ルーズフランジ

ルーズフランジとは

ルーズフランジ_図0

ルーズフランジ (英: Loose Flange, Lapped Flange, Lap Joint Flange) とは、配管に使用する継手で管フランジの一つです。

「融合形フランジ」「ラップドフランジ」「ラップジョイントフランジ」とも呼ばれます。JIS B0151 鉄鋼製管継手用語 「Iron and steel pipe fittings – Vocabular」では、遊合形フランジとして、「スタブエンドとともに使用する管フランジ 注記 ラップジョイントともいう。」と規定されています。

同様に、スタブエンド (ラップジョイント) の定義は、「端部につばをもち、遊合形フランジと組み合わせて用いる管継手」です。

ルーズフランジの使用用途

ルーズフランジ_図1

図1. ルーズフランジの使用例

下記は、ルーズフランジの主な適用ケースです。

  • フランジとパイプの溶接が不可能
  • 圧力・温度があまり高くない流体
  • 万が一の漏洩でも危険性は低い

例として、ルーズフランジは製紙工場 (原料・用水配管)  、化学工場 (薬品・原料配管) 、船舶 (LNG・ケミカル船) の低温配管、建築設備 (衛生・消火水配管) などで使用されています。

ルーズフランジの原理

ルーズフランジ_図2

図2. ルーズフランジの原理

ルーズフランジはフランジ単体でパイプと接合するのではなく、ルーズフランジをスタブエンドに差し込みパイプと接合した後に、両フランジを締結しスタブエンドのフランジ面を密着させて密閉します。ルーズフランジ、スタブエンド、ガスケットスタッドボルト・ナットが構成要素です。

パイプとフランジを直接接合していないので、フランジ同士を締結するときは、ルーズフランジを回転させてフランジ同士のボルト穴位置を調整することができます。また、現場の配管施工は、配管の向きとフランジの向きを調整する必要がなく、現場の施工が容易です。

腐食性流体用の配管は、パイプや流体に接する配管部品は、耐腐食性に優れた材質の使用が必須です。しかし、ルーズフランジを採用すると、フランジは直接腐食性流体に接触しないため、フランジ材質は耐腐食性が不要になり、フランジのコストは安価になります。

ルーズフランジの種類

ルーズフランジ_図3

図3. ルーズフランジの構造

1.  呼び径

呼び径は、使用するパイプと同じ呼び径を選定します。JISの鋼製管フランジでは、10A (3/8B) ~600A (24B) まであります。

2.  呼び圧力

呼び圧力は使用流体の圧力、温度、フランジ材質によって分類され、各規格の基準に従って選定します。各規格の呼び圧力の例は下記のとおりです。

  • JIS
    5K, 10K, 16K, 20K
  • ASME/ANSI
    クラス150, 300, 400, 600, 900, 1500, 2500

3. 材質

材質は炭素鋼などが使用されますが、JIS規格の鋼製管フランジでは以下の材質です。

材質

圧延材

鍛造材

鋳造材

材料グループ番号

規格番号

材料番号

規格番号

材料番号

規格番号

材料番号

炭素鋼

G3101

G4051

SS400

S20C

G3201

G3202

G4051

SF390A

SFVC1

S20C

G5101

G5151

SC410

SCPH1

001

G4051

S25C

G3201

G4051

SF440A

S25C

G5151

SC480

002

G3202

SFVC2A

G5151

SCPH2

003a

 

フランジの材質の選定は、JIS規格では管内を流れる流体の「最高使用圧力」と「流体温度」により、「呼び圧力」と「材料グループ番号」を選択します。そして、上記表の各材料グループ番号に区分した材料から、使用する環境、フランジの製造方法やコストなどから適切な材料を選定します。

ルーズフランジのその他情報

1.  規格

ルーズフランジを規定した規格は、JISを含め下記の各種規格があります。ASME/ANSIとJPI規格品は、主にインチサイズのパイプを使用する際に適用します。また、JPI規格は石油工業分野以外で使用する機会は少ないです。

  • JIS B2220 鋼製管フランジ Steel pipe flange
  • ASME/ANSI B16.5 Pipe Flanges and Flanged Fittings, NPS1/2 Through NPS24 Metric/Inch Standard
  • ISO 7005-1 Pipe flanges – Part 1: Steel flanges for industrial and general service piping systems
  • JPI-7S-15 石油工業用フランジ  (JPI: 日本石油学会)
  • JPI-7S-43 石油工業用大口径フランジ

2.  組み立て

ルーズフランジの組み立ては、下記の順序で施工します。特に1をあらかじめ行わないと、フランジを挿入できなくなるため注意が必要です。

  1. スタブエンドと溶接するパイプにルーズフランジを差し込み
  2. スタブエンドとパイプを突き合せ溶接
  3. 相手フランジ側も1、2を施工
  4. ガスケットの装着
  5. スタッドボルト・ナットでフランジ間を締め付け

ルーズフランジの締め付けは、他のフランジと同様にボルト・ナットは均等に締め付けるために、対角に締め付けます。また、ガスケット材質やボルト・ナットの規定トルク値で締め付けることが重要です。

ダクトフランジ

ダクトフランジとは

ダクトフランジ

ダクトフランジ (英: Duct flange) とは、ダクト同士やダクトと装置・設備を接続するために取り付けるフランジ (平面のつば状の板) です。

ダクトは鉄板や鋼板などの板材を角筒や円筒状に成形された管で、空調機械などで空気を流すための管路を指します。ダクトフランジはハイプの接合に用いられる「管フランジ」と同様に、ダクト接合用のフランジです。

長方形 (角筒) のダクト用は矩形状、円形 (円筒) の丸ダクト用は円盤状となっています。

ダクトフランジの使用用途

ダクトフランジは、小規模住宅から大規模ビルや工場の空調機器の送風・排気ダクト、火力発電所の燃焼空気の送風や燃焼ガス排気用の風煙道などに使用されています。ダクトは製作や施工上の長さ限界から、一定長さのものを複数本接続し施工します。

そのため、設置規模が大きくなるほど、敷設距離は長く接続箇所も多くなり、接合にダクトフランジが必要です。ダクトフランジを使用せず接合する方法として、ダクト同士を直接溶接する方法が挙げられます。

この施工は、多数箇所のダクト溶接で多くの作業時間が必要で、清掃や点検及び解体作業のたびにダクトを切断し、作業時間とコストがかかり効率的ではありません。したがって、ダクト端部にダクトフランジを溶接等で取り付け、フランジ同士をボルト・ナットで締結し接合する方法は、効率的な施工方法です。ボルト・ナットを外しダクトの分離が可能で、清掃や点検作業が容易に行えます。

ダクトフランジの原理

ダクトフランジは、配管用の管フランジと同様に、フランジの接合面同士を密着させることで、ダクト内部の流体が外部に漏洩しないよう密閉します。また、フランジの接合面間はガスケットを挟み込み、フランジ同士を締め付けます。

1. 金属製長方形ダクト

金属製長方形ダクトフランジの接合継手工法には、一般的に下記3つがあります。

アングルフランジ工法 (英: Companion angles flange method duct)

ダクトフランジ_図1

図1. アングルフランジ工法

鉄板やステンレス鋼板で製作されたフランジを、ダクト端部に溶接やリベットで取り付け、フランジ同士をボルト・ナットで締結する工法です。この方法は、接合の強度が高くなりますが、施工時間は多少長くなります。

共板フランジ工法 (英: Transvers formed flange method duct)

ダクトフランジ_図2

図2. 共板フランジ工法

ダクトの端部を90度外側に折り曲げフランジ状に加工し、フランジのコーナー部は専用金具をはめ込みボルト・ナットで締結、フランジ全体はクリップ (フランジ押さえ金具) をはめ込み接合します。この方法は、接合の強度が多少低くなりますが、施工時間は短縮されコストも安価になります。 

スライドオンフランジ工法 (英: Slide on flange method duct)

ダクトフランジ_図3

図3. スライドオンフランジ工法

薄板を90度折り曲げフランジ状に加工して、ダクトの端部からはめ込み、フランジのコーナー部は専用金具をはめ込みボルト・ナットで締結、フランジ全体はクランプ (フランジ押さえ金具) をはめ込み、ボルトで押さえ付け接合します。

一般的に、短時間で施工できコストの安価な共板フランジ工法が使用されていますが、強度が必要な場合には、アングルフランジ工法が使用されています。

2. 円形ダクト

金属製

ダクトフランジ_図4

図4. 金属製円形ダクトフランジ

金属製円形ダクトの接合は、差し込み継手とフランジ継手があり、差し込み継手はダクトフランジを使用しません。フランジ継手は、長方形ダクトのアングルフランジ工法と同様に、アングルフランジをダクトに溶接やリベットなどで取り付け、フランジ同士をボルト・ナットで締結します。

樹脂製

ダクトフランジ_図5

図5. 樹脂製ダクトフランジ

硬質塩化ビニール製などの樹脂製ダクトは、金属製のアングルフランジ工法と同様に、樹脂製のアングルフランジをダクトにはめ込み溶接し、フランジ同士をボルト・ナットで締結します。

3. その他

ダクトフランジ_図6

図6. グラスウールダクトの接合

その他のダクトは、グラスウール製ダクトがあり、接合方法は相欠け継手と突合せ継手の2種類です。ただし、ダクトフランジを使用しない接合で、参考用としての記載です。

  • 相欠け継手
    両ダクト端面は凹凸加工を行い、加工部に接着剤を塗布して、はめ込み接合します。接合外周面はアルミテープを巻き付けシールします。
  • 突合せ継手
    両ダクト端面は凹凸加工をせず、端面同士を接着剤で接合し、接合外周面はアルミテープでシールします。

ダクトフランジのその他情報

規格

下記はダクトフランジに関連するJIS規格です。

「JIS A4009 空気調和及び換気設備用ダクトの構成部品 Components of air duct」

この規格には、5.4 継手の構造として上記の工法などが規定されています。

ねじ込みフランジ

ねじ込みフランジとは

ねじ込みフランジ

ねじ込みフランジ (英: Threaded flange) とは、配管に使用するねじ込み継手の一種で、フランジと配管 (パイプ) の接続方法がねじ込み式のフランジのことです。

ねじ込みフランジは、フランジ内径に管用テーパねじのメスねじが加工され、管用テーパねじのオスねじ加工された配管端部をねじ込み接続します。

※管用 (くだよう) テーパねじとは、JIS B0203で「配管・配管用部品・流体機器などの接合において、ねじ部の台密性を主目的とするねじ」と示されています。

ねじ込みフランジの使用用途

ねじ込みフランジ_図1

図1. ねじ込みフランジの使用例

ねじ込みフランジは、流体の圧力・温度があまり高くなく、ある程度の流体の漏洩が危険ではない空気配管用などで使用されます。他の接続方法 (溶接式、遊合形など)とは異なり、限定的な使用用途である点が特徴です。

ねじ込みフランジを使用し、漏洩が発生した場合は、一度配管取り外してシールテープを巻き直して、再度締め付け直す必要があります。配管とフランジの取り付け・取り外しの作業が容易でなければならない場合に使用されるケースが多いです。

また、配管とフランジの接続方法がねじ込みであることで、現場で溶接などの火気が使用できない場合に使用することができます。ねじ込みフランジの選定は、流体の種類・圧力・温度・流量などを基準として、材質・耐圧・サイズ等を選択します。

ねじ込みフランジの原理

ねじ込みフランジ_図2

図2. ねじ込みフランジの原理

ねじ込みフランジの原理は、通常の配管フランジと全く同じで、接続するフランジ面同士を密着させることで密閉しています。

使用されるねじの規格は、下記になります。

  • JIS B0203 管用テーパねじ
  • ASME B1.20.1 Pipe Threads, General Purpose, Inch

ねじ込みフランジは、使用する流体の圧力や温度に限界があるため、万が一漏洩が発生した場合でも危険ではないときに使用します。配管をねじ込み取り付けは、シールテープなどを配管側のオスねじ部に巻き付けることで、取り付け部のシール性を向上させられます。

ねじ込みフランジは、通常の配管フランジと同様に、フランジ締結用のボルト・ナットは均等な締め付けが必要です。締め付けが不均等の場合は、漏洩することがあります。そのため、ボルト・ナットを並びの順番に締め付けるのではなく、対角に締め付けていく方法が一般的です。

また、ガスケット材質やボルト・ナットの規定トルク値で締め付けることが重要で、必要な締め付けトルク値まで対角の順番に、徐々に締め付けトルクを強めて締め付けていきます。高温流体に使用する場合は、実際に高温流体を流した後に、熱膨張によりねじ部の締め付けが緩むことがありますが、その場合はボルト・ナットを増し締めが必要です。

ねじ込みフランジの種類

ねじ込みフランジ_図3

図3. JIS B2220/B2239 ねじ込みフランジの例

1. 規格による分類

フランジの規格は、JIS、JPI、ASME/ANSI等の各種規格があり、代表的な例として下記があります。

  • JIS B2220 鋼製管フランジ
  • JIS B2239 鋳鉄製フランジ
  • JPI-7S-15-2011 石油工業用フランジ
  • ASME/ANSI B16.5 Pipe Flange and Flanged Fittings

「JIS B2220 鋼製管フランジ」では、呼び圧力は5K~63Kまでありますが、ねじ込みフランジが適用されているのは、呼び圧力5K、10K、16K、20Kになります。「JPI-7S-15-2011 石油工業用フランジ」と「ASME/ANSI B16.5 Pipe Flange and Flanged Fittings」では、呼び圧力 クラス150、300、600、900、1500、2500に適用されています。

なお、JIS規格のフランジ仕様の表記例は、下記の通りです。

  • JIS B 2220 TR  FF  10K  80A  SCS 13A 
  • 鋼製管フランジ,ねじ込み式フランジ,全面座,10K,80A,SCS 13A

2. 材質による分類

JIS規格における代表的なフランジの材質下記の通りです。

炭素鋼

  • 圧延材:JIS G3101 SS400, G4051 S20C/S25C
    ASTM A515 70, A516 70 
  • 鍛造材:JIS G3201 SF390A/SF40A, G3202 SFVC1
    ASTM A105, A350 LF2
  • 鋳造材:JIS G5101 SC410/SC480, G5151 SCPH1
    ASTM A216 WCB

低合金鋼

  • 延材:ASTM A201 A/B, A387 11 CL2
  • 鍛造材:JIS G3202 SFVC2A, G3203 SFVAF1/SFVAF11A
    ASTM A182 F1/F11 CL2/F12 CL2
  • 鋳造材:JIS G5151 SCPH2/SCPH11/SCPH21
      ASTM A217 WC1/WC6、A352 LC1

ステンレス鋼

  • 圧延材:JIS G4304/4305 SUS304/SUS304L/SUS316/SUS316L
    ASTM A240 304/304H/304L/316/316H/316L/317
  • 鍛造材:JIS G3214 SUSF304/SUSF304L/SUSF316/SUSF316L
    ASTM A182 304/304H/304L/316/316H/316L
  • 鋳造材:JIS G5121 SCS13A/SCS14A/SCS16A/SCS19A
    ASTM A351 CF3/CF3M/CF8/CF8M/CG8M

フランジは2枚/1組で使用し、必ず2枚とも同じ材質を使用します。フランジの材質の選定は、各規格に示されています。JIS規格では、配管内を流れる使用流体の「最高使用圧力」と「流体の温度」により、「呼び圧力」と「材料グループ番号」が選択されます。

材料グループ番号に区分けされた複数の規格材料から、フランジ製造方法、使用環境やコストなどにより材質を選定することが大切です。

マイクロシリンジ

マイクロシリンジとは

マイクロシリンジ

マイクロシリンジ (英: micro syringe) とは、液体クロマトグラフ (HPLC) やガスクロマトグラフ (GC) に対して液体試料を注入するための筒状の実験器具です。

シリンジの容量は0.1 µLから500 µL程度まで幅広く、また材質もガラス製や金属製のものがあるため、注入対象となる装置や目的の分析物質によって適切なマイクロシリンジを選ぶ必要があります。

ただし、近年では試料が自動注入されるオートサンプラ (英: Auto Sampler) が広く用いられているので、手動で注入操作を行うことは少なくなっています。

マイクロシリンジの使用用途

マイクロシリンジは、主にガスクロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィーに使用されます。クロマトグラフ装置でマイクロシリンジを使って、分析試料を注入して測定可能です。

クロマトグラフ装置の試料導入部位には、自動で試料が注入されるオートサンプラーと手動で注入が必要なマニュアルインジェクターがあります。マニュアルシリンジとオートサンプラー用シリンジがあり、それぞれに対応したマイクロシリンジが使用されます。

オートサンプラーでは5 µLの微量試料溶液から1 µLだけを注入するなどの操作は困難ですが、マニュアルインジェクションを行うことで、微量のサンプルからその一部を測定に使用可能です。

マイクロシリンジの原理

マイクロシリンジを取り扱う際には、まず使用前に針先の歪みや本体のひび割れなどがないか点検します。次に分析対象以外の望まない物質によるコンタミネーション (英: contamination) を防ぐため、注入するサンプルで数回洗浄します。

その後、シリンジ内に目的注入量よりも多く液体を吸引した後に針を上向きにし、液体を押し出すことで気泡を除去可能です。このとき、押し出される液体はティッシュなどで綺麗にふき取ることで、コンタミネーションなどの問題を防止可能です。

クロマトグラフィー装置に液体をインジェクションする場合には、マニュアルインジェクターがinjectionの位置になっていることを確認してからシリンジの針を奥まで差し込みます。その後、素早くインジェクターの位置をloadに変更し、シリンジの中身を押し出して、注入が終了したらそのまま素早くインジェクターの位置をinjectionに変更してシリンジを引き抜きます。

試料注入後は試料溶媒でインジェクターとシリンジを数回共洗いすると、キャリーオーバーなどの問題を防止可能です。

マイクロシリンジの種類

マイクロシリンジには、針先端の形状の違いによって2種類あります。液体クロマトグラフィー用マイクロシリンジとガスクロマトグラフィー用マイクロシリンジです。

液体クロマトグラフィー用マイクロシリンジは針の先端が直角にカットされており、ガスクロマトグラフィー用マイクロシリンジは鋭角にカットされています。ガスクロマトグラフィー用マイクロシリンジを液体クロマトグラフィーに使用すると、導入部の奥に当たって傷つけます。

その一方で、液体クロマトグラフィー用マイクロシリンジは、ガスクロマトグラフィーの導入部には気密性を高めるために取り付けられたゴムのようなセプタムを刺し通せません。

マイクロシリンジの構造

マイクロシリンジは、注射器に形状が似ています。シリンジ部とプランジャーで構成され、シリンジ部には針が取り付けられています。プランジャーを引くとシリンジ内に試料ガスや試料溶液が吸い上げられ、押すと排出されてシリンジ部に目盛りが付いている場合が多いため計量可能です。容量は幅広く、数μL〜数百μLなどです。 

一定量を採取する際には、ガイドを取り付けて用いる場合もあります。低容量のマイクロシリンジはプランジャーが細くてデリケートなため、プランジャーの抜け落ちや押し込み操作の失敗で曲がることを防止するためにガイドを取り付けています。

メクラフランジ

メクラフランジとは

メクラフランジ

メクラフランジ(英語:Blind flange, Blank flange)とは、配管に使用する継手の一種で、配管等の端部で使用流体の流れを止め、メクラするためのフランジを示します。一般的に「閉止フランジ」、「ブラインドフランジ」等も同義語として使用されます。

フランジ部分の規格も一般のフランジと同様に、JIS、JPI、ASME/ANSI等の各種規格があり、代表的な例として JIS B2239 鋳鉄製管フランジ、JIS B2220 鋼製管フランジ、ASME/ANSI B16.5 Pipe Flange and Flanged Fittings、JPI-7S-15 (JPI:日本石油学会)などがあります。

メクラフランジの使用用途

メクラクフランジの使用用途は、一時的または恒久的に配管の端部で流体の流れを止めるために、管端フランジの相手側にメクラフランジを取り付け使用します。

メクラフランジの選定は、流体の種類・圧力・温度・流量などを基準として、材質・耐圧・サイズ(内外径)等を選択します。基本的には、相手側に取り付けられているフランジと同仕様・同材質・同サイズでの選定になります。

流体の流れを止める方法として、バルブなどでメクラする場合もありますが、メクラフランジは配管端部の開口部を完全に塞ぎメクラするために使用します。これにより開口部からの異物侵入を防ぎ、大気に触れることなく閉止することが可能になります。

メクラフランジの原理

メクラフランジの原理は、通常の配管フランジと全く同じで接続するフランジ面同士を密着させることで密閉しています。通常の配管フランジとの違いは、フランジに配管を通す穴がなくボルトを通す穴だけがある点です。

通常の配管フランジと同様に、フランジ間にガスケットを挟み込みフランジより密着性を高めることが一般的な使用方法になります。フランジ同士はボルト・ナットで締め付け密着力を高め維持します。この場合に、ボルト・ナットは均等に締め付ける必要があり、締め付けが不均等の場合は、漏洩することがあります。

そのため、ボルト・ナットを並びの順番に締め付けるのではなく、対角に締め付けていく方法が一般的です。また、ガスケット材質やボルト・ナットの規定トルク値で締め付けることが重要で、必要な締め付けトルク値まで対角の順番に、徐々に締め付けトルクを強めて締め付けていきます。
また、高温流体に使用する場合は、実際に高温流体を流した後に、熱膨張によりねじ部の締め付けが緩むことがあります。その場合は、ボルト・ナットを増し締めする必要があります。

メクラランジの材質は、使用する流体により異なりますが、一般的に炭素鋼・SUS304・SUS316などのオーステナイト系ステンレス鋼や炭素鋼鋳鋼などが使用されます。前述したとおり相手側のフランジと同じ材質を使用します。

また、フランジ間に挟み込んで使用するガスケットの種類・型式・材質の選定も重要シール性の向上と維持するうえで重要になります。選定基準は、通常各種規格で定義されており、流体の種類・温度・圧力に応じて選定します。

閉止フランジ

閉止フランジとは

閉止フランジ

閉止フランジ (英: Blind Flange, Blank Flange) とは、配管に使用する継手の一種で、配管などの端部で使用流体の流れを止めるためのフランジです。

一般的に「ブラインドフランジ」「ブランクフランジ」なども同義語として使用されます。フランジとは、パイプ (配管) やダクト、装置などの機器に取り付けられた平面の「つば」状の板を示します。配管のパイプ同士、装置とパイプ、軸同士もしくは軸と回転機の接続に用いられる部品です。

本記事では、一般的な配管継手としての配管用フランジについて説明します。

閉止フランジの使用用途

閉止フランジ_図1

図1. 閉止フランジの使用例

流体の流れを止める方法として、バルブで閉止する場合もありますが、閉止フランジは配管端部の開口部を完全に塞ぎ閉止するために使用します。流体を閉止するとともに、開口部からの異物侵入を防ぎ、大気に触れることなく閉止が可能です。

また、工場や発電所などでは応急的や一時的な閉止として、閉止フランジが使用されます。消火水や洗浄用水など常設設備ではない配管で閉止フランジを取り外し、パイプやホースをフランジ接続して、流体を流すときのみの使用方法です。

なお、閉止フランジは必ず管端には相手側となるフランジが接続され、ガスケットを挟み込み閉止フランジを取り付けます。基本的には、相手側のフランジと閉止フランジは同仕様・同材質・同サイズの選定になります。

閉止フランジの原理

閉止フランジ_図2

図2. 閉止フランジによる閉止と対角締付

閉止フランジは、フランジ中央にパイプの貫通穴がなく、ボルト穴だけがある点が他の配管フランジと異なります。閉止フランジの締め付けは、フランジ間にガスケットを挟み込み、ボルト・ナットで締め付け密着力を高めます。

ボルト・ナットは均等に締め付ける必要があり、不均等な場合は漏洩する可能性が高いです。均等に締め付ける際は、対角に締め付けていく方法が一般的です。

また、ガスケット材質やボルト・ナットの規定トルク値で締め付けることが重要です。必要な締め付けトルク値まで対角の順番に、徐々に締め付けトルクを強めて締め付けていきます。

高温流体に使用する場合は、実際に高温流体を流した後に、熱膨張によりねじ部の締め付けが緩むことがあり、ボルト・ナットを増し締めする必要があります。

閉止フランジの種類

閉止フランジは、流体の種類・圧力・温度・流量などを基準として、呼び径 (配管・パイプ径) 、呼び圧力、ガスケット座種類、材質などを選択します。

1.  呼び径

閉止フランジの呼び径は、使用する配管 (パイプ) と同じ呼び径を選定します。JISの鋼製管フランジでは、10A (3/8B) ~1,500A (60B) まであります。

2.  呼び圧力

呼び圧力は使用流体の圧力、温度、フランジ材質によって分類され、各規格の基準に従って選定します。各規格の呼び圧力の例は下記のとおりです。

  • JIS規格
    5K, 10K, 16K, 20K, 30K, 40K, 63Kの7種類
  • ASME/ANSI
    クラス150, 300, 400, 600, 900, 1500, 2500の7種類
  • ISO
    PN10, 16, 20, 50, 110, 150, 260, 420の8種類

3.  ガスケット座の種類

閉止フランジ_図3

図3. ガスケット座の種類

ガスケットに面する座面は下記の4種類があり、ガスケット種類に応じて選定します。

  • 全面座 (FF)
  • 平面座 (RF)
  • はめ込み形 (MF)
  • 溝形 (TG)

4.  材質

材質は、炭素鋼オーステナイト系ステンレス鋼などが使用されますが、代表的な例としてJIS規格の鋼製管フランジでは、下記のような材質があります。

材質

圧延材

鍛造材

鋳造材

材料グループ番号

規格番号

材料番号

規格番号

材料番号

規格番号

材料番号

炭素鋼

JIS G3101 JIS G4051

SS400 S20C

JIS G3201  JIS G3202 JIS G4051

SF390A SFVC1   S20C

JIS G5101 JIS G5151

SC410 SCPH1

001

JIS G4051

S25C

JIS G3201  JIS G4051

SF440A S25C

JIS G5151

SC480

002

JIS G3202

SFVC2A

JIS G5151

SCPH2

003a

低合金鋼

JIS G3203

SFVA F1

JIS G5151

SCPH11

013a

JIS G3203

SFVA F11A

JIS G5151

SCPH21

015a

ステンレス鋼

JIS G4304 JIS G4305

SUS304 SUS304

JIS G3214

SUSF304

JIS G5121

SCS13A

021a

JIS G5121

SCS19A

021b

JIS G4304 JIS G4305

SUS316 SUS316

JIS G3214

SUSF316

JIS G5121

SCS14A

022a

JIS G5121

SCS16A

022b

JIS G4304 JIS G4305

SUS304L SUS304L

JIS G3214

SUSF304L

023a

JIS G4304 JIS G4305

SUS316L SUS316L

JIS G3214

SUSF316L

023b

 

フランジの材質の選定は、JIS規格では配管内を流れる使用流体の「最高使用圧力」と「流体の温度」により、「呼び圧力」と「材料グループ番号」が選択されます。材料グループ番号に区分けされた複数の規格材料から、フランジ製造方法、使用環境やコストなどにより材質を選定します。

閉止フランジのその他情報

1.  規格

フランジ部分の規格も一般のフランジと同様に、JIS、JPI、ASME/ANSIなどの各種規格があります。代表的な例として以下があります。

  • JIS B2220 鋼製管フランジ Steel pipe flanges
  • ASME/ANSI B16.5 Pipe Flanges and Flanged Fittings, NPS1/2 Through NPS24 Metric/Inch Standard
  • ISO 7005-1 Pipe flanges-Part 1: Steel flanges for industrial and general service piping systems
  • JPI-7S-15 石油工業用フランジ (JPI: 日本石油学会)
  • JPI-7S-43 石油工業用大口径フランジ

2.  ガスケット

閉止フランジ_図4

図4. ガスケットの種類

閉止フランジに使用するガスケットは、使用流体の温度と圧力の適合性で選定します。下記は代表的なガスケットの種類です。

ジョイントシートガスケット
炭素繊維などにゴムを配合し、シート状に加硫圧延したガスケットで、フランジ座面寸法に合わせて切断して使用します。

うず巻形ガスケット
V字形断面の金属フープ (金属薄板) とフィラー (テープ状のシール材) を重ね、うず巻状に成型したガスケットです。密閉性 (シール性) が高く、高温・高圧流体で多く使用されます。

リングジョイント
オーバルとオクタゴナル2種類の断面形状で、軟鋼、ステンレス鋼、モネルなどの材質のメタルガスケットです。主に石油工業界のJPI規格で使用されています。

リジッド基板

リジッド基板とは

リジッド基板とは、絶縁体の素材の表面や内部に配線だけを配置したプリント基盤の1種です。

この基板上に電子部品を実装して電子回路を製作するための、基本的な部品です。 プリント基板には、柔軟性のない硬質な材料を用いたリジッド基板、薄く柔軟性のある材料を用いたフレキシブル基板などがあります。

リジッド基板には、片面にだけ基板がある片面基板、両面に基板がある両面基板、何層かの基板の層が積み重ねられた多層貫通基板、高密度配線が可能なビルドアップ基板などの種類があります。

リジッド基板の使用用途

リジッド基板は、硬質の素材で作られているため、強度が高いです。電気的特性にも優れ、両面基板や多層基板などを使用することで小さい実装面積に多数の部品を集積して搭載できます。

これらの特徴を活かして、医療機器、自動車、航空機、船舶、産業用機器、パソコン、民生用電子機器、OA機器、IT機器、ICカード、デジカメ、マザーボードなど、幅広い分野の電子機器・電子製品に使用されています。

リジッド基板の原理

リジッド基板は、基材 (ガラスクロスや紙) に樹脂 (エポキシ、フェノール、テフロン、BT) などを含浸させたものを半硬化状態に仕上げたプリプレグに銅箔を高温高圧のプレスなどで張り合わせたプリント基板です。 プリント基板は、銅箔で回路パターンを形成した銅張積層板 (英: CCL: Copper Clad Laminate) 、基板表面保護用インク (ソルダーレジストインク) から作られています。

リジット基板の種類

1. 仕様による分類

貫通多層基板
実装したい部品の数が多く、基板自体の面積が足りない課題に対して、多層化する形で対応したリジット基板です。絶縁層と導体層を重ねる形で構成されており、ドリルで空けたスルーホールと呼ばれる貫通穴にて導体接続を行います。

実装できる部品の数が増えるため、高密度の実現が可能となり、多機能な電子機器に使用されています。

ビルドアップ基板
貫通多層基板と同じく、絶縁層と導体層を重ねた多層基板です。異なるのは貫通穴をドリルではなく、レーザーで空けている点です。ドリルで空ける穴にはサイズに限界があり、小径化に課題があります。

また、一律で貫通させるため、配線設定の自由度があまり高くありません。レーザーにて要所のみ貫通させる手法で、この課題を解決した基板となります。

IVH多層基板
スルーホール以外に層間を接続するビアを持つ多層基板です。内層と外層を接続するブラインドビアと内層同士を接続するビアが付属しています。

2. 素材による分類

プリント基板の種類は、銅張積層板を構成する基材と樹脂によって、紙フェノール基板、紙エポキシ基板、ガラスコンポジット基板、ガラスエポキシ基板、シリコン基板、BT基板などがあります。また、樹脂を使わず、アルミニウム、セラミックスだけで構成された金属ベース基板、セラミックス基板などもリジッド基板に含まれます。

プリント基板の難燃性・耐熱性は、一般的にNEMA (米国電機工業会) の定めるFR (英: Flame Retardant) グレードと呼ばれる規格で分類されます。

紙フェノール基板
紙フェノール基板は最も古くから使用されている基板で、紙にベークライトと呼ばれる熱硬化のフェノール樹脂を含浸させたものです。安価ですが、はんだ耐熱性・難燃性が低く、吸水しやすいためメッキ加工が困難なのが欠点です。

絶縁性によって、絶縁性の低いFR-1、絶縁性の高いFR-2に分類されます。スルーホール加工をする場合銀ペーストを貫通穴に流し込むことで表裏を導通する加工が可能です。

紙エポキシ基板
紙エポキシ基板は紙に熱硬化性のエポキシ樹脂を含浸させたもので、FR-3に分類されます。紙フェノール基板に比べると吸水しにくくなり、はんだ耐熱性・電気的特性に優れています。

ガラスエポキシ基板
プリント基板の中で最も多く使用されているガラスエポキシ基板は、ガラス繊維を織って布にしたガラスクロスにエポキシ樹脂を含浸させ、難燃性を向上させたものです。

一般的な耐熱性のものがFR-4、高耐熱性のものがFR-5に分類されます。耐薬品性が高く、スルーホール加工を行うことで表裏に回路を形成可能です。

ガラスコンポジット基板
ガラスコンポジット基板は、ガラス繊維を押し固めたガラス不織布とガラスクロスを組み合わせたものにエポキシを含浸させたものです。FRグレードの分類外の基板で、ガラスエポキシ基板の安価な代替基板としてよく使用されます。

金属ベース基板
金属ベース基板は基板の放熱を目的として、銅やアルミなどの熱伝導性の高い金属をベースにエポキシ樹脂などを塗布したのち銅箔とプレスにより張り合わせたものです。ベース金属を厚くすることで放熱性を高められますが、高価になります。

セラミックス基板
セラミックス基板は、金属ベース基板同様放熱を目的とした基板です。ベースにシリカや窒化ケイ素使用しています。金属ベースと比較すると、熱膨張率に優れます。

光アッテネータ

光アッテネータとは

光アッテネータ

光アッテネータは、光ファイバの信号を減衰させて適切な強度の信号に調整する装置で、光減衰器とも呼ばれます。

光アッテネータは、光伝送距離の差に起因する光信号強度の差が伝送装置に悪影響を及ぼすのを防ぐため、また、受光装置で受信する光信号強度が強すぎる場合に、受光素子の受光量が飽和して機器が損傷するのを防ぐためなどの目的で使われます。

光アッテネータには、減衰レベルが固定された固定光アッテネータと、減衰レベルが調節可能な可変光アッテネータがあります。

光アッテネータの使用用途

光アッテネータは、光源デバイスの出力が大きいCATVシステムや伝送距離が短い光ファイバケーブルなど、受光素子の受光量が飽和して機器を損傷する恐れがある場合に、光信号の強度を減衰させて機器を保護するために使用されます。

また、波長多重方式(WDM)システムの受信側で光信号の強さにバラツキが発生するのを防ぐためにも使われます。

光アッテネータは、光通信システムの伝送性能の試験や減衰によるエラー発生率などの試験を実施する際に、擬似的な通信環境を構築するために使われることもあります。光アッテネータによって意図的に光信号を減衰することによって、光通信機器の最大伝送性能を測定することができます。

光アッテネータの原理

光アッテネータは、光ファイバ間に挿入して光信号の強度を減衰させる装置です。光信号の減衰を実現するのには、いくつかの方式があります。

  1. 光の吸収による減衰:光ファイバに鉄、コバルト、ニッケルなどの遷移金属が含まれると、光エネルギーがこれらの不純物によって吸収されます。この現象を利用し、意図的に遷移金属をドーピングした光ファイバを光アッテネータとして使用します。
  2. 磁気光学効果による減衰:光の進行方向と同一直線上に磁界があるとき入射光の偏向軸が回転するファラデー効果を利用して、光を減衰させます。飽和磁場以下の磁界では、偏向軸の回転角と磁場とは比例関係にあるため、磁界の強さで減衰量を調整できます。
  3. エアギャップによる減衰:光ファイバと光ファイバとの間に距離を設け光が空気中を通過するようにすると、このエアギャップで光エネルギーが低減します。この現象を利用し、コネクタ間のエアギャップを設け、光アッテネータとして使用します。エアギャップ距離を増減することで、減衰量の調整でききます。

光アッテネータの方式には、このほかにも、光ファイバー曲げたり、光信号のルート上に遮蔽物を挿入したりする機械的方式もあります。

接点付圧力計

接点付圧力計とは

接点付圧力計

接点付圧力計は、圧力計として計測された圧力をエレメント(指針)により指示計に表示させる機能に加えて、電気的な接点機構(電流回路の物理的な接触/切断により電流を流し/止める機構を示します)を組み込んだ製品です。

計測圧力を読み取れることに加えて、あらかじめ使用者によって設定された圧力に達したかどうかを判断し、接点機構が電気的にON-OFF(入/切)の信号となります。このON-OFF(入/切)の信号を使用し、制御システムなどで種々の動作をさせることが可能になります。

接点付圧力計の使用用途

接点付圧力計は、種々の流体・気体など取り扱う業界では一般的に使用されており、検出したい圧力値に対して表示や動作をさせるための用途として様々な場面で使用されています。

使用用途の例としては下記のようになります。
ブザーの発報やランプ点灯等のON-OFF(入/切)信号として、圧力の異常等を監視・検出・警報表示することで、危険予知や安全確保などの管理を行う事が出来ます。
また、制御用圧力スイッチとして、制御リレー等とともに制御システムとして使用することで、より精度の高い圧力監視・調節や制御が可能になります。

圧力の設定は、検出したい圧力値に対して上限もしくは下限でON-OFF(入-切)させるような設定を行います。
例としては、5.0MPa以上の圧力を検出した時点で、ブザーが発報し警報ランプが点滅し危険を知らせ、バルブを閉止し流体の流れを止め危険回避を行うなどを、制御システム等で動作させることが可能になります。

接点付圧力計の原理

接点付圧力計における設定圧力の検出は、接点機構の構造や作動方式により機械式、電子式があります。

  • 機械式
    接点機構が接点の物理的な接触/切断の作動でON-OFFするものを示します。圧力計で検出した変位が、設定された圧力に達した時点で、接点機構を動作させます。機械式の中でも接点機構により下記のような種類があります。
  1.  コンタクト接点付圧力計
    圧力計に内蔵されたブルドン管やベローズ接手(どちらも圧力計の圧力検出機構)により導入された圧力を検出し変位します。検出した変位を拡大機構にて圧力計の目盛板上にエレメント(指針)で指示します。このエレメント(指針)の変位で、低接触圧スイッチの接点機構を直接的に作動させON-OFF(入/切)します。
  2.  マイクロスイッチ接点付圧力計
    圧力計に内蔵されたブルドン管の作動で検出した変位で、マイクロスイッチの接点機構を作動させON-OFF(入/切)します。特徴として、接点作動時のチャタリング(接点が短時間でON-OFFを繰り返す現象)がなく、多少の振動のある場所でも使用が可能です。
  3.  リードスイッチ接点付圧力計
    圧力計のブルドン管で検出した変位で、リードスイッチの接点機構を作動させON-OFF(入/切)します。特徴として、小型・軽量で狭いスペースで設置ができます。またリードスイッチは外部の環境に影響を受けにくく信頼性に優れています。
  • 電子式
    電子式接点圧力計
    圧力センサー半導体リレーの組み合わせによりON-OFF(入/切)します。接点機構が機械的な作動をするはないため作動不良がなく、より高精度で耐久性が高く信頼性のある制御が可能です。

デジタルクランプメーター

デジタルクランプメーターとは

デジタルクランプメーター

デジタルクランプメーター(英語:Digital clamp meter)とは、デジタル式のクランプメータになります。

電線をクランプで挟み込んで電流等を計測する計器にデジタル式表示器を付属したものや、一定時間間隔(例:3回/秒)ごとにデジタルの数値としてサンプリング(計測時間と計測値をデータとして抽出ること)しメモリーに記録したりするものがあります。

自動的に最大/最小値や偏差値を測定し、ピークホールド(最大/最小値で表示を固定させる)機能が付いたものがあります。

デジタルクランプメーターの使用用途

デジタルクランプメーターの使用用途は、主に常時電流値などを計測するのではなく、トラブルの原因究明や定期的な設備の確認などで電流を計測する場合に使用します。

現場などでの電流計測の場合、電流が流れている電線やケーブルを解線(端子などの接続を取り外すこと)せずに、クランプで電線やケーブルを挟み込むことで計測できる利点があります。

またデジタル直流/交流電流や漏れ電流・電圧計測、また導通チェック抵抗値計測などテスタ機能を備えたものもあります。

デジタルクランプメーターの原理

デジタルクランプメーターの原理は、「クランプメータ」と同じで、電流から発生する磁界をセンサー検出し、電流換算することで電流測定をしています。

デジタルクランプメーターの特徴として、電流値・電圧などを連続計測するだけではなく、設定した一定時間間隔で計測データを計測された時間とともにメモリーに記録する、データロギング機能を内蔵したものもあります。またそのデータをBluetoothで伝送する機能を備えたものもあります。

記録されたデータを利用し、Excelに取り込みグラフ化し、また専用アプリケーションなどを使用して、傾向を分析し故障原因究明などが行うことができます。一時的や応急的に監視するためであれば、デジタルクランプメーターで容易に簡易的に計測することが可能になります。

したがって、設備のメンテナンスや点検、故障診断などの場合に使用されることが多く、装置自体も軽量で持ち運びが容易であることから、工場やプラント設備では頻繁に使用される計器です。