ドラム缶とは
ドラム缶とは、鋼板を円筒状に成形した大型容器です。
標準的な容量は200Lで、国際的に広く利用されています。材質は主に冷延鋼板が使用されており、プレス加工によって成形します。この鋼鉄製の胴体には、強度を高めつつ転がしやすくするための輪が数本設けられているのが特徴です。
ドラム缶には2つの種類に大分されます。一つは天板が胴体に固定されたクローズドタイプで、主にガソリンや灯油といった低粘度の液体を密封状態で輸送・保管するのに有利です。もう一つは天板全体を取り外すことができるオープンタイプで、固体や高粘度液体などを出し入れしやすいドラム缶です。内容物の性質や用途に応じて最適な製品を選定します。頑丈な構造と標準化された形状により、世界中の物流において重要な役割を担う容器です。
ドラム缶の使用用途
ドラム缶は以下のような用途で使用されます。
1. 石油・化学製品
原油や潤滑油などを密封し、長距離海上輸送する場合に使用されます。また、危険物倉庫で貯蔵する際も、堅牢で密封性の高いドラム缶であれば安全です。ねじ込み口をガス抜き弁付きのキャップに交換できるため、温度変化による内圧の上昇を緩和でき、夏季の屋外保管でも内容物の漏れを防げます。
2. 食品・医薬原料
食用油や果汁濃縮液及び医薬原薬など、高純度が求められる液体や粉体を輸出入する際に利用されます。内面にエポキシ系ライニングを施工すると金属イオンの溶出防止ことができ、味や品質への影響を最小限に抑えることが可能です。オープンタイプなら内袋を併用して小分け充填や洗浄を簡便に行えます。
3. 産業廃棄物・一次保存
使用済みドラム缶は、洗浄後に廃油や汚泥など産業廃棄物の一時保管容器として再活用されます。また、耐圧性と運搬性の高さを生かし、災害時の飲料水・燃料備蓄槽や雨水タンクなどの資材にも代替させることが可能です。鋼材としてのリサイクル率が高く、内容物を空にした後も資源循環の中で長く役立つ点も特徴です。