石材とは
石材とは、土木や建築などの材料に使われる岩石です。
石材を大別すると、天然の自然石と人工的に作る人造石の2種類あります。自然石は、成因によって火成岩、変成岩、堆積岩の3つに分類されます。一方の人造石にも種類があり、自然石を磨き仕上げで作るテラゾー、セメントなどを固めて自然石のように表面処理を施す擬石、人工的に石材を作る高分子擬石などです。
石材は耐熱・耐火・耐久などの性質に優れ、お城の礎石、内装に適した大理石、御影石の墓石など、様々な場所に使用されています。
石材の使用用途
石材は主に、土木や建築、墓石、石碑のほかに、工芸品や美術などの材料にも使用します。岩石の成因によって色や質感、模様などが異なるため、石材の種類や特徴に応じて用途や場所も使い分けることが一般的です。
石材は、採石した岩石の形状のまま使用する場合と、岩石を建築などで使いやすくするために加工を施す場合があります。石材の代表格として大理石や御影石があり、大理石は、結晶質石灰岩、ドロマイト、トラバーチン、蛇紋岩などが含まれています。また、大理石は独特な模様が特徴で、内装のテーブルや洗面台、床などの装飾用として使用されることが多いです。
大理石を使った建築物で有名なものに国会議事堂があり、内装には30種類以上、約100万個の国産大理石が使用されています。一方の御影石は、花崗岩や深成岩のほか、片麻岩のような変成岩なども含み、主に外装向けの石材です。
石材の原理
石材ができる原理は、マグマが冷えて固まることで形成される「火成岩」、泥や砂が固まった「堆積岩」、地下の高熱や圧力で変形した「変成岩」の3通りです。石材を加工する場合は、石材切断用ダイヤモンドカッターや電動切断機などを使い、用途に応じた形状に切断します。
石材の種類
火成岩は、花崗岩 (深成岩) と安山岩 (火山岩) に分類され、そのほかに変成岩や堆積岩があります。
1. 深成岩
深成岩は、地中内部の深い場所で熱や圧力の影響を受け、長い年月をかけてゆっくり固まります。
2. 火山岩
火山岩は、地表近くで急に冷却して固まった岩石であり、地中の中間層で固まってできた岩石が半深成岩です。
3. 変成岩
変成岩には、大理石や粘板岩 (スレート) があり、既存の石が圧力や熱によって再結晶化した岩石です。
4. 堆積岩
堆積岩は、砂岩や石灰岩のほかに凝灰岩や粘板岩などを含む総称であり、堆積で形成した岩石で、熱による結晶化は起こりません。
石材の構造
石材は、種類によって成因や構造が異なります。
1. 安山岩
安山岩は、火山から噴出したマグマが地表の近くで塊や柱、板の形状に露出した岩石です。斜長石 (テクトケイ酸塩の一種) や角閃石 (水塩基を持つ含水鉱物) で構成されており、灰褐色が多くて光沢がありません。
2. 花崗岩
花崗岩は、地殻内でマグマが冷えて固まった結晶質です。石英、黒雲母、カリ長石の結晶から形成されています。
3. 大理石
大理石は、マグマが地中深くで固まった非常に硬くて丈夫な岩石です。石灰質の混入鉱物で色が変わり、白、グレー、ベージュ、紅、緑、黒など、多種多様な色があります。
また、人工大理石は、大理石と名称にありますが、アクリル樹脂の一種であるメタクリル樹脂を使って人工的に作ったもので石材ではありません。
4. 石灰岩
石灰岩は、炭酸カルシウムを主として構成された岩石です。地面に軽石や貝、動物などの遺骸、火山灰、火山砕屑物が堆積して生まれます。
5. 砂岩
砂岩は、長石や石英などの荒い粒子が水の中に堆積した岩石です。灰色や淡い褐色が特徴で、手触りがざらざらしており、表面を磨いても大理石のように光沢を出すことはできません。代表的なものとして、ホワイトサンドストーンやレッドサンドストーンなどがあります。
6. 凝灰岩
凝灰岩は、砂および火山岩や岩塊片のような火山の噴出物が、陸および水中に堆積して凝固した岩石です。
7. 粘板岩
粘板岩は、泥岩や頁岩 (けつがん) が何層にも重なって圧縮され、均一な非晶質の板状組織で構成されています。薄い層になっているので剥離しやすく、割れやすい性質があります。
石材の選び方
石材は種類によって選び方も異なるため、目的に合わせて選択することが大切です。
1. 花崗岩
花崗岩 (御影石) は強固で見た目が美しく、耐久性があるため、建物の内外装に係らず、あらゆる場所で使用します。他の石材と御影石を比べると、硬くて吸水性が低い性質があり、さらに圧縮強度が強いため、主に屋外で使われます。
花崗岩は、おもに墓石に使用されることが多く、有名な御影石は、兵庫県で採石される本御影石、茨城県の稲田石、岡山県の北木石、香川県の大島石などです。また、最近では国内の採石量が減少しているため、輸入の御影石が増加傾向にあります。
2. 安山岩
安山岩は、耐久性や耐火性が高く、風化に強い性質があるため、建物の内外装や墓石、コンクリートの骨材にも使用されます。ただし、光沢がないので使用場所によっては適さないかもしれません。
3. 大理石
大理石は表面を磨くと光沢を放つため、高級感を演出する場面に使用されることが一般的で、波模様や色柄のバリエーションも豊富です。
4. 庵治石
庵治石は、香川県高松市庵治町で採石されることから名づけられた石材で、世界最高品質を誇ります。庵治石は粒子が細かく、黒雲母に含まれる鉄分が少ない石材です。そのため、膨張率・収縮率・水の浸透率が極めて低く変色しづらい性質があり、風雨による風化の耐浸食性も高いので主に墓石の材料として需要があります。
5. 粘板岩
粘板岩は表面に波のような筋模様があるため、建築材料として屋根瓦や塀、内部床に用いることが多く、流動的な空間演出が可能です。また、粘板岩は他の石材と比べて比重が重く、防水性と耐久性に優れているため、建築材料以外に習字で使う硯 (すずり) にも使われます。
6. 石灰岩
石灰岩のほとんどは方解石 (天然の炭酸カルシウムの結晶) で構成されており、吸水性の高く柔らかい石材です。加工性に優れているため、内壁や床材、デザイン性を求める場所に適しています。ただし、酸に弱い性質があるので使用場所は限定されます。
7. 砂岩
砂岩は灰色や黄土色などの落ち着いた色合いがあり、主な使用場所は壁や床、ガーデニングなどです。また、熱抵抗性や抗菌性に優れており、衛生面に気を付けたい場所に適しています。
8. 凝灰岩
凝灰岩は、軟らかくて強度が低いので採石や加工が簡単です。耐火性にも優れており、岩風呂や石塀、石蔵などにも使用します。代表的な凝灰岩は、栃木県の大谷石や兵庫県加古川市の竜山石などが有名です。