防護柵

監修: A-SAFE株式会社

防護柵とは

防護柵とは

防護柵 (防護バリア) とは、工場での車両衝突事故を防止したり、被害を軽減するために使用されるガード類 (カードレール、フェンス、ポール、安全柵など) のことです。

多くの製造現場では、フォークリフトやAGVなどの車両が稼働しています。万一、これらの車両が作業者や生産設備と接触事故を起こせば重大な労災やダウンタイムが発生します。

これまで日本の製造現場では、社員教育やルール順守など、人を軸とした事故対策に重きが置かれてきました。しかし今日、働き手の多様化や安全カルチャーの担い手であったベテラン社員の引退が進む中、人の意識に過度に依存した安全対策の限界が認識されています。

事故が起こり得ない職場作りを進める中で、物理的な障壁として防護柵の採用が拡大しています。同じ職場に人と車両を混在させない「歩車分離 (人車分離) 」の実現に必須のアイテムです。

防護柵の使用用途

防護柵の使用用途は主に二つあります。

1. 人を守る (歩車分離)

人を守る(歩車分離)

多くの工場では床にラインを引いて歩行帯を設けたり、作業エリアと車両エリアを区分けしたりしています。しかしラインだけでは予期しない車両の侵入は防げません。 このため、防護柵で物理的な障壁を構築してガードします。

2. 資産を守る

資産を守る

生産設備、搬送機器、建物 (柱、シャッター、配管) などへの衝突事故による、生産や物流への悪影響を防ぐために使用されます。

防護柵の種類

ものづくり現場で使用される防護柵には主に3つのタイプがあり、使用環境にあわせて選択されます。

1. 簡易バリア

ボルトによる固定無しで床に設置されるバリアです。衝撃を受け止める能力は無く、視覚的な警告としてのみ機能します。一次的な注意喚起のため仮設バリアとして使用されることが多いですが、常設される場合もあります。 (後者の場合、より高い防護性能を持つバリアへの更新を検討すべきです。) 

2. スチール製バリア

従来から広く採用されている金属製のバリアです。車両衝突に対し、一定程度の防護能力を持ち、様々な寸法で提供されています。弱点は一度の衝突で変形してしまい交換が必要となることです。また、衝撃吸収性がなくそのまま床まで伝わるため、床コンクリートの損傷も頻繁に発生します。

3. ポリマー製防護バリア

近年急速に採用が拡がっている、高度な防護性能をもつバリアです。ポリマー樹脂製で衝撃を吸収し元の形に復元するのが特長です。衝突があっても交換が不要でサビや塗装の剥がれといった衛生面の懸念もありません。衝撃は吸収され床まで届かないので、コンクリートの損傷もありません。

どの程度の衝撃を想定しているかレーティングを公表しているメーカーを選択すれば、職場環境と車両スペックにあった防護性能を採用できます。

【動画】ポリマー製バリアとスチール製バリアの衝突テスト

本記事は防護柵を製造・販売するA-SAFE株式会社様に監修を頂きました。

セキュリティツール

監修: キャロルシステム株式会社

セキュリティツールとは

セキュリティツールとは、危険や脅威などから守る手段のことです。

特に情報セキュリティツールを指す場合がほとんどです。情報セキュリティは、情報通信技術の急速な普及から重要性が高まっています。

対策を怠ると、プライバシーの侵害や情報漏えいなどの危険があります。また、セキュリティ対策実施直後は問題なくとも、新しい脅威への対策を次々と講じなければならない場合も多いです。

セキュリティツールの使用用途

セキュリティツールは、主にPCやスマートフォンの情報漏洩を防止するために使用されます。昨今、IT技術を全く使用しない人はほとんどいないため、セキュリティツールは必須であると言えます。

セキュリティツールは法人・個人を問わず、積極的に導入すべきものです。現代において、セキュリティツールは社会インフラの一つと言えます。

セキュリティツールの原理

セキュリティーツールは、企業や組織における情報資産 (顧客情報や販売情報) を「機密性:Confidentiality」「完全性:Integrity」「可用性:Availability」といった観点から保護することが目的です。これらは、それぞれの英単語の頭文字をとって情報セキュリティのCIAと表現されることがあります。それぞれを以下で説明します。

1. 機密性

許可を受けた者だけがアクセス可能で、閲覧や書き換えを許可されることです。許可を受けていない者は、閲覧以外を禁止する設定を行う場合もあります。

2. 完全性

保有している情報が正確であり、情報改ざんや破壊が行われていないことです。

3. 可用性

許可を受けた者だけが常時アクセス可能で、情報提供サービスが常に動作することです。

この3つのバランスを考慮しながら、情報セキュリティ対策を行うことが大切です。

セキュリティツールの種類

セキュリティツールにおける対策には、さまざまな種類があります。

1. コンピュータウイルス対策

  • ウイルス対策ソフト導入
  • ウィルス対策ソフトの積極的な更新
  • 危険なWebサイトのフィルタリング

2. 不正アクセス対策

  • パスワード管理
  • ファイアウォール導入
  • 侵入防止システム導入
  • セキュリティソフトウェアの更新
  • ログの取得と管理

3. 情報漏洩対策

  • ファイアウォール導入
  • 顧客データなどの管理
  • 資料・メディア・機器の廃棄ルール徹底
  • 無線LANのセキュリティ設定
  • ユーザー権限管理
  • パスワード管理

また、自然災害による機器障害対策として、バックアップ無停電電源装置の導入なども検討する必要があります。

セキュリティツールのその他情報

1. 情報セキュリティとマネジメント

情報関係のリスクに備えるために、法人は情報セキュリティポリシーを定める必要があります。情報セキュリティポリシーとは、情報セキュリティの方針と規則をまとめた規定です。

定めるだけではなく、方針に沿って行動できるように人員に教育を施し、定期的にポリシー自体も見直す必要があります。こうした活動全体を情報セキュリティマネジメントと呼びます。

2. セキュリティツールの歴史

国内における情報セキュリティの転機は2000年です。省庁や公的機関のWebサイト改ざん事件をきっかけに訪れました。同年、民間企業においてはIT技術活用の初期段階であり、情報セキュリティ対策が不十分でした。

情報セキュリティの必要性が周知されたのは、2001年に民間企業へのサイバー攻撃が頻発した時です。2005年には個人情報保護法が本格的に施行され、個人情報を取り扱う企業の情報セキュリティ意識がさらに向上しました。

2007年にはWinnyやShareといったファイル共有ソフトウェアを通じて情報漏えいが発生し、内閣官房長官が国民へメッセージを発信する事態にまで発展しています。

近年ではテレワークが浸透したため、テレワークに起因するセキュリティの弱点を狙ったランサムウェア攻撃も増加傾向にあります。こうした問題を受けて現在、情報セキュリティ対策の重要性は非常に高いです。

本記事はセキュリティツールを販売するキャロルシステム株式会社様に監修を頂きました。

バックアップツール

監修: キャロルシステム株式会社

バックアップツールとは

バックアップ

バックアップとは、別のデバイスやクラウドにデータのコピーを保存する仕組みです。

クラウドとは、インターネットを経由してプラットフォーム機能を提供するサービスのことを指します。コンピュータやスマートフォンなどの電子機器は、デバイス内部にデータを保存します。

内部データやデバイス本体が破損した際は、データの復元が困難となる場合も多いです。この問題の解決手段としてバックアップツールが挙げられます。

バックアップツールの使用用途

バックアップツールには様々な使用用途があります。例えば、iphoneのicloudが挙げられます。icloudはバックアップとしても活用できるサービスです。

その他にも、LINEのトークをバックアップする機能もあります。これらはインターネット経由でのバックアップ機能ですが、インターネット不使用でもバックアップは可能です。

例として、外付けのバックアップ機器が挙げられます。バックアップ機器は、パソコンに有線で接続して内部データをバックアップ機器にコピーして保存する方法です。

この他にも、CD-RやDVD-R、USBメモリを使用する方法もあります。AndroidにはSDカードを利用したバックアップ機能が実装されているため、アプリを利用せずにバックアップすることが可能です。

バックアップツールの原理

データ保護は、一般的にUS-CERT (United States computer emergency readiness team:米コンピューター緊急事態対策チーム) が2012年の10月に公表した「Data Backup Options:3-2-1rule (3-2-1ルール) 」をもとに考えられています。

3-2-1ルールは、以下の通りです。

  • ルール3:データを保護する際は、対象ファイルの他に2つ以上のコピーファイルを作成する。
  • ルール2:データの保管先は2つ以上の異なる媒体 (クラウドやバックサップサーバーなど) を選択する。
  • ルール1:データの保管先をオフサイトにする。

これら3つのルールを遵守すると、機器の故障時もデータを保護できる可能性が向上します。近年、被害が拡大しているランサムウェアの対策にもなります。万が一、デバイスがランサムウェアに感染しても、安全に保護されたバックアップデータがあれば迅速な復旧が可能です。

バックアップの方法には、以下のような種類があります。

  • システムを丸ごとバックアップするフルバックアップ
  • データの差分を定期的にバックアップする差分バックアップ
  • バックアップしたデータを上書きせずにバックアップを行う増分バックアップ
  • 元のデータと同期しながらバックアップを行うミラーバックアップ

バックアップツールとRAID

データのバックアップには、古来よりRAIDという考え方があります。RAIDとは「Redundant Arrays of Inexpensive Disks」の略であり、複数台のハードディスクでデータを保護する仕組みです。

先述したクラウドツールも、提供会社が自社内でRAIDを利用してデータを保護します。RAIDにはRAID0からRAID6まで種類があり、主に0,1,5,6が使用されます。以下に概要を示します。

  • RAID0 (RAIDなし)
    データを保護しない保存方法です。データやデバイスが故障したら復元できません。
  • RAID1
    1つのデータを2つのデバイスに同時に書き込みます。1つのデバイスでデータを紛失しても同じデータがもう1つのデバイスに書き込まれており、復元できます。
  • RAID5
    『パリティ』と呼ばれる復元用記録データをデバイスに記録させながら保存します。複数台デバイスのうち1つが故障してもデータを復元できます。
  • RAID6
    RAID5と同様にパリティを書き込みながら保存します。RAID6では複数台デバイスのうち2つが故障してもデータを復元できます。
    ただし、RAID5よりも記録可能なデータ容量が少なくなります。

バックアップツール会社は上記のRAIDを利用して、バックアップしつつもデバイス容量を有効活用しています。

本記事はバックアップツールを販売するキャロルシステム株式会社様に監修を頂きました。

超短パルスレーザー

超短パルスレーザーとは超短パルスレーザー

超短パルスレーザーは、ひとつのパルス幅(時間幅)が数ピコ秒から数フェムト秒のレーザーのことを指します。ピコ秒とは、時間単位のひとつであり、約1兆分の1秒です。一方、フェムト秒も時間単位のひとつであり、約1000兆分の1秒です。

光は、1秒間に約30万kmを進むとされています。しかし、1ピコ秒における光の進む距離は、約0.3mmで、1フェムト秒における光の進む距離は、約0.3umとされています。

このことから、超短パルスレーザーは、時間幅が非常に短いパルスのレーザーであることが分かります。また、パルスとは、短時間に大きな変化をする信号の総称のことをいいます。

超短パルスレーザーは、その極めて短いパルス性によりレーザー加工部の周辺に熱の影響をほとんど与えません。さらに、多くの材料に対して、高品質なレーザー加工が可能です。

超短パルスレーザーの使用用途

超短パルスレーザーは、ピーク強度が高く、分子が多光子を吸収し「イオン化を引き起こす多光子イオン化」もしくは「光の強い電場によるトンネルイオン化」に伴う非線形吸収により、透明材料に対しても強い吸収を生じさせることができます。

そして、フェムト秒レーザー光を透明材料の内部で、集光することにより材料内部の3次元加工が可能となります。

また、加工の対象となる材質には、硬度の高いダイヤモンドから硬度の低いガラス、柔らかい樹脂、複合材、石英、セラミックまでがあり、幅広く取り扱うことができます。

超短パルスレーザーは、熱をほとんど与えないため、バリが生じず、ミクロン単位での調整ができます。そのため、穴あけやトリミング、マイクロテクスチャなどの繊細な加工が可能となります。

さらに、フェムト秒パルスレーザーは、ピコ秒パルスレーザーよりも精密な加工を施すことができます。

しかし、ナノ秒パルスレーザーは、熱による影響を少なからず与えてしまうため、バリが生じる可能性があります。

超短パルスレーザーの原理

レーザーの発振方法には、大別して連続発振とパルス発振の2種類があります。連続発振の仕組みを有するレーザーをCW(Continuous Wave)レーザーと呼び、レーザーが連続的に発振を行います。

そして、もう一方をパルスレーザーと呼び、レーザーが断続的に発振を行います。

また、パルス発振には、直接変調法や外部変調法、Qスイッチ法、モード同期法などの仕組みがあり、それぞれの発生するパルス幅が異なります。

超短パルスレーザーでは、一般的にパルス幅がピコ秒とフェムト秒を取り扱うモード同期法が用いられています。時間と周波数のあいだのフーリエ変換関係により、超短パルスを生じるためには、十分なスペクトルの広がりと、その位相が一定関係でなければなりません。この条件を生み出す最適な方法として、モード同期法が活用されています。

モード同期法

モード同期法には、一般的に強制モード同期と受動モード同期(自己モード同期)の2種類があります。

  • 強制モード同期

    強制モード同期は、レーザー共振器のなかに損失、もしくは位相の変調器を置き、変調周波数を縦モード間隔に合わせることで、モード間の位相を同期する方法です。

  • 受動モード同期

    受動モード同期は、共振器のなかに可飽和吸収体を変調器の代わりに入れます。これにより、パルスの先端部分は、吸収体によって削られます。後端部分がレーザー媒質の飽和によって削られることで超短パルスが得られます。

超短パルスレーザーの価格

超短パルスレーザーは、パルス幅がピコ秒以下、フェムト秒領域になり、その構造ゆえに高額なレーザーの部類に入ります。

発振波長は、基本波である1ミクロン帯の赤外から、2倍波のグリーン、3倍波の紫外まで用途に応じて様々な仕様があります。また、微細加工に適したものから理科学研究用のものまであり、一般的に数千万円の価格帯となります。

超短パルスレーザーの歴史

レーザーは、1960年代に初めてルビーレーザーと呼ばれるパルス発振のレーザーが開発されました。当時のルビーレーザーは、ノーマル発振に区分されており、出力が短パルスでした。しかし、Qスイッチ法が開発されて以来、実用的なレーザーとなり、昨今でも活用されています。

Qスイッチ法

Qスイッチ法は、主にパルス幅がus(マイクロセカンド)からns(ナノセカンド)までを取り扱います。Qスイッチ法によるレーザーの出力は、パルス発振を用いており、短い時間で、一気に大きな出力を得る方法です。

この方法では、レーザーの結晶が反転分布し、大きくなるまでQ値を低くすることにより、レーザーの発振を制限しています。そして、反転分布が一定の大きさに達した際に、Q値を高くすることで強いパルス光を生じます。

主に電子部品や半導体部品の加工に使用されています。

上記のようにQスイッチ法が確立されたことで、ルビーなどを母体に用いた固体のレーザーよりもピークパワーが向上し、単一での高出力なナノ秒パルスを再現できるようになりました。

その後は、1965年にルビーレーザーが改良され、1966年には、ガラスレーザーにおいて、可飽和吸収体によるモード同期発振が実現しました。これによりピコ秒でのレーザー出力が可能となりました。

そして、1968年には、出力されるパルスを外部から圧縮することで、サブピコ秒のレーザー出力が実現しています。

また、1970年代には、ピコ秒の全盛期時代が到来します。この時期にYAGレーザーや色素レーザーが出現し、パルス動作の速いモード同期が活用され始め、実用的なピコ秒レーザーが使用できるようになりました。

さらに、1974年には、連続励起色素レーザーによって、サブピコ秒パルスの直接発生が実現しました。

YAGレーザー

YAGレーザーは、その名前にも使用されているイットリウム(Y)とアルミニウム(A)、ガーネット(G)などの結晶に強い光を与えることで、励起し、レーザー光を得る方法です。

この方法では、電極などを使用しないため、管理が楽になり、短時間での加工や加工の自動化が容易になります。

色素レーザー

色素レーザーは、液体レーザーと呼ばれるレーザーの一種で、アルコールや水などに染料を溶かすことにより、レーザーの媒質にしています。このレーザーは、波長の範囲が広く、連続的な波長の可変が可能です。また、応用範囲も広く、ガンの治療やウランの濃縮などに活用されています。

1981年には、衝突パルスモード同期という方法が開発され、フェムト秒時代が幕を開けます。そして、1982年には、パルス圧縮法が開発されたことでパルス幅が短縮されました。

その後、1990年代に突入すると、自己モード同期によるチタンサファイアレーザーが開発され、安定的で高性能なフェムト秒レーザーの普及が進みました。

防竹シート

防竹シートとは

防竹シートとは、竹の根による農作物などへの被害を防止するため、作られたシートを指します。

竹を含めた「防根シート」と機能的に同じですが、似たような「防草シート」が紫外線や水分を遮断して雑草の繁殖を防ぐという機能とは異なり、併用できないこともあります。不透水性とするため、不織布をポリプロピレンなどの合成樹脂でコーティングする構造となっています。ひっぱり強度や耐水性・耐圧性を確保し、必要な機能を維持できるように製品化されています。

防竹シートの使用用途

防竹シートは、身近なところでは公園内の園路をはじめ、道路の舗装材やインターロッキング (コンクリートブロックをレンガのようにかみ合わせてつくる舗装路) の保護・植栽帯や緑地帯と多くの場所で使用されています。

さらに、電線や電話線の地中化で作られる共同溝や上下水道管の保護、地下貯蓄槽や浸透槽の保護に使用されるほか、屋上緑化の「耐根」シートとしての利用も行われています。そのほかにも不透水性の特性を活かし、貯水池での遮水シートや路盤補強用遮水シートとしても使われています。

石材

石材とは

石材

石材とは、土木や建築に使われる岩石のことです。

大きく分けると天然の自然石と人工的に作られる人造石があります。自然石はその生い立ちから火成岩、変成岩、堆積岩の3つに分けられ、さらに火成岩は火山岩と深成岩に分類可能です。また人造岩には、自然石に磨き仕上げで作られるテラゾーや、セメントなどを固めて自然石のように表面処理された擬石、最初から人工的に作られる高分子擬石があります。

石材は耐久性があり、耐火・耐熱性に優れ、光沢の出る大理石をはじめ、重厚感のある趣きが好まれ、建材として様々な場所に使用されています。

石材の使用用途

石材は、岩石の作られる過程で生まれる特徴から、それぞれに適した場所や用途で使い分けられます。耐久性、色、質感、模様によって、土木、建築、石碑、墓石、工芸品、美術などの材料に利用されます。

石材は大理石や御影石に分類され、大理石には結晶質石灰岩、ドロマイト、トラバーチン、蛇紋岩なども含まれます。主に内装向けの装飾用として使われ、国会議事堂の内装には国産大理石が35種使用されています。それに対して御影石は、主に外装向けの石材です。花崗岩を代表として、ハンレイ岩や閃緑岩などの深成岩のほか、片麻岩のような変成岩類も含まれます。

石材の性質

石材は分類ごとに性質が異なります。

1. 火成岩

火成岩は、地下のマグマが噴火で地表に出て、冷却され結晶化した岩石です。代表的な花崗岩や安山岩は、おもに屋外で使用されています。

2. 変成岩

変成岩は、熱や圧力で結晶化した岩石で、代表例が大理石です。光沢のある風合いが好まれ、屋内・屋外とあらゆる場所に使用されています。

3. 堆積岩

堆積岩は、石灰岩が代表例です。他の岩石に比べて強度は落ちますが、吸水性や加工性の良いため、内装材として壁や床に使われています。

石材の種類

火成岩は、花崗岩 (深成岩) と安山岩 (火山岩) に分類されます。

1. 深成岩

深成岩は地中の深い場所で圧力や熱を受けてゆっくり固まり、逆に火山岩は地表近くで急に冷却して固まった岩石です。その中間層で固まった岩石は、半深成岩と呼ばれます。

2. 変成岩

変成岩には、大理石や粘板岩 (スレート) があります。既存の石が圧力や熱によって再結晶化した岩石のことです。

3. 堆積岩

堆積岩は、石灰岩、砂岩、凝灰岩、粘板岩などに分けられます。堆積で形成した岩石であり、熱によって結晶化していません。

石材の選び方

石材は種類によって選び方も異なるため、目的に合わせて選択することが大切です。

1. 花崗岩

花崗岩は強固で見た目が美しくて耐久性があるため、建物の内外装に関係なくあらゆる場所で使用可能です。安山岩は耐久性や耐火性が高く、建物外装に使われます。

2. 大理石

大理石は光沢を放つため、高級感を演出する場面で使用可能です。粘板岩は表面に波のような筋模様があり、流動的な空間を演出できます。

3. 石灰岩

石灰岩は吸水性が高いです。砂岩は灰色や黄土色などの落ち着いた色合いで、ガーデニングに適しています。凝灰岩は軟らかくて強度が低いため採石や加工が簡単で、耐火性に優れ、石塀、石蔵、岩風呂などに利用可能です。粘板岩は建築材料だけでなく、習字の硯にも用いられます。

石材の構造

石材の構造は種類によって異なります。

1. 安山岩

安山岩は火山から噴出し、地表近くで塊状、柱状、板状に露出した岩石です。 斜長石や角閃石で構成され、灰褐色が多く、光沢がありません。

2. 花崗岩

花崗岩は地殻内でマグマが冷えて固まった結晶質です。石英、黒雲母、カリ長石の結晶から形成されています。

3. 大理石

大理石は地中深くで固まり、非常に硬くて丈夫です。石灰質の混入鉱物で色が変わり、白、グレー、ベージュ、紅、緑、黒など、多種多様な色があります。

4. 石灰岩

石灰岩は炭酸カルシウムなどで構成される岩石です。地表に軽石、貝、動物の遺骸、火山灰、火山砕屑物が堆積して生まれます。砂岩は長石や石英などの荒い粒が水中に堆積した岩石です。

5. 凝灰岩

凝灰岩は砂、火山岩、岩塊片のような火山噴出物が、陸や水中に堆積して凝固した岩石です。粘板岩は均一な非晶質の板状組織を有します。

波板

波板とは

波板

波板とは、波形形状の板材となる建材の総称を指します。

波板は、波形とすることで強度が増し、谷となる部分が川の様に雨水を効率よく流してくれることから、以前からトタン屋根といった屋根材に使用されていました。

波板は、鋼板に亜鉛メッキを施したトタン板がよく知られていましたが、合成樹脂の登場で金属製とは限らず、ひろく波形状の板材を指すようになってきました。

合成樹脂製でできた波板は、メッキの必要がなく、透明性と色合いが多いこと、さらに加工も容易であることなどが重なり、その使用範囲を広げていきました。

波板の使用用途

波板は、以前のような住宅の屋根材とすることはなくなり、材質も金属からほとんどが合成樹脂に置き換わっています。

波板が使われている場所としては、屋外使用がメインで、ウッドデッキや駐車場の屋根材のほか、人の居住を目的としない小屋や敷地の区画用にした塀などへの使用にとどまっています。

ただ、波板は、使用する合成樹脂の性能向上で、耐熱や耐寒性にも優れていることから、安価に使える地域を選ばない屋外用建材としては、いまでも重宝されています。

塗装材

塗装材とは

塗装材

塗装材とは、塗装に使用する材料の総称です。

塗装材となる塗料は、用途により使い分けが行われています。例えば、外壁塗装 (3回塗りが基本とされます) で使用する塗料の場合、1~2回塗りでは下地処理という機能優先の塗料、3回目の仕上げ塗りで初めて目的とする色合いの塗料が使われています。

塗装材の使用用途

塗装材の中心となる塗料は、用途や場所により使い分けています。コンクリート壁やサイディングには油性塗料がメインで、鉄部には油性塗料に防錆材があらかじめ入っているものがあります。ウッドデッキ、ルーバーなど木部にはオイルが主原料のオイルステインを使用する場合が多いです。

塗料の役目として、色合いのためだけに塗られているのではなく、防錆や木部の腐食防止の役割も果たしています。また、塗装材に含まれる道具には、昔ながらの刷毛 (はけ) をはじめ、ローラーや吹き付けと多様化し、こちらも用途や場所で使い分けが行われています。

一方、内装に使用する塗料は健康被害の出にくい材質で、匂いのあまり出ないもの、かつ早く乾燥する水性塗料が好んで使われています。

塗装材の特徴

長所

1. 建物の保護
建物は常に紫外線や風雨に晒され、どんどん劣化していっています。外壁材そのままでは耐久性がありません。その為、塗装材には外壁材の保護の役割もあります。

2. 様々な付加機能
現在、市場に出回っている塗装材には、着色できるだけではなく、様々な付加機能が加えられています。遮熱、防錆、防カビ、藻を生えにくくする、汚れに強いなどがあります。屋根や外壁、内装に使用する場合など用途に合わせた選択が可能です。

3. 補修しやすい
仮に汚れたり、傷つけたとしても元々使用していた塗料で塗り直せば、簡単に補修することができます。

短所

1. 定期的に塗り替えが必要
外壁や屋根の塗り替えは、約10〜15年ごとに行わなくてはなりません。塗装材自体も紫外線や風雨による、劣化が発生しています。塗装材に含まれている水分が蒸発し、硬くなることにより、クラックや剥がれが発生してしまうためです。

2. コストが高い
外壁や屋根を塗り替える際、安全かつ効率のよい作業のために、仮設足場を設置しなくてなりません。その分、コストが高くなります。部分的であれば、はしごや高所作業車を利用するなどの対応も可能です。

3. 臭いがする
油性塗料や臭いの少ない水性塗料でも、絶対に臭いは発生します。特に屋内では臭いがこもりがちになるので、作業中も終了後も風通しをよくしておくことが大切です。

4. 塗装できない素材がある
アルミやステンレスなど一部の素材は塗装ができません。付着性をよくするプライマと呼ばれる接着剤もありますが、手間が増える分、コストもかさみます。

塗装材の種類

1. 粉体塗料

その名の通り、粉末状の塗装材です。シャッターの巻き上げ部分や自動車部品など金属に色をつける際に用いられます。

粉体を吹き付けた後、窯に入れ加熱し、塗装材を硬化させます。焼付塗装と呼ばれる方法です。ただし、脱脂・吹き付け・窯など設備が整っていないと使用できない点がデメリットとして挙げられます。

2. 液体塗料

液体塗料は、一般的な塗装材です。具体的には、合成樹脂系、油性塗料、水性塗料などが挙げられます。合成樹脂系で代表的なものは、ウレタン塗料、アクリル塗料、シリコン塗料などです。

油性塗料はシンナーなど、有機溶剤が含まれているにおいがきつい点が特徴と言えます。水性塗料はにおいは少ないですが耐久性が無いため、屋内向けです。

3. その他

塗装材には保護の役割も兼ねているので、コンクリートの打ちっぱなしの壁を、紫外線や風雨から保護するための透明な塗料もあります。また、鏝 (こて) を使い、あえて塗装材を綺麗に均さずに鏝の跡をそのまま生かす「ジョリパッド」や、マスチックローラーを使用し、トゲトゲのような仕上がりにする「マスチック」という工法なども存在します。

不燃ボード

不燃ボードとは

不燃ボード

不燃ボードとは、特に初期火災を防ぐ役割として、内装の仕上げ材(天井・柱・壁面など)に使用されています。

建築基準法では「防火材料」に分類されており、その物自体は熱を吸収しますが、発火が遅い特性があります。具体的には加熱開始後20分間は発火しない建材のことです。代表的な不燃ボードは、石膏ボードとケイカル板です。また、プラスターボードとも呼ばれる石膏ボードは、内装用のボードのことです。最終的にこのボードの上にクロスなどを貼って仕上げられます。内部に埋め込まれているため目視できませんが、建物の内装であればどんな場所でも使用されている一般的な建材です。一方、水を含むと断熱効果が減少してしまうため、水回りには不適切です。

ケイカル板は不燃材料のケイ酸質原料で構成されています。石膏ボードに比べて耐水性があることが特長です。ケイカル板は、ケイ酸質原料、石灰質原料、補強用途繊維で構成されています。石膏ボードが苦手とする水回りや多湿な場所に重宝されています。室外では、直接雨掛かりしないものの、外気にふれるような場所でも利用されています。

不燃ボードの使用用途

不燃ボードは、火事による被害を最小限にするため、ほとんど多くの建物に用いられています。特に、壁、柱、天井など延焼の可能性が高い部分には必ず使用されています。その中でも石膏ボードは、浴室やシンクなど直接水をかける場所など、水回りを避けてほとんど全ての場所に用いられています。

例えば、キッチン壁、サニタリー壁、トイレ壁、エントランス壁、室内壁、通路壁です。一方、ケイカル板は、外気に触れる場所が適しています。例えば、屋外のひさしの天井、駐車場の天井、マンションのベランダ隔壁板などです。

下地材

下地材とは

下地材

下地材とは、建物の壁や天井、床などの表面をなめらかに整え、仕上げ材を取り付けるための基盤となるものです。

主に木材や鉄骨などの建築材料を使って作られます。下地材は、壁材や天井材などの仕上げ材を取り付ける前に必要な材料であり、下地の強度や水平性、平滑性などが重要なポイントとなります。

下地材の使用用途

外壁や内装の壁、天井、床など、さまざまな箇所で使用されます。具体的な用途は、以下の通りです。

1. 外壁下地材

外壁下地材は、外壁の表面を平滑に整え、塗装やタイル張りなどの仕上げ材を取り付けるための基盤となる材料です。外壁下地材には、ベニヤ板やサイディング用の合板、セメントボードなどがあります。

2. 内装下地材

内装下地材は、内装の壁や天井、床の表面を平滑に整え、クロス貼りや塗装などの仕上げ材を取り付けるための基盤となる材料です。内装下地材には、ボード系の下地材や合板、金属フレームなどがあります。

3. 床下地材

床下地材は、床の下地となる材料で、床面を平滑に整え、フローリングや畳などの床材を取り付けるための基盤となる材料です。床下地材には、ベニヤ板や合板、集成材などがあります。

下地材の特徴

下地材の長所

1. 耐久性に優れている
下地材は、建物の構造部分となるため、強度が高く、耐久性に優れています。特に、外壁下地材や床下地材は、風雨や荷重などに耐えるための強度が求められます。

2. 仕上がりが綺麗になる
下地材を適切に選ぶことで、仕上げ材の美しさが向上します。特に、平滑で水平な下地を作ることで、仕上がりの美しさをより高めることが可能です。

下地材の短所

1. 取り扱いが難しい
下地材は、建物の構造部分として重要な役割を持っています。特に水分や湿気に弱いため、施行時だけでなく、保管時にも注意が必要です。

2. 技術が仕上がりに大きく影響する
下地材の選択や施工方法によっては、仕上がりの品質に影響が出てしまうこともあります。そのため、プロの施工業者に依頼することが望ましいです。

3. 水平性や平滑性が重要になる
仕上げ材を取り付けるための基盤となるため、水平性や平滑性が重要です。特に、壁材や天井材などの仕上げ材を取り付ける際には、下地の表面が平滑であることが美しさを決定する要素となります。

4. 防湿性や防火性が求められる場合がある
建物の構造部分として、防湿性や防火性が求められる場合があります。例えば、外壁下地材には防湿性のある材料、内装下地材には防火性のある材料が選ばれることがあります。そのため、それらをしっかり理解しておかなければなりません。

下地材の種類

1. 木材

一般的には、杉、桧などの針葉樹や広葉樹の木材が使用されます。特に、壁材や天井材などの内装下地材には、木材が使用されます。

2. 鉄骨

鉄骨は、強度や耐久性に優れています。特に、外壁下地材や床下地材に使用されることが多いです。

3. コンクリート

コンクリートは、強度や耐久性に優れています。特に、床下地材や基礎下地材に使用されることが多いです。

4. 合板

合板は、強度や耐久性に優れています。特に、壁材や天井材などの内装下地材に使用されることが多いです。

下地材の選び方

1. 使用用途

下地材は、使用する場所によって材料が異なるため、用途に応じた材料を選ぶことが重要です。例えば、外壁下地材には防湿性が求められるため、防湿性のある材料を選ぶ必要があります。

2. 強度・耐久性

建物の構造部分として強度や耐久性が求められるため、強度や耐久性を考慮して選ぶことが重要です。特に、風雨や荷重に強い材料を選ぶことが望ましい場合があります。

3. 施行方法

施工方法は、材料の種類によって異なります。施工方法を考慮し、適した材料を選ぶことが重要です。

4. コスト

材料によってコストに差があります。予算がある場合は、予算内に収まる材質を選ぶと良いです。