ダクトフランジとは
ダクトフランジ (英: Duct flange) とは、ダクト同士やダクトと装置・設備を接続するために取り付けるフランジ (平面のつば状の板) です。
ダクトは鉄板や鋼板などの板材を角筒や円筒状に成形された管で、空調機械などで空気を流すための管路を指します。ダクトフランジはハイプの接合に用いられる「管フランジ」と同様に、ダクト接合用のフランジです。
長方形 (角筒) のダクト用は矩形状、円形 (円筒) の丸ダクト用は円盤状となっています。
ダクトフランジの使用用途
ダクトフランジは、小規模住宅から大規模ビルや工場の空調機器の送風・排気ダクト、火力発電所の燃焼空気の送風や燃焼ガス排気用の風煙道などに使用されています。ダクトは製作や施工上の長さ限界から、一定長さのものを複数本接続し施工します。
そのため、設置規模が大きくなるほど、敷設距離は長く接続箇所も多くなり、接合にダクトフランジが必要です。ダクトフランジを使用せず接合する方法として、ダクト同士を直接溶接する方法が挙げられます。
この施工は、多数箇所のダクト溶接で多くの作業時間が必要で、清掃や点検及び解体作業のたびにダクトを切断し、作業時間とコストがかかり効率的ではありません。したがって、ダクト端部にダクトフランジを溶接等で取り付け、フランジ同士をボルト・ナットで締結し接合する方法は、効率的な施工方法です。ボルト・ナットを外しダクトの分離が可能で、清掃や点検作業が容易に行えます。
ダクトフランジの原理
ダクトフランジは、配管用の管フランジと同様に、フランジの接合面同士を密着させることで、ダクト内部の流体が外部に漏洩しないよう密閉します。また、フランジの接合面間はガスケットを挟み込み、フランジ同士を締め付けます。
1. 金属製長方形ダクト
金属製長方形ダクトフランジの接合継手工法には、一般的に下記3つがあります。
アングルフランジ工法 (英: Companion angles flange method duct)
図1. アングルフランジ工法
鉄板やステンレス鋼板で製作されたフランジを、ダクト端部に溶接やリベットで取り付け、フランジ同士をボルト・ナットで締結する工法です。この方法は、接合の強度が高くなりますが、施工時間は多少長くなります。
共板フランジ工法 (英: Transvers formed flange method duct)
図2. 共板フランジ工法
ダクトの端部を90度外側に折り曲げフランジ状に加工し、フランジのコーナー部は専用金具をはめ込みボルト・ナットで締結、フランジ全体はクリップ (フランジ押さえ金具) をはめ込み接合します。この方法は、接合の強度が多少低くなりますが、施工時間は短縮されコストも安価になります。
スライドオンフランジ工法 (英: Slide on flange method duct)
図3. スライドオンフランジ工法
薄板を90度折り曲げフランジ状に加工して、ダクトの端部からはめ込み、フランジのコーナー部は専用金具をはめ込みボルト・ナットで締結、フランジ全体はクランプ (フランジ押さえ金具) をはめ込み、ボルトで押さえ付け接合します。
一般的に、短時間で施工できコストの安価な共板フランジ工法が使用されていますが、強度が必要な場合には、アングルフランジ工法が使用されています。
2. 円形ダクト
金属製
図4. 金属製円形ダクトフランジ
金属製円形ダクトの接合は、差し込み継手とフランジ継手があり、差し込み継手はダクトフランジを使用しません。フランジ継手は、長方形ダクトのアングルフランジ工法と同様に、アングルフランジをダクトに溶接やリベットなどで取り付け、フランジ同士をボルト・ナットで締結します。
樹脂製
図5. 樹脂製ダクトフランジ
硬質塩化ビニール製などの樹脂製ダクトは、金属製のアングルフランジ工法と同様に、樹脂製のアングルフランジをダクトにはめ込み溶接し、フランジ同士をボルト・ナットで締結します。
3. その他
図6. グラスウールダクトの接合
その他のダクトは、グラスウール製ダクトがあり、接合方法は相欠け継手と突合せ継手の2種類です。ただし、ダクトフランジを使用しない接合で、参考用としての記載です。
- 相欠け継手
両ダクト端面は凹凸加工を行い、加工部に接着剤を塗布して、はめ込み接合します。接合外周面はアルミテープを巻き付けシールします。 - 突合せ継手
両ダクト端面は凹凸加工をせず、端面同士を接着剤で接合し、接合外周面はアルミテープでシールします。
ダクトフランジのその他情報
規格
下記はダクトフランジに関連するJIS規格です。
「JIS A4009 空気調和及び換気設備用ダクトの構成部品 Components of air duct」
この規格には、5.4 継手の構造として上記の工法などが規定されています。