ケーブルラックとは
ケーブルラックとは、ケーブルを乗せて敷設するためのラックです。
大量のケーブルを整然と効率的に長距離敷設するために利用されます。多くの場合は1本3mを単位で販売されており、つなぎ合わせることで長距離化します。数百mを敷設することも珍しくなく、公共施設や工場・研究所といった比較的規模の大きな施設に利用されます。
ケーブルラックを複数段組み合わせるまたはセパレータを設け、配線種別ごとに分類して敷設するのが一般的です。
ケーブルラックの使用用途
ケーブルラックは大規模施設で、ケーブルを敷設するために使用されます。以下は、ケーブルラックの使用場所一例です。
- 加工工場や大規模プラント
- イベントホールやオフィスビル
- 大規模商業施設
- 暗渠
一定規模以上の施設では、多くの場所でケーブルラックが使用されます。ケーブルラックを使用して通行人が容易に配線に触れられない位置に敷設することで、施設内の安全性を確保可能です。複数本を同時に敷設可能なため、作業性も向上します。
電線管と比較して、多くの配線を敷設することが可能です。したがって、短距離または少ない本数のケーブルは電線管で敷設し、本数が多く長距離の場合はケーブルラックを選択します。
ケーブルラックの原理
ケーブルラックは金属素材の製品が多く、亜鉛メッキを施した鋼板やアルミニウムが使用されます。海岸沿いなどでは耐食性を高めるため、ステンレス鋼や強化プラスチックなどが使用される場合もあります。長手方向を3mとした長方形型で販売される場合が一般的です。
敷設する際は天井に取り付けたボルトで固定してケーブルラックを吊るし、エンドキャップなどの付属品を取り付けます。鋼製製品の場合は2m以下、その他の素材の場合は1.5m以下の間隔で支持します。直線とその他の形状と接続する部分では、その部分の近くとケーブルラックの端に近い部分で支持します。
ケーブルは水平な場所では3m以下、垂直な場所では1.5m以下の間隔で支持します。ただしケーブルラックがトレー型であったり、二重天井内に配線する場合は例外です。ケーブルを垂直に配線する場合は、一箇所の子げたのみに重量が集中しないようにします。
地震などを考慮し、敷設時には一定間隔の振れ止めでケーブルラックを固定して揺れに対応します。振れ止めを取り付ける吊り下げの長さは「建築設備耐震設計・施工指針」に示されているため、これを基準に施工しなければなりません。また、寒暖差が大きいと金属製のケーブルラック自体が伸縮することがあるため、これを避けるために30m以下の間隔で伸縮継手を取り付ける場合もあります。
ケーブルラックの種類
ケーブルラックの形状は、はしご型とトレー型に大分されます。
1. はしご型
はしご状のケーブルラックで、0.3mごとに桁が設けられていることが多いです。ケーブルを固定する場合は、麻紐やインシュロックなどで桁に括り付けます。ケーブルを目視することが可能なため、広く使用されるケーブルラックです。
軽量で安価なため、工場などでは多用されるケーブルラックです。商業施設などの通行人が目にするような場所に敷設した場合、デザイン性を低下させる可能性もあります。したがって、商業施設やイベント会場などでは屋根裏や壁内に設置することが多いです。
また、ケーブルラックの幅はトレー型と比較して広い製品が販売されています。1m幅以上の製品も販売されているため、巨大プラントなどに最適です。本体の材質についても、トレー型と比較して幅広いラインナップで販売されています。
2. トレー型
トレイのように底面が鉄板などで閉塞されている種類のケーブルラックです。ケーブルを固定する際は、底面に一定間隔で開いた穴に紐やバンドを通します。底面によってケーブル自体を安定に保持できる点が特徴です。
また、ケーブルを隠すこともできるため、デザイン性を担保できます。この特徴から、公共施設や商業施設・オフィスに広く使用されます。ただし、底面があるため、はしご型と比較して高価です。
参考文献
https://electric-facilities.jp/denki4/cr.html
https://seko-kanri.com/cable-ruck/