フラクサーのメーカー9社・11製品を一覧でご紹介します。まずは使用用途や原理についてご説明します。
目次
フラクサーとは、自動はんだ付け装置がはんだ付けを行う際に、はんだ付け促進剤であるフラックスを塗布するための装置です。
電子部品や基板の製造においてはんだ付けは品質を左右する重要な操作です。近年では、人的コストの削減と効率化のために自動はんだ付け装置が導入されています。
フラクサーを使用することで、はんだ付けしたい部位の異物や酸化皮膜を取り除き、表面張力を低下させることで薄く均一なはんだ付けを行うことができます。
フラクサーは自動はんだ付け装置と組み合わせて使用されます。
一般に、はんだにはフラックスが含まれていますが、はんだの融点に近い温度で蒸発してしまいます。自動はんだ付け装置のはんだ槽は、常に高温に保たれているためフラックス入りのはんだを使用することができません。
そのためフラックスフリーのはんだを用い、フラクサーによってフラックスを別途塗布するということが行われます。このように自動はんだ付け装置のはんだ付け品質を向上させる目的で使用されています。
はんだを熱し融解すると、自身の表面張力により球状になろうとします。このままではうまくはんだ付けすることができません。
したがって、高品質なはんだ付けを行うには、はんだを平たく塗布できるかが鍵になります。このときフラックスを使用すると、基板表面の異物や酸化皮膜を除去することで表面張力を低下させ、融解したはんだを薄くひろげことができます。フラックスは、松脂(ロジン)を主成分とする液剤で、塩化亜鉛や塩化アンモニウムなどが添加されています。
松脂はアビエチン酸などの有機酸を多く含み、はんだの融点に近い170℃付近で活性化し銅酸化物を除去する作用を持ちます。
フラクサーを用いて、フラックスを塗布する際には発泡方式とスプレー方式の二種類があります。
発泡素子を用いて泡立てたフラックスに基板を浸すことで塗布します。十分量のフラックスを塗布することができる反面、大量のフラックスを使用することと、泡立てる際に溶剤が揮発してしまうためコストがかかるというデメリットがあります。
霧状に噴霧することで薄く均一にフラックスを塗布することができます。発泡方式に対して、必要なときに必要な量だけフラックスを使用するのでコストと、簡便性から多くのフレクサーで採用されています。
スプレーフラクサーの塗布量は、各メーカー毎の現場で培ったノウハウを基に設計されています。
電子部品を実装した制御基板の部品面はリフロー面と呼ばれて、メタルマスクとクリームはんだによって、その半田量の管理が比較的容易に管理できます。
しかしその反対に、部品実装の裏面に当たる半田フロー面は事情が異なります。
半田フロー面に関しては、半田槽と呼ばれる半田が噴流している浴槽を通す際に、その半田の付き具合を向上させるために、必ずフロー半田工程の前にプリフラックスを塗布します。
ですがその塗布方法は、取り扱いの簡単で無駄の少ないスプレー方式を使用する場合が多く、その塗布量は、基板のフロー半田品質に大きな影響を与えています。
スプレーフラクサーの塗布量に関する最新技術を紹介します。スプレーフラクサーの工程時間は30秒程度です。
フラックスを塗布するフラクサー工程には、スプレー方式の他にもフラックス槽の発砲管に圧縮空気を入れて、フラックス気泡を作り、その気泡を基板の裏面に塗布する発砲方式もあります。
しかしスプレー方式の方が塗布量管理が出来て品質も良い為、殆どのメーカーは、スプレー方式を採用しています。
そんな中でも、フラックス塗布の品質を向上させるために必要な条件は、ムラをなくすこと、塗布量のリニアリティ(管理しやすさ)、繰り返し精度の安定性が挙げられます。
これらの条件を満足させるために、日夜製造現場では、各フラクサーを実施する基板をゾーン分けして、全ての条件をクリアできるように、現品ごとに条件出しをしているのが現状です。
この条件出しは負担が大きな作業であり、この分野における技術革新の課題となっています。
フラクサーの1つであるスプレー方式のフラクサーは、ノズルとスプレーを利用した独特の構造をしています。
そもそもフラクサーとは、フラックスと呼ばれる半田品質を向上させるための半田促進剤を塗布する装置になります。
その代表と言えるスプレー方式のフラクサー構造は、缶からフラックスをノズルで吸い上げて霧状のフラックスをスプレーで直接噴出します。
その後、フラックスを吸引するノズルが基板の横方向に稼動し,搬送コンベアの動作と同調して、全フロー面にフラックス塗布を行います。
この方式の特徴は、コスト高で管理が煩雑( ツール清掃が必要)、基板全面に均一塗布が可能、基板面への膜厚コントロールが可能である点です。
品質面ではスプレー方式のフラクサーが最も優れています。
参考文献
https://www.adogawa.co.jp/cat_mounting/5669.htm
http://nideon.sakura.ne.jp/wp-content/uploads/2013/04/%E3%81%AF%E3%82%93%E3%81%A0%E3%81%AE%E7%A7%91%E5%AD%A6%E5%85%A8%E6%96%87.pdf
https://global.pioneer/en/manufacturing/crdl/rd/pdf/18-2-4.pdf
https://www.tamura-ss.co.jp/jp/products/electronic_chemicals/category/fa_systems/spray_fluxer/index.html
社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
MONBIT-i TB-i444Sは特許取得の新工法フラクサーで、スルーホール内部でも確実にフラックス塗布が可能です。
接触式塗布なのでラックスの飛散がなく、治具の汚れの心配や、作業者がマスクをする必要がありません。
新開発の専用ポンプを採用しているので、加圧タンク不要で高精度の吐出量コントロールが可能です。
メンテナンスは短時間で行える上、先端ビットとポンプチューブの交換だけなので非常に経済的に運用できます。
MXL-350VSは、従来のモデルに比べてリーズナブルな価格で購入することができるスイング式のスプレーフラクサーです。
基本性能をブラッシュアップすることにより、フラックスの塗着効率が向上しています。
運転中でもフラックスの供給が可能なサブタンクを搭載しているので、フラックス交換にわざわざ装置を停止させる必要はありません。
静音設計を採用していることにより、気になる作動音を低減させることに成功しています。
SSF2-400は鉛フリーのはんだ付けに対応したスプレーフラクサーで、最適化された特殊ノズルを採用することで塗布効率の飛躍的な向上を実現しています。
自動洗浄機能をノズルと配管に採用しているのでメンテナンスの手間を大幅に低減しています。
フィルター汚れ・フラックス消費量・塗布量などをタッチパネル上にわかりやすく表示できるので、装置や作業の状態を即座に把握することができます。
定量ポンプを採用し、安定的な流量管理をすることができます。
SMシリーズは、従来のものよりもコストのかからないスプレーフラクサーです。
コンプレッサーなどのエアー設備が必要ないエアーレス方式を採用しているので、非常にコンパクトで設置のための空間コストも削減することができます。
オートセンサーを内蔵しており、基板を自動的に検出して効率的に作業を行うことができます。
100 VのAC電源だけで、簡単に自動はんだ付け装置に組み込むことが可能で非常に扱いやすい製品です。