蒸着装置のメーカー6社を一覧でご紹介します。まずは使用用途や原理についてご説明します。
目次
蒸着装置による真空蒸着は、真空条件下で対象物の表面に成膜する物理的気相成長法(PVD法)の一つで、成膜材料を気化させて対象物に成膜します。
真空蒸着はPVD法の中で最もシンプルな方法です。
真空蒸着は膜に不純物が含まれやすいので、真空条件下でチャンバー内に含まれる不純物をなるべく減らし、かつ対象物表面の不純物を取り除いてから膜を堆積させることが大切です。
真空蒸着のメリットは他のPVD法よりシンプルで比較的時間が短く済むことです。
ただし、一般に高融点の材料や合金の成膜には向きません。
蒸着装置ではアルミニウムやクロム、金、銀、銅などの金属材料の成膜が可能です。
こうした材料の膜は半導体や有機ELディスプレイ、液晶パネルなどに利用されています。
他にレンズの反射防止膜や、ガラスへのアルミニウム蒸着によるミラー、ビデオテープ等の磁気テープなども蒸着装置によって作製されています。
また、包装紙としてガスバリア機能を持たせたものには、ポリエチレン等のフィルムにアルミニウムや二酸化シリコンが蒸着されています。
ロータリーポンプやターボ分子ポンプでチャンバー内を高真空にし、蒸着したい材料を加熱して気化させて、対象物上に堆積させます。
密着性のよい膜を作製するには、チャンバー内の空気の不純物を取り除くことが大切です。
材料を加熱して気化させる方法には電子ビーム、抵抗加熱、高周波誘導、レーザーなどがあります。
参考文献
https://www.satovac.co.jp/application/deposition.html
社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
VE-2030は、高清浄度な高真空環境を提供しながら、動作はスタートボタンを押すだけという手軽さを両立した、高真空蒸着装置です。
真空引き時にターボモレキュラーポンプを使用することで、ロータリーポンプ単体ではどうしても逆流してしまうミスト状のオイルを遮断し、高清浄度な高真空空間を実現しています。
研究目的に合わせて、膜厚計やターゲットの一様加熱機構などの多種多様なオプションを選択でき、あとからチャンバーを追加したくなっても対応できます。
VE-2012は、余計な機能をすべてそぎ落として低価格を追求した、省スペースにて設置できるデスクトップタイプの小型真空蒸着装置です。
排気系統を簡素化し、操作はスイッチのオンオフだけというシンプル設計なため、蒸着装置の使用に不慣れでも使用しやすいエントリーモデルといえます。
小型ながら様々な蒸着ができますし、特にカーボンに関してはターゲットにシャープペンシルの芯を使用できるため、特別なターゲットを用意することなく蒸着ができます。
VC-100S/100Wは、カーボン膜の蒸着に特化した真空蒸着装置でTEMやX線分析用のカーボン薄膜が生成できます。
真空引きにはAC100Vのロータリーポンプを使用し、真空度はピラニーゲージで確認しながら常に一定の蒸着量を保つことができます。
蒸着用のカーボンは専用の替え芯の他にシャープペンシルの芯も使用できるため、簡単に扱うことができます。
本体はポンプを含めた一体型であり水冷も不要なため、設備導入の敷居が低く実験室での使用に適しています。
ED-1250Rは、研究機関向けの高真空蒸着装置で、真空チャンバーはガラス製のため内部を確認しながら2インチウェハサイズの成膜をすることができます。
真空排気系統は、油回転ポンプとターボ分子ポンプを搭載しているため、短時間で高真空度まで到達できます。
ターゲットの加熱機構には2対の抵抗加熱機構に加えて電子銃も備えていますし、蒸着基板の加熱機構や回転機構などの、蒸着条件をコントロールするために必要な機能を一通り搭載しているため、安定した研究実験ができます。