の説明ではレバーによる手動方式を簡単に説明しましたが、実際に工業的に利用される油圧プレス機は非常に大きな力を精密に加える必要があるため、油圧ポンプを用いて油を押し出しています。

油圧プレスの動作原理を説明します。油圧プレスは、油圧ポンプ、油圧シリンダ、圧力制御弁、流量調整弁、方向切換弁、油圧タンク、プレス部分で構成されています。油圧タンクから、油圧ポンプと圧力制御弁、油圧シリンダが接続されています。油圧ポンプから伸びるパイプには圧力制御弁、流量調整弁、油圧シリンダにつながれています。

油圧プレスの構造

図2. 油圧プレスの構造

油圧プレス動作時は、油圧タンクから油圧ポンプによって油がパイプを通じて油圧シリンダに輸送します。その時は、圧力制御弁と流量調整弁によって、目標の圧力とストロークの速さになる様に、油の圧力と流量を調整します。その後、油圧シリンダが油によって押し出され、シリンダを動作させることによって、プレスをします。設定していた時間、プレスが完了した場合、油圧シリンダから油圧タンクに使用した油が送られます。

方向切換弁によりシリンダによる圧縮、停止、シリンダの戻しを制御することが可能である。

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