ふるい振とう機

ふるい振とう機とはふるい振とう機

ふるい振とう機とは、異なる大きさの粒が混在する試料をふるいにかけ、粒の大きさごとに選別する装置です。

ふるいとして穴の径が大きいものから段々と小さいものを使用すれば、大きい粒から徐々に小さい粒へと分別可能です。

具体的には、穴の経が大きいふるいの下にそれよりも小さい径の穴のもの、その下には更に細かい穴のものを配置します。これらを一度に浸とう (揺り動かす) すれば、粒を大きさごとに選別可能です。振とうを機械的な手段によりおこないい、粒の選別を自動でおこなっています。

ふるい振とう機の使用用途

ふるい振とう機は、さまざまな試料の粒径による選別に使用されます。人の手でふるい分けるよりも早く正確にふるい分けできるため、食品や工業、医療などの分野でも使用されています。

例えば以下のような用途も一般的です。

  • 微小で微量な科学研究用サンプルの分別
  • 大量の土木建築材料の選別
  • 形状や材質が混在するゴミの分別

ふるい振とう機には、揺り動かすためのさまざまな駆動方法や色々なふるいの種類、色々なサイズなどがあり、選別したい試料に合わせて装置を選択可能です。

ふるい振とう機の原理

ふるい振とう機は、簡単に言えばさまざまな大きさのふるいを重ねたものです。一番上を最も穴の径が大きいふるいとし、その下にもう少し穴の径が小さなもの、その下には更に目のこまかいものを配し、下に行くに連れて徐々に目が細かくなるように重ねます。一番上の大きな目のふるいに試料を投入し、重ねた複数のふるいを一度に揺り動かします。

この際、振とうする駆動手段を自動化したものが「ふるい振とう機」です。一体化した複数のふるいである選別部を振って揺り動かし、さまざまな大きさの粒が混在していた試料を粒の大きさごとに選別します。

選別部を揺り動かして振る駆動方式としては、「モーター駆動式」と「電磁駆動式」の2種類の駆動方式が主な方式です。また、選別部を揺り動かして振る方法でも分類されており、「水平振とう式」と「タップ式」とに分けられます。乾いた試料を選別するほか、湿った試料を選別できるふるい振とう機もあります。

ふるい振とう機のその他の情報

1. ふるい振とう機の駆動方法

先ほど述べたように、重ねたふるいである選別部を揺り動かして振る主な方式は、「モーター駆動式」と「電磁駆動式」の2種類です。

モーター駆動式の特徴は、一度に多くの容量の試料を粒の大きさで選別できることです。ただし、機械的な駆動により振るため振動する動きが大きくなり、音が大きく騒音の問題も生じます。

一方の電磁駆動式は、振動の幅の微調整が効くことが特徴です。振動する動きを小さく設定できるため、微細な素材の分別ができます。また振動の動きの幅が小さいため、騒音が抑えられる点もメリットです。

このような特徴を持つため、モーター駆動式は一度に大量の試料を分別したい土木や建築用材料などの分野でよく使用され、20kgの試料に対応できるものもあります。一方の電磁駆動式は、微細な試料を取り扱う化学薬品や研究材料での使用が一般的です。研究室内で使用できる卓上タイプもあります。

また、エアーを利用して振とうさせるふるい振とう機もあります。この装置では、気流により試料をフィルター (ふるい) に送り、逆側から吸気して試料がフィルターを通過する仕組みです。

2. ふるい振とう機の振とう方法

ふるい振とう機の振とう方法で主なものは、「水平振とう式」と「タップ式」です。

水平振とう式は、ふるいを水平方向に振る運動もしくは水平方向で回旋する運動で揺り動かして振り、試料をふるい分けします。水を含んだ試料の選別には水平回転式のものを使うのが一般的です。

タップ式も、ふるいを水平方向に振る運動もしくは水平方向で回旋する運動をおこないます。このとき、重ねたふるいである選別部を上部からタッピングして作業効率を高めるのがタップ式の大きな特徴です。電磁駆動式でタップ式の卓上ふるい振とう機は、化学薬品や研究材料の選別によく使用されています。

参考文献

https://www.iida-ss.com/product2.html

比色計

比色計とは

比色計

比色計とは、比色法が利用される計測機器の総称です。

ある一定の波長の光に対する透過率や吸収度を測定する分光光度計が、一般的に利用されています。比色法とは、さまざまな試験サンプルに特殊な試薬を加えて発色させ、その色自体の変化や色の濃さなどを比較し、濃度を測定する方法です。

水質調査においては、残留塩素濃度測定、pH測定、濁度測定、残留窒素測定、酸素濃度測定などに利用されています。そのほか、科学研究分野ではサンプルの精確な濃度決定に利用可能です。

比色計の使用用途

一般的な水質検査においては、採取された水に特殊試薬を加え発色させることで、下記の項目の精密測定に利用されています。

  •  残留塩素濃度測定
  •  pH測定
  •  濁度測定
  •  残留窒素測定
  •  酸素濃度測定

また、大気汚染調査においては、試験プローブを大気中にばく露した後一定量の水溶液で洗浄し、その溶液を比色検定することで、窒素酸化物や二酸化炭素濃度の測定が可能です。

比色計を用いた検定は水質調査のさまざまな項目や大気汚染調査などに利用されていますが、入射光の波長を適切に選択すれば、サンプル中の特定物質の濃度や量を決定することも可能です。

比色計の原理

比色計は測定サンプルに光を入射し、サンプルを透過した光の強度を測定する構造です。あらかじめ標準試料となる溶液の透過光強度を測定し、次にサンプルの測定を行います。

両者の透過光強度の比をとることで測定値とし、比色計を利用して、サンプルの透過度、濁度、吸収度の測定が可能です。

比色計の構造

比色計の中でも広く普及している分光光度計は、以下のもので構成されています。

  • 光源
  • スリット
  • 集光レンズ
  • モノクロメーター
  • サンプルホルダー
  • 光検出器
  • 測定器
  • PC

研究用などの大型な機器の場合は、専用の解析ソフトを利用する場合があります。

比色計の種類

1. 分光光度計

物質の吸収または反射スペクトルを測定するための機器です。光源からの光を物質が吸収または反射し、その結果として生じるスペクトルを測定します。これにより、物質の色や化学的特性を分析することができます。

2. カラーメーター

特定の波長の光を使用して、物質の色を測定する機器です。物質が光を吸収するか反射するかに基づいて、その色を定量化します。

色彩計、色度計、色差計とも呼ばれ、比較的簡易な測定を行うのに適しており、教育や品質管理の分野でよく使われます。

3. RGB比色計

人間の視覚システムに基づいて設計された比色計で、人間の目と同様の感度を持つセンサーを使用して、物質の色を測定します。これにより、色の主要な特性であるRGB値やCIE色度座標などを計算できます。

4. pH比色計

専用の検査液を使用し、発色した色でpHを測定する比色計です。ガラス電極pHメーターと同等の精度で測定可能なものもあります。土壌や、水のpH測定によく利用されます。

5. ポータブル比色計

ポータブル比色計は、小型、軽量で持ち運び可能な比色計です。さまざまな場所に持ち運べることから、多用途に利用するとできます。低価格で、利便性も高いことから現場作業に最適です。

一方で、小型であることから測定精度が劣る場合や測定可能範囲が狭い場合があります。また、屋外で利用するときは周囲の光により、測定値に影響が出る可能性が高いです。

比色計のその他情報

ランバルトベールの法則

比色計はサンプルに光を照射し、透過した光の強度を測定します。測定した強度は、ランバルトベールの公式を利用して計算することで、光の強度を表す無次元量である吸光度を求めることができます。

   ランバルトベールの公式: A = – log10 (I1/I0) = ECl = εcl

  • 吸光度: A
  • 入射した光の強度: I0
  • 透過した光の強度: I1
  • 比吸光度: E
  • 濃度: C
  • 媒質の長さ: l
  • モル吸光度: ε
  • 媒質のモル濃度: c

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakyoshi/64/1/64_KJ00010235491/_pdf
https://axel.as-1.co.jp/asone/s/E0080300/
https://www.monotaro.com/k/store/%E6%AF%94%E8%89%B2%E8%A8%88/

ドリルリーマ

ドリルリーマとは

ドリルリーマ

ドリルリーマとは、一度の加工で穴あけ加工とリーマ加工を行える工具のことです。

通常、ドリルで下穴をあけた後、リーマ加工 (穴の径精度や表面粗さを整える仕上げ加工0 を別途行わなければならないため、同一の加工穴に対して二度の加工が必要です。しかし、ドリルリーマを使用することで、穴あけ加工とリーマ加工を同時に実施できるため、大幅な加工時間の短縮が期待できます。

ドリルリーマの構造は独特で、先端部がドリル形状をしており、切り刃の中央から根元にかけてリーマ形状になっています。リーマ形状のおかげで、同時に2つの加工を行うことが可能です。

ドリルリーマの使用用途

ドリルリーマは、より精度が求められる穴加工に使用されています。金型加工を例に挙げると、金型の中心をなすダイとパンチの隙間 (クリアランス) は、組み立て直しを繰り返しても同じ位置に取り付けられるように、100分の1単位で調整されます。

位置決めピンをはめ込む穴には、ドリルリーマが使用されます。穴の精度が悪いと、位置決めピンを打ち込んでもずれが生じ、パンチとダイの位置が狂い、最悪の場合破損してしまうこともあるため注意が必要です。

ドリルリーマは正確な位置決めが求められる穴加工や、精密部品のはめ合い公差を加工する際に使用されます。そのため、精密機械や金型製作など、高い精度が必要とされる分野での利用が一層拡大していくことが期待されています。

ドリルリーマの原理

ドリルリーマは、作業効率を高めるために開発された工具です。下穴をあけるドリル加工と下穴の側面を削り取り穴径を整えるリーマ加工を同時に行います。そのため、一度の加工で穴あけから仕上げまで実現可能です。

ドリル加工用切刃とリーマ加工用切刃を兼ね備えています。先端部 (10~30mm程度) はドリル加工用切刃で、その後方がリーマ加工用切刃となっており、リーマ代は0.1~0.5mmに設定されています。

例えば、仕上げ寸法8mmのドリルリーマでは、呼び寸法8mm、ドリル径7.7mm、リーマ径8mm、ドリル刃長22mm、刃全長80mmです。リーマ加工用切刃の食い付き角度は、15°~45°の範囲で設定されることが一般的です。また、ニックやブレーカによって切粉が切断されるため、切粉の排出がスムーズに行われ、リーマ加工の精度が向上します。

ドリルリーマの主要な材料はハイス鋼で、耐久性を向上させるためにTiCNコーティングが施されたものも存在します。そのため、長寿命で高精度な加工が可能です。

ドリルリーマの種類

ドリルリーマには、主に「ストレートフルートドリルリーマ」「スパイラルフルートドリルリーマ」「タイプ合わせドリルリーマ」の3種類が存在します。

1. ストレートフルートドリルリーマ

ストレートフルートドリルリーマは、フルート (切削溝) が直線状に伸びているタイプのドリルリーマです。一般的な金属材料やプラスチックなどの加工に適しており、穴径精度や表面粗さが求められる場合に使用されます。

また、切削力が低く、切粉の排出がスムーズに行われるため、加工効率が向上します。

2. スパイラルフルートドリルリーマ

スパイラルフルートドリルリーマは、フルートが螺旋状に伸びているタイプです。この構造により、切粉の排出がさらにスムーズになり、深い穴加工や難削材の加工に適しています。また、振動が抑制され、加工面の仕上がりが良くなるのも特徴です。

3. タイプ合わせドリルリーマ

タイプ合わせドリルリーマは、特定の部品や用途に合わせて設計されたカスタムメイドのドリルリーマです。特殊な形状やサイズの穴加工が可能になり、高い精度や効率で作業を行えます。また、複数の工程を1つにまとめることで、作業時間の短縮やコスト削減が期待できます。

参考文献
https://patents.google.com/patent/JPH11129109A/ja
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/223005446297/
http://www.fptools.com/reamer.html

ドライポンプ

ドライポンプとは

ドライポンプ

ドライポンプとは、オイルやその他の液体を利用せず真空を実現するさまざまな真空ポンプの総称です。

ドライポンプはオイルなどを利用して真空を作り出す、ウェットポンプと対比する名称です。ルーツ型ドライポンプ、スクロールポンプ、クロー型ドライポンプ、ダイアフラム型ドライポンプなど、メカニズムの違いによっていくつかの種類があります。

また、ロータリーポンプとは異なり、オイルミストの排出がないので、クリーンな環境での利用に適しています。

ドライポンプの使用用途

ドライポンプの主な使用用途は、半導体製造ラインや食品加工ライン、電子顕微鏡をはじめとしたさまざまな科学分析装置などです。これらの用途では、利用環境への汚染を避けなければなりません。ドライポンプは排気中にオイルミストなどの混入がないことが最大の特長であることから、クリーンな環境が求められる用途に対しては、ドライポンプが適しています。

ただし、ドライポンプの到達真空度は1Pa程度であり、真空度としてはそれほど高くありません。高真空度が必要な場合には、ターボ分子ポンプやイオンポンプなどと組み合わせて利用します。また、種類によって排気速度が異なるので、利用方法に応じて適切なタイプの選択が必要です。

ドライポンプの原理

ドライポンプにはさまざまな方式がありますが、気体輸送式という区分のポンプが多くあります。いずれの気体輸送式ポンプには、気体を吸入するための吸気口と気体を排出する排気口があり、吸気口から取り入れた気体を排気口から排出することによって、ポンプ内部の気体を排出します。

さまざまな気体を輸送することによって空間内の気体の量を減らし、真空状態を作り出す仕組みです。ドライポンプと対比となるウェットポンプでは、気体を輸送する際に真空ポンプ内の密閉を完全にするために作動液、または作動油というオイルを使います。

作動油は密閉以外にも、部品同士の摩耗、摩擦の低減、圧縮熱と呼ばれる気体が圧縮されることによって発生する熱の吸収、ポンプ部品の錆止め効果の役割があります。

ドライポンプの種類

ドライポンプでは気体を輸送するために、さまざまな構造をしたポンプがあります。主なドライポンプは容積移送式であり、中でも回転式のタイプが主流です。

1. ベーンポンプ

ベーンポンプは円形の空間内に、複数のベーンと呼ばれる羽根を内臓した円筒が、ベーンで空間内の空気を描き出すように回転運動するポンプです。ベーンに生じる遠心力によって、ベーンの先端が円形空間の壁面に接触して密閉空間を形成します。

2. クローポンプ

クローポンプは2つのクローと呼ばれる爪形状のロータが並んで配置されており、互いに反対方向に回転しながらクローで気体を排出します。気体は圧縮されてポンプの外部に排出されます。

3. 多段ルーツポンプ

多段ルーツポンプも、一対の逆方向に回転するロータによって吸入した気体をポンプの外部に排出するポンプです。ロータはまゆ形断面の羽根を持っています。

4. スクロールポンプ

スクロールポンプは、同じ渦巻形の壁面をした固定スクロール内を、旋回スクロールが回転しながら気体を移送するポンプです。

5. スクリューポンプ

スクリューポンプは1~3つのスクリューと、スクリューを納めたケーシングで構成されたポンプです。スクリューが回転することによって、気体がケーシング内を押し出されるように移動して排出されます。

 

上記の回転式以外の容積移送式のドライポンプには、往復動式のポンプもあります。往復動をする部品はダイヤフラム、ピストン、ベローズなどです。

ドライポンプの特徴

ドライポンプは気体が通過する経路に作動油が存在しません。排ガス中にオイルミストが混入したり、オイルが蒸発して真空容器中に拡散する心配もありません。クリーンな排気、真空空間が得られるのが、ドライポンプの大きな特徴です。

オイルの定期的な補充や交換といったメンテナンスが不要であることも、大きなメリットです。他にもドライポンプには小型軽量、低振動、低騒音などの特長があります。

参考文献
http://www.shinku-pump.com/vacuumpump/dry/
http://www.orionkikai-vacuum-pump.com/tech03-3.html
https://kurashi-no.jp/I0017669

セオドライト

セオドライトとは

セオドライト

セオドライトは、水平角および高度角を精確に測定する測量機器です。

精密回転ステージと精密垂直振りステージに取り付けられた望遠鏡を、水平方向と垂直方向に独立して回転させることで、遠方に設定した測定点間を精度よく計測し角度を決定できます。

土木・建築分野で測量には不可欠な機器で、必ず三脚とあわせて使用します。

現在では主に、光学セオドライト、デジタルセオドライト、レーザーセオドライトの三種類が利用されています。

セオドライトの使用用途

土木・建築現場での測量に使われます。

水平角と高度角を精確に計測することができるので、特に下記のような利用に適しています。

  •  目的の地面での直角(90°)だし
  •  精確な水平直線経路の設定
  •  仰角、俯角の精確な測量

測量中は、セオドライト本体を水平に保ち、基準点上に完全に固定する必要があるため、専用の三脚に設置して使用します。

精確な距離計測とあわせることで、あらゆる空間内で任意の一点の位置を特定することも可能です。

セオドライトの原理

セオドライトの構造

図1. セオドライトの構造

セオドライトは、基本的に望遠鏡が水平面内精密回転ステージと垂直方向精密振りステージに組み込まれた構造を持ちます。

これにより望遠鏡を水平方向、垂直方向に独立して回転されることができ、任意の二つの測定点間の角度を精確に決定します。

ほぼすべてのセオドライトで望遠鏡の倍率は30倍に設定されています。

また測量中の位置固定のため三脚上への設置が必要で、底部にネジ止め機構が設けられています。

現在では主に、通常の光学望遠鏡とデジタルマイクロメーターを組み合わせた構造を持つもの(光学セオドライト)、望遠鏡をのぞいて目標の点に照準をあわせることで視野内に測量値が表示される機構を持つもの(デジタルセオドライト)、デジタルセオドライトと可視光レーザーを組み合わせることにより測量基準線を明確に作り出すことができるもの(レーザーセオドライト)の3種類が利用されています。

距離測量機とあわせて使用することで、空間内のすべての任意点に対しての位置決定が可能になります。

セオドライトの種類

セオドライトには光学セオドライト、デジタルセオドライト、レーザーセオドライトの三種類があります。

光学式は光学望遠鏡に組み込まれた光学式マイクロメーターで角度を読み、バッテリーを使用しないため電池切れの心配がないことが特徴です。

デジタル(電子式)は角度を電子的に測定し表示するタイプのセオドライトです。測定値の読み取りが早く、読み取り誤差が少ないことが特徴であり、3種類の中で最も主流の方式です。

レーザー式はレーザーダイオードが組み込まれており、観測点をレーザースポットで照射することが特徴です。地下やトンネルでの工事で効果を発揮します。

セオドライトのその他情報

1. セオドライトとトランシット、トータルステーションの違い

セオドライトとトランシットはどちらも水平角と高度角という2種類の角度を測定する測量機器です。角度を目盛りで読むものをトランシット、デジタル表示されるものが電子セオドライトと呼ばれています。一般的に、セオドライトといえば電子セオドライトが主流です。

それに対して、トータルステーションは一台で距離と角度の両方を測ることができます。セオドライトに距離を測定する機能が追加されたものがトータルステーションと言えます。トータルステーションは光波測距儀の機能を持つため光波とも呼ばれます。マイコンやOSを搭載して遠隔操作でできるなど機能が多い分、セオドライトよりも高額になります。

また、トータルステーションは距離と角度を測定できる一方で、角度測定の精度は一般的にセオドライトの方が高いことから、比較的小規模な土木現場等で使用されます。

2. セオドライトの角度検出方式の違い

セオドライトなどの測量機には、電源を入れてから望遠鏡を回転させないと測量できない機種と、電源を入れたらすぐに測量できる機種があります。これは、インクリメンタル方式とアブソリュート方式という2つの方式の違いにあります。

インクリメンタル方式は、分度盤に刻まれたスリットの数を加算することで角度の変化量を測定します。スリットの1箇所に角度の0点の目印があり、水平角の場合は0度、鉛直角の場合は90度になるので、電源を入れた後にこの0点を通過させないと測定することができません。

アブソリュート方式は、分度盤に書き込まれたパターンを読み取って現在の角度を測定するので、電源を入れてすぐに角度が読み取れます。しかし、インクリメンタル方式に比べてコストが高くなる傾向にあります。

3. セオドライトの使い方

セオドライトの据え付け時には求心と整準を行いますが、まずはこれらが正しく行えるよう平盤気泡管や円形気泡管、求心望遠鏡の点検と調整を行います。

セオドライト点検と調整が完了した後、セオドライトの据え付けを行います。セオドライトを使用する際はいくつかの注意事項があります。精密機械なので本体に振動や衝撃を与えないようにし、運搬する際は三脚に付けたまま肩に担いではいけません。雨に濡れた場合はよく乾燥させ、レンズが汚れた場合は柔らかい布にアルコールを含ませて静かに拭きます。また、長時間使用しない場合はバッテリーを外します。三脚は定心かんや蝶ネジを確実に締めます。運搬する際も蝶ネジを確実に締め、石突きを人に向けないようにします。

セオドライトを据え付けるには、まず三脚を設置し、セオドライト本体の中心と測点を同一鉛直線上に合わせる「求心」を行います。続いて本体の鉛直軸を鉛直にする「整準」、望遠鏡の中心をプリズムの中心に合わせる「視準」を行います。これらを繰り返し、すべてが一致するように調整することで測定できるようになります。

据え付けの後は、正と反の観測を行い、機械的な定誤差を無くします。続いて正常な測定が行えるか平盤気泡管や円形気泡管、求心望遠鏡の点検と調整を行います。

4. セオドライト使用の注意点

セオドライトを使用する際はいくつかの注意事項があります。精密機械なので本体に振動や衝撃を与えないようにし、運搬する際は三脚に付けたまま肩に担いではいけません。雨に濡れた場合はよく乾燥させ、レンズが汚れた場合は柔らかい布にアルコールを含ませて静かに拭きます。また、長時間使用しない場合はバッテリーを外します。三脚は定心かんや蝶ネジを確実に締めます。運搬する際も蝶ネジを確実に締め、石突きを人に向けないようにします。

また、セオドライト事態だけでなく三脚の選定も重要です。まず材質については木製とアルミ製があります。木製は温度による膨張が少ないため精度の高い測量が可能ですが、値段が高く重いことがデメリットです。対照的にアルミ製は軽量かつ安価であるため持ち運びに便利ですが、温度による膨張により木製より測量の精度が低くなります。

参考文献
https://www.rentalsurvey.jp/topics-menu/topics-top02.html
https://electrictoolboy.com/media/15653/
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td06/x0401.html
https://electrictoolboy.com/media/15653/
https://www.rex-rental.jp/faq/product/941/theodolite_totalstation

スクロールポンプ

スクロールポンプとは

スクロールポンプとは、オイルを利用せず真空を実現するさまざまなドライ真空ポンプの1つで、筐体内で2つの「スクロール」と呼ばれる渦巻き型構造を回転させて気体を圧縮し排出するメカニズムを持つ真空ポンプです。

スクロールポンプは振動や騒音が少なく、小型化しやすい構造の真空ポンプです。また、通常のロータリーポンプとは異なり、オイルミストの排出がないのでクリーンな環境での利用に適しています。

そのため、科学分析装置や真空乾燥および吸着装置などに組み込まれて利用されます。

スクロールポンプの使用用途

スクロールポンプは小型で低振動、騒音が少ないのが特徴です。さらに、オイルミストの排出がないことから、クリーンな環境での利用に適しています。

  •  透過型電子顕微鏡
  •  真空乾燥装置
  •  真空吸着・蒸着装置
  •  真空熱処理炉
  •  その他のさまざまな科学分析装置
  • グローブボックス
  • LEDライト製造
  • フリーズドライ品製造
  • 結晶引上
  • 乾燥器

そのほか、装置の超高真空を実現するため、ターボ分子ポンプ作動前のあらびき用ポンプとしても使用されています。

スクロールポンプの原理

スクロールポンプの原理は、2つのスクロールが回転しながら空気を排出することです。スクロールポンプの筐体内に収められているのが、スクロールと呼ばれる2つの渦巻き構造の羽根車です。

この2つスクロールは回転中心を少しだけずらして設置されているため、回転する際に互いにみそすり運動をします。このみそすり運動する際に、互いの接点で三日月型の小部屋が作られますが、小部屋に閉じ込められた気体がは圧縮されながら移動していき、最後はポンプの外に排出されます。

スクロールポンプの構造

スクロールポンプの構造は、2つのスクロールが回転中心を少しずらした状態で組み合わされたものです。スクロールはインボリュート曲線という、円筒に巻きつけた糸が緩まないように引っ張られたまま解かれる際に、糸の先端が描く軌道の形をしています。

この2つのスクロールが作る小部屋が移動することによって、空気をポンプの外部に排出されます。

スクロールポンプの特徴

スクロールポンプの特徴は、まず完全なオイルフリーであることです。ロータリーポンプと呼ばれる油回転ポンプでは、空気を排出する機構部分の潤滑や冷却、気密性の確保を目的にオイルが使用されていますが、排気中にオイルが蒸発して含まれていることがあります。

スクロールポンプは機構部分にオイルを使用していないため、排気中にオイルが含まれることはありません。クリーンな真空環境が得られるため、さまざまな分析機器に使用されています。その他、ポンプ本体が小型であること、騒音や振動が少ないことも特徴の1つです。

スクロールポンプに関するその他情報

1. スクロールポンプの能力

スクロールポンプは真空ポンプの1種ですが、真空ポンプには実現できる真空度に差があります。真空という言葉からは空気も一切ない状態を想像する方もいるかもしれませんが、必ずしも何もない状態ではありません。

JISでは真空について「大気圧よりも低い圧力の気体で満たされている特定の空間の状態」と定義しており、大気圧よりも低圧の状態を指します。私たちが暮らす地上で大気圧は1気圧であり、133.3Paに相当します。スクロールポンプで作り出せる真空は1Pa程度です。

さらに、高真空が必要な場合には、他のポンプと併用することになります。高真空が必要な分析機器においてはスクロールポンプにターボ分子ポンプなどを組み合わせ、短時間で高真空が得られる構造が採用されています。

2. スクロールポンプの欠点

スクロールポンプでは長時間の使用によりスクロール上のシールが摩滅するため、比較的手間のかかる定期的なメンテナンスが必要です。また、従来型のポンプではスクロールの素材の制約などから、水蒸気等が含まれた気体の排気は不可能でしたが、近年ベアリングシールドやガスバラストが装着されたポンプが開発されています。

これによって、トラップシステムやオイルミストエリミネータを必要としない真空ラインの構築が可能になっています。

参考文献
https://ulvac-kiko.com/support/pump04_scroll.html

ケーブルラック

ケーブルラックとは

ケーブルラック

ケーブルラックとは、ケーブルを乗せて敷設するためのラックです。

大量のケーブルを整然と効率的に長距離敷設するために利用されます。多くの場合は1本3mを単位で販売されており、つなぎ合わせることで長距離化します。数百mを敷設することも珍しくなく、公共施設や工場・研究所といった比較的規模の大きな施設に利用されます。

ケーブルラックを複数段組み合わせるまたはセパレータを設け、配線種別ごとに分類して敷設するのが一般的です。

ケーブルラックの使用用途

ケーブルラックは大規模施設で、ケーブルを敷設するために使用されます。以下は、ケーブルラックの使用場所一例です。

  • 加工工場や大規模プラント
  • イベントホールやオフィスビル
  • 大規模商業施設
  • 暗渠

一定規模以上の施設では、多くの場所でケーブルラックが使用されます。ケーブルラックを使用して通行人が容易に配線に触れられない位置に敷設することで、施設内の安全性を確保可能です。複数本を同時に敷設可能なため、作業性も向上します。

電線管と比較して、多くの配線を敷設することが可能です。したがって、短距離または少ない本数のケーブルは電線管で敷設し、本数が多く長距離の場合はケーブルラックを選択します。

ケーブルラックの原理

ケーブルラックは金属素材の製品が多く、亜鉛メッキを施した鋼板やアルミニウムが使用されます。海岸沿いなどでは耐食性を高めるため、ステンレス鋼や強化プラスチックなどが使用される場合もあります。長手方向を3mとした長方形型で販売される場合が一般的です。

敷設する際は天井に取り付けたボルトで固定してケーブルラックを吊るし、エンドキャップなどの付属品を取り付けます。鋼製製品の場合は2m以下、その他の素材の場合は1.5m以下の間隔で支持します。直線とその他の形状と接続する部分では、その部分の近くとケーブルラックの端に近い部分で支持します。

ケーブルは水平な場所では3m以下、垂直な場所では1.5m以下の間隔で支持します。ただしケーブルラックがトレー型であったり、二重天井内に配線する場合は例外です。ケーブルを垂直に配線する場合は、一箇所の子げたのみに重量が集中しないようにします。

地震などを考慮し、敷設時には一定間隔の振れ止めでケーブルラックを固定して揺れに対応します。振れ止めを取り付ける吊り下げの長さは「建築設備耐震設計・施工指針」に示されているため、これを基準に施工しなければなりません。また、寒暖差が大きいと金属製のケーブルラック自体が伸縮することがあるため、これを避けるために30m以下の間隔で伸縮継手を取り付ける場合もあります。

ケーブルラックの種類

ケーブルラックの形状は、はしご型とトレー型に大分されます。

1. はしご型

はしご状のケーブルラックで、0.3mごとに桁が設けられていることが多いです。ケーブルを固定する場合は、麻紐やインシュロックなどで桁に括り付けます。ケーブルを目視することが可能なため、広く使用されるケーブルラックです。

軽量で安価なため、工場などでは多用されるケーブルラックです。商業施設などの通行人が目にするような場所に敷設した場合、デザイン性を低下させる可能性もあります。したがって、商業施設やイベント会場などでは屋根裏や壁内に設置することが多いです。

また、ケーブルラックの幅はトレー型と比較して広い製品が販売されています。1m幅以上の製品も販売されているため、巨大プラントなどに最適です。本体の材質についても、トレー型と比較して幅広いラインナップで販売されています。

2. トレー型

トレイのように底面が鉄板などで閉塞されている種類のケーブルラックです。ケーブルを固定する際は、底面に一定間隔で開いた穴に紐やバンドを通します。底面によってケーブル自体を安定に保持できる点が特徴です。

また、ケーブルを隠すこともできるため、デザイン性を担保できます。この特徴から、公共施設や商業施設・オフィスに広く使用されます。ただし、底面があるため、はしご型と比較して高価です。

参考文献
https://electric-facilities.jp/denki4/cr.html
https://seko-kanri.com/cable-ruck/

クライオスタット

クライオスタットとは

クライオスタットのイメージ

図1. クライオスタットのイメージ

クライオスタットとは、研究開発などにおいて試料を低温に保つために極低温を実現し保持するための機器です。

冷媒 (液体ヘリウムや液体窒素など) 、ペルチェ素子や冷凍冷却器などを利用して低温を作り出し、恒温槽内の真空容器に保持することで極低温を保つ機構、冷媒を細いノズルから直接対象物に吹き付ける機構などの装置があります。独立した装置として分光学的分析等に用いられる以外にも、クライオ電子顕微鏡や半導体測定装置、超電導デバイスを用いた装置などに利用されている機器です。

クライオスタットの使用用途

クライオスタットは、研究開発などにおいて、安定した低温環境を作り出す必要がある場合に用いられます。紫外・可視・赤外吸収分光測定、蛍光分光測定、円二色性分光測定などの様々な光学測定や、電気物性測定、交流帯磁率測定、ホール効果測定、などの物性測定をごく低温で行う際に用いられる装置です。クライオスタットを用いることにより、試料や装置などの低温保持、装置の熱振動の抑制、試料の熱力学的ダメージの抑制などを行うことが可能です。

顕微鏡との併用が可能な装置では、顕微鏡による試料の観察用途でも用いられる他、電気的接触が可能な装置では、抵抗測定やピエゾ素子、ダイオード、温度計などへの接続が行われます。超電導コイルや超電導マグネットを使用する際にもクライオスタットが用いられることがあり、極低温を安定して維持する必要のある超電導分野ではクライオスタットの需要が高いと言えます。

クライオスタットの原理

1. 冷却機構

クライオスタットの冷却機構としては、液体窒素や液体ヘリウムなどの冷媒やペルチェ素子などの電気的素子、冷凍機などが利用されます。

2. システム構成

クライオスタットのシステム構成は、真空容器と組み合わせた密閉型システムと冷媒を直接吹き付ける機構の開放型システムの2種類があります。密閉型システムでは、冷却される対象物は断熱材で囲まれた恒温槽内の真空容器に密閉され、外部との熱接触が遮断されます。

このシステムでは低温を保持することが比較的容易であり、数ケルビンの極低温まで温度を下げることも可能です。欠点としては、装置全体の構造が複雑で試料の交換などの作業が煩雑になることが挙げられますが、トップロード式など、装置構造の工夫でより簡便になるよう工夫されている製品もあります。

一方、細いノズルを用いて液体窒素等の冷媒を試料に直接吹き付ける機構は、開放型システムと呼ばれます。構造が比較的単純で、対象物を直接観察しながら冷却が可能であり、操作性が高いことが特長です。一方、最低到達温度はあまり低くなく、通常数十ケルビン程度に留まります。

3. 光学窓

クライオスタットにおける分光学的分析のイメージ

図2. クライオスタットにおける分光学的分析のイメージ

クライオスタットでは、試料は低温を維持するために断熱材で囲まれた恒温槽内に静置されますが、分光学的観察のため、光学窓が設けられています。

クライオスタットの種類

超電導マグネット付きクライオスタットのイメージ

図3. 超電導マグネット付きクライオスタットのイメージ

クライオスタットには、様々な種類があり、用途やニーズに合わせたものを選択することが必要です。例えば、極低温冷凍機などの無冷媒型の装置を用いることにより液体ヘリウムや液体窒素などの冷媒が不要となり、冷媒コストを抑えることができます。

最低到達温度は、前述の密閉型システムでは4Kから1.7Kほどまでの極低温であるのに対し、開放型システムでは数十K程度が限界となっています。また、光学窓などの数・種類なども製品によって異なっている他、製品によっては超電導マグネットが付いていたり端子が外部に伸びていて試料への電気的接触が可能になっているものもあります。

クライオスタットのその他情報

クライオスタットが組み込まれている装置

なお、クライオスタットは独立した装置として用いられる以外に、下記のような装置にも組み込まれています。

  •  クライオ電子顕微鏡
  •  医療用MRI装置
  •  半導体測定装置
  •  極低温光学測定装置
  •  天体観測装置用センサー部
  •  核融合炉
  •  タンパク質結晶構造解析用装置

参考文献
https://www.nagase-nte.co.jp/product/cold/cryostat.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bunkou1951/26/2/26_2_81/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscta1974/2/4/2_4_110/_pdf
http://lab.agr.hokudai.ac.jp/emlab/manual/CRYOSTAT.pdf

ガウスメーター

ガウスメーターとは

ガウスメーター

ガウスメーターとは、磁力を測定するための計測機器です。

磁力とは電気的力の1つで、電気を帯びた粒子が運動して電流となり、電流から生まれる力を指します。具体的には、磁石同士が近づいた際に、お互いに引きつけあったり反発しあったりする力です。一般的に磁力は、ある場所における単位面積あたりの磁束の量を示す磁束密度によって定義されます。

ガウスメーターを使用する際には、測定したい場所や測定対象の種類によって、平板型プローブおよび円筒型プローブから形状と大きさを適切に選択して測定します。なお、ガウスメーターと同様に、磁力を測定する計測機器にテスラメーターがありますが、テスラメーターも同じ原理を用いた測定機器です。

ガウスメーターの使用用途

一般的に下記の用途に利用されています。

  •  環境磁力の測定
  •  永久磁石の磁力測定およびN/S極判別
  •  自然界における地磁気の測定
  •  磁性材料の特性検査
  •  そのほか磁性体や、磁力に関係する科学研究

ガウスメーターは測定環境により、プローブを適切に選択して使用しなければなりません。測定プローブには、主に平板型と円筒型の2種類があります。平板型プローブは狭い隙間での測定や直線的な磁場の測定に適しており、円筒型プローブは小型コイルの磁力測定などに適しています。

ガウスメーターの原理

ガウスメーターは、ホール効果を利用しています。ホール効果とは、半導体に磁場を印加し、それに直行する方向で電流を流すと、磁場の大きさに比例して電流に直行する電圧が生じる現象のことです。また、ホール効果が見られる物質は、ホール素子と呼ばれます。

ガウスメーターは、ホール素子でできたプローブに一定量の電流を流し、測定したい箇所にプローブを設置したときに観測される電圧の大きさから磁力を測定します。

ガウスメーターの種類

ガウスメーターには、小型軽量のポータブル型と、比較的大型の据え置き型があります。ポータブル型は場所を選ばず測定が可能ですが、高い精度の測定には適切ではありません。一方据え置き型は、測定場所がある程度限定されますが、高い精度で広いレンジにおける磁力測定が可能です。

プローブの形状とあわせて、測定場所や測定試料の形状、測定環境にあわせて適切な機種を選択して使用します。

ガウスメーターに関するその他情報

1. ガウスメーターの使用例

ガウスメーターが一般に使われている例に、玩具のミニ四駆があります。ミニ四駆はモーターで走行する玩具です。専用コースで速さを競う大会なども開催されており、その際にモーターの強さが勝負のカギを握ります。そこでガウスメーターが、モーターの選別に用いられています。

モーター内部にはコイルがあり、コイルは電線が巻き付けられたものです。一般的に電線が多く巻かれていればいるほどモーターは強い力を出すことが可能となり、早く回転できます。さらに、多くきれいに巻かれているほど強い磁力を放ちます。つまり、ガウスメーターでモーターから発せられる磁力を測定することで、電線が多く・きれいに巻かれているかどうか判断することが可能です。

2. ガウスメーターのスマートフォンアプリ

ガウスメーターは、スマートフォンアプリとして配信されているものもあります。最近のスマートフォンには自分が向いている方角を測定するアプリ (方位磁石アプリ) が標準搭載されていることが多いですが、内部の磁気センサーを用いて方位を算出しています。

スマートフォンアプリ版のガウスメーターの測定原理は、この磁気センサーで周囲の磁気を検知し、磁力を測定するものです。計測器のガウスメーターのように専用のコイルを使った磁力測定ではないため、正しい磁力測定には向いていません。

さらに、スマートフォン自体も電磁波を放っており、磁力センサーに影響を及ぼす可能性がある点も、スマートフォンのアプリが正確な磁力測定には向いていない理由の1つです。正確な磁力を測定したい場合は、市販のガウスメーターを用いることが大切です。

参考文献
https://www.toyo.co.jp/files/user/img/products/material/pdf/7166_ext_06_0.pdf
https://ekuippmagazine.com/measuring/gauss-teslameter/
https://www.magnix.com/product/gauss_ads.htm
https://denjiha.macco.co.jp/blog/apli
http://blog.livedoor.jp/yakiu_mini4wd_/archives/7593699.html

ねじ切りバイト

ねじ切りバイトとは

ねじ切りバイト

ねじ切りバイトとは、旋盤を用いてねじを形成するために使用する切削工具です。

ねじには軸の外径に形成するおねじ、穴の内径に形成するめねじがありますが、それぞれ専用のねじ切りバイトがあります。一般にねじを形成する加工は、タップやダイスなどの工具を使う方法です。

大量のねじ部品を製造する際には、転造機という専用の工作機械が使われます。ねじ切りバイトは汎用の工作機械である旋盤に取り付けて、材料を削り取ってねじ形状を作る際に使われる工具です。

ねじ切りバイトの使用用途

ねじ切りバイトは、ねじ形状を旋盤による切削加工 (旋削加工) によって作る際に使われます。他のねじを形成する方法と比較すると、ねじ切りバイトを用いた旋削加工は難易度が高いです。

さらに、加工に要する時間も多くかかり、ねじ切りバイトによって作られたねじは、転造によって作られたねじと比べると、強度が劣るといったデメリットがあります。なぜなら、転造であれば塑性変形による材料の加工硬化と、連続したファイバーフロー (鍛流線) が得られるからです。

したがって、ねじ切りバイトによるねじ切り加工は限定的に用いられることが多いです。試作などを含めた、比較的少量生産時や、他の工法ではタップやダイスなどに多額の費用がかかる、比較的大きなサイズや特殊なサイズのねじを作りたい時など、切削加工が向いている場合に用いられます。

ねじ切りバイトの原理

ねじ切りバイトは旋盤によって、加工対象物を一定回転で回し、ねじ切りバイトを接触させると同時に、工作物に送り動作を与えることによって螺旋状のねじ形状を作り出します。ねじ切りバイトは通常、切削したい対象物と垂直に設置します。

その上で加工したいねじの溝幅 (ねじピッチ) にあわせて、切り込み量とパスの回数を設定します。一度に大きな切り込み量を設定すると、綺麗なねじ形状を作ることができません。

そこで、一回の切り込み量を小さく設定して、少しずつ加工していき、最後に調整をかけます。おねじを作る場合でも、めねじを作る場合でも、工作物に回転と送り動作を与え、ねじ切りバイトを当ててねじ形状を作る方法は同じです。

おねじを加工する際は、加工したい対象物の外側に切削加工を行うため、加工しているようすを自分で見て確認しながら作業することができます。しかし、めねじを加工する場合は、対象物の内側に切削加工するため、直接作業の様子を目視することができません。手元のレバーを見ながら作業するなど、おねじの加工よりもスキルが必要です。

ねじ切りバイトのその他情報

ねじ切りバイトのすくい角

ねじ切りバイトによる加工において、特に気をつけなければならないのが、加工する際に左右のすくい角が異なるという点です。なぜなら、ねじには必ずピッチと呼ばれるねじ山同士の定期的な間隔があり、この間隔を生み出すためにリード角という斜面になる傾きが必要だからです。

リード角はねじの軸に対する傾きですが、ねじ切りバイトは通常ねじの軸に対して垂直に当てます。ねじの軸に対する傾きであるリード角の存在と、ねじ切りバイトはねじの軸に対して垂直に当てることによって、ねじ切りバイトの左右の刃面を比較すると、すくい角は同じにはなりません。すくい角とは、切削面に対する垂線と、切削工具の刃面が成す角度で、切れ味に影響します。

ねじ切りバイトは切削工具なので、長く使うと刃先が劣化してきます。そこで、切れ味を回復させるために、研磨を行わなければなりません。ねじ切りバイトを研磨する際は、刃先の左右ですくい角が違った切削加工が行われていることを理解し、左右で違った研磨が必要です。

参考文献
https://www.sumitool.com/downloads/cutting-tools/general-catalog/assets/pdf/f3.pdf
https://www.monotaro.com/s/pages/readingseries/nejikisokouza_0504/
http://carbide.mmc.co.jp/