セオドライト

セオドライトとは

セオドライト

セオドライトは、水平角および高度角を精確に測定する測量機器です。

精密回転ステージと精密垂直振りステージに取り付けられた望遠鏡を、水平方向と垂直方向に独立して回転させることで、遠方に設定した測定点間を精度よく計測し角度を決定できます。

土木・建築分野で測量には不可欠な機器で、必ず三脚とあわせて使用します。

現在では主に、光学セオドライト、デジタルセオドライト、レーザーセオドライトの三種類が利用されています。

セオドライトの使用用途

土木・建築現場での測量に使われます。

水平角と高度角を精確に計測することができるので、特に下記のような利用に適しています。

  •  目的の地面での直角(90°)だし
  •  精確な水平直線経路の設定
  •  仰角、俯角の精確な測量

測量中は、セオドライト本体を水平に保ち、基準点上に完全に固定する必要があるため、専用の三脚に設置して使用します。

精確な距離計測とあわせることで、あらゆる空間内で任意の一点の位置を特定することも可能です。

セオドライトの原理

セオドライトの構造

図1. セオドライトの構造

セオドライトは、基本的に望遠鏡が水平面内精密回転ステージと垂直方向精密振りステージに組み込まれた構造を持ちます。

これにより望遠鏡を水平方向、垂直方向に独立して回転されることができ、任意の二つの測定点間の角度を精確に決定します。

ほぼすべてのセオドライトで望遠鏡の倍率は30倍に設定されています。

また測量中の位置固定のため三脚上への設置が必要で、底部にネジ止め機構が設けられています。

現在では主に、通常の光学望遠鏡とデジタルマイクロメーターを組み合わせた構造を持つもの(光学セオドライト)、望遠鏡をのぞいて目標の点に照準をあわせることで視野内に測量値が表示される機構を持つもの(デジタルセオドライト)、デジタルセオドライトと可視光レーザーを組み合わせることにより測量基準線を明確に作り出すことができるもの(レーザーセオドライト)の3種類が利用されています。

距離測量機とあわせて使用することで、空間内のすべての任意点に対しての位置決定が可能になります。

セオドライトの種類

セオドライトには光学セオドライト、デジタルセオドライト、レーザーセオドライトの三種類があります。

光学式は光学望遠鏡に組み込まれた光学式マイクロメーターで角度を読み、バッテリーを使用しないため電池切れの心配がないことが特徴です。

デジタル(電子式)は角度を電子的に測定し表示するタイプのセオドライトです。測定値の読み取りが早く、読み取り誤差が少ないことが特徴であり、3種類の中で最も主流の方式です。

レーザー式はレーザーダイオードが組み込まれており、観測点をレーザースポットで照射することが特徴です。地下やトンネルでの工事で効果を発揮します。

セオドライトのその他情報

1. セオドライトとトランシット、トータルステーションの違い

セオドライトとトランシットはどちらも水平角と高度角という2種類の角度を測定する測量機器です。角度を目盛りで読むものをトランシット、デジタル表示されるものが電子セオドライトと呼ばれています。一般的に、セオドライトといえば電子セオドライトが主流です。

それに対して、トータルステーションは一台で距離と角度の両方を測ることができます。セオドライトに距離を測定する機能が追加されたものがトータルステーションと言えます。トータルステーションは光波測距儀の機能を持つため光波とも呼ばれます。マイコンやOSを搭載して遠隔操作でできるなど機能が多い分、セオドライトよりも高額になります。

また、トータルステーションは距離と角度を測定できる一方で、角度測定の精度は一般的にセオドライトの方が高いことから、比較的小規模な土木現場等で使用されます。

2. セオドライトの角度検出方式の違い

セオドライトなどの測量機には、電源を入れてから望遠鏡を回転させないと測量できない機種と、電源を入れたらすぐに測量できる機種があります。これは、インクリメンタル方式とアブソリュート方式という2つの方式の違いにあります。

インクリメンタル方式は、分度盤に刻まれたスリットの数を加算することで角度の変化量を測定します。スリットの1箇所に角度の0点の目印があり、水平角の場合は0度、鉛直角の場合は90度になるので、電源を入れた後にこの0点を通過させないと測定することができません。

アブソリュート方式は、分度盤に書き込まれたパターンを読み取って現在の角度を測定するので、電源を入れてすぐに角度が読み取れます。しかし、インクリメンタル方式に比べてコストが高くなる傾向にあります。

3. セオドライトの使い方

セオドライトの据え付け時には求心と整準を行いますが、まずはこれらが正しく行えるよう平盤気泡管や円形気泡管、求心望遠鏡の点検と調整を行います。

セオドライト点検と調整が完了した後、セオドライトの据え付けを行います。セオドライトを使用する際はいくつかの注意事項があります。精密機械なので本体に振動や衝撃を与えないようにし、運搬する際は三脚に付けたまま肩に担いではいけません。雨に濡れた場合はよく乾燥させ、レンズが汚れた場合は柔らかい布にアルコールを含ませて静かに拭きます。また、長時間使用しない場合はバッテリーを外します。三脚は定心かんや蝶ネジを確実に締めます。運搬する際も蝶ネジを確実に締め、石突きを人に向けないようにします。

セオドライトを据え付けるには、まず三脚を設置し、セオドライト本体の中心と測点を同一鉛直線上に合わせる「求心」を行います。続いて本体の鉛直軸を鉛直にする「整準」、望遠鏡の中心をプリズムの中心に合わせる「視準」を行います。これらを繰り返し、すべてが一致するように調整することで測定できるようになります。

据え付けの後は、正と反の観測を行い、機械的な定誤差を無くします。続いて正常な測定が行えるか平盤気泡管や円形気泡管、求心望遠鏡の点検と調整を行います。

4. セオドライト使用の注意点

セオドライトを使用する際はいくつかの注意事項があります。精密機械なので本体に振動や衝撃を与えないようにし、運搬する際は三脚に付けたまま肩に担いではいけません。雨に濡れた場合はよく乾燥させ、レンズが汚れた場合は柔らかい布にアルコールを含ませて静かに拭きます。また、長時間使用しない場合はバッテリーを外します。三脚は定心かんや蝶ネジを確実に締めます。運搬する際も蝶ネジを確実に締め、石突きを人に向けないようにします。

また、セオドライト事態だけでなく三脚の選定も重要です。まず材質については木製とアルミ製があります。木製は温度による膨張が少ないため精度の高い測量が可能ですが、値段が高く重いことがデメリットです。対照的にアルミ製は軽量かつ安価であるため持ち運びに便利ですが、温度による膨張により木製より測量の精度が低くなります。

参考文献
https://www.rentalsurvey.jp/topics-menu/topics-top02.html
https://electrictoolboy.com/media/15653/
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td06/x0401.html
https://electrictoolboy.com/media/15653/
https://www.rex-rental.jp/faq/product/941/theodolite_totalstation

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