木工用ドリル

木工用ドリルとは

木工用ドリル

木工用ドリルとは、木材にネジ穴やダボ穴をあけたり、貫通穴をあけたりする際に使用するものです。

木材を組み合わせる際には、釘が使用されますが、釘では衝撃で抜けたり、強度不足になりがちです。そのようなときには、木材に穴を開けてネジとナットで木材同士を接合すれば、より高い強度が得られます。

木工用ドリルには、手で持って使用できるハンディタイプと工場で作業台に据え付けて使用する据え付けタイプがあります。どちらも電動ですが、現場加工する際にはハンディタイプ、工場で加工するなら据え付けタイプがおすすめです。

また、木工用ドリルに使用するドリルビットは、木工用を選ぶことが大切です。穴を開けた際に木くずが多く出るため、木くずを穴の外へ排出しやすく加工されています。

木工用ドリルの使用用途

木工用ドリルは、木材で家を建てたり、家具やDIYで木製の小物を作ったりする際に使用されています。据え付けタイプは高出力ですが、動かせないので工場で大掛かりな加工を行う場合に使用されることが多いです。

ドリルビットと呼ばれる木に穴をあけるための金属製ドリルが固定されており、垂直方向からドリルビットを下すため、まっすぐ正確に穴をあけられます。

ハンディタイプは、工事現場で移動しながら作業したり、あらかた組み上がった家具を加工したりする際に役立ちます。充電バッテリーで稼働するので、予備のバッテリーがあると作業効率が向上します。電動の木工用ドリル以外にも、手動のハンドドリルがありますが、手の力で穴を開けるため、小さな穴しか飽きません。

主に精密加工を行ったり、ダボ穴を掘ったりする際に使用されます。ダボとは、木材同士をつなぎ合わせる際に使われるパーツのことです。接合面の両方に穴を掘り、ダボを入れて木材同士をつなぎ合わせます。そのほか、ダボは棚受けとしても用いられています。

木工用ドリルの原理

木工用ドリルは電気の力でモーターを回して、その回転力で木を削ります。回転数の多さやトルクが大きい程、直径が大きいものや長いドリルビットが使用できるので、より大きく深い穴を開けることが可能です。

木に開ける穴のサイズはドリルビットによって変更可能で、開けたい穴の径に合ったドリルビットに交換する必要があります。木工用ドリルと鉄工用ドリルの違いは、ドリルビットの形状です。

木工用ドリルのドリルビットの形状は、先端に先ネジと言われる部分があり、まず先ネジを木材に打ち込むことにより、穴を開けたい位置に固定できます。このため、正確に穴を開けることが可能です。

木工用ドリルの種類

1. 据え付け型

卓上ボール盤と呼ばれる機械を指します。金属加工で使われることが多いですが、木工用ドリルとしても使用可能です。機械の横にある手動ハンドルを動かし、真下にドリルを動かせるため、正確に操作することができます。

2. ハンディタイプ

木工として使用するのであれば、回転ドリルがおすすめです。中には振動ドリルや打撃モード付のドリルもありますが、木は簡単に穴が開くので、回転ドリルの方が綺麗に仕上がります。

また、ハンディタイプには手動で穴を開けるタイプもあります。穴の数が多い場合や、広い径、深く開けたい場合には適していませんが、精密さを求められる細かい作業には手動タイプの方が適しています。

木工用ドリルのその他情報

1. ドリルビットの種類

木工用のドリルビットには、さまざまな種類があります。厚みのある木材を貫通させるときに使用する錐、コンパネなど比較的薄い木材に穴を開けるホールソー、割れやすい木材にビスを打つ時に下穴を開ける下穴キリ、一定の深さまでしか掘れないようにストッパーがついているダボ穴用キリなどです。

それぞれ径やビット自体の長さ、シャンクと呼ばれる差込口の種類があります。ホームセンターでは、一般的によく使用される種類がセット販売されている場合も多いです。

2. 木工用ドリルを使用する際の注意点

木材に穴をあける際は、木材が動かないようにクランプ等でしっかりと固定することが大切です。固定できていないと、ドリルビットと共に木材が回転してしまいます。

必ず安定した場所でしっかり固定してから、作業するようにしましょう。

参考文献
https://www.bildy.jp/mag/impact_driver-wood-drilling/

導電性テープ

導電性テープとは金属テープ

導電性テープとは、粘着層に導電性をもつ接着テープです。

エンボス加工された金属箔の上に粘着層を形成し粘着層表面に金属部分が露出している形のもの、金属箔の上に金属粒子を含有する粘着層が配されたものが基本形状です。さらには、金属箔の上に絶縁膜が配されて絶縁が確保されているもの、金属箔の代わりに導電性布を配したもの、導電性布が金属粒子を含有する粘着層で包まれた構造のものもあります。

導電性テープの使用用途

導電性テープは、電子機器の帯電防止などに利用されています。電子機器においては、静電気による破損や電磁波によるノイズの発生、誤作動が大きな問題です。そこで、導電性テープを貼って、静電気を逃して除去したり、帯電防止したりする電磁波をシールドするようにしています。

なお、実際に使用するときは除電のためにテープをアースに接続するように貼り付ける必要があります。また、金属箔として銅を用いている導電性テープは熱伝導性が高くなるのが特徴です。

そのため、電子機器や装置の放熱の補助パーツとしても使用されています。導電性布を用いた導電性テープはテープのフレキシビリティーが高く、凹凸がある部分にも密着して貼ることができます。

導電性テープの原理

導電性テープには、エンボス加工された金属箔の上に粘着層を形成し、粘着層表面に金属部分が露出している形のもの、金属箔の上に金属粒子を含有する粘着層が配されたものがあります。このとき、金属箔としてはアルミニウムなどの金属が使用されています。このため、接着した箇所にはエンボス加工の金属箔の一部や金属粒子が接することになり、接した部分から静電気を逃して帯電防止する、電磁波をシールドすることが可能です。

さらには、金属箔の代わりに導電性布を配したものや導電性布が金属粒子を含有する粘着層で包まれた構造のものもあります。なお、金属などの導電性粒子を含有するポリエステルなどの高分子フィルムを導電性布の代わりに使用することも可能です。

これらの構造の導電性テープにおいても、金属箔や導電性布、粘着層内の導電性粒子が接着した箇所から逃し、帯電を防止する電磁波をシールドすることが可能です。幅広い周波数に対して高いシールド効果をもつ導電性テープですが、周波数が小さいほどシールド効果が下がる特性をもちます。

導電性テープの種類

導電性テープの中でも、導電性カーボンテープと透明導電性テープは、電子機器などの帯電防止以外の特殊な用途に使用されています。

1. 導電性カーボンテープ

導電性カーボンテープは、金属箔としては主にアルミニウムを使用し、カーボンパウダーを導電性フィラーとして含有した粘着層を形成した導電性テープです。カーボンパウダーを使用しているため、テープは黒色を呈します。

導電性カーボンテープは金属箔の両面に粘着層を持つ両面テープとして使用されること多く、走査型電子顕微鏡  (SEM) の観察時などに使用されています。ガスがほとんど発生しないため、分析用途に適しているのが特徴です。

2. 透明導電性テープ

透明タイプの導電性テープの中には、クリーンルーム内で使用されるものもあります。クリーンルーム内では、静電気対策を施していない製品は使用できません。クリーンルームにとって大敵であるホコリや粉塵を寄せ集めてしまうためです。

具体的な例としては、基材であるポリブチレンテレフタレート樹脂 (PET) にポリ導電層を形成し、さらにその外側にアクリル系の粘着剤を形成してなるものが知られています。このような透明導電性テープは、優れた導電性と透明性をもつため、静電気に敏感な部品の梱包等に使用する粘着力の強い電子用テープや剥離帯電を抑えた静電気対策仕様の粘着テープなどとしても好適です。

また、プラズマやCVD工程におけるCMOS、MEMS、パワーデバイス、ガラスウエハの静電チャック用としても使用されています。

導電性テープのその他情報

導電性テープのはんだ付け

銅箔テープやアルミ箔テープなどの金属製の導電性テープは、他の部材との電気的接続をとるために、金属箔面にはんだ付け可能なものが展開されています。導電性テープは粘着剤を備えているので対象物への固定が容易であり、はんだ付けを利用した配線作業に適しています。

参考文献
https://www.monotaro.com/s/pages/productinfo/douden_type/
https://www.teraokatape.co.jp/
https://tape-omakase-navi.com/trouble_list_5_2
https://axel.as-1.co.jp/asone/g/NC62-8143-74/
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/223004971446/

パイロットランプ

パイロットランプとは

パイロットランプ

パイロットランプ (英: pilot lamp) とは、電気機器の作動状態を示す小型ランプのことです。

「確認表示灯」とも呼ばれています。スイッチの連用枠に取り付けて使用します。取り付けると暗所でのスイッチの位置を探すための電灯になり、機器の状況を確認可能です。従来の商用電源を直接入力する機器ではネオン管が用いられていましたが、近年では一般的に発光ダイオード (LED) を用いています。

点灯の種類は同時点灯、常時点灯、異時点灯に分類されます。これらは通電中に感電の危険を知らせたり、節電などの注意を利用者に促すために利用されています。

パイロットランプの使用用途

パイロットスイッチは電気機器の動作状況を知らせるために、さまざまな場所で使用されています。一般家庭では新築やリフォームの場合に、ランプの付いたパイロットスイッチが多いです。消し忘れ防止としてコンセントタップにも使用されています。公共施設や商業施設にも多くパイロットスイッチが用いられます。緊急時や夜間、消灯時などの暗いときに、配電盤などの電気系統の管理に使用可能です。

通電中には感電の危険性があるため、動作中には取り扱いに注意が必要だと使用者に伝えるために、パイロットランプは発達しました。具体的には、通電中の電気アイロンの発熱部分に触ると火傷し、放置しても火災の可能性があります。事故はなくても、通電により電力を消費した状態で、コンセントを抜かずに放置すると、電力が無駄になるため、節電の点でもパイロットランプは重要です。

パイロットランプの原理

パイロットランプは多種多様な電灯(発光体)に使用されています。

  • ネオン管
    球切れの心配がなく、また商用電源に抵抗を挟むなど、簡単な回路で入力できます。ただし電圧が高くないと点灯できません。
  • 電球(白熱電球
    電球自体が電力を消費するため、球切れの心配があります。フィラメントが切れている場合に、球切れの判断がしづらいです。機器動作に合わせて利用すれば、動作電圧などの制限はありません。
  • LED
    電流方向の指定があり、高熱に弱いです。電圧が低いため、機器によっては専用の電源回路を必要とします。ただし安価で手に入り、消費電力が少なく、寿命が長いため、あらゆる機器に利用可能です。また少電力で点灯可能なため、主に乾電池やバッテリーなどを用いる電力的制約が厳しい携帯機器などに使われています。

パイロットランプの種類

パイロットランプの点灯・点滅方法には3種類あります。「常時点灯」・「同時点滅」・「異時点滅」の3つです。

  • 常時点灯
    スイッチ自体の位置を確認するために使用されます。
    スイッチがON・OFFどちらの状態でも常にパイロットランプが光る点灯方法です。
  • 同時点滅
    スイッチがONの場合にパイロットランプが点灯し、スイッチがOFFの場合ではパイロットランプが消灯します。対象物の点灯に応じて光ります。機器のON・OFF状況を確認するために使用可能です。
  • 異時点滅
    スイッチがONの場合はパイロットランプが消灯し、スイッチがOFFの場合ではパイロットランプが点灯します。周囲が暗い時に、スイッチの位置確認のために使用されます。

パイロットランプの構造

同時点滅はスイッチがONになると、パイロットランプが点灯する方式であり、パイロットランプはスイッチに対応する負荷です。パイロットランプにスイッチからの送りを接続して、さらに負荷に接続します。

常時点灯はスイッチのONやOFFに関係なく、常時パイロットランプが点灯しています。したがって直接パイロットランプに、電源を接続するだけです。パイロットランプに電源が接続されて、スイッチに電源を渡します。

機器の電源スイッチに隣接して設置され、電源スイッチと一体化したスイッチも多いです。機器に通電している際に、一体化して点灯するスイッチは、パイロットスイッチと呼ばれています。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/vona2/el_control/E1100000000/E1118000000/E1118010000/
https://koujishi.com/glossary/pilotlamp/

薄手ゴム手袋

薄手ゴム手袋とは

薄手ゴム手袋

薄手ゴム手袋とは、指先を使う細かい作業に適した手袋です。

天然ゴム手袋と合成ゴム手袋に分けられ、使用用途によって使い分ける必要があります。使い捨てタイプと繰り返し使うタイプの2種類がありますが、薄手ゴム手袋では使い捨てタイプが多く販売されています。

薄手ゴム手袋の使用用途

薄手ゴム手袋は、清掃、水仕事、園芸、建設現場、食品加工、医療現場など幅広く使用されています。汚れや手荒れ、けがから手を保護する目的はもちろん、防寒目的でも使用される場合が多いです。

柔軟性やフィット感に優れているため、指先を使用する細かい作業に適しています。丈夫なうえ長時間使用可能なので、医療現場では手術や検査・検診などの際に重宝されています。

なお、医療現場で薄手ゴム手袋を使用する主な目的は以下の3つです。

  • 血液や体液、注射針やメスなどを介した感染・汚染リスクから医療従事者を守る
  • 医療従事者の手指を介して患者さんに汚染物質が及ぶのを防ぐ
  • 医療現場の施設や物品が汚染されるリスクを減らす

また、手術に対して使われる際は特に、衛生面に注意が必要です。薄手ゴム手袋には、必ず滅菌処理が施されています。

薄手ゴム手袋の原理

薄手ゴム手袋には、ゴムの耐久性、弾力性、耐熱性を高めるため、硫黄が使われています。硫黄が加わっていないと、劣化が早く、すぐに引きちぎれてしまう可能性があります。

しかし、加硫 (硫黄をゴムに加える) には時間がかかります。そこで、生産効率を高めるために加硫促進剤が使われます。また、劣化を防止するためには老化防止剤が有用です。

加硫促進剤の代表的な化合物は、チラウム系化合物、ジチオカーバメイト系化合物、メルカプト系化合物です。老化防止剤の代表的な化合物として、N-イソプロピル-N-フェニル-p-フェニレンジアミンが挙げられます。

薄手ゴム手袋の種類

薄手ゴム手袋は、天然ゴム手袋 と合成ゴム手袋に分類されます。

1. 天然ゴム手袋

天然ゴムは、パラゴムノキの樹液 (ラテックス) から製造されます。パラゴムノキの栽培地域の9割はアジアです。破壊強度、耐久性、低発熱性に優れているため、トラックやバス、飛行機などの大型タイヤは100%天然ゴムで作られています。

ラテックスに含まれるゴム成分は30〜40%と言われています。基本骨格はイソプレンC5H8がシス結合したポリイソプレンです。シス結合が、破壊強度、耐久性を高めます。合成ゴムでは100%シス結合のポリイソプレンを製造することが難しいため、天然ゴムに比べて破壊強度、耐久性が劣ります。

天然ゴム手袋は、油や薬品に対しては使えない点と、樹液であるラテックスがアレルギー反応を起こしやすいのが欠点です。それに対して、合成ゴム手袋は石油を原料としているため、油や薬品に対して使用可能です。また、ラテックスアレルギーも引き起こしません。

2. 合成ゴム手袋

合成ゴムはニトリルゴムとも呼ばれ、石油が原料であるため、油や薬品に対して使われます。ラテックスを含んでおらず、ラテックスアレルギーを起こすことはありません。しかし、遅発型アレルギー反応であるアレルギー性接触性皮膚炎を発症する可能性があります。

また、天然ゴム手袋が安価であるのに対し、合成ゴム手袋の費用はやや高めです。

薄手ゴム手袋のその他情報

1. ラテックスアレルギー

ラテックスアレルギーは、天然ゴム特有のアレルギー反応です。即時型アレルギーのため、皮膚や粘膜が手袋に接触したり、手袋に付いているパウダーを吸い込んだりしてから、2時間以内に症状が出現します。主な症状は、接触部位及び全身の蕁麻疹、咳や喘鳴 (ゼーゼーヒューヒュー) などの呼吸器症状、アナフィラキシーショックなどです。

原因物質は、パラゴムノキの樹液 (ラテックス) に含まれるタンパク質成分です。天然ゴムに1.5%程度含まれていると言われています。

また、フルーツや野菜にも上記のタンパク質と似た成分が含まれていることがわかっています。特にクリ、バナナ、アボカド、キウイフルーツには注意する必要があります (ラテックスフルーツ症候群) 。天然ゴム手袋を使用する前に、「果物や野菜を食べたときに口の中の違和感やピリピリ感を経験したことがあるかどうか」の事前確認が重要です。

アトピー体質などアレルギー反応を生じやすい人は、元々皮膚のバリア機能が弱いため、ラテックスアレルギーを発症しやすいと言われています。体質によっても注意が必要です。

2. アレルギー性接触皮膚炎

アレルギー性接触皮膚炎は、遅発性のアレルギー反応です。接触してから数時間〜数日間後に発症します。症状は、痒みを伴う湿疹、紅斑、浮腫、漿液性丘疹、乾燥、亀裂、手荒れなどです。

原因物質は、加硫促進剤と老化防止剤と言われています。そのため、天然ゴムでも合成ゴムでも発症する可能性があります。治療は、ステロイド外用剤、抗ヒスタミン薬、ステロイド内服薬です。

発症予防は、「ゴム手袋の下に綿の手袋をする」「短時間使用にとどめる」「加硫促進剤フリーゴム手袋を使う」「パッチテストを行ってから使用する」などです。

天然ゴム手袋

天然ゴム手袋とは

天然ゴム手袋

天然ゴム手袋とは、ゴムの木の樹液から作られる天然ゴムを素材とした手袋です。

機械的強度の高い天然ゴムからできているため、引き裂きと引っ掻きに強く、伸縮性に優れています。また、滑りにくく、手によくフィットします。

厚手の手袋と薄手の手袋があり、作業の種類によって使い分けられます。天然ゴムにはゴムの木由来のラテックスが含まれているため、人によってはアレルギーを発症することがある点に注意が必要です。また、油や有機溶剤への耐性が低く、これらを取り扱う作業には適していません。

天然ゴム手袋の使用用途

天然ゴム手袋はフィットしやすいため、細かな作業に向いています。家庭用の一般的な手袋として用いられるほか、清掃作業でも用いることがあります。価格が比較的安く、使い捨ての薄手の手袋にも使用されることが多いです。

天然ゴム手袋は、手袋に由来する汚染のリスクが少ないことから、製造業における部品の検査、品質検査、仕分け作業にも多く用いられます。また、外気温の影響を受けにくいことから、室外の作業が多い建設業や土木業、漁業、水産、農業、園芸、林業、畜産業の分野でも天然ゴム手袋を用います。

天然ゴムが低い温度でも柔軟である性質を活かして、寒冷地や冷凍庫内での作業にも重宝されています。

天然ゴム手袋の原理

天然ゴム手袋の素材である天然ゴムの主な成分は、イソプロピレンゴムです。イソプロピレンゴムは、滑りにくく伸縮性に優れる性質をもっているため、天然ゴム手袋もグリップ性に優れ、手にフィットしやすい特徴があります。

天然ゴム手袋は水やアルコール、塩基性水溶液、ABS洗剤などに対する耐性が高いです。一方、ガソリンや灯油、重油、軽油などの油に対する耐性は低いため、油を取り扱うことの多い機械や自動車関連の作業には向いていません。

また、ベンゼントルエンなどの芳香族系化合物、テトラヒドロフランなどのエーテル系化合物、ジクロロメタンのような塩素系化合物への耐性が無いため、基本的に有機溶媒を扱う作業には向いていません。

天然ゴム手袋のその他情報

1. 天然ゴム手袋の製造工程

天然ゴムは、主に液状のゴムであるラテックス、シート状にして乾燥させたRSS (Ribbed Smoked Sheets)、ゴムを細かく粉砕しプレス成型したTSR (Technically Specified Rubber) の3つの形態に加工されますが、天然ゴム手袋に用いられるのはラテックスです。

パラゴムノキから採取したラテックスが凝固しないようにアンモニアを添加し、メッシュでゴミをろ過したアンモニアラテックス (ゴム分濃度25~35%程度) を遠心分離し、不純物を取り除いて濃縮したものを濃縮ラテックス (ゴム分濃度60%程度) と呼びます。

この濃縮ラテックスに配合剤として架橋剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、老化防止剤などを混合し、手の形をした型を浸漬させて乾燥させることで、ゴム手袋が成型されます。

2. 天然ゴム手袋のアレルギー症状

天然ゴム手袋は原料がゴムの木の樹液であるため、イソプロピレンゴム以外にも様々な成分が含まれています。人によってはラテックスアレルギーを発症する可能性があり、場合によっては重篤なアレルギー反応を発症することも珍しくありません。そのため、ゴム手袋を使用しているときに違和感がある場合は、直ちに使用を中止します。

特に医療用手袋については、天然ゴムのI型アレルギーのリスクを回避するために、合成ゴム手袋への置き換えが進められています。手術用手袋はクロロプレンゴム手袋などに、検査・検診用手袋はニトリルブタジエン手袋に置き換えられています。

3. 天然ゴム手袋の品質

天然ゴム手袋は天然素材由来ゆえに、不純物としてタンパク質や樹脂、糖類、ゴムの塊などが含まれている可能性があるため、使用前の確認が必要です。また、天然ゴム産国の経済や気候の状況によって、物性にばらつきが出ることも多く、価格や入手性が変化しやすいです。

参考文献
https://www.towaco.co.jp/product/guidance/
https://www.monotaro.com/s/pages/productinfo/workglove_material/
https://ec.midori-anzen.com/shop/c/cHAEADA/
https://www.askul.co.jp/f/special/product_column/rubbergloves/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu/90/4/90_210/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu/88/9/88_369/_pdf

六角棒レンチ

六角棒レンチとは

六角棒レンチ (英語: Hexagon Wrench, Hexagonal Wrench, Allen Key Wrench) とは、六角穴付きなどボルト締め付け用工具の差し込み穴が六角穴形状のねじ類を、締め付け、緩めるための工具です。

レンチ全体もしくは先端形状が正六角形になっていて、短柄と長柄の長さが異なるL字形棒状のレンチです。6角棒レンチや六角棒スパナ、ヘキサゴンレンチ、ヘックスなども同義語として使用されています。

六角棒レンチの規格は、下記のとおりです。

  • JIS B4648 六角棒スパナ
  • ISO 2936 Assembly Tools for Screws and Nuts – Hexagon Socket Screw Keys
  • ASME B18.3 Socket Cap, Shoulder, and Set Screws, Hex and Spline Keys

六角棒レンチの使用用途

六角棒レンチは、六角穴付きなどボルト締め付け用工具の差し込み穴が六角穴形状の、ボルトやねじ類を締結するために使用します。具体的に使用するボルトやねじ類は下記のとおりです。

  • 六角穴付きボルト (六角穴付ボタンボルト、六角穴付皿ボルトなど)
  • セットスクリュー
  • 六角穴付きプラグ

ボルトやねじ類の締め付け用工具の差し込み穴形状は、プラスやマイナス、プラスマイナスなどがありますが、主に六角穴は他の穴形状と比較して、より大きな締付トルクを必要とする締結部品に使用されます。

六角棒レンチの原理

六角棒レンチの原理はシンプルで、六角棒レンチの先端を六角穴付きボルトなどの六角穴に差し込み、回して締め付け・緩めを行います。一般的に六角棒レンチは、短柄と長柄の長さが異なるL字形棒状のため、それぞれどちらの柄を差し込むかで、用法が異なります。

ボルトまでの距離が遠い場合や締結にさほどトルクを必要としない場合は、長柄側の先端を差し込み、短柄側を手で回します。

一方で、ボルトまでの距離が短い場合や締結にある程度大きなトルクを必要とする場合は、短柄側の先端を差し込み、長柄側を手で回します。

六角棒レンチの種類

六角棒レンチの種類は、サイズ (六角部分の二面幅寸法と短柄・長柄の長さ) や先端形状、材質などで分類されます。

1. サイズによる分類

六角棒レンチ_図1

図1. 六角棒レンチのサイズ例

六角棒レンチのサイズは、ミリサイズの場合JIS B4648、インチサイズの場合ASME B18.3の規格に規定されています。ただし、販売されているレンチは、必ずしも規格通りの長さではないものもあります。

JIS B4648のミリサイズの場合に、二面幅寸法は0.7~46 mmとなっています。短柄と長柄長さは、二面幅寸法によって決まります。

サイズの例は、図1を参照してください。上記長柄寸法は標準型の場合を示し、他に長柄寸法はM形とL形の2種類があります。

また、ASME規格品の場合は、インチサイズになっていて、ミリサイズと同様に六角の二面幅寸法が呼びになります。サイズは1/16~3インチまで規定されています。

2. 先端形状による分類

六角棒レンチ_図2

図2. 六角棒レンチの先端形状

六角棒レンチの先端形状は、標準型の単純な六角形と角の面取りで球形に近い形状のボールポイント形があります。それぞれの先端形状は、図2を参照してください。

ボールポイント形は、六角棒レンチをボルトなどの六角穴に対して斜めに差し込むことが可能です。ボルトなどに対して、真っ直ぐ垂直に差し込みができない場合の使用に有効です。

ただし、斜めに差し込んだ状態では、強い力で締め付けが困難なため、最終的には標準型での締め付けが必要になります。

3. 材質と表面処理による分類

六角棒レンチの材質は、主にクロムモリブデン鋼クロム・バナジウム鋼、ステンレス鋼が使用されています。表面処理としては、黒染め、ニッケルメッキ、クロムメッキなどの処理がされています。 (ステンレス鋼製を除きます。)

4. その他

六角棒レンチ_図3

図3. ホルダー付きとフォールディング式の六角棒レンチ

六角棒レンチには、複数サイズの六角棒レンチが鍵束状にホルダーに収納されているものや、同様に複数サイズがグリップ内に収納され、必要なサイズだけ回転させ使用するフォールディング式があります。

ホルダー付きとフォールディング式の六角棒レンチは、図3を参照してください。

参考文献
https://diytools1.com/2016/04/26/post-14115/
https://ktc.jp/kiso/lesson/hex_wrench.html
https://kikakurui.com/b4/B4648-2008-01.html

警報機

警報機とは

警報機

警報機とは、危険や異常を周囲に知らせるために、大きな音で警報を鳴らしたり、メールや電話での通報、回転灯など作動させたりするシステムや機器のことです。

防犯や防災、設備の異常動作や誤作動、漏電、断線などがあった場合の検知や、それらを点検する人的省力化、無人化などに役立っています。音の切り替えや発光するもの、自動で主幹ブレーカを遮断するものなど、搭載機能は製品によって異なります。

警報機の使用用途

警報機は防犯、防災などのために、住宅や工場、ビル、公園、駐車場など様々な場所で使用されています。火災警報機は、住宅など、様々な場所で使用されています。煙を検知するものや熱検知機、ガス検知機などの検知方式はさまざまです。

防犯のための警報機は、侵入があった場合に、家中に素早くワイヤレスで危険を知らせることができます。音声または光と共に知らせる警報機があります。家だけでなく、工場や資材置き場など侵入者の可能性がある場面で利用が有効です。

工場や倉庫では、通路を走るフォークリフトなどが通る際に、センサーの前を横切ると、周囲や死角にいる人に、接近を知らせる警報ランプなどがあります。

警報機の原理

警報機は目的によって様々なタイプがあります。異常を検知する検知する方式と、異常を通知する通知方式の組合せで様々な種類のものが販売されています。

1. 検知方式による分類

検知方式は、単独で使用される場合もありますが、複数の方式を組み合わせて使用される場合もあります。また、技術の進歩により、より高度なセンサー技術やデータ処理技術が開発され、より正確な検知が可能になっています。

光検知方式
光センサーを使用して、光の変化を検知する方式です。例えば、煙検知機では煙や微粒子が光を遮ることで検知します。

熱検知方式
熱センサーや赤外線センサーを使用して、温度変化を検知する方式です。火災検知機では、急激な温度上昇や高温を検知して警報を発します。

音検知方式
マイクロフォンや音響センサーを使用して、異音や特定の音のパターンを検知する方式です。ガラス破損検知機や騒音検知機がこれに当たります。

振動検知方式
振動センサーや加速度センサーを使用して、物体の振動や衝撃を検知する方式です。地震検知機や窓ガラス破損検知機などで利用されます。

化学検知方式
化学センサーやガスセンサーを使用して、特定のガスや化学物質の濃度変化を検知する方式です。ガス漏れ検知機や一酸化炭素検知機がこれに該当します。

電流・電圧検知方式
電流センサーや電圧センサーを使用して、電気の流れや電圧の変化を検知する方式です。例えば、火災検知機では電流の異常や短絡を検知します。

2. 通知方式による分類

通知方式は、システムの種類や目的に応じて選択されます。また、複数の方式を組み合わせて使用される場合もあります。通知方式の選択は、情報の重要性、速度、通知先の多様性などを考慮して行われます。

音声通知
警報機やスピーカーを介して、異常を示す音や音声メッセージを再生する方式です。例えば、火災検知機が異常を検知した場合には、警報音や「火災です」などの音声メッセージが再生されます。

光表示
LEDや表示灯を使用して、異常を示す光のパターンや色を表示する方式です。例えば、セキュリティシステムのセンサーが侵入を検知した場合には、点滅する赤いLEDが表示されることがあります。

電話通知
異常を検知した場合に、指定された電話番号に自動的に通知を行う方式です。セキュリティシステムやモニタリングシステムでは、異常があったことをオーナーや管理者に直接電話で知らせることがあります。

インターネット通知
異常を検知した情報を、インターネット経由で通知する方式です。例えば、センサーネットワークや監視システムは、異常を検知したデータをクラウドサーバーに送信し、関係者に電子メールやアプリ通知として送信されることがあります。

監視カメラで撮影した映像を携帯電話へ転送するものもあります。防犯だけでなく、安否確認などにも使用されています。

警報機の種類

1. 火災警報機

煙検知機や熱検知機を備えた火災警報機は、建物内で発生する火災を検知して警報を発する装置です。主に音声や音響信号を使用して異常を通知します。

2. 盗難警報機

盗難や侵入を検知するためのセンサーを備えた警報機です。窓やドアの開閉センサーや振動検知センサーなどが使用されます。異常が検知されると、警報音や通知を発します。

3. 一酸化炭素警報機

一酸化炭素 (CO) ガスの濃度を検知するための警報機です。一酸化炭素は無色・無臭で、人体に危険をもたらすため、警報機が異常を検知した場合には警報音を鳴らします。

4. 地震警報機

地震を検知して、地震の発生や震度を通知する警報機です。地震計や振動センサーを使用して、地震の揺れを感知し、警報音や表示で異常を通知します。

5. ガス漏れ警報機

可燃性ガスや有毒ガスの漏れを検知して警報を発する装置です。ガスセンサーや化学センサーを使用し、ガスの濃度異常を検知すると警報音や表示を行います。

6. 水漏れ警報機

水漏れを検知して異常を通知する警報機です。水センサーや水位センサーを使用し、漏水や浸水が検知されると警報音や通知を発します。

参考文献
https://www.security-joho.com/service/keihouki.htm
https://www2.panasonic.biz/ls/densetsu/
http://www.kokusen.go.jp/mimamori/mj_mailmag/mj-shinsen360.html#
https://www.kaho.or.jp/pages/keiho/docs/poster/guidebook-koukan-202003.pdf
https://anabuki-m.jp/information/resolution/28872/

はつり工具

はつり工具とは

はつり工具

はつり工具とは、コンクリート・石材の粉砕や、塗膜・タイルの床・錆・接着剤などを剥がしたり、木を彫刻するための工具です。

はつり (斫り) とはコンクリートや石材の壁などの建設物を粉砕する工事作業のことで、主に人手での作業を指します。はつり工具は、電動ハンマー、はつりハンマー、コンクリートブレイカーなどとも呼ばれます。電動剥離機は超高速の微小振動で粉塵が少なく、下地を傷めずに剥離や除去作業が可能です。電動彫刻機は彫刻ができる工具で、モーター内蔵型と軽いタイプのモーター別置型があります。

はつり工具の使用用途

はつり工具は人手で「はつる」作業用に用いる工具であるため、その使用用途は多岐に渡ります。

建築構造物や道路などの工事現場におけるコンクリートや石材、外壁の粉砕が、はつり工具の最も多い用途です。ただし工事の規模や粉砕する対象物によっては、よりパワーが必要な建機を活用する場合も多いです。

彫刻やタイル外壁の補修など、細かいはつり作業のための工具としての用途もあります。この場合は電動式のドリルが最も良く活用されています。日曜大工向けの電動ドリル工具もこの用途で用いられます。

はつり工具の原理

はつり工具を用いた加工対象物の剥離のさせ方には、ドリルなど工具先端の刃先の振動や打撃、回転の与え方が関わっています。一般に電動式は振動の周波数やドリルの回転数を広範囲に制御することに長けており、人手の作業で適した出力を得やすいため、電動式のはつり工具が多く存在します。

飛散する粉塵を削減したい場合には、振動数をあげたり刃先を対象物に押し付ける工法が効果的ですが、そのために必要な電力確保にはAC電源が良く活用されます。持ち運びに便利な電池式の充電タイプも多くあります。

はつりの工法としては、回転や振動以外に打撃で穴をあける場合も多いです。繊細な作業とコンクリート塊の粉砕などの比較的パワーが必要な作業とで、工具は使い分けられています。

はつり工具の種類

はつり工具の代表的な種類を以下で解説します。

1. 電動剝離機

電動剥離機は超高速の微小振動で剥離する工具です。粉塵が少なく、下地を傷めずに塗膜やタイル、さび、接着剤などの剥離や除去作業を実施したい場合に良く使用されます。専用の替刃を使うことにより、ビルの外壁など広範囲に利用することができます。ただし下地 (鉄かコンクリートか等) の確認が重要です。

2. 電動木彫機

電動木彫機は、振動する刃先を押し付けると彫刻できる工具です。飛び散りがなく、金属やガラス、木材、プラスチックなどの材質に彫刻が可能です。切れ味が悪い場合故障の原因になるため、刃先の状態には注意する必要があります。

3. たがねとチゼル

広義のはつり工具には、たがねやチゼルも含まれます。鋼鉄製の古くから用いられている鑿の工具です。チゼルの先端は尖った板状であり、刃の反対方向をハンマーで打ち付けて使用します。コンクリートなどの構造物に使用可能なものと、木材など比較的柔らかい構造物に使用可能なものに区分されているため、用いる工具の仕様には注意が必要です。

はつり工具のその他情報

1. コンクリートブレーカー

電動式ハンディタイプのドリルや打撃ではつり作業を行えないような、広範囲かつ厚みの厚い構造物を粉砕する場合には、コンクリートブレーカーと呼ばれる工具が用いられています。

コンクリートブレーカーはその名の通りコンクリートを破壊するための工具であり、粉砕のための大きなパワーを得るために、エアーホースでコンプレッサーからの空気を送って動作する工具です。道路工事で比較的多く用いられますが、エアーコンプレッサーやエアーホースなど現場に持ち込まないといけない備品も多いです。

より大規模なコンクリート粉砕には、ショベルカーやバックボウと呼ばれる専用の建機が用いられます。人手でのはつり作業の範疇外であるため、一般にははつり工具とは呼ばれません。

2. シュミットハンマー

コンクリートブレーカーと対比される用語に「シュミットハンマー」があります。シュミットハンマーはコンクリートハンマーとも称されますが、用途がコンクリートブレーカーと異なります。

シュミットハンマーはコンクリートの強度を計測するための工具です。内蔵されているばねの力で構造物 (コンクリート) の表面を打撃し、その反発係数を利用してコンクリートの圧縮強度を計測します。非破壊で対象となる構造物の強度を解析可能であることから、建築現場や土木現場で広く用いられている構造物の強度品質の試験解析用工具です。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/vona2/fs_processing/T0700000000/T0730000000/
https://www.monotaro.com/s/c-21932/
https://www.bildy.jp/mag/hammerdrill-guide/
https://diytools1.com/2016/06/30/post-15653/#i-3

小型クーラー

小型クーラーとは

小型クーラー

小型クーラーとは、スポットエアコンやスポットクーラーと呼ばれるコンパクトな冷風機です。

小型クーラーはエアコンの構造と大きな違いはありませんが、内部の結露した水を自動で排出することができないので、本体内のタンクにたまった水を手動で捨てる必要があります。また、クーラーなので温風は出ません。

機能としては、電源オンオフ、弱・中・大の切り替えがあるだけです。なお、混同されがちなものに冷風扇がありますが、これは水や氷の気化熱を利用して冷やす装置なので、原理も効果もクーラーとは異なります。

小型クーラーの使用用途

小型クーラーは、工場や倉庫などの広い空間にいる従業員に対して、ピンポイントに冷風を送る際に使用されています。近年、日本の夏はとても暑いので、熱中症対策にも有効です。

工場や倉庫などの広い空間以外にも、庭やガレージ、屋外作業、ゴルフの練習場などの屋外での休憩時にも使用されています。ただし、部屋全体を冷やしたいときには向いていません。ピンポイントで冷風を送りたいときに効果を発揮します。

どうしても部屋全体を冷やしたい場合は、工場扇などの大型の扇風機の後ろに風をあて、首振り機能を使用して冷風を拡散させる方法がおすすめです。

小型クーラーの原理

小型クーラーは、エアコンと同様でコンプレッサ熱交換器を備えています。空気を吸い込み、内部で冷却した冷風を排出すると同時に、冷却の際の熱風を排出する装置です。冷風は局所的に排出されますが、同時に排出される熱風を室外に排出しなければ、部屋の中で熱風と冷風が混じってしまいます。

そのため、熱風を外へ排出する専用のダクトが付いているものもあります。前述した通り、冷却器から発生する水 (ドレン水) を外へ排出する仕組みがないため、定期的に手動で捨てなければなりません。

冷却器から発生した水は、本体に備え付けられたタンクに溜まっていきます。タンクがいっぱいなると自動的に停止するものや、ドレン水を捨てずに蒸発させて、排気とともに放出する機能がついている装置もあります。

通常のエアコンは電力の消費が大きいので、あまり電力が使えない場所にも小型クーラーは有効です。ただし、小型クーラーといえども消費電力は少なくはないので、複数個所で同時に使用すると、ブレーカーが上がってしまう可能性もあります。

小型クーラーの選び方

小型クーラーというと業務用を思い浮かべますが、最近では家庭用の小型クーラーも増えてきています。さまざまな種類があるため、選定する際は下記のポイントを確認する必要があります。

1. 冷房能力

クーラーの場合、kw  (キロワット) が能力を表す単位です。高いほどパワーがあり、冷房能力があることを示します。一般的なルームエアコン (6畳用) で2.2kwです。

業務用として使用するのであれば2.5kw、家庭用であれば2.0kw以下が目安となります。

2. 電源

電源は100Vか200Vになります。家庭用やそこまで大型でないものであれば、差込口が一般的な100V用がおすすめです。また、工場や倉庫で使用し、動力 (三相200V) を導入している場合も、100Vのものの方が消費電力も抑えられ、冷房効率が高くなります。

3. 吹き出し口の数

家庭用では吹き出し口の箇所数は1つですが、業務用小型クーラーの場合、1~3つあるものもあります。1つしかないタイプでも、ダクトを分岐させるオプションがあります。吹き出し口が多いと複数人で使用できますが、吹き出す風量は弱まる点に注意が必要です。

4. 使用環境

スポットクーラーというと小型のものをイメージしますが、最近では大型のタイプも増えてきました。高速道路のサービスエリアや屋外イベントなど、人が密集する場所で活用されています。

使用環境によっては小型クーラーの効果を発揮できない場合もあるため、注意が必要です。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td06/x0476.html
https://www.meltec.co.jp/museum/air/index.html
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/648/

ニトリルゴム手袋

ニトリルゴム手袋とは

ニトリルゴム手袋

ニトリルゴム手袋とは、ニトリルゴムで作られた手袋です。

合成ゴム手袋とも呼ばれます。ラテックスによるアレルギーを引き起こさないため、天然ゴム手袋を使えない方でも使用可能です。ニトリルゴム手袋は手にフィットしやすいため、細かな作業で用いられます。

また、天然ゴム手袋などに比べて有機溶媒に対する耐久性が高く、油と接触する作業にも最適です。その他、ニトリルゴム手袋は強度にも優れています。一方で、伸縮性がそこまで高くないため、伸ばすと千切れる可能性があります。

ニトリルゴム手袋の使用用途

ニトリルゴム手袋は、掃除・医療一般作業 (未滅菌可の作業に限る) ・油作業・塗装・科学実験などの細かな作業に用いられます。有機溶媒に対する耐性や手袋の強度が高いため、製造現場やメッキ作業、油を取り扱う作業、機械の整備作業でも、使われます。

その他、手先を使った細かな作業に向いているという点、塩化ビニール手袋とは異なり手袋からの添加剤の混入リスクが低いという点から、食品業界でもニトリルゴム手袋は使用されています。

ニトリルゴム手袋の原理

ニトリルゴム手袋の材質であるニトリルゴムは、アクリロニトリルと1,3-ブタジエンの共重合から作られる汎用的なゴムです。天然ゴムのように、ラテックスが含まれていないため、ラテックスアレルギーの方でも使えます。

ただし、低温で柔軟性を失って固くなり、破損しやすくなるのが欠点です。気温の低い屋外での長時間の作業や低温下でのニトリルゴム手袋の保管は、劣化を促進させるため望ましくありません。

また、ニトリルゴム手袋は、一般的な有機溶媒ならびに酸やアルカリに対する耐性はありますが、アセトンなどのケトン類やテトラヒドロフランなどのエーテル類には耐性がないです。耐性が低い有機溶媒に接触したニトリルゴム手袋は千切れやすくなるため、万が一破損したらすぐに手袋を交換する必要があります。

ニトリルゴム手袋のその他情報

1. 食品衛生法

ニトリルゴム手袋は原料にフタル酸エステル類を含有していないため、食品衛生法における食品、添加物等の規格基準を満たしています。フタル酸エステル類は、生殖毒性など人体への有害性が指摘されている物質です。日本だけでなく諸外国でも使用が制限されています。

厚生労働省が定めたフタル酸エステル類は、フタル酸ジ-n-ブチル (DBP) 、フタル酸ビス (2-エチルヘキシル) (DEHP) 、フタル酸ベンジルブチル (BBP) 、フタル酸ジイソデシル (DIDP) 、フタル酸ジイソノニル (DINP) 、フタル酸ジ-n-オクチル (DNOP) の6物質です。

また、ニトリルゴム手袋は青い製品が多く販売されています。食品調理にニトリルゴム手袋を使用する際、食品への手袋混入に気づきやすくするためです。

2. パウダーフリーのニトリルゴム手袋

ニトリルゴム手袋などの手袋製品には、着脱を円滑に行うためのパウダーが塗布されているものがあります。パウダーの成分は、タルクと呼ばれる含水ケイ酸マグネシウムの粉や、コーンスターチ (とうもろこしなどから得られるデンプン) を原料とする粉末です。皮膚に付着したパウダーは、稀に皮膚炎やアレルギーを誘発する恐れがあるため、パウダーフリー手袋への移行が進められています。

2016年12月、厚生労働省はパウダー付き医療用手袋の取り扱い方法に関する通知を公開しました。通知では、2017年3月までに、医療用途のパウダー付き手袋をパウダーフリー手袋に切り替えるよう促しています。また、手術中にパウダー付き手袋を使用すると、肉芽腫や術後の癒着を引き起こすおそれがあるので、リスクを熟慮した上で使用を検討するよう記載されています。

3. ニトリルゴムによる遅発性アレルギー

ニトリルゴムは遅発性アレルギーである、アレルギー性接触皮膚炎を引き起こす可能性があります。接触してから数時間〜数日間後に発症しやすく、症状は痒みを伴う湿疹、紅斑、浮腫、漿液性丘疹、乾燥、亀裂、手荒れなどです。原因物質は加硫促進剤と老化防止剤であると言われています。