光アッテネータとは
光アッテネータは、光ファイバの信号を減衰させて適切な強度の信号に調整する装置で、光減衰器とも呼ばれます。
光アッテネータは、光伝送距離の差に起因する光信号強度の差が伝送装置に悪影響を及ぼすのを防ぐため、また、受光装置で受信する光信号強度が強すぎる場合に、受光素子の受光量が飽和して機器が損傷するのを防ぐためなどの目的で使われます。
光アッテネータには、減衰レベルが固定された固定光アッテネータと、減衰レベルが調節可能な可変光アッテネータがあります。
光アッテネータの使用用途
光アッテネータは、光源デバイスの出力が大きいCATVシステムや伝送距離が短い光ファイバケーブルなど、受光素子の受光量が飽和して機器を損傷する恐れがある場合に、光信号の強度を減衰させて機器を保護するために使用されます。
また、波長多重方式(WDM)システムの受信側で光信号の強さにバラツキが発生するのを防ぐためにも使われます。
光アッテネータは、光通信システムの伝送性能の試験や減衰によるエラー発生率などの試験を実施する際に、擬似的な通信環境を構築するために使われることもあります。光アッテネータによって意図的に光信号を減衰することによって、光通信機器の最大伝送性能を測定することができます。
光アッテネータの原理
光アッテネータは、光ファイバ間に挿入して光信号の強度を減衰させる装置です。光信号の減衰を実現するのには、いくつかの方式があります。
- 光の吸収による減衰:光ファイバに鉄、コバルト、ニッケルなどの遷移金属が含まれると、光エネルギーがこれらの不純物によって吸収されます。この現象を利用し、意図的に遷移金属をドーピングした光ファイバを光アッテネータとして使用します。
- 磁気光学効果による減衰:光の進行方向と同一直線上に磁界があるとき入射光の偏向軸が回転するファラデー効果を利用して、光を減衰させます。飽和磁場以下の磁界では、偏向軸の回転角と磁場とは比例関係にあるため、磁界の強さで減衰量を調整できます。
- エアギャップによる減衰:光ファイバと光ファイバとの間に距離を設け光が空気中を通過するようにすると、このエアギャップで光エネルギーが低減します。この現象を利用し、コネクタ間のエアギャップを設け、光アッテネータとして使用します。エアギャップ距離を増減することで、減衰量の調整でききます。
光アッテネータの方式には、このほかにも、光ファイバー曲げたり、光信号のルート上に遮蔽物を挿入したりする機械的方式もあります。