六角棒レンチとは
六角棒レンチ (英語: Hexagon Wrench, Hexagonal Wrench, Allen Key Wrench) とは、六角穴付きなどボルト締め付け用工具の差し込み穴が六角穴形状のねじ類を、締め付け、緩めるための工具です。
レンチ全体もしくは先端形状が正六角形になっていて、短柄と長柄の長さが異なるL字形棒状のレンチです。6角棒レンチや六角棒スパナ、ヘキサゴンレンチ、ヘックスなども同義語として使用されています。
六角棒レンチの規格は、下記のとおりです。
- JIS B4648 六角棒スパナ
- ISO 2936 Assembly Tools for Screws and Nuts – Hexagon Socket Screw Keys
- ASME B18.3 Socket Cap, Shoulder, and Set Screws, Hex and Spline Keys
六角棒レンチの使用用途
六角棒レンチは、六角穴付きなどボルト締め付け用工具の差し込み穴が六角穴形状の、ボルトやねじ類を締結するために使用します。具体的に使用するボルトやねじ類は下記のとおりです。
- 六角穴付きボルト (六角穴付ボタンボルト、六角穴付皿ボルトなど)
- セットスクリュー
- 六角穴付きプラグ
ボルトやねじ類の締め付け用工具の差し込み穴形状は、プラスやマイナス、プラスマイナスなどがありますが、主に六角穴は他の穴形状と比較して、より大きな締付トルクを必要とする締結部品に使用されます。
六角棒レンチの原理
六角棒レンチの原理はシンプルで、六角棒レンチの先端を六角穴付きボルトなどの六角穴に差し込み、回して締め付け・緩めを行います。一般的に六角棒レンチは、短柄と長柄の長さが異なるL字形棒状のため、それぞれどちらの柄を差し込むかで、用法が異なります。
ボルトまでの距離が遠い場合や締結にさほどトルクを必要としない場合は、長柄側の先端を差し込み、短柄側を手で回します。
一方で、ボルトまでの距離が短い場合や締結にある程度大きなトルクを必要とする場合は、短柄側の先端を差し込み、長柄側を手で回します。
六角棒レンチの種類
六角棒レンチの種類は、サイズ (六角部分の二面幅寸法と短柄・長柄の長さ) や先端形状、材質などで分類されます。
1. サイズによる分類
図1. 六角棒レンチのサイズ例
六角棒レンチのサイズは、ミリサイズの場合JIS B4648、インチサイズの場合ASME B18.3の規格に規定されています。ただし、販売されているレンチは、必ずしも規格通りの長さではないものもあります。
JIS B4648のミリサイズの場合に、二面幅寸法は0.7~46 mmとなっています。短柄と長柄長さは、二面幅寸法によって決まります。
サイズの例は、図1を参照してください。上記長柄寸法は標準型の場合を示し、他に長柄寸法はM形とL形の2種類があります。
また、ASME規格品の場合は、インチサイズになっていて、ミリサイズと同様に六角の二面幅寸法が呼びになります。サイズは1/16~3インチまで規定されています。
2. 先端形状による分類
図2. 六角棒レンチの先端形状
六角棒レンチの先端形状は、標準型の単純な六角形と角の面取りで球形に近い形状のボールポイント形があります。それぞれの先端形状は、図2を参照してください。
ボールポイント形は、六角棒レンチをボルトなどの六角穴に対して斜めに差し込むことが可能です。ボルトなどに対して、真っ直ぐ垂直に差し込みができない場合の使用に有効です。
ただし、斜めに差し込んだ状態では、強い力で締め付けが困難なため、最終的には標準型での締め付けが必要になります。
3. 材質と表面処理による分類
六角棒レンチの材質は、主にクロムモリブデン鋼、クロム・バナジウム鋼、ステンレス鋼が使用されています。表面処理としては、黒染め、ニッケルメッキ、クロムメッキなどの処理がされています。 (ステンレス鋼製を除きます。)
4. その他
図3. ホルダー付きとフォールディング式の六角棒レンチ
六角棒レンチには、複数サイズの六角棒レンチが鍵束状にホルダーに収納されているものや、同様に複数サイズがグリップ内に収納され、必要なサイズだけ回転させ使用するフォールディング式があります。
ホルダー付きとフォールディング式の六角棒レンチは、図3を参照してください。
参考文献
https://diytools1.com/2016/04/26/post-14115/
https://ktc.jp/kiso/lesson/hex_wrench.html
https://kikakurui.com/b4/B4648-2008-01.html