防竹シートとは
防竹シート (ぼうちくシート) とは、竹の地下茎 (根) を制御するためのシートです。
竹は地下茎を伸ばして広がる性質があるため、地下茎が隣接する土地へ侵入するのを防ぎます。主に庭や農地などで竹の過剰な増殖を抑制する目的で使われます。
防竹シートの原理
竹の地下茎は横方向へ伸びて行き、障害物に当たると別方向に回避しながら成長します。この性質を利用し、防竹シートを地中に埋め込んで物理的に地下茎を特定のエリアに侵入させないようにします。
防竹シートはポリプロピレン、ポリエチレンなどの強度の高い樹脂でできているため、適切な厚みの防竹シートを用いることで地下茎では突き破ることができない障壁を作れます。また、これらの素材は耐久性や耐腐食性にも優れ、長期間にわたって防竹効果を発揮します。不透水性の製品の場合は、土中の排水性や通気性を確保しておく必要があります。
不織布をナイロンやポリエステルなどでコーティングして作られた防竹シートも販売されています。柔軟性があって施工が簡単で、通水性と通気性にも優れているので、土壌の環境を健全に保つことが可能です。
防竹シートの使用用途
竹の地下茎の成長は地上からは確認できません。地下茎が侵入してくる可能性がある場所では、あらかじめ防竹シートを設置しておくことで以下のような効果が得られます。
1. 敷地の境界
地下茎が隣接する土地に侵入すると、その成長にともなって思わぬトラブルを引き起こす可能性があります。防竹シートを境界に設置することで侵入を防ぎます。
2. 植栽や農作物の保護
伸びてきた地下茎が他の植物の根を圧迫したり、土壌中の養分や水分を大量に吸収したりして、本来の成長を阻害することがあります。地上では確認できないため、事前の対策が有効になります。
3. 土壌の保全
竹の成長は非常に早いため、地下茎が周囲の土壌を押し広げて水はけや通気性が変化する場合があります。また、地下茎が病害虫の繁殖場所になることもあるため、地下茎を侵入させないことが一番の対策となります。
4. 地表面の施工物保護
竹は地下茎だけでなく幹も早く成長します。幹は縦方向に伸びるため、地上の構造物を持ち上げる力が働きます。この対策として、建物や道路、インターロッキングなど、地表面に施工された構造物が影響を受けないように防竹シートを設置します。
5. メンテナンスコストの低減
竹の地下茎は非常に強力で広範囲に広がるため、完全に除去することは困難です。地下茎を取り除くことよりも、防竹シートで制御することでコストを抑えることができます。防竹シートの初期設置費用はかかりますが、一度設置すれば安定的に効果が見込めるので、長期にわたって維持管理コストを節約できます。
防竹シートのその他情報
防竹シートの設置方法
防竹シートの効果を最大限に発揮するためには、作業エリアの準備と適切な設置が重要です。
防竹シートに穴が開かないように、敷設場所の地面から突起物や鋭利な石を取り除きます。防竹シートを設置する場所の地面を約70~100cm掘り下げます。竹の地下茎は地表から約30~50cmの比較的浅い部分に張りますが、さらに深い場所から設置するのは地下茎が防竹シートを回り込んでいくのを防ぐためです。また、同様の理由で地表からも約5~10cmはみ出して設置します。
防竹シートの継ぎ目は地下茎が通り抜けやすくなるため、適切に処理する必要があります。処理には次の方法があります。
1. 防竹シートを重ねる
継ぎ目部分を少なくとも30cm以上重ねて設置します。これにより隙間ができる可能性を低減します。
2. 接合テープを使用する
継ぎ目部分をテープで固定します。なお、テープは耐水性と耐久性を兼ね備えたものを使います。メーカーが販売している専用のテープの使用を推奨します。
3. 金具で固定する
ステープルやクリップなどを使って継ぎ目部分をつなぎ留めます。防竹シートを重ねたうえで固定することで、さらに高い防竹効果を発揮します。