ロボットアーム

ロボットアームとは

ロボットアーム

ロボットアームは産業用ロボットのうち、人間の手の動きに似せた形のロボットです。

ロボットの構成として、主に6軸の回転軸とリンクで構成されるマニピュレータ部、荷物をつかむハンド部、ロボットの制御や現状確認を行うコントローラ部に分かれます。

ロボットを導入する際には、作業員の安全のために安全柵を設けなければなりません。ただし協働ロボット (協調ロボット) と呼ばれるロボットは、リスクアセスメントを実施し、適切なリスクレベルまで運用することができれば安全柵は必ずしも必要ではありません。

ロボットアームの使用用途

ロボットアームの種類はリンクの接続方式によってシリアルリンクとパラレルリンクに分かれます。リンクが直線的につながっているのがシリアルリンクで、並列につながっているのがパラレルリンクです。

シリアルリンクロボットとパラレルリンクロボット

図1. シリアルリンクロボットとパラレルリンクロボット

シリアルリンクロボットはリンクの先に次のリンクが直列につながっているロボットです。可動範囲が広く、人の手のように斜め方向からアプローチして作業できることが特徴です。シリアルリンクロボットは、自由度が高い動きを活かして、次のような用途で使用されています。

1. 溶接

自動車のボディなどを部材の金属を溶かして接合させる作業です。ロボットが行うことで、正確でばらつきの少ない溶接が可能になり、品質向上が期待できます。

2. 組立

つかんだ部品を別の部品に組付けたり、ねじ締めなどを行う作業です。垂直多関節ロボットは人の手で行う作業も対応できるため、熟練の職人技のような作業を正確に再現することができます。

3. 塗装

垂直多関節ロボットの手先に取り付けたスプレーガンで、自動車のボディなどに色を塗る作業です。

パラレルリンクロボットはベースからリンクが並列に出ており、その先に手先が付いているロボットです。パラレルリンクは動きが速いのが特徴で、次のような用途で使用されています。

1. 箱詰め

ベルトコンベヤで流れてきた食品 (個別包装されたお菓子など) をプラスチック製のトレーに詰める作業

2. 検査

天井から吊り下げたカメラで部品の品質OK/NGを判定し、次の工程に流すか流さないかを振り分ける作業

ロボットアームの原理

産業用ロボットは動作を行い作業するマニピュレータ、マニピュレータを動かして制御するロボットコントローラ、マニピュレータに動作を教えるティーチングペンダントの3要素で構成されています。

産業用ロボットの構成要素

図2. 産業用ロボットの構成要素

シリアルリンクのマニピュレータは、リンクと回転軸で構成されています。回転軸は6つあり、それぞれACサーボモータが駆動源であることが一般的です。この6つの軸は、それぞれ次のような動きをします。

1.旋回: 体全体を旋回させる
2.下腕: 下腕を動かして、体を前後に動かす
3.上腕: 腕を上下に動かす
4.手首旋回: 腕を回転させる
5.手首曲げ: 手首を曲げる
6.手首回転: 手首を回転させる

マニピュレータの6つの軸

図3. マニピュレータの6つの軸

ロボットアームのその他情報

1. ロボットアームのプログラミング

ロボットが動作を行う際、ロボットコントローラにマニピュレータの手先の位置座標 (X, Y, Z) 、および手先の回転座標 (Rx, Ry, Rz) が与えられます。その手先位置と回転角度に一致するように各軸のモータが動くことで、ロボットは所望の動作を行うことができます。

ティーチングペンダントでロボットに位置を教示する
ティーチングペンダントは、ロボットに位置を記憶 (教示) できる入力装置です。キーボードやタッチパネルを使ってロボットを直接動かし、その姿勢をロボットに教示、再現させることができます。

従来の産業用ロボットのティーチングペンダントは操作には慣れが必要でした。近年は、ダイレクトティーチングと呼ばれる手法で、初心者でも簡単にティーチングができるようになっているロボットも出てきました。

パソコンで座標をプログラミングする
パソコンでプログラミングし、ロボットの座標を指定する方法です。

これまではC言語などのコーディング型のプログラミングが主流でしたが、コーディングはプログラミング自体に習熟する必要があり、プログラムのデバッグに多くの時間がかかるのが課題でした。

近年では、シミュレータ型のプログラミングツールを提供するロボットメーカーが増えました。これは、ロボットのモデルをPC上に映してPC上のロボットを操作することで座標を教示させるプログラミングツールです。ロボットの動きが視覚的に分かり、コーディングに習熟しなくてもロボットの動きを教示できることが特徴です。

画像認識で座標を認識させる
上部からカメラで撮影を行い、ロボットが次に動作すべき場所を判断し、その座標を自動で算出します。この方式はバラ積みピッキングで使用されています。バラ積みピッキングとは箱の中にランダムに積まれている部品を掴み、次の工程のベルトコンベヤに流したり箱詰めしたりする工程です。

画像認識は毎回ロボットが動作すべき座標が変わる作業において有効ですが、システム構築のためのコストがかかるところに留意しましょう。

2.産業用ロボットアームの役割

産業用ロボットアームは工場や製造現場、物流センターなど、様々な業界で普及が進んでいます。人の代わりに夜間や休日も休むことなく作業を行えるのがロボットアーム導入のメリットです。これらのユーザーにとってロボットアームは人手不足を解消する省人化・省力化や、生産性向上に貢献することが期待されています。

生産現場で起こるミスの多くは人的ミスと言われており、人的作業では品質にバラツキや効率の低下もつながると考えられます。産業用ロボットアームを導入すると人的なミスが抑制され、作業の品質や製品の品質を一定に保つことができます。また、生産履歴データが残るため、品質の改善に向けて分析をしたり、クレーム対応の迅速なフィードバックも実現可能です。

さらに、怪我のリスクや事故の可能性が考えられる危険物の取り扱いや高所での作業、重量物の搬送などの重労働、精密さが求められる作業などをロボットが担うことで、従事者の安全確保と労働環境の改善につながります。

レンチキュラーレンズ

レンチキュラーレンズとは

レンチキュラーレンズは、断面がかまぼこのような形をした凸レンズのことであり、一般的に細長い凸レンズが複数本連なってシート状になっているものが多いです。レンチキュラーレンズを画面に貼り付けた状態で、視差のある画像や映像を画面に表示することで、裸眼での立体視を実現することができます。

レンチキュラーレンズの使用用途

主な用途としては、「裸眼での3D立体視」と「見る角度によって絵柄の変わる2D画像の作製」が挙げられます。お土産品などで目にする、見る角度によって見える絵柄が変わるカードやキーホルダーなども、表面にレンチキュラーレンズが貼ってあるため、このような現状が起こっています。最近では、3D用メガネを必要としない裸眼立体視ディスプレイなども製品化されてきています。

レンチキュラーレンズの原理

レンチキュラーレンズは、PETやアクリルなどの素材で作られていることが多く、断面形状がかまぼこのような形をした細長い凸レンズを連ねてシート状にして使用します。このシートを貼る、もしくはこのシートの裏面に直接印刷を行うことで、「立体視」や「見る角度によって見える物が変わる」といった効果を得ることができます。
これは、レンチキュラーレンズで光が屈折することにより生み出されます。この効果を得るためには、レンチキュラーレンズの一つ一つの凸レンズと対象となる画像や映像の位置が正確にあっていることが重要です。位置がズレてしまうと、上手く効果を得ることができません。レンチキュラーシートは、シート表面の目の細かさついて、「lpi」という数値を用いて表しているため、このピッチに合わせた画像や映像を作製することが重要となります。(例えば、30lpiであれば、1インチあたりにレンズ30本、100lpiなら1インチあたりに100本のレンズがあるということを表します。)

また、レンチキュラーレンズの屈折率により視野角が変化し、これは線数に対する厚みの比率で角度が決まります。同じ線数の場合は、厚みがあるほど奥行きのある3D向きのレンズとなり、逆に薄いレンズほど2D向きになります。

レンチキュラーレンズの適用例

レンチキュラーレンズの適用例

レンチキュラーレンズを液晶ディスプレイに適用した例を図に示します。

「見る角度によって絵柄の変わる2D画像」を液晶ディスプレイで実現したものは「2画面ディスプレイ」とも呼ばれ、例えば車載用のセンターインフォメーションディスプレイ(CID)として用いると、運転席側にはカーナビゲーション画像、助手席側には映画等のエンターテインメント映像を単一のディスプレイで同時に生成することが可能となります。 また、裸眼での3D立体視ディスプレイとして用いる場合は、左目用と右目用に適合した視差のある2種類の画像を生成し、それぞれの画像データを表示する画素からの光がユーザの左目と右目の方向に分離するようにレンチキュラーレンズの条件を調整します。

参考文献
https://coburn.jp/filmpaper/lenticular/lenticularlens/
https://www.lenticular.jp/lens/

リリーフバルブ

リリーフバルブとは

リリーフバルブ

リリーフバルブとは、ポンプなどの圧力が異常値となった際に、パイプや機器の破損を防止するために圧力を逃がす安全装置です。

通常の圧力時にはバネの力でバルブを閉じていますが、配管内圧力がスプリングよりも強い力となった際にバルブが開きます。燃料やオイル、空気などをバイパスして圧力を開放します。バルブの開く圧力はバネの強さとバルブの受圧面積で決まります。

リリーフバルブは正確に設定され、適切に保守される必要があります。定期的な点検やテストを行い、リリーフバルブの動作が適切であることを確認することが重要です。

リリーフバルブの使用用途

リリーフバルブは、液体の異常圧力上昇を防止する目的で使用されることが多いです。以下はリリーフバルブの使用用途一例です。

1. 自動車

自動車では、カーエアコンなどにも使用されます。カーエアコンのシステム配管内の圧力が設定値よりも高くなった際に、リリーフバルブで減圧を行います。

また、ガソリンエンジン自動車の場合は、内部駆動用の動力に油圧を使用していることがあります。油圧ユニットのオイルフィルタ内にはリリーフバルブがあり、フィルタが詰まった際に油をバイパスします。

オイルパンにたまったオイルを汲み上げるオイルポンプの出口にリリーフバルブを設置して、圧力が高まった際に圧力を逃す用途にも用います。

2. ガス供給

プロパンガスなどの供給においても、リリーフバルブが使用される場合があります。身近な例はバーベキュー用プロパンガスなどです。バルブが開放されることで、ガス圧力が設定された範囲内に維持されます。

3. 製造業

製造業においては、油圧システムや化学プラントなどに使用されています。 油圧システムではリリーフバルブがシステム内の油圧を制御し、システムの安全性を確保します。油圧ポンプやアクチュエータに異常な圧力がかかった場合、リリーフバルブは圧力を逃がしてシステムの破損を防ぎます。

また、化学プラントでは異常な圧力上昇を監視するためにリリーフバルブが必要です。化学反応器や貯蔵タンクなどの装置内の圧力が制御され、爆発や破裂などを防止します。

リリーフバルブの原理

リリーフバルブは、ポンプなどの圧力が異常値となった際に、圧力を開放して圧力の上昇を防止します。リリーフバルブの構成部品は調整ネジ、プッシュロッド、スプールなどです。

通常の圧力では、スプールと呼ばれる部品をバネで押し付けています。入力側の圧力が上昇してスプールを押す力がバネの力よりも大きくなると、スプールを押して回路から圧力を逃して圧力異常を防止します。

リリーフバルブの設定圧の調整は、調整ネジを回すことで行います。リリーフバルブの設定圧はバネの強さとバルブの受け圧面積で決まります。

バルブや弁の形状、バネの力、設定圧力などによって動作します。設定圧力を超えると、バルブが開いて圧力を解放し、安全な圧力範囲に制御します。また、リリーフバルブはシステム内の圧力変動に応じて繰り返し作動することがあります。

リリーフバルブのその他情報

リリーフバルブと安全弁の違い

大きな意味ではどちらも安全弁に属しますが、機能の違いで安全弁とリリーフバルブに分けられます。安全弁は設定圧力になった場合、弁体が瞬時に全開して圧力を逃がします。

リリーフバルブは設定圧力になると弁体が開き始め、圧力の上昇とともに開度が大きくなります。一般的に安全弁は蒸気や気体で使用され、危険圧力になるとすぐに開放し、事故を防止することを目的とします。

液体で使用され、圧力調整や誤作動による圧力上昇防止が目的です。また、ポンプの出口に設置して圧力調整や締め切り運転による圧力上昇防止を行うポンプリリーフ弁があります。

また、安全弁とリリーフ弁の機能を併せ持ち、気体・液体両方に使用できる安全逃し弁もあり、使用用途と使用環境に合わせて選択します。

参考文献
http://www.ishinotec.com/
https://www.hitachihyoron.com/jp/pdf/1966/12/1966_12_12.pdf

リフティングマグネット

リフティングマグネットとはリフティングマグネット

リフティングマグネットとは、磁石の吸引力により物体を吸着する装置です。

名称を省略してリフマグと呼ばれる場合もあります。リフティングマグネットは主にロボットアームなどの可動機器の先端に装着され、磁石で吸着可能な物体の持ち上げや搬送に利用されます。

2指平行グリッパのように掴むことのできる対象の物体の形状が限定されず、1つ以上の平面を有する磁性物体であれば吸着が可能であるため、鉄製品を扱う工場などで汎用的に使用されています。

リフティングマグネットの使用用途

リフティングマグネットは磁力により物体を吸着する装置であり、電磁式と永磁式の2つのタイプが存在します。

電磁式のリフティングマグネットは磁力の強さを自由に設定できるため、一定の枚数の鋼板を搬送する装置などに使用されています。

永磁式のリフティングマグネットは配線や整流器などの電気設備が不要なため、比較的小型なハンドクレーンの先端や作業テーブル上のチャック機構として使用されます。

永磁タイプはON/OFF切り替え動作のみ電動化した永電磁式というタイプが多く使用され、停電時の落下を防止できる点や消費電力が小さい点で優れています。

リフティングマグネットの原理

電磁式のリフティングマグネットは内部に電磁石が備えられており、通電することにより物体を吸着します。また、電磁石を流れる電流量を制御することで吸着力を調整することが可能です。

永磁式のリフティングマグネットは内部に永久磁石が固定されており、手動で磁石の方向を90度回転させることにより吸着力を発揮します。永電磁式タイプではこの切り替えをサーボモーターなどの電動機器により行っています。

リフティングマグネットは磁力により物体を吸着するため、磁性材料である鉄・コバルト・ニッケルを主成分とした物体を吸着することが可能です。ただし、合金などの主成分が1種類でない材料の物体を吸着しようとする場合はその組成により吸着力も変化するため注意が必要です。

磁性材料でないアルミ材料の合金は当然吸着できませんが、鉄の合金であるステンレス鋼は吸着できるものとできないものがあります。一般的に使用されるステンレス鋼であるオーステナイト系のSUS304材は吸着できませんが、フェライト系やマルテンサイト系のステンレス鋼は吸着することができるなど、吸着したい物体の材料によって適切なリフティングマグネットを選定する必要があります。 

参考文献
https://www.sanshin-kk.co.jp/product/unit301.htm
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/079/
https://www.sunco.co.jp/neji/reference/02_q04.html

リフタ

リフタとは

リフタ

リフタ (英: lifter) とは、重い物体を持ち上げたり下ろしたりするために使用される機械や装置です。

製品を積載したパレットや箱詰め製品を上昇させる工業用装置を指して、リフタと呼ばれることが多いです。機械的な力を利用して、物体を持ち上げることができます。モーターや油圧システムを使用して力を発生し、それを伝える仕組みを備えています。

したがって、人力では運搬不可能な重量物を持ち上げることが可能です。また、物体を確実かつ安全に持ち上げるために、安全装置や制御機構が組み込まれています。事故や怪我のリスクを最小限に抑えるように設計されており、安全性向上にも寄与します。

リフタを使用することで重量物の昇降作業が容易になるため、作業の効率化や省人化、腰痛リスクの軽減などが主なメリットです。

リフタの使用用途

リフタはさまざまな産業・分野で使用されます。主な分野は物流業界、建築業界、製造業などです。

1. 物流業界

物流業界では、倉庫内での物品の運搬や保管作業に広く使用されます。パレットリフタやフォークリフトなどのリフタは、重い物体を効率的に持ち上げて移動することが可能です。また、棚の配置や積み下ろし作業にも活用されます。

2. 建築業界

建設現場や重機産業においても重要な役割を果たしています。クレーンリフタなどは大型の建材や機械を持ち上げるために使用されます。これらのリフタを活用して、建設現場での物資の配置や運搬がスムーズに行われます。

3. 製造業界

製造業界では、リフタが製品の組み立てや梱包などのプロセスで使用されます。自動車産業では、車体の持ち上げや部品の取り扱いにリフタが利用されます。また、製造ライン上での物品の移動や位置調整にも使用されることがあります。

リフタの原理

リフタは、機械的な力やエネルギーを利用して重い物体を持ち上げるために設計されます。動力源や持ち上げ用治具、制御機構などで構成されます。

まず、動力源からエネルギーを供給されます。一般的な動力源にはモーターや内燃機関、油圧システムなどがあります。動力源から供給されるエネルギーは、適切な機構を介して運搬力に変換されます。

また、リフタには持ち上げる物体に適した部品が組み込まれています。フォークリフトではフォークが使用され、クレーンリフタではフックや吊り具が備わっています。用途に応じて付け替えることも可能です。

制御機構が組み込まれる場合もあります。制御機構によってリフタの操作や運動を制御し、安全性や正確性を確保します。

リフタの種類

リフタにはハンドリフタ、電動リフタ、油圧リフタ、テーブルリフタなどの種類が存在します。

1. ハンドリフタ

手回しハンドルや滑車によって、小さな力で重量物を上昇できるリフタです。製品の積載のために上昇と移動の機能は同時に必要になる場合が多く、大半の製品は移動するためのキャスターが設けられます。

ハンドリフタは人力以外の動力源を必要としないため、使用場所に制約がありません。また、電力や燃料のコストがかからないため、価格もランニングコストも比較的低い点が特徴です。

2. 電動リフタ

ハンドリフタのハンドル部分をモータに置き換えた構造のリフタです。動力源としてバッテリーを備えた製品もあり、あらかじめ充電することで、移動式台車として使用することが可能です。電動のため、作業の効率化や省人化に寄与します。

3. 油圧リフタ

油圧の力によって対象物を持ち上げるリフタです。電動で油圧をコントロールするタイプや足踏みペダルで加圧するタイプがあります。

重量の大きい対象物を昇降するために使用されることが多いです。ただし、大きいストロークや上昇速度が必要な場合には不向きです。

4. テーブルリフタ

テーブルを昇降させて作業に適した高さに変えることが可能なリフタです。箱詰めされた製品を上昇するために使用される場合があります。

テーブルリフタは移動する必要が無く、動力源は配線または配管接続することが可能です。工場内のエア配管をエアシリンダと接続することで、空気圧リフタとして使用する場合もあります。 

参考文献
https://www.makitech.co.jp/conveyor/index-5.html
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/772/ 

シリコンラバーヒーター

シリコンラバーヒーターとは

シリコンラバーヒーター (英: Silicon Rubber Heater) とは、シリコンゴムを使用したシート状のヒーターです。

一般的なニクロム線のヒーターと同様に、電流を流すことで面全体が加熱されます。2mm以下に設定可能な薄さに加えてゴム材料の特徴である柔軟性を有しているため、狭幅部や曲面の加熱に適しています。また、シートの形状も自由に設計できるので、被加熱物の形状に合わせた形状が選択可能です。

設定温度は60℃から300℃程度まで設定可能であり、円筒容器やパイプの加熱や紙・プラスチックなどのヒートシールに使用されます。

シリコンラバーヒーターの使用用途

シリコンラバーヒーターは柔軟性と高い熱伝導性から、さまざまな使用用途で利用されます。

1. 自動車分野

自動車においては、バッテリーの温度管理や自動車内のシートヒーターなどに使用されます。デフロスター (除霜) システムなどでも利用される場合があります。また、寒冷地や冬季の低温環境では、エンジンオイルの温度を適切に制御するために使用する場合もあります。

2. 医療分野

医療現場では、医療機器の保温や温熱療法に使用されます。血液温度制御装置や熱療法パッドなどがその一例です。また、早産児や病弱児の保温環境を提供するインキュベータにも使用されます。

3. 製造分野

製造業では、さまざまなプロセスで加熱のために使用されます。溶接の前処理やラミネート加熱などが代表例です。また、発火の恐れが小さい点や、ニクロム線ヒーターと比較して省スペースな点から、航空宇宙分野でも採用の実績があります。 

シリコンラバーヒーターの原理

シリコンラバーヒーターは、2枚の薄肉シリコンゴムシートの間に一定間隔で折り返した抵抗線を挟み込んだ構造です。シリコンラバーヒーターの端部では抵抗線の両端部がリード線と接続されており、リード線に電圧を印加すること加熱することができます。

抵抗線にはニッケル合金であるニクロム線や、炭素などが使用されます。電流が流れると抵抗を生じ、その結果として熱が発生します。

リード線の材質は銅が最も一般的です。銅は高い電気伝導性を持ち、信号や電力の効率的な伝達が可能です。また、柔軟性にも優れており、加工や取り扱いが容易となっています。

シリコンラバーヒーターの発熱能力は、出力ワット数を面積で割ったワット密度という値で表されます。ワット密度は抵抗線の発熱量や配置密度に依存し、およそ0.1~2W/cm2の発熱能力の製品が展開されています。

シリコンラバーヒーターの種類

シリコンラバーヒーターには、使用用途合わせて穴あけや、丸型、金属発熱体のパターン設計に合わせたものの作成などができますが、代表的なものは下記の2つです。

1. シリコンヒーターパッド(角形)

一般的なタイプで、フレキシブルで均一な熱を発生させることができます。平面で使用することはもちろん、様々な形態に対応可能で、配管、食品、薬品などに使用されます。

2. シリコンヒーターバンド

管やシリンダーなどの円形または円筒形のオブジェクトを温めるために使用されます。これらのバンドは対象物の周囲に巻き付けられ、必要な温度を維持するために設計されています。またドラム缶やタンクなど比較的大きなものに対応しているものがあります。

シリコンラバーヒーターの選び方

シリコンラバーヒーターを選ぶ際には、設置条件や発熱能力を考慮します。

1. 設置条件

どのような対象物やプロセスを加熱する必要があるのかを明確に把握します。加熱する対象物の形状やサイズを考慮し、厚さや大きさを選定します。また、使用環境によっては耐久性と耐環境性を持つシリコンラバーヒーターを選ぶ必要があります。

2. 発熱能力

各メーカーからシリコンラバーヒータの発熱能力と空気中での温度変化のグラフが提供されています。そのため、使用する際には目標加熱温度と到達時間、被加熱物の熱伝導係数などから電熱計算を行います。計算結果からシリコンラバーヒーターの発熱能力を決定します。

ただし、シリコンラバーヒーターの到達温度は周囲温度や被加熱物との密着状態によって変化するので、厳密な温度設定をしたい場合には別途サーミスタやコントローラーなどを用意して制御システムを構築する必要があります。

参考文献
https://www.om-heater.jp/whatssrh/index.html
https://www.threehigh.co.jp/blog/2017/09/silicon-rubber-heater-calculation.php 

ラインヒータ

ラインヒータとは

ラインヒータ (英: line heater) とは、ハロゲンランプの光をライン状に集光するヒータです。

ラインヒータは、対象物を1,000℃以上の高温に加熱できます。投入電力の85%以上が赤外線に変換されて放射される高効率な放射加熱源です。熱容量の小さなフィラメント (タングステンなど) を発熱体とするため、非接触で素早くヒータの昇降温ができます。

非接触加熱であり、熱源からのガス放出の影響を受けずクリーンな環境を保ち、大気中や真空中などの加熱雰囲気は選びません。高出力であるにも関わらず小型で軽量なため、狭い場所でも設置することができます。

ヒータを使用して、水や空気などを配管の途中で加熱するヒータもラインヒータの1つですが、本記事では主にハロゲンランプを使用したヒータについて説明します。

ラインヒータの使用用途

ラインヒータは他の熱源と比べて、非接触で素早く昇降温の制御ができます。そのため、半導体デバイスの製造プロセスや樹脂素材、機械材料の部分加熱などに用いられます。

大気圧から高真空まで使用できるため、半導体では、酸化膜形成やイオン注入後の活性化を行うことが可能です。また、熱可塑性樹脂の加熱源としても使用できます。自動車製造では、シャーシなどの自動車のパーツを作る鋼板の熱成形などが用途です。

その他、太陽電池モジュールのタブストリング工程、真空中や高純度ガス雰囲気内での加熱、ソーラセルパネルのハンダ付けなどにも使用されています。また、各種フイルムの製造工程、樹脂シート裁断時の補助加熱、曲げ加工の予備加熱、コンベアラインの熱源などにも有用です。

ラインヒータの原理

ハロゲンランプは、電球内部に窒素やアルゴンに加え、微量のハロゲンガス (臭素やヨウ素など) を加えたランプのことです。ハロゲンランプの内部にはタングステンなどのフィラメントが挿入されており、電流を流すことでフィラメントが発光します。

フィラメントからはタングステン原子が蒸発しハロゲンガスを封入することで、タングステン原子とガスが結合し、ハロゲン化タングステンを形成します。形成されたハロゲン化タングステンはフィラメント付近で、再びハロゲンとタングステン原子へと解離するサイクルを生み出し、定常的に稼働可能です。

フィラメントから発せられた赤外光は、ミラーを用いて集光あるいは平行光へと変換され、対象物へ照射されます。対象物を1,000℃以上の高温に加熱することが可能なため、高強度の赤外光による非接触加熱が実現されます。

ラインヒータの種類

ラインヒータには、ハロゲンランプを使用するヒータと、ヒータを使用して配管中の空気・ガス・液体・スチームなどの加熱を行うヒータがあります。

1. ハロゲンラインヒータ

ハロゲンランプの光を集光したヒータです。ミラーで集光するタイプと平行光タイプがあります。ミラーで集光するタイプは、焦点距離が20~100mm程度の各種類があります。焦点距離が短いほど加熱温度は高くなります。

冷却方式には、自然冷却、空冷式、及び水冷式があります。長物の樹脂ロールなどを溶断するための加熱・予熱や、工場でのラインで一定時間加熱する用途及び半導体の製造ラインなどに適しています。ラインヒータを並べて使用すれば、面加熱も可能です。

2. 配管のラインヒータ

空気・ガス・液体・スチームの加熱に使用するヒータです。配管の途中にラインヒータを挿入することで、簡単に加熱ができます。コンプレッサー・ファン・ブロワ-・ボイラーに直結しても使用可能です。

屋内型・屋外型・端子冷却型の3つのタイプがあります。いずれも、本体のケースにヒータエレメントを挿入し、流体を入口から出口へ流して、ヒータと熱交換させます。温度コントロールと過熱防止用の熱電対などを取り付ける差込口が付いています。

使用例は、水熱源ヒートポンプ式チリングユニットや温水ボイラーの暖房能力の補助用途です。空調機への配管の途中にラインヒータを設置して温水の温度を上げます。

参考文献
https://sky.senden.co.jp/ebook/pdf/14.pdf
http://fintech-east.com/product30.html
https://www.ushio.co.jp/jp/products/1071.html

メッシュパレット

メッシュパレットとは

メッシュパレット

メッシュパレットとは、金属製の網で出来た箱は、メッシュパレットと呼ばれる輸送容器です。

金属製の網状の板を組み合わせて構成されており、箱の形状であることから、メッシュボックスやメッシュコンテナ、網カゴとも呼ばれます。また、パレティーナや網パレットなどとも呼ばれています。

倉庫内や建築作業現場などで、金属製の網で出来た箱に荷物を入れて運搬しているのを目にしたことがあるかと思います。

メッシュパレットの基本的な構造

メッシュパレットの基本的な構造は、図1に示すように、金属製の網状の板を組み合わせて搬送台となる部分に対向する上面が開口部となっている構造です。

メッシュパレットの基本的な構造

図1. メッシュパレットの基本的な構造

箱状であることから、内部に荷物を収納して、荷物の運搬や保管および整理などに使用されます。金属製の網で出来ているため、軽量かつ堅牢であり、荷物を運搬する際の荷役台(パレット)としても、荷物を運搬や保管する際のコンテナとしても、商品をそのまま保管および陳列できるラックとしても利用される非常に便利な輸送容器です。

メッシュパレットの仕様

メッシュパレットには様々な仕様があります。大きさは、高さ、幅、奥行きで決まりますが、どのメーカーも大体同じようなラインナップを取り揃えています。

メッシュを構成する金属網の網目のピッチの大きさは、基本的に、25×50、50×50、50×100(mm)の3種類です。ピッチが細かいほど丈夫であるというメリットがありますが、ピッチが細かいほど重さが重くなることとコストもかかるデメリットもあります。

基本的な構造は図1に示したように、上面が開口している箱状ですが、図2aに示すように側面が折り畳み構造となっていて、図2bに示すように折りたたんで平らに出来るタイプもあります。

折り畳めるタイプのメッシュパレットの構造

図2. 折り畳めるタイプのメッシュパレットの構造

このように折りたためるタイプは、使用しない時は折りたたんで重ねて保管できるため、非常に便利です。また、折りたたんだ状態であれば、複数のメッシュパレットの移動も比較的容易です。

折りたたむタイプの中には、搬送台底面脚部を重ねやすい構造にし、重ねたときに安定する様にしたものもあります。搬送台の下側にフォークリフトの爪を入れる挿入口を設けたものやホイストクレーンに対応するものもあります。さらには、クレーンでの吊り上げに対応するのは、上蓋がついているタイプや、図3に示すような吊り金具がついているタイプです。

吊り上げに対応するタイプのメッシュパレットの構造

図3. 吊り上げ対応するタイプのメッシュパレットの構造

さらに、搬送台部分にキャスターがついているものもあります。キャスターがついているタイプは、押すだけで容易に移動できるのがメリットで、キャスターの位置や個数によっても使い勝手が変わるのも特徴です。

一方、キャスターがあることで安定性が下がるので、段積みして保管する際には高さに制限があります。

まとめ

メッシュパレットは、パレットとしてもコンテナとしてもラックとしても使える非常に便利な荷物輸送容器です。メッシュパレット一つで三つの用途に対応できることから、コストの削減にもつながります。箱状なので、金属や食品、書籍など、積み荷の種類や形状も選ばず、特に重量物を積載する向いています。

メッシュパレットは、本体の大きさ、網目の大きさ、耐荷重などの基本特性のほか、折りたためるタイプかどうか、キャスターの有無や位置、吊り下げるタイプかどうかなど様々な特性を持ちます。これらの特性を運搬する製品や使用用途、業務効率および予算と照らし合わせてメッシュパレットを選択して使い分けることが必要です。

なお、メッシュパレットにはメッキが施されていますが、運搬時、フォークリフトの爪などが当たり傷がつき、そこから徐々に錆びていきます。そのため、積載物を汚さず安全に運ぶためにも新品を使うことが推奨されます。 

マットスイッチ

マットスイッチとは

マットスイッチ (英: Mat Switch) とは、人が踏んだことを検知するマット状のスイッチです。

物理的な接触を利用してスイッチング動作を行うデバイスの1種です。マットスイッチはボタンやスイッチを押す必要がなく、単にマット上に立つだけで操作ができます。特に、手や指の制約がある場合や手を使うことが難しい状況でも利用できます。

また、形状やサイズが柔軟にカスタマイズできるため、さまざまな応用に適応可能です。特定の環境や用途に最適なマットスイッチを製作できます。

マットスイッチの使用用途

マットスイッチはさまざまな産業・用途で利用されます。以下はマットスイッチの使用用途一例です。

1. 工場・製造業

作業員や機械の安全を確保するためにマットスイッチが使用されます。作業員が特定のエリアに立つとマットスイッチが作動し、周囲の機械やコンベアなどの動作が停止する仕組みです。これにより、作業中の事故や怪我を防止することができます。

また、機械やロボットの操作やトリガーにも使用されます。機械のスタートボタンとしてマットスイッチを使用することで、作業員がマット上に立つと機械の動作が開始されるようになります。手を使わずに機械を制御することが可能です。

ライトカーテンやレーザースキャナのように指定した空間をスキャニングするセンサとは異なり、床面に対する負荷荷重のみを検知します。したがって、ロボットアームなどの可動部を誤検知する心配が無く、例外処理が不要であり比較的簡単に導入することが可能です。

2. 防犯

マットスイッチを床に敷き詰めることで、特定のエリアを監視することが可能です。例として、建物の出入口や窓の周りにマットスイッチを配置し、不正な侵入を検知することができます。マットスイッチが踏まれると警報が発生し、セキュリティスタッフやオーナーに通知される仕組みです。

金庫や出入り口等への侵入を検知する防犯システムなどに用います。貴重品の展示場や博物館などでも重宝されます。また、金融機関のカウンターにマットスイッチを設置し、スタッフが踏むことで緊急通報が発信される仕組みを構築することも可能です。

3. 医療・リハビリ

医療やリハビリの観点からマットスイッチを使用することもあります。手術室などの医療環境では、清潔さと衛生面の重要性が求められます。マットスイッチによってエアーカーテンなどを制御して、衛生管理に寄与します。

また、リハビリに使用されることもあります。患者がマットスイッチを踏むことで信号が発生し、歩行のパターンやステップの長さなどを評価することができます。また、マットスイッチを使用して歩行補助装置やロボットを制御することもあります。

マットスイッチの原理

マットスイッチは、ゴムなどの柔軟性のある素材で作られたマットの内部に感圧センサーを敷き詰めた構造です。マットは柔軟で耐久性のある素材で作られるのが一般的で、ゴムやシリコンが使用されます。マット素材は踏まれたり圧力を受けたりすることで変形し、下部の感圧部分へ圧力を伝えます。

感圧センサーには、テープスイッチが使用されることも多いです。人がマット上に足を踏み入れると、テープスイッチのビード部が変形し、スイッチがON状態になります。

安全装置として使用されることもあるため、テープスイッチは2線式ではなく断線状態の検知が可能な4線式が採用されることが多いです。これにより、フェイルセーフ設計 (故障時に安全側に動作する設計) が可能です。

マットスイッチの選び方

マットスイッチを選定・導入する際には、応答時間と設置面積などに注意が必要です。

1. 応答時間

マットスイッチ自体の応答時間は、数十ミリ秒以下と微小なことが多いです。ただし、安全用途などでは高い感度と素早い反応が求められます。必要な感度と反応時間を考慮し、仕様に適したマットスイッチを選びます。

2. 設置面積

人検知用のマットスイッチを誤って飛び越えてしまい、誤不動作する可能性もあります。必要な面積や配置の制約を考慮し、適切なサイズと形状を検討します。

参考文献
https://www.ojiden.co.jp/matswitch/
https://www.skdenshi.co.jp/matswitch

マグネットスイッチ

マグネットスイッチとは

マグネットスイッチ

マグネットスイッチとは、電磁石によって接点の開閉を切り替える電磁接触器と、過負荷時に回路を遮断するサーマルリレーを組み合わせたスイッチのことを指します。「コンタ(マグネティック・コンタクタの略)」や「マグネット」と呼ばれることもあります。

負荷に対して電力を供給する回路において、過負荷(過電流)時に負荷の保護装置として機能します。

類似の保護装置としてブレーカがありますが、ブレーカーが電線を保護して短絡事故を防ぐのに対して、マグネットスイッチは負荷に対する過電流を防ぎます。

マグネットスイッチの使用用途

マグネットスイッチは過電流時に動力を遮断する装置であり、定格出力の10数倍程度の電流の遮断が可能です。

この機能は主にモータの保護に利用され、断線や接点の接触不良などによるモータの欠相状態(本来3相で運転されるモータが単相で運転されている状態)を素早く検知し運転を中止させることで、過負荷によるモータの故障を防ぐことができます。

マグネットスイッチには通常主接点が3つあり、3相モータの保護に用いる場合にはスター結線やデルタ結線のコイルに接続されます。

マグネットスイッチの原理

マグネットスイッチは電磁接触器とサーマルリレーから構成されています。サーマルリレーは電流を熱で感知し過電流時にはトリップ状態になります。サーマルリレーのb接点出力を電磁接触器の電源に入れておくことで、過電流時には接点が開き電源が遮断されます。また、a接点出力は異常表示などに接続して利用することができます。

サーマルリレーが空冷されてからリセットボタンを押すと電源は復旧しますが、過負荷状態が継続していれば即座に再度電源が遮断されます。

電磁接触器には、接点の溶着を確実に検知するためにミラーコンタクトが要求されます。ミラーコンタクトとは主接点(通常使用する接点)が一つでも閉じている場合にはN.C.(ノーマルクローズ)である補助接点は開いていることが保証された機能です。ミラーコンタクトであることにより、コイルがOFFの(接点を閉じようとしていない)場合に補助接点が開いていれば主接点が溶着していると検知することができます。

参考文献
https://t-denso.com/archives/214
https://www.fujielectric.co.jp/fcs/feature/magnet.html
https://www.osako-electric.co.jp/glossary/3978/