電動圧着機

電動圧着機とは

電動圧着機

電動圧着機とは、電動で圧着作業を行える器具のことです。

配線をつなげる際に欠かせないツールで、圧着という技法を用いて端子を押しつぶし、配線を結合させます。特に電線の結合では、電動圧着機の活躍が大いに期待されています。

手動で行うタイプの圧着機も存在しますが、太い配線を人力で押しつぶすことは困難であることが多い点が特徴です。対して、電動圧着機を使用することで、簡単に配線を結合できるだけでなく、圧着作業のスピードも向上します。

電動圧着機は、効率的な配線作業を実現するための優れた機器です。手間のかかる手動の圧着機に比べて、電動圧着機は作業者の負担を軽減し、作業時間の短縮に貢献しています。

電動圧着機の使用用途

電動圧着機は、主に電線を結合させるために使用されます。具体的には、配電盤や制御盤、通信機器、自動車、航空機、鉄道車両、建築設備、電線の修理やメンテナンス作業などです。電動圧着機は、作業効率の向上にも貢献しており、手動で行う場合と比較して、作業時間が大幅に短縮され、労力も削減できます。

電線を直接はんだ付けするだけでなく、圧着によってより強固に結合可能です。圧着端子の応力が作用して、押しつぶして結合させた電線が元に戻ろうとする力が働くため、より強固な結合できます。

また、機械的にも優れた結合を作り出せます。そのため、安全性の高い結合を必要とするさまざまな機器に有用です。特に太い導線の場合は、力で押しつぶすことが難しく、簡単に圧着できる電動圧着機が必要となります。

電動圧着機の原理

電動圧着機は、電動モーターによって動力を得て、電線や配線を結合させることが可能です。基本的な動座原理は、配線を圧着端子に挟み込み、電動モーターで力を加えることによって、圧着端子を配線に圧着させる仕組みになります。この圧着作業により、電線と圧着端子は強固に結合され、高い信頼性を実現します。

電動圧着機の特徴の1つは、自動で正確な圧着を行える点です。配線の太さや束ねられた量に関係なく、一定の圧着力を加えることが可能です。手動式の圧着機では、配線の太さに応じて力を調節する必要がありますが、電動圧着機では電動モーターによって正確に圧着力を制御できます。

しかし、電動圧着機は手動式の圧着機よりも重くなってしまうというデメリットもあるため注意が必要です。充電式のタイプでは、内蔵されたバッテリーによってかなりの重量になってしまいます。また、電源に接続して使用するタイプの機種では、コードの長さによって使用範囲が制限されてしまうことがあります。

電動圧着機の種類

電動圧着機には主にハンドヘルド型電動圧着機、ベンチ型電動圧着機、マルチダイヘッド型電動圧着機の3種類があります。適切な電動圧着機を選ぶためには、使用する場面や作業内容に合わせて、種類や性能、価格などを比較検討することが必要です。

1. ハンドヘルド型電動圧着機

手持ちで使用できるタイプの電動圧着機で、軽量で使いやすく、持ち運びが可能です。電動式のため、圧着作業が楽に行えます。一般的な配線作業から、電気工事、自動車、航空機、通信機器、建築設備など、幅広い用途に使用されます。

2. ベンチ型電動圧着機

大型の電動圧着機で、ベンチに固定して使用することが可能です。大型の圧着作業に適しており、主に航空機や鉄道車両、自動車産業、重電産業などで使用されます。ベンチに固定されているため、一定の圧着力を維持でき、高品質な圧着作業が可能です。

3. マルチダイヘッド型電動圧着機

複数のダイを持つタイプの電動圧着機で、異なるサイズの圧着作業を同時に行うことが可能です。通常、手動で行う場合には、ダイを変更する必要がありますが、マルチダイヘッド型電動圧着機では、手間を省けます。主に電気工事や通信機器などで使用されます。

参考文献
https://www.bildy.jp/mag/electriccrimpingmachine-guide/
https://jp.rs-online.com/web/generalDisplay.html?id=ideas-and-advice/crimp-terminal-guide

電動コーキングガン

電動コーキングガンとは

電動コーキングガンとは、コーキング作業を電動で行うための器具のことです。

コーキングは、外壁や内装の隙間を埋める作業で、シーリングとも呼ばれます。コーキングは、水漏れの防止や気密性の向上を目的として行われます。

コーキング剤を自動で塗布し乾燥させることができるため、取り扱いが容易で仕上がりも均一になるという利点があり、効率的に作業を進めることが可能です。しかし、電動コーキングガンは重量が重くなることが多いため、使用する際には注意が必要です。

電動コーキングガンを使用することで、手間のかかるコーキング作業を短時間で行い、仕上がりの品質も向上させられます。ただし、重量に考慮しながら最適な器具を選ぶことが大切です。これを心掛ければ、電動コーキングガンは作業効率を高める優れた道具となります。

電動コーキングガンの使用用途

電動コーキングガンの使用用途は、キッチンや浴室といった水回りの防水性や気密性を向上させることなどです。特に、壁との狭い隙間には水が入りやすくなってしまうため、電動コーキングガンでコーキングを施すことで、水の浸入を効果的に防げます。

また、電動コーキングガンは外壁の修繕作業にも活躍します。傷やひび割れがある部分から雨水や風が侵入しないように、コーキング剤を塗布することで建物の保護が可能です。電動コーキングガンは作業が容易で、小さな面積にも対応できるため、簡単な修繕作業にも最適です。

電動コーキングガンを使用することで、従来の手動式に比べて効率的にコーキング作業が行え、作業時間の短縮や疲労軽減にも繋がります。また、仕上がりの品質も向上するため、プロフェッショナルにも愛用される道具です。

電動コーキングガンの原理

電動コーキングガンは、先端に取り付けたコーキング剤を自動で吐出させ、隙間を埋めることが可能です。手動式やエアー式とは異なり、電動式は自動でコーキング剤を押し出せるため、作業が簡単でスピーディーに行えるのが最大のメリットです。

また、硬いコーキング剤を使用する際でも、手動式のように自力で押し出す必要がないため、作業者の疲労を軽減できます。さらに、自動で一定量のコーキング剤を出せるため、仕上がりが均一で見た目も綺麗になりやすく、初心者の方にも使いやすいです。

一方で、電動コーキングガンにはデメリットも存在します。高額であることや、電池やバッテリーが内蔵されているため重量が増すことが挙げられ、長時間の作業や持ち運びが大変になる場合があります。使用用途や状況に応じて、最適なコーキングガンを選ぶことが大切です。

電動コーキングガンの種類

電動コーキングガンは主にコードレス電動コーキングガン、コード式電動コーキングガン、可変速電動コーキングガンの3種類があります。

1. コードレス電動コーキングガン

コードレス電動コーキングガンは、バッテリーを内蔵しているため、電源コードが不要です。作業場所に制約がなく、持ち運びも容易です。ただし、バッテリーの寿命や充電時間を考慮する必要があります。

2. コード式電動コーキングガン

コード式電動コーキングガンは、電源コードを使用して電力を供給します。バッテリーの充電や寿命を気にすることなく連続して作業ができるため、大規模な作業に適しています。ただし、電源が必要なため、作業範囲が制限されることがあります。

3. 可変速電動コーキングガン

可変速電動コーキングガンは、コーキング剤の吐出速度を調整できる機能を備えています。そのため、作業者のスキルや作業状況に合わせて、最適な速度でコーキング剤を塗布することが可能です。初心者からプロフェッショナルまで、幅広い層に対応できるのが特徴です。

参考文献
https://www.renoco.jp/knowledge/355/
https://www.bildy.jp/mag/caulkinggun-guide/
https://electrictoolboy.com/media/17629/

除鉄装置

除鉄装置とは

除鉄装置とは、井戸水などに含まれる鉄を取り除く装置です。

薬品を用いて水中に含まれる鉄の酸化や抽出を行い、濾過された井戸水は飲料水や生活用水として利用可能です。

中小規模施設用から、教育施設、介護施設、病院のような大規模施設用まで、現場に合ったサイズの除鉄装置を選べます。鉄、マンガン、硬度成分を除去できる除鉄除マンガン装置もあります。

除鉄装置の使用用途

除鉄装置を用いると井戸水を一般飲料水、雑用水、工業用水として幅広く利用できます。鉄の濃度が高くて井戸水を利用できない場合は、井戸ポンプと屋内配管の間に除鉄装置を設置するとさらに安全に使用することができるようになります。

特にイオン交換方式の除鉄除マンガン装置は日常生活で使用するすべての水を軟水化できます。井戸水の除鉄や除マンガンに加えて硬度成分を取り除き、軟水化も含めて除鉄除マンガン装置1台だけで可能です。

従来の蛇口に設置する方式とは異なり、井戸と屋内配管の間に除鉄装置を設置すると家庭内のすべての水を軟水化するため、調理、風呂、洗濯などの日常のあらゆる水を軟水として供給できます。

除鉄装置の原理

除鉄方法はイオン交換方式と接触酸化方式の2種類があり、それぞれの方式で原理は異なります。

1. イオン交換方式

イオン交換樹脂 (英: ion exchange resin) を使用した水処理装置です。イオン交換樹脂は合成樹脂の一種で、イオン交換ポリマーとも呼ばれます。イオン交換基として電離する分子構造を有し、水中に含まれる鉄イオンを吸着して処理可能です。同時に硬度成分を取り除き、軟水化も可能です。

イオン交換樹脂に吸着された鉄、マンガン、硬度成分が飽和状態になると除去性能が低下します。したがって水質によって再生のサイクルを考慮する必要があります。

再生とはすべてイオン交換方式の装置に必要不可欠な装置内部の洗浄を指し、吸着によって取り込まれた含有成分を専用のボイラーソルトのような置換剤を使って、鉄、マンガン、硬度成分などを剥離させます。ろ材洗浄によって除去能力を再生すると運転が長期安定し、除鉄装置で処理された水が提供されます。

2. 接触酸化方式

次亜塩素酸ナトリウム (NaClO) を加えて水中に含まれる鉄分を強制的に反応させ、砂濾過器のような装置によって濾過すると鉄を取り除けます。濾材には、砂、アンスラサイト、バーム、セラミック粒などを使用可能です。

地下水に含まれる鉄分は主に重炭酸第一鉄として存在しています。重炭酸第一鉄と次亜塩素酸ナトリウムの反応ではFe(OH)3やFe2O3・3H2Oが生成し、不溶解性物質 (英: suspended solids) となるため、反応で生じた不溶性の鉄を濾過で物理的に除去可能です。

地下水中の鉄分は空気中の酸素や原水中の溶存酸素と接触した際にも不溶性のFe(OH)3やFe2O3・3H2Oが生成します。

除鉄装置の選び方

イオン交換方式や接触酸化方式のメリットやデメリットを考慮して選択する必要があります。

1. イオン交換方式

鉄の濃度が高くても除鉄でき、装置1台だけで軟水化が可能です。少量の水にも適用でき、短時間で再生し、塩素を使わないため安全性が高くて腐食の心配もありません。設置にスペースを取らず、水量に見合った再生ができ、ボイラーソルトを節約できます。しかし殺菌はできず、状況に応じて殺菌器が別で必要です。酸化した鉄も除去できません。

2. 接触酸化方式

塩素を用いて鉄を取り除き、同時に殺菌も可能です。使用する塩素は安価ですが、2ppm以上の高濃度の除鉄は難しく、軟水化のためには別で軟水器が必要です。設置にスペースを取り、大量の処理水が必要で、逆洗や再生に長時間かかります。高濃度の塩素を使用すると配管などが腐食し、濾過器の保守にはコストがかかります。

金型洗浄機

金型洗浄機とは

金型洗浄機とは、金型の汚れを取り除くための洗浄機です。

金型の汚れについては、従来は拭き取りによる除去が行われてきました。金型加工技術が発展したことで年々金型の形状が複雑になっていく傾向があり、拭き取り作業による洗浄の実施が難しくなってきています。そのため洗浄機による洗浄の普及が拡大しています。

金型洗浄機は、超音波による洗浄方式を採用したものが主流です。超音波以外には電気分解やレーザー、ドライアイスを利用した洗浄方式もあります。

金型洗浄機の使用用途

金型洗浄機の使用例として、プラスチック製品の金型洗浄などが挙げられます。

プラスチック製品の製造において、射出成形は主要な製法です。射出成形はプラスチックを溶かして金型に流し込み、製品の形に成形する方法です。

プラスチックを溶かす際に原料や添加剤が気化しており、これが金型に残留して金型が汚れることがあります。この汚れを放置すると製品の外観が損なわれたり、金型自体の開閉に支障が出たりするといった問題につながるため、金型洗浄機による洗浄が行われています。

金型洗浄機の原理

金型洗浄機では、超音波による洗浄方式が主に採用されています。超音波洗浄を行う際には、溶剤など洗浄用の薬品を併用するのが一般的です。

超音波洗浄は、キャビテーションとよばれる現象を利用した洗浄方式です。液体の中には、気体分子が数多く含まれており、洗浄液に対して20kHzから100kHz程度の超音波を照射すると、この気体分子に正の圧力と負の圧力が交互にかかります。

正の圧力がかかると気体分子は圧縮され、反対に負の圧力がかかると膨張します。膨張した気体分子が正の圧力によって圧縮されると、気体分子の泡が弾けて衝撃が発生するのです。このような現象をキャビテーションといい、この時生じた衝撃の力を利用すると、物理的に汚れを剥がすことができます。

キャビテーション現象の際に発生する衝撃の強さは、照射した超音波の周波数に依存します。周波数が低くなるにつれて衝撃は強くなっていますが、その分洗浄対象のものに負荷がかかるのです。落ちにくい汚れや衝撃に耐性がある洗浄対象であれば28kHzなどの低周波を使用し、そうでないものに対しては40kHzなど周波数が比較的高いものを用います。

金型洗浄機の選び方

広く使用されている超音波洗浄機を例にして金型洗浄機の選び方をご紹介します。

超音波洗浄機を使用して洗浄する際には超音波の周波数を選定する必要があります。周波数が低いと大きな汚れは落ちやすいですが、緻密な金属部品や電子部品を洗浄すると破損してしまう可能性があります。材料や製品にダメージを与えず、汚れも十分に落ちる適切な周波数が出力できる洗浄機を選定することが大切です。 例として、28 kHz程度で目に見える頑固な汚れを効率的に落とせます。40 kHz程度が精密な部品の洗浄に用いられ、基盤などの電子的な精密部品を洗浄する際には更に高い周波数が用いられます。

金型洗浄機の形状としてはセパレート型や一体型などがあります。セパレート型は振動を発生させる発振器振動子を設備に取り付ける形で、大型の金型洗浄に用いられます。洗浄したいものが小型であれば、卓上で簡便に利用可能な一体型が使用されます。

金型洗浄機のその他情報

金型洗浄液

金属を洗浄するための液体は、洗浄したいものの材質や汚れの種類によって決定します。材料の種類は金属、ガラス、プラスチックなどに分けられます。汚れは、一般的な油やホコリに加えて、研磨剤などの微粒子も含まれます。 洗浄液は下記のように水系と非水系(炭化水素系、溶剤系)に大きく分けられます。

1. 水系
主成分は界面活性剤で、安価かつ安全で幅広い汚れに対応できる洗浄液です。汚れの種類によってアルカリ性、中性、酸性の溶液を使い分けます。排水の処理が必要であったり、強い汚れには対応できない、洗浄後の乾燥に時間がかかるなどの欠点があります。

2. 炭化水素系
炭素と水素の化合物を含む洗浄液です。化合物の炭素数や構造によって種類が分けられ、イソパラフィン系やノルマパラフィン系などがあります。油分に対する洗浄力が強く再生利用も可能な洗浄液です。可燃性の危険物であるため消防法に準じた厳密な管理が必要になります。

3. 溶剤系
種類としてはフッ素系、臭素系、アルコール系などがあります。強力な洗浄力を保持していますが環境に対する負荷も大きいため、規制や削減の動きが強くなっています。

参考文献
http://www.nalex.co.jp/technology/tech-cleaner/about-aes/
https://www.honda-el.co.jp/industry/cleaner_genri.html
http://www.dryice-chikuho.co.jp/dryice
https://www.honda-el.co.jp/industry/solution.html
https://www.honmasangyou.co.jp/activities/difference.html
https://www.honda-el.co.jp/industry/cleaner_selection.html

脱気装置

脱気装置とは

脱気装置とは、水に含まれる気体を除去する装置です。

通常、水の中には大気に由来する酸素や二酸化炭素が混入しています。このような気体が水に含まれると、飲料水の味や色が変化したり、化学反応の妨げになったり、配管の錆につながったりします。

脱気装置のサイズはさまざまで、工場で製造や冷媒として用いる大型の脱気装置や、実験室で用いる小型の脱気装置があります。

脱気装置の使用用途

脱気装置は水中の酸素、二酸化炭素を除去する装置であるため、水を取り扱うさまざまな業界で使用されます。例えば、飲料や食品などの業界では水中の溶存酸素が製品の色や味に直接影響するため、使用する水は脱気処理されています。

また、高温の水やスチームを移送する配管も溶存酸素がサビの原因となるため、これらの配管に入れる水も脱気処理される場合が多いです。その他、研究開発においても小型の脱気装置が用いられます。

例えば化学反応に用いる水の脱気処理に用いられたり、高速液体クロマトグラフィー (HPLC) などの分析装置に使用する水の脱気処理にも用いられます。特に、HPLCのようなポンプで水を流し続ける装置では、気泡が混入するとポンプの脈動などを引き起こすため脱気処理は必須です。

脱気装置の原理

脱気処理の原理には、液体に溶ける気体の含有量は気体側の圧力に比例するという法則があります。そのため、液体と気体が接している場合気体側の圧力を下げると、液体に溶けている気体の量が減少します。極端に言うと、真空状態にすれば液体に溶ける気体の量は0になるということです。

また、液体と気体が接する面が広ければ広いほど、脱気処理の効率が良くなります。単純に装置の口径を大きくすれば、液体と気体が接する面が増えるため脱気処理の能力は向上しますが、装置自体が大きくなりコストもかかります。

その対策として、中空糸を用いるのが効果的です。液体と気体の接する面を大きく広げらるため、装置の大きさに対して効率よく脱気することが可能になります。なお、脱気装置の脱気方法は2つあります。1つは、タンク方式でタンク内を減圧することで液体中の気体を除去する方法です。

タンクの大きさに比例して、脱気処理が変化します。もう1つは、真空脱気塔方式で粒子状に噴射した液体に減圧することで脱気する方法です。液体が微粒子状となるためタンク方式と比べ、液体と気体の接する面が飛躍的に増え、より脱気処理が向上します。しかし、真空脱気塔方式は、導入コストが高く装置が大型になります。

脱気装置の特徴

大気の酸素、二酸化炭素は微量ですが水に溶解します。溶解する量は微量なので少量の水を使用する上では問題はありませんが、工場など大量に水を使用する場所においては溶存酸素、二酸化炭素が予期せぬトラブルを引き起こす可能性があります。例えば酸素は金属を酸化させるため配管のサビの元になります。また、食品や飲料業界では、溶存酸素による酸化によって製品の色、味が変化する恐れがあります。

脱気装置はこのような溶存酸素、二酸化炭素を除去する装置です。脱気装置には真空ポンプと脱気膜が取り付けられており、水は脱気膜に覆われた流路を流れます。流路はポンプによって減圧されているので、流路を通るときに溶存酸素のような小さな分子だけ膜を通り抜けていきます。その結果、通液させた水から気体が除去される仕組みです。

なお、脱気装置は有機溶媒など水以外の液体の脱気を行うことも可能です。ただし、膜を膨潤させたり溶解させたりしないために、通液する溶媒に対する膜の耐久性を確認する必要があります。また、混合溶液の場合は減圧下のラインを通ることによって溶液組成の変化がないか、確認が必要です。

参考文献
https://www.miuraz.co.jp/product/water/dakki.html
https://www.gea.com/ja/products/liquid-processing/deaerator/index.jsp
https://www.nikuni.co.jp/equip/vacuum/deo-vac.html

耐水研磨紙

耐水研磨紙とは

耐水研磨紙とは、塗装面を滑らかで美しい仕上がりにするために使用される特殊な紙のことです。

水に濡らしながら表面の汚れやサビを取り除き、傷をぼかし、密着性を向上させます。また、ツヤ消し効果もあり、仕上がりをより美的で機能的にすることが可能です。

研磨紙には粒度120から3,000までの多様な種類があります。適切な研磨紙を選ぶ際には、研磨する面の状況や研磨力、耐久性、強度、使いやすさなどを考慮することが重要です。耐水研磨紙を使用することで、優れた仕上がりを得られます。塗装面は美麗で機能的な仕上がりとなり、さまざまな用途で利用できるようになります。

耐水研磨紙の使用用途

耐水研磨紙は、まず金属研磨に活用されます。時計ケースや金属製品の仕上げに使われることが多く、美しい仕上がりが求められる場面で重宝されています。また、車両塗装面の研磨やキズ補修、砲弾マフラーのステンレス磨きにも用いられている点が特徴です。

また、木工分野でも利用されています。生地研磨や楽器製作に欠かせない道具として重要な役割を果たしています。さらに、塗装前のサフェーサーの研ぎや塗面研磨にも利用されています。

樹脂製品の汚れ落としにも役立ち、金属素地の荒磨きや製品の凸凹をなくすためにも使用可能です。また、鏡面仕上げの下処理や燃料タンクの塗装研磨にも適しています。

そのほか、陶器の手垢除去やステンレス製品の汚れ磨きにも耐水研磨紙が使われることがあります。洗面周りやトイレの掃除にも有用です。

耐水研磨紙の原理

耐水研磨紙は、通常の研磨紙とは異なり、水に濡らして使用できる点が特徴です。耐水研磨紙は、研磨粒子が一定の間隔で均一に配置された特殊な紙や布をベースにしています。研磨粒子は、酸化アルミニウムや炭化ケイ素、ダイヤモンドなどの硬質素材でできており、研磨対象の表面を削り取ることで磨き効果を発揮します。

耐水研磨紙が水に濡らして使えるのは、樹脂やゴムなどの耐水性の高い接着剤が用いられているためです。水を加えることで、研磨時に発生する粉塵や摩耗粒子を除去し、研磨面が常に新しい状態が保たれます。

また、水を使うことで、研磨時に発生する熱を冷却し、摩擦による表面の損傷を最小限に抑えることが可能です。これは耐水研磨紙が美しい仕上がりを生み出す理由となっています。

さらに、耐水研磨紙は、研磨粒子の種類や粒度が異なるものが多数用意されているため、用途や研磨対象の素材に応じて最適なものを選ぶことが可能です。適切な粒度の選択により、効率的な研磨作業が可能となります。

耐水研磨紙の特徴

耐水研磨紙は、基材になる紙の表面に天然または人造の研磨材が均一に接着剤で固着された構造をしています。炭化珪素や溶融アルミナなど人造研磨材は、均一な研磨紙が作れる点がメリットです。

硬く、かけやすい性質を持った黒色の炭化珪素は、最も広く利用されている研磨材の1つです。研磨紙に使用される紙は和紙、クラフト紙、ラテックス処理紙などがあります。和紙研磨紙は弱いですが、柔軟性に優れているため曲面の研磨に便利です。

ラテックス処理紙は耐水研磨紙の標準タイプによく使われるもので、金属、木材、樹脂、石材など多種多様です。接着剤は耐水性や耐熱性に優れ、強力な接着力を持つフェノール樹脂、エポキシ樹脂のようなレジンが使われています。

短時間の研磨能力を意味する研磨力が高いと仕上げ面は粗くなり、仕上げ面を良くすると研磨力が低下します。研磨力と仕上げ面の粗さ、どちらを重視する作業なのか使用用途に合わせて選ぶことが重要です。

耐水研磨紙のその他情報

1. 耐水研磨紙の番手

研磨紙、研磨布の裏面には 必ず番手番号が記載されています。番号は研磨紙、研磨布に塗布されている砥粒のサイズを表しており、粗さの規格です。

日本国内ではJIS R6010によって塗布される砥粒のサイズが決められています。現在のJIS規格では数字の前にPが記されます。#が記載されている物は旧JIS規格のものです。

砥粒のサイズは、粒の大きさの上限下限の範囲が指定されており 「粒度」と呼ばれます。 数字が小さいほど砥粒が大きくて荒く、数字が大きくなるほど砥粒が小さくなり、仕上げ向きとなります。これらが研磨加工の表面の仕上がりである面精度を決める要素です。

番手は大雑把に粗目、中目、細目などと呼ばれますが、その呼び名には特に規定は無く、どのくらいの番手のものを使えば、どの程度の仕上がりになるか、またどのように使い分けるかは経験によって得られるものです。

2. 耐水研磨紙の成分

研磨紙は 紙材、接着剤、砥粒、の3つで構成されています。

紙材
基材となる紙材には、クラフト紙、ラテックス処理紙、和紙などが有り、記号AW、CW、DW、EWと記され、AWが柔らかく曲面などに向き、EWが硬い紙基材でベルトサンダーなどの機械に取り付ける用途に向いているでしょう。

砥粒
砥粒は天然素材と人工素材があります。天然の研磨材は特性・形状等が均一では無く、近年では研磨布紙の多くは人工の研磨材が使われています。記号G (ガーネット) 、炭化ケイ素 (CC) 、溶解アルミナ (AA、AW) などで表されます。

砥粒にダイヤモンドが使われているものもありますが、これはダイヤモンドシート等の名称で使用され、いわゆる研磨紙とは別のカテゴリです。

接着剤
接着剤は、天然系の接着剤 (グルー・ニカワ・ゼラチン等) と合成樹脂の接着剤 (フェノール樹脂・エポキシ樹脂等) がありますが、研磨力、仕上げ面の粗さ、目詰まり、などが異なります。記号G (にかわ) 、R (レジン)、W (耐水レジン) で区別されます。

参考文献
https://www.noritake.co.jp/nca/industry/ncasubs/detail/11/

耐摩耗ゴム

耐摩耗ゴムとは

耐摩耗ゴムとは、摩擦や磨耗に対して高い耐性を持つゴム材料です。

摩擦や擦り減りによる磨耗が生じる環境や応用用途において使用されます。摩耗に対する高い耐性を持っているため、長期間にわたって使用することが可能です。これによって交換やメンテナンスの頻度が減り、コストの節約につながります。

また、激しい摩擦や過酷な環境下でも性能を維持し、劣化が少ないです。ただし、耐久性には優れていますが、特定の環境条件によっては劣化や効果の低下が生じる可能性があります。

化学物質や極端な温度などにさらされる場合には、適切な材料選択と適切な保護が必要です。油との長期的な接触によっても性能が劣化する可能性があるため、注意が必要です。

耐摩耗ゴムの使用用途

耐摩耗ゴムは、さまざまな用途で使用されます。以下は代表的な使用用途です。

1. 乗り物

耐摩耗ゴムは自動車産業において広く使用されます。特にタイヤは耐摩耗ゴムの1種であり、道路との摩擦に耐えながら長時間の使用が可能です。また、エンジンマウントやブレーキパッドなど、さまざまな機械部品にも使用されます。

また、鉄道車両や鉄道設備にも耐摩耗ゴムが使用されます。ゴムの電気絶縁性が高い特徴から、レールの絶縁材や緩衝材などにも最適です。鉄道車両やレールを、振動や摩擦から保護します。

その他、ジェットコースターのタイヤなどにも使用されることが多いです。

2. 鉱業・建設業

鉱業や建設業においては、耐摩耗ゴムは重要な材料です。コンベアベルトやシュートライナーなどの装置に使用されます。

鉱業においては鉱石の運搬に使用され、建設現場では土砂の運搬に使用されることが多いです。鉱石や建設資材の運搬に耐える耐久性を有するため、搬送設備などに広く使用されます。

3. 産業機械

産業機械や機械部品においても、耐摩耗ゴムは使用される画面は多いです。耐摩耗ゴムはガスケットなどの長期間使用し続ける部品や、ロボットハンドの爪など金属などの硬い物質に接触する回数が多い部品などにも用いられます。潤滑や摩擦を制御しつつ耐久性を向上させます。

耐摩耗ゴムの原理

耐摩耗ゴムは、一般的に摩擦や擦り減りに対して高い耐性を持つ特殊なゴム材料です。ゴムは弾性を持つため、外部の力や摩擦によって変形し、その後元の形状に戻ることができます。この弾性が、摩耗に対する耐性を提供します。

ただし、耐摩耗ゴムには耐摩耗剤と呼ばれる物質が添加されます。耐摩耗剤は摩擦に対して効果的な物性を付与する材料で、炭素ブラックがその一例です。炭素ブラックはゴムの強度と耐摩耗性を向上させるだけでなく、摩擦や磨耗の軽減にも役立ちます。

耐摩耗ゴムの配合は、耐摩耗性を最大化するために最適化されます。ゴム材料や耐摩耗剤の種類、添加量、配合比率などが調整されていることが多いです。また、製造プロセスもゴムの特性を最大限に引き出すために最適化されます。

基材はさまざまであり、スチレンブタジエンゴム製やウレタンゴム製などが販売されています。基本的な物性や特徴は通常のゴムと同様で、耐摩耗ゴムは機械的な強度に優れています。また、他のゴム製品と同様に、加工成形は容易です。

耐摩耗ゴムの選び方

耐摩耗ゴムを選ぶ際は、用途、耐摩耗性、応力などを考慮して選定します。

1. 使用用途

まず、使用する用途の要件を明確に把握する必要があります。摩耗の程度、作業環境、温度、圧力などの要素を考慮し、適切な耐摩耗ゴムの特性を選ぶことが重要です。

2. 摩擦耗性能

耐摩耗ゴムの耐摩耗性能は異なる場合があります。耐摩耗ゴムの種類やグレードによって性能が異なるため、耐摩耗性の要件に合わせて適切なゴム材料を選定することが必要です。

3. 応力に対する耐性

応力に対するゴム材料の耐性も考慮する必要があります。耐摩耗ゴムの耐久性は、適切な応力や荷重の範囲内で最大化されます。最適な応力を有する製品を選定することで、耐摩耗ゴムを長寿命化させることが可能です。

参考文献
https://gomu.jp/items/search?genre=193
https://gomusuke.com/products/detail/1702
http://www.urethane.co.jp/vulkollan/
http://www.maedauni.co.jp/products/p749/

絶縁コーティング剤

絶縁コーティング剤とは

絶縁コーティング剤とは、コーティング加工により絶縁性の皮膜を生成できる製品です。

ポリイミド系、エポキシ樹脂系など、含有する成分にはさまざまな種類があります。コーティング対象の物体に絶縁コーティング剤を用いると、表面に絶縁性の高い膜が生成されます。

この絶縁性の膜によって物体から電気が漏れにくくなるため、漏電による感電事故の防止などに有効です。絶縁コーティング剤の塗装方式としては、スプレーやディップなど一般的な方式以外に、膜厚の均一に優れた静電塗装法や電着塗装法なども普及しています。

絶縁コーティング剤の使用用途

絶縁コーティング剤は、主に自動車や家電製品など、高電圧がかかる製品の部品の絶縁処理に用いられます。絶縁コーティング剤を用いてコーティングすると、電圧に対する耐性を高めることが可能です。

例えば、電気自動車やハイブリッド車は動力として電気を利用しているため、バッテリーやモーターなどの周辺部品に高い電圧耐性が要求されます。電圧に対する耐性が不十分だと漏電が生じる可能性があり、場合によっては火災などの事故の原因となります。事故防止の観点からも、絶縁コーティングは重要な加工です。

絶縁コーティング剤の原理

絶縁コーティング剤は、絶縁性の高い絶縁体を対象物の表面にコーティングする製品です。絶縁体は電気を通さない物質であるため、耐電圧性が要求される対象物に使用できます。物体における電子のエネルギー準位には、価電子帯と禁制帯、そして伝導帯の3つが存在します。

この3つの中では、価電子帯、禁制帯、伝導帯の順に高いエネルギー準位です。一般に電子は、エネルギーが低い価電子帯からつまる性質があります。導電性に大きく影響するのは、エネルギーが高い伝導帯の電子です。金属などの導電体では、一部の電子が伝導帯に存在しています。この伝導帯の電子が自由に動くことによって、電気が通る状態となります。

一方で、絶縁体では、価電子帯に電子が存在しますが、伝導帯には存在しません。電子は光や熱のエネルギーを用いて、低いエネルギー準位から高い準位に励起することが可能です。

絶縁体は価電子帯から伝導帯まで電子を励起するために、多大なエネルギーを必要とする性質を持っています。このため、実質的に電子を伝導帯に励起することが難しく、電気が通らない状態となります。

絶縁コーティング剤のその他情報

1. プリント基板への絶縁コーティング剤の適用

プリント基板において、耐久年数よりも早期に故障の原因となるのが錆です。対策として、防湿絶縁コーティング剤が使用されています。これにより長期間の使用が可能で、安定稼働を実現しました。しかしながら、高い需要があるにも関わらず、様々な要因から安定した生産ができなくなりました。

最も大きい課題は乾燥時間の長さです。防湿絶縁コーティング剤の乾燥時間は24時間とされており、大量生産に適したコーティング剤ではありません。生産性の悪さが需要にマッチしていない状況となりました。その対策として、加熱温度を高める事により乾燥時間の短縮を狙いましたが、設備の増設やランニングコストの増加といった別の課題が生まれました。製品自体への負担も大きい結果となり、実現化には至りませんでした。

その課題を解決し、安定した量産を実現したのがフッ素系コーティング剤です。高い速乾性能を誇り、15分で完全乾燥に至ります。従来の24時間に比べ、大幅な乾燥速度の短縮が可能となり、生産効率の向上が達成されました。

従来より低温かつ低膜厚で性能を発揮できる事から、ランニングコストの削減も見込めます。肝心な皮膜性能も、防湿絶縁性はもちろん柔軟性や防水性、耐熱性で問題の無いスペックとなります。

2. 絶縁コーティング剤の将来性

電気自動車の普及が進む中、その部品形状は複雑化の一途を辿っており、より均一にコーティングできる技術が求められています。電着塗装法においては、コーティング液の組成変更での改善が進められています。

積算電流計

積算電流計とは

積算電流計とは、電流の時間的な積算値を計測する装置です。

積算電力計とも呼ばれ、使用された電力や発電量などを調べる際に用いられます。一般家庭にも必ず設置されている機械で、消費した電力を計算して毎月の電気料金を算出しています。電力に比例したトルクを発生させ円盤を回転させることで、回転数を積算電流値として算出しています。しかし、近年では円盤を用いない電子式の積算電流計も開発されており、計測精度が上がっています。

積算電流計の使用用途

積算電流計は様々な場所の電力を計測するために用いられますが、最も身近なのは家庭用の電気メーターです。積算電流計は工場や大型の発電所の他にも家庭用として一家に一台は必ず設置されているのです。その目的は家庭内で消費される電力の計算です。毎月の消費電力は積算電流計によって計算され、電力会社はその値を元に電気料金を設定します。一般的に使用されているアナログ型の積算電流計は、有効電力のみ計測することができて便利ですが、振動や衝撃に弱いので取り扱いに注意が必要です。

積算電流計の原理

積算電流計は家庭用の消費電力計測器として広く用いられてきました。これは主に機械式のアナログ型の機械でしたが、近年はデジタル型の電子式も登場しています。ここでは、この二つの原理や特徴についてご紹介していきます。

機械式積算電流計

円盤の回転数から機械的に電力を計測する積算電流計です。電圧用のコイルと電流用のコイルによって電力に比例するトルクが生まれ、これが円盤を回転させます。この円盤の回転数が積算電力となって測定されるのです。昔から広く普及されているものですが、円盤を使用しているため小型化が難しいことが欠点です。また、振動や衝撃に弱く、取り扱いに注意が必要です。

電子式積算電流計

機器に内蔵された電気回路より電流と電圧を計測し、電力を算出する積算電流計です。円盤のように機械的な構造が必要ないため小型化が可能で、小さなスペースにも設置することができます。また、計測精度が高く、長期間使用することも可能です。また、時間ごとの消費電力を記録しておくことができます。これにより停電情報を記録したり、電力を使いすぎている時間を調べることもできます。エネルギーを節約することにも繋がる上、発電設備がある家庭では時間ごとの発電量を確認することができます。

参考文献
https://electric-facilities.jp/denki4/wh.html
https://as76.net/asn/watt_hour_m.php

磁気バレル研磨機

磁気バレル研磨機とは

磁気バレル研磨機とは、磁力を利用して振動や回転を行い、研磨作業を行う機械のことです。

磁気バレル研磨機の特徴は、磁気を帯びた砥粒を用いて対象物の表面を研磨する点にあります。砥粒は磁力によりさまざまな動きをさせられ、対象物に衝突することで表面が徐々に磨かれていきます。

磁気バレル研磨機の優れた点は、複雑な形状のものでも簡単に研磨できることです。また、特別な技術が不要で誰でも簡単に作業ができるため、幅広い用途に対応が可能です。さらに、研磨時間も短く、効率的な作業が可能となります。

磁気バレル研磨機の使用用途

磁気バレル研磨機の主な使用用途は、金属のバリ取りや表面のつや出しです。高速回転による砥粒の衝突が効果的に磨き上げます。複雑な形状のものでも十分に研磨できるため、通常の研磨機が対応できない入り組んだ形状や微少な金属部品にも適しています。

さらに、磁気バレル研磨機は短時間で研磨作業を行う際にも優れた性能を発揮することが可能です。専門的な技術が不要で、研磨スピードも速いため、誰でも簡単に使用できます。利便性の高さから、多くの業界で重宝されています。

磁気バレル研磨機の幅広い使用用途は、その特性や使いやすさによるものであり、短時間で効率的な研磨作業が可能です。複雑な形状の対象物や限られた時間での研磨が求められる場面で重宝されています。

磁気バレル研磨機の原理

砥粒を運動させる方法として、振動式や回転式などがありますが、主に使われているものは回転式の磁気バレル研磨機です。回転式磁気バレル研磨機は、磁力を利用して研磨砥粒を回転させ、対象物にぶつけて研磨します。

研磨機には容器があり、その下部に磁石と回転盤が取り付けられている点が特徴です。容器には研磨対象、磁性砥粒、水、コンパウンドが充填されます。磁石が回転盤と共に回転することで、容器内の磁性砥粒が激しく動き、研磨が行われます。

コンパウンドは界面活性剤で、対象物の表面を洗浄しながら研磨することが可能です。磁気バレル研磨機の最大の利点は、研磨作業が簡単であることです。容器に材料を入れ、スイッチを押すだけで自動的に研磨が始まります。熟練の技術は不要で、効率的な研磨が短時間で可能になります。

磁気バレル研磨機の種類

磁気バレル研磨機は原理の節で紹介した回転式磁気バレル研磨機以外にも、振動式磁気バレル研磨機、セントリフューガル磁気バレル研磨機、磁気ディスク研磨機などが存在します。それぞれの機種は独自の原理や特徴を持つため、用途に応じて選択することが重要です。

1. 振動式磁気バレル研磨機

振動式磁気バレル研磨機は、磁力を利用して研磨砥粒を振動させ、対象物にぶつけて研磨します。研磨時間が短く、研磨力が強いため、大量の研磨作業や硬い素材の研磨に適しています。

2. セントリフューガル磁気バレル研磨機

セントリフューガル磁気バレル研磨機は、磁力と遠心力を利用して研磨砥粒を高速回転させ、対象物にぶつけて研磨します。非常に高い研磨力を発揮するため、大量の研磨作業や短時間での高品質な研磨が求められる場合に適しています。

3. 磁気ディスク研磨機

磁気ディスク研磨機は、磁力を利用して研磨砥粒をディスク状に配置し、対象物をディスク上で回転させながら研磨します。平面研磨や薄い部品の研磨に特に適しています。

また、磁気ディスク研磨機は研磨力を調節しやすく、繊細な研磨作業にも対応可能です。さらに、ディスクの交換が容易であるため、異なる目の粗さの研磨砥粒を用いた研磨もスムーズに行えます。

参考文献
https://www.tipton.co.jp/barrel/barrel-guide/kind/
https://www.leybold-kk.com/media/2018/03/22/24